八千代市財政認識:平成26年度決算について 平成28年1月26日 本財政認識は,平成26年7月に宣言した「財政リスク回避戦略2014キックオフ ~持続可能な市政運営のための立て直し戦略(2か年プログラム)~」の工程表に基づ き,前回の平成25年度決算に基づく財政認識(平成27年1月9日及び同年5月25 日公表)に続き,平成26年度決算の確定を受けて公表するものである。 (以下,数字は 全て普通会計決算額で概数。(本市の場合,一般会計と墓地事業特別会計の合算額) ) 【決算の概要】 歳入については,まず自主財源では,市税徴収率で,債権管理課の設置や債権管理条 例の制定,徴収体制の強化など市税徴収対策の方針に基づく効果的,効率的な滞納処分 を推進してきた結果,平成25年度に92.28%と,目標値である92%を上回り, 26年度では92.85%となり,更なる改善となった。 決算額については,市たばこ税で減となったものの,市民税法人分1億9千万円,固 定資産税1億3千万円の増などにより,市税全体では3億8千万円の増となった。 財産収入では,土地建物売払い収入の増により,1億1千万円の増。 繰入金では,財政調整基金繰入金で,平成25年度に基金積立を行った地域の元気臨 時交付金分7億9千万円の繰入れを含め18億4千万円,市民ギャラリー建設費用の一部 に充てるための仮称市民の美術館建設基金繰入金3億2千万円の増等により, 21億 1千万円の増。 以上,自主財源全体では,対前年度比9.8%,32億4千万円増の362億9千万 円となった。 次に依存財源では,配当割交付金1億3千万円,地方消費税税率引き上げにより地方 消費税交付金3億5千万円の増など,各種交付金全体では3億4千万円の増。 地方交付税では,普通交付税4億1千万円の減など,4億7千万円の減。 国庫支出金では,地域の元気臨時交付金9億3千万円の減,社会資本整備総合交付金 (都市再生整備)3億8千万円,公立学校施設整備費負担金(八千代中学校・八千代台 東小学校建替え)3億6千万円,循環型社会形成推進交付金(焼却施設基幹的設備等改 良工事等)3億4千万円,臨時福祉給付金給付事業費補助金2億5千万円,子育て世帯 臨時福祉給付金給付事業費補助金2億2千万円の増などにより,10億4千万円の増。 県支出金では,介護基盤緊急整備特別対策事業等交付金9千万円,国民健康保険・保 険基盤安定負担金6千万円の増等により,2億円の増。 市債では,中央図書館等整備事業債13億8千万円,焼却炉施設整備事業債10億5 千万円,小中学校等の耐震・老朽化対策に係る事業債の増等により,30億9千万円の 1 増で,85億1千万円となり,ここ数年では,平成24年度の94億3千万円に次ぐ多 額の発行となった。 以上,依存財源全体では,対前年度比18.6%,42億円増の267億5千万円とな った。 以上により,自主財源比率は1.9ポイント減の57.6%,依存財源比率は1.9ポイ ント増の42.4%となり,歳入総額は,対前年度比13.3%増の631億2千万円と なった。 歳出については,経常的経費のうち義務的経費では,人件費は1.3%,1億4千万円 の減,公債費は2.0%,1億2千万円の減の59億1千万円となったものの,扶助費 は,臨時福祉給付金給付事業2億5千万円,子育て世帯臨時特例給付金給付事業2億2 千万円,民間保育園運営事業1億5千万円,幼稚園教育総務事業1億1千万円,子ども 医療費助成事業9千万円の増などにより,7.3%,8億7千万円の増となり,義務的 経費合計では2.1%,6億1千万円の増となった。 物件費では,成人保健事業7千万円,基幹情報システム管理事業5千万円,臨時福祉 給付金給付事業4千万円,子育て世帯臨時特例給付金給付事業3千万円などの増により, 2.7%,2億4千万円の増。 補助費等では,北千葉広域水道企業団が実施する地域の元気臨時交付金事業(高度浄 水施設建設事業負担金)で1億2千万円の減などにより,2.8%,8千万円の減。 経常的繰出金では,介護保険事業特別会計8千万円,国民健康保険事業特別会計1億 4千万円などの法定繰出金の増で9.0%,3億1千万円の増。 経常的経費全体では,対前年度比2.4%,10億6千万円増の455億円となった。 積立金では,財政調整基金で地域の元気臨時交付金7億9千万円の積立の減などによ り,97.9%,9億円の減。 普通建設事業費では,市民の森用地取得に係る緑地保全事業で2億5千万円,総合グ ラウンド建設事業1億7千万円の減となったが,中央図書館等整備事業26億1千万円, 小中学校の耐震・老朽化対策工事を中心とする小中学校施設整備事業22億2千万円, 農業の郷整備事業3億2千万円の増などにより,113.4%,73億5千万円の増。 投資的経費全体では,対前年度比113.4%,73億5千万円増の138億3千万 円となった。 以上により,歳出総額は対前年度比15.3%増の610億2千万円となった。 【実質収支など】 実質収支は19億2千万円(標準財政規模の6.1%)で,前年度に比べ3億2千万円, 14.5%の減となった。多額の基金繰入れや,公債費のうち元金償還分を上回る起債を 行ったため,単年度収支は5年ぶりに3億2千万円の赤字,実質単年度収支は27億7 千万円の赤字,プライマリーバランスは35億円の赤字となった。 2 【財政調整基金等】 財政調整基金残高は,対前年度比13億2千万円減(地域の元気臨時交付金分7.9 億円を別にすれば,5.3億円の減)の11億3千万円と,標準財政規模の3.6%と なり,目標値である標準財政規模の5%以上を下回った。また,将来にわたる財政の健 全な運営に資するための市債管理基金については,1億円を積み立て,2億7千万円と なり,双方を合わせた額14億1千万円では,標準財政規模の4.5%となる。 (なお, 平成25年度末の地域の元気臨時交付金分を除く財政調整基金と市債管理基金の合計 では18億3千万円で,標準財政規模の5.8%であった。 ) また,特定目的基金である仮称市民の美術館建設基金について,全額を取崩し廃止と したことから,普通会計における基金残高合計では,17億1千万円減の19億7千万 円となった。 【財政力指数・経常収支比率・公債費負担比率】 主な財政指標は,財政力指数が0.1ポイント増の0.92となり,公債費負担比率は 0.9ポイント改善して14.8%となり,目標値であり,警戒ラインでもある15% を7年ぶりに下回ってともに改善したが,後者は依然として警戒ライン付近の値であり, 経常収支比率は1.3ポイント悪化して94.9%となったため,財政の硬直化が進行す る状況となった。 【健全化判断比率】 4つの健全化判断比率は,全て早期健全化基準を下回り,実質公債費比率は1.1 ポイント改善して9.8%となった一方で,将来負担比率については2.9ポイント悪化 して73.8%となった。 なお,監査委員の平成26年度健全化判断比率審査意見書において,「平成26年度 決算に基づく健全化判断比率のうち,実質公債費比率及び将来負担比率については,い ずれも早期健全化基準を下回った。しかしながら,今後とも厳しい財政状況が予想され るため,長期的な視点に立った財政収支の見通しを試算し,公債費負担の適正化及び債 務負担行為の設定の抑制に努めていく必要がある。 」との意見があった。 【全体について】 平成26年度は,ハード面では,平成22年度からの新川周辺地区都市再生整備計画事 業の最終年度であったことから,中央図書館・市民ギャラリー,総合グラウンドなどの大規 模建設事業等のほか,継続事業である,焼却炉施設基幹的設備改良事業,八千代台東小学校 及び八千代中学校校舎改築事業,また,小・中学校校舎等の耐震・老朽化対策事業,保育園 の老朽化対策として大規模改修工事などを実施した。 3 ソフト面においては,子ども医療費助成の対象年齢引き上げ,私立幼稚園等就園奨励費の 増額,水痘ワクチン及び高齢者肺炎球菌予防接種,障害者等タクシー利用助成,小・中学校 の学級費廃止対応を行うなど,各部門において重点課題や緊急課題に的確に対応した。 他方で,老朽化した施設の建替・大規模改修,耐震化が図られていない施設の耐震化など に備えて,基金の取り崩しを最小に抑えるため,特別職(議員を除く),管理職をはじめと する職員の給与・手当等の削減・抑制,市役所本庁舎への広告付き掲示板や玄関マット広告 の導入などによる新たな歳入の確保,防犯灯のLED化や市民便利帳の官民協働事業化,電 力入札対象施設の拡大等による歳出の削減などもあわせて行った。 以上の結果,平成26年度決算では,一般会計の歳入総額は630億4千万円で,前 年度比13.4%,74億4千万円の増額,歳出総額は609億4千万円で,前年度比 15.4%,81億3千万円の増額となり,歳入歳出ともに初めて600億円を超え, 決算規模として過去最大となった。 財政指標に関しては,必要な施策を推進するため,多額の基金繰入れを行ったことや, 公債費を上回る起債を行ったため,単年度収支,実質単年度収支及びプライマリーバラ ンスにおいては全て赤字となった。また,公債費負担比率及び実質公債費比率は若干の 改善を見せたが,経常収支比率及び将来負担比率は上昇するとともに,中央図書館等整 備事業や小中学校の耐震・老朽化対策工事を中心とする小中学校施設整備事業等による 地方債残高の増加や積立金残高の大幅減少で,地方債残高に対する積立金現在高の比率 も3.46%に低下するなど,財政の硬直化が一層進行し,これまで以上に慎重な財政 運営が求められる状況となった。 【結びにあたって】 今後,歳入の根幹である市税収入は穏やかな景気回復に伴い堅調に推移し,また,歳 出面では,投資的経費については大幅な減が見込まれているが,起債償還の開始による 公債費の高止まり,さらに増加基調で推移することが見込まれる扶助費や物件費等の経 常的経費により,引き続き厳しい財政状況が見込まれている。 また,平成28年度は,現在策定中である「まち・ひと・しごと創生総合戦略」及び 「第4次総合計画後期基本計画」など,本市の将来ビジョンの実現に向けたスタートの 年であることから,さらに政策的な経費に対する歳出圧力が高まることが予想されてい る。 このような状況を踏まえ,諸施策実施の必要性や優先順位を考慮した上で,財政規律 に配慮した財政運営を行うこと,及び財政リスク回避戦略2014キックオフに位置付 けた財政計画の策定と推進がますます重要となっていると認識している。 なお,千葉県内・関東地方の人口規模等を考慮した類似団体との比較分析を加えた財 政認識については,総務省からの公表後,分析・公表する予定である。 4
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