「イマドキ」の就活生と考える、 「イマカラ」の就活 Days 対象:2013 年卒インターンシップ生 (2011 年 9 月 12 日) (1)インターシップに参加した理由 (2)就活のイメージ (3)就活の一番 漢字一文字で書くと 気になること 平野智恵(ひらの・ともえ)さん (ノートルダム清心女子大学 人間生活学部) (1)経験、未知の領域を知る (2)謎 (3)方法 田中伸幸(たなか・のぶゆき)さん (岡山大学 環境理工学部環境物質工学科) (1)モノではなく、ヒトと関わる仕事とその現場にいる人 を見る、知る、肌で感じるため (2)磨 (3)バランスのとれた力と何か1つ飛び出た力、どちらが 求められるのか? 高崎香奈子(たかさき・かなこ)さん (就実大学 人文科学部実践英語学科) (1)就職活動のヒントを得ることができると思ったから (2)迷 (3)内定がいただけなかったらどうしよう 《座談会》 進行役:松田隆之(キャリア・コンサルタント) ★この時期の活動状況について 松田:みんな、この時期は他のインターンには参加していないの? 平野:私はしていません。普段はバイトに力をいれています。私の友達は一人、 8 月に行ったそうですが、この時期、周りにも就活を体験している人があまりい ないですね。 高崎:私は近所の親しみを感じていた金融機関のインターンシップには参加し ましたが、周りでインターンシップに行っている友達はいないです。 田中:理系の場合は、インタ-ンは結構ありますよ。中には 1 週間泊り込みで 研究を行なうものもあります。 松田:学校からそういった情報がくるの? 田中:そうです。理系の場合、学校から直接案内が来ることが多いですね。文 系にはそのような仕組みはなかなかないと思います。 松田:この時点で、すでに文系・理系で就職活動の情報量の差が出ているんだ ね。 ★就職活動のイメージ 松田:例年の就職活動から大きく流れが変わって、今年は就職情報サイトのス タートも 2 ヶ月遅れて 12 月からになるよね。実質的な就職活動の時期が短縮し て、企業にとっても学生にとっても、かなり混乱すると言われているのだけど、 現時点でみんなにとって就職活動って、どんなイメージ? 平野: 「謎」ですね。何をすればいいのかわからない。どういうプロセスで行え ばよいのか、本当によくわからないです。 松田:学校の就職ガイダンスでもいろいろ学ぶと思うけど? 平野:企業が求める人物像など一般論についてはわかりましたけど、具体的な イメージがわかないんです。結局自分は何からすればいいのか…? 12 月ぐらい から合同説明会がはじまり…、というふわっとした情報とイメージしかつかむ ことができないんです。 松田:参考になる先輩からの情報は? 平野:部活動をしていないので、なかなか親しい先輩がいなくて。家族の中に も就活について相談できる人がいないので、だから「謎」なんです。 高崎:私も、何をしたらいいのか、という点で「迷」です。迷いの連続。就職 迷子に陥ってしまいそう。 松田:これまでの人生で迷ったことはないの? 高崎:ないです。進学に関しては迷いなく生きてきたし、就活がこれまでの人 生で一番迷う場面だと感じます。 松田:キャリアの世界でも、転機と呼ばれる4段階が人生にはあって、その最 初の段階が就職時期だと言われています。一般企業の中でも思ったところに最 初から就職できた、という人はかなり少ないですからね。 田中:僕の場合は「磨」です。1 番最初の経験でうまくいくはずはないと思いま す。壁にぶつかっている間に自分の本質が見えてきたり、これまでは見ること のできなかった自分を見られるチャンスだと感じています。 松田:二人は今のコメント聞いて、どう思う? 高崎:すごいなぁ。 平野:疲れそう… 一同:笑い 松田:田中くん、かなり堅いよね(笑) 田中:親が厳しかったから、兄弟みんな堅いんです。自分ではこの真面目さを ウリにしていこうと思っています(笑) ★就職活動で気になること 田中:就職活動では、バランスのとれた力と、ひとつ秀でた力、どちらの力が 必要なんですか? 松田:自分はどう思う? 田中:研究の世界ではひとつ秀でていると、どこかマッチングする、しかし、 一般企業ではコミュニケーションや会話のバランスを重視している…と考えて います。どちらが…ということはないですが、どっちなのかと思いまして。 松田:会社によって求める人物像が違うから、それは一概には言えないと思う よ。でも、将来的にはどちらも大切で、企業社会ではよく T 字型人材という表 現をするけど、バランスを持ちながらも何かに秀でた力を持っている人が活躍 できると言われています。 松田:田中くんは現在人材ビジネスやコンサルティングの世界に興味を持って いるみたいだけど、大学はなんで理系に? 田中:高校時代、理科と数学ができていたからです。 松田:なるほど、大学は「できる」ことを優先して、就職活動では「したいこ と」が理由になっているんだね。ちなみに面接官側の視点からすると、 「できる」 「したい」「すべき」という3つの視点があって、「したい」ばかりアピールさ れると、本当にその仕事が「できる」のか?と逆に不安になることもあるから、 「できる」ことと「したい」ことのバランスが問われるよね。 平野:私は「したい」ことはあまり書かない方がいいと言われました。 松田:面接官にも、進路指導の先生方にもいろんな考えの方がおられるから、 何が正解で何が不正解とは言い切れないのだけど、バランスは大事だと思うよ。 平野:どうしても自分が書類に書き出していると「したい」が多くなります。 松田:「できるし、したい」のか、「できないのにしたい」のかで印象はずいぶ ん変わってくるから、少し視点を広げて考えた方がいいと思うなあ。ちなみに、 もうひとつ「すべき」という視点があるけど、それは使命感みたいなもの。震 災や少子高齢化など、こういう時代だから、私はこういう仕事をすべきだと思 っています…という主張もあるよね。 平野:私が気になるのは「方法」なのですが、就活に対してまったく知識がな いので、どうしたらいいかわからないです。合説(企業合同説明会の略)に行 かなくてはいけないのはわかりますが、合説はいったい何をする場所なのか、 そこからどのように進んでいくのか…。 松田:「合説」というのは業界用語だよね(笑)。わからないものが多そうだか ら、逆に知っていること、わかっていることって、どんなこと? 平野:…テストがある! 松田:うん、他には? 平野:…面接がいっぱいある!書類選考があって、一次二次三次と…。あと、 就職しにくい。 田中:面接が進むにつれて、面接官の役職が上がってくる。SPI は知識より判 断力、訓練が必要。 高崎:数を受けてもぜんぜん通らないときがある 松田:(笑)受かる人は受かるし、難しいところだよね。 高崎:私の気になることは「内定がいただけなかったら、どうしたらよいのか?」 松田:切ないね(笑)。もうそうなったらどうするかを考えることも大切だけど、 ゴルファーは池を意識したとたんに池ポチャになる、という話しもあるぐらい だから、あまり不安感情に身を委ねない方がいいと思うよ。 高崎: じゃあ…、どうしたら内定がいただけるのですか? 松田:荒療治があるんだけど…。一人で居酒屋に行って、知らない人と仲良く なって、おごってもらうことができるようになったら、その人は内定がもらえ るレベルのコミュニケーション力だ、という話しがあるよ(笑)。 平野:できないですね…。わたしは最近やっとカフェに一人で入れるレベルで す。 ★採用側は書類で何を見ているのか 松田:就職支援をしてもらうなら、何をしてほしい? 平野:履歴書は書けると思います。エントリーシートは、いったい何を気にし たらいいのか? 松田:会社ごとによって求める基準が異なるから、難しいよね。じゃあちょっ と、性格診断みたいなことをみんなでやってみよう。 自分の部屋を想像してもらって、目につくもの、大切にしているもの、こだわ りがあるものなど、自分にとって大切なものを5つ、箇条書きで書き出してみ て。 これから「プロファイリング」をやってみようと思います。英語で書くと Profiling。Profile、日本語だとプロフィールのことです。 お互いの5つのリストを見ながら、そんなモノに囲まれた部屋に住んでいる人 はどんな人か、想像してみてください。 (各自、シートを交換して感想を記入) 面接官は、履歴書やエントリーシート見ながら、みんなが書いていることを読 んで、いまみたいにプロファイリングのようなことをしているんです。 (結果をみながら) 平野: 「色がはっきりしている」、 「寂しがりやな一面」というのがあたっている。 おしゃれには気をつかっていないので、そこは違うかなと。 田中: 「意外性がある」と書かれていた。結構合っているのではないかと思うが、 勉強好きという点では、好きな科目は好きだけど、嫌いな科目は嫌いです。 高崎:「部屋にいることが多そう」というのがあたっている。 松田:やってみての感想は? 高崎:これをやって何がわかるのかと思っていたけど、これだけ少ない情報で、 何でここまでわかるんだろう。 田中:思ったよりも自分の部屋を見ていないなぁと。 松田:そこかぁ〜(笑)。田中くんは、結構独特なものの見方するよね。 田中:他の人と書いていることがひとつ違うだけでここまで違うものなんです ね。 松田:面接官としては、様々な視点から人を見ます。文章の書き方や文字の大 きさ、人によっては印鑑が曲がっていないかなど、かなり細かいところまで見 ている人もいます。30 分そこらの面接で何がわかるのかと学生さんによく言わ れますが、正直全部はわからないですよ。でもその時間の中でなるべく具体的 に学生のことを理解しようとする努力はしています。だから学生さんもしっか りと準備をしてきてほしいですね。 ★求められる人になるために 松田:では最後に、みんなへのアドバイスです。これからちょっとグラフを書 きますね。縦軸が「できる人」、横軸が「いい人」。 就職活動ではこの「能力」×「印象」で評価されることが多いんです。1次や 2 次面接では、印象面を中心に評価されますが、最終面接まで進んで採用される ためには、間違いなくその業界やその仕事をしっかり理解して、その仕事がで きそうな人しか、いまは内定が出ない時代です。そのためには、 「いい人」で終 わらないように、きちんと「できる」ことをアピールする実績が必要なんです。 過去、現在、未来というタイムラインを意識して、これまで自分が何をやって きたか、これからどうしたいか、という部分に一貫性を持たせたり、一貫性は なくても、過去から学んで未来に対してこういうことがしたいという意欲をア ピールしたり、いずれにしても、これまで自分が何をしてきたか、ということ がこれから何度も問われてきます。 だから、このインターンシップをはじめ、休みや自由な時間を活用して、興味 がある分野に飛び込んだり、問題意識を持って新しいアルバイトをしてみたり、 何か具体的な行動を起こしていくことが大事だと思います。その中で優先順位 をつけていくと、自分が何をすべきかが見えてくるはずです。
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