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ピクテ・グローバル・マーケット・ウォッチ 2015年8月5日
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ヘルスケア市場: 2015年4-6月期の振り返りと展望
2015年4-6月期のヘルスケア・セクターの騰落率は、世界の株式市場全般の騰落率を上回りました。中でもヘルス
ケアサービス・セクターが最も好調でした。一方、新興国ヘルスケア・セクターは低調さが際立ち、目先、不透明感
が残りますが、長期的な成長見通しは変わりません。なお大幅な下落局面は買いの好機を提供すると考えます。
ヘルスケア市場:2015年4-6月期の
振り返り
2015年4-6月期のヘルスケア・セクターの騰落率は、世
界の株式市場全般の騰落率を上回りました。当期騰落
率は、MSCI世界ヘルスケア株価指数(米ドルベース、
配当込み)が+1.5%、MSCI全世界株価指数(同上)が
+0.3%となりました。ヘルスケアサービス・セクターなら
びにバイオ医薬品セクターが、ヘルスケア・セクター全
体をけん引しました。ヘルスケア・サブ・セクターの騰落
率では、MSCIヘルスケア・ プロバイダー株価指数(同
上)が+5.6% 、MSCIバイオ医薬品株価指数(同上)が
+4.1% となりました。後述の通り、両指数構成銘柄の良
好な企業ファンダメンタルズ(基礎的条件)が注目され
ました。一方、新興国銘柄は、低調さが際立ちました。
MSCI新興国ヘルスケア株価指数(同上)の当期騰落
率は-4.0%となり、1-3月期の上昇分(+7.6%)の半分以
上の下落となりました。新興国ヘルスケア・セクターは、
先進国ヘルスケア・セクターならびに新興国株式市場
全般の双方に出遅れました。もっとも、新興国ヘルスケ
ア・セクターの下げの大半は、後述の通り、中国株式
市場の乱高下に起因するものであり、ファンダメンタル
ズが堅固であることには変わりありません。ヘルスケ
ア・セクターの中核を成す医薬品サブ・セクターは期中
を通じて軟調な推移となり、MSCI医薬品株価指数(同
上)の騰落率は+0.2% と、辛うじてプラスを維持しました。
新薬のパイプラインに関するニュースや思惑が、株価
の急騰あるいは急落をもたらしました。前者の例には、
イーライ・リリー(米国)が、一方、後者の例には、グラ
クソ・スミスクライン(英国)ならびにアストラゼネカ(英
国)が挙げられます。
バイオ医薬品セクター
バイオ医薬品セクターが好調だった要因には、M&A(
合併・買収)案件(観測を含む)や、良好な治験結果な
らびに承認関連ニュースの発表が挙げられます。
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もっとも、当セクターが期中を通じて堅調だったという
わけではありません。4月は下げ相場が展開されまし
たが、押し目買いが入ったことから、下落局面は一時
的なものに留まりました。1-3月期は大方の大型医薬
品銘柄が、季節要因のため、減益となりましたが、ギリ
アド・サイエンシズ(米国)は、C型肝炎治療薬の売上
が予想を大きく上回りました。アレクション・ファーマ
シューティカルズ(米国)は、希少疾病治療薬のシナゲ
バ・バイオファーマ(米国)を140%のプレミアムを上乗せ
て84億ドルで買収しました。また、7月初旬には、セル
ジーン(米国)がレセプトス(米国)を72億ドルで買収し、
後期の開発段階にある多発性硬化症治療薬候補なら
びに炎症性腸疾患治療薬候補を取得しました。買収観
測が浮上する前の時点での株価に対する買収金額の
プレミアムは45%となりました。
バイオ医薬品セクターの治験関連ニュースでは、片頭
痛治療薬候補についてはアムジェン(米国)とアル
ダー・バイオファーマシューティカルズ(米国)が、喘息
と慢性副鼻腔炎治療薬候補についてはリジェネロン
(米国)が、アトピー性皮膚炎治療薬候補についてはア
ナコール・ファーマシューティカルズ(米国)が、間接リ
ウマチ治療薬候補についてはガラパゴス(ベルギー)
が、矮小発育症治療薬候補についてはバイオマリン・
ファーマシューティカル(米国)が、産後うつ病治療薬候
補についてはセージ・セラピューティクス(米国)が、膵
臓がん治療薬候補についてはハロザイム(米国)が、
卵巣がん治療薬候補についてはイミュノジェン(米国)
が、βサラミア遺伝子治療薬候補についてはブルー
バード・バイオ(米国)が、いずれも良好な結果が得ら
れたことを発表しました。
また、期待外れの治験結果が嫌気され売られていたア
エリー・ファーマシューティカルズ(米国)、セラドン・コー
ポレーション(米国)、イレブン・バイオセラピューティク
ス(米国)、プーマ・バイオテクノロジー(米国)、アバラ
ンチ・バイオテクノロジーズ(米国)等の銘柄には、当然
ともいえる見直し買いが入りました。
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※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
容が変更される場合があります。
巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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承認関連ニュースでは、リジェネロンとアムジェンの高
コレステロール治療薬候補PCSK9が、米食品医薬品
局(FDA)諮問委員会から、スタチン不耐症患者に対す
るリスクが便益を上回るのではないかとの指摘を受け
たものの、最終的には承認の推奨を得ました。この他、
4 月 か ら 7 月 初 旬 に か け て、 バ ー テ ッ ク ス ・ フ ァ ー マ
シューティカルズ(米国)の嚢胞性線維症治療薬
Orkambi、アムジェンの心不全治療用心拍抑制薬イバ
ブラジン、メディシンズ・カンパニー(米国)の抗血小板
静注薬ケングリアル、手術用の乾燥粉末フィブリン止
血製品Raplixa、入院患者術後痛治療装置Ionsysの3製
品がFDAの承認を受けました。また、クロビス・オンコロ
ジー(米国)のBRCA遺伝子変異を有する患者の進行
卵巣がん治療経口阻害剤は、FDAの画期的治療薬の
指定を受けました。
革新的技術の確保のための提携も相次ぎました。
ブリストルマイヤーズ・スクイブ(米国)とユニキュア(オ
ランダ)は遺伝子治療の分野で、セルジーンとアストラ
ゼネカ(英国)はがん免疫治療において、さらにセルジ
ーンとジュノ・セラピューティクス(米国)は開発途中の
CAR-T(キメラ抗原受容体を用いた遺伝子改変T細胞
療法)について提携を発表しました。株式市場での資
金調達に対する投資家の旺盛な意欲にも衰えが見ら
れませんでした。公開市場における4-6月期の資金調
達総額は、100億ドル以上(新規株式公開(IPO)により
約30億ドル、増資により約77億ドル)に達しました。大
型銘柄は、ファンダメンタルズが堅固であり、一部銘柄
については一段の改善が見られること、また、利益成
長も良好であることから、バリュエーション(投資価値
評価)は妥当な水準にあると考えます。一方、中・小型
銘柄のバリュエーションには、最も楽観的な見通しが
反映されることが多いため、規律に則った、銘柄厳選
が必須です。このような銘柄は買収対象となることが
多いとはいえ、高いプレミアムは常に実現するとは限り
ません。
新興国の医薬品セクター
新興国市場の中で中国市場が特に注目されたのは、
世界経済に占める中国の重要性や経済規模のためだ
けではなく、株式市場の変動が極めて大きかったから
でもあります。2014年11月以降の半年あまりで、中国A
株は約50%、中国H株は約19%上昇していましたが、
2015年6月12日には、下落相場が始まりました。これに
先立って株価を押し上げていた最大の要因は、株券を
担保とした借入を通じて株式投資を行う信用取引の拡
大と、本土市場と香港市場間の資金の自由な移動が
可能になるだろうとの思惑だったのですが、過度の楽
観が後退し、信用取引向け融資が規制された結果、株
価の下げに拍車がかかりました。
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中国政府は、株価の下落を阻止するため、市場への
介入を繰り返しました。対策の一部は奏功し、市場は
当面の底値を打ったように思われます。
A株指数とH株指数の構成銘柄の一部を成す中国のヘ
ルスケア銘柄も市場の下げの影響を免れず、過去9ヵ
月の上昇の大半が帳消しとなりました。もっとも、(決し
て大きいとはいえない)資産効果と市場に対する信頼
が失われ、市場の下落が中国経済全般に波及すると
しても、ヘルスケア・セクターとヘルスケア企業の利益
率への影響は限定的なものに留まると考えます。それ
は、医療関連支出がディフェンシブな特性を有するも
のだからです。したがって、中国ヘルスケア市場の長
期的・構造的拡大の恩恵に与ることが予想され、ファン
ダメンタルズが堅固な一部の大型・中型株については、
下落相場が長引いた場合、絶好の買い場が提供され
ると考えます。一方、一部の銘柄は、増資による株価
の下げに見舞われており、短期的な下げ相場が続く可
能性も考えられます。A株と比べると、ボラティリティ面
でもバリュエーション面でも、H株の投資妙味が強いと
考えます。H株指数を構成するヘルスケア銘柄の株価
収益率(PER、予想利益ベース)は足元19倍程度と、3
年平均の18.8倍、5年平均の20.0倍にほぼ並びます。
M&Aと最高裁の判決
ヘルスケアサービス・セクターは、相次ぐM&A案件と後
述の最高裁の判決を受けて好調な展開となり、複数の
主要企業の良好な業績予想を好感して、7月以降も上
昇基調を維持しています。3月末のユナイテッドヘル
ス・グループ(米国)による薬剤給付管理(PBM)カタマ
ラン・コープ(米国)の買収が薬剤給付管理ならびに医
薬品小売業界の一連のM&Aの引き金となりました。
カーディナル・ヘルス(米国)は、未公開のハーバード・
ドラッグ・グループ(米国)を11.2億ドルで、一方、ドラッ
グストア・チェーンのCVS(米国)は薬剤給付サービス
のオムニケア(米国)を127億ドルで買収しました。CVS
は、高齢者生活支援施設や長期療養施設向けの薬剤
給付サービスを拡充すると同時に、薬剤給付市場の
シェアを拡大することとなります。
CVSは、更に、小売大手ターゲット(米国)の店内薬局
を19億ドルで買収しました。CVSは販路を広げると同時
に、医薬品小売市場における主導的な地位を固めるも
のと思われます。
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※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
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巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。
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M&A案件は、医療保険銘柄の株価も押し上げました。
エトナ(米国)は、7月初め、数カ月間にわたって買収観
測が燻っていたヒューマナ(米国)に対する買収提案を
発表しました。また、センティーン(米国)はヘルス・ネッ
ト(米国)を、アンセム(米国)はシグナ(米国)を買収し
ました。
薬剤給付管理機関銘柄の支援材料となった二つ目の
要因は、米連邦最高裁判所が医療費負担適正化法
(ACA、通称オバマケア)の助成金の是非を巡るキング
対バーウェル裁判で、オバマ政権の看板政策であるオ
バマケアを合法としたことです。最高裁の判決を受け、
連邦政府運営の交換取引市場を通じて支給された補
助金が、州が設定した医療保険市場に流れることが可
能となります。最高裁の判決を受けて医療機関銘柄が
買われており、今後、一段の上昇が見込まれます。
7月に入って発表されたHCAホールディングス(米国)と
ユナイテッドヘルス・グループ(米国)の業績発表は、
薬剤給付管理機関全般の良好な4-6月期決算を示唆
するものとなりましたが、一連のM&Aがバリュエーショ
ンを押し上げていることから、今後は、銘柄の厳選が、
これまで以上に重要になると考えます。薬剤給付管理
機関の銘柄選択は、とりわけ重要です。ヒューマナ買
収のニュースを受けて売られたエトナや、アンセムの買
収対象となったシグナは、バリュエーション面での投資
妙味が際立っています。薬剤給付管理機関銘柄につ
いては、中期的な株価上昇が見込まれます。足元の株
価上昇は、前述の最高裁判決を受けたものであること
に留意が必要です。今後、複数の州が新たに公的医
療保障制度(メディケイド)の受給資格を緩和すること
が予想され、株価の一段の上昇を促す要因になると考
えます。
したがって、従来通り、豊富なパイプラインと(売れ筋以
外の)「ロングテール」の製品を有する優良医薬品銘柄
ならびに大型バイオ医薬品銘柄が注目されます。後発
医薬品(ジェネリック)銘柄では、多国籍企業ならびに
販路が特定の地域に限定されない企業が有望だと考
えます。一方、特殊医薬品銘柄については、バリュエ
ーションにM&Aのプレミアムが十二分に織り込まれて
いることから、慎重な見方を崩していません。米国のヘ
ルスケア・サービス銘柄は、見通しが改善されたと考え
ます。また、前述の最高裁の判決を受け、薬剤給付管
理機関銘柄は一段の上昇が見込まれます。医療テクノ
ロジー銘柄ならびに中・小型のバイオ医薬品銘柄につ
いては、真に革新的な資産を有し、画期的製品開発の
短期の見通しが明確に確認できる企業のみに注目し
ています。中・小型のバイオ医薬品銘柄のバリュエー
ションは、懸念材料となり得ると考えます。投資家の間
でバリュエーションが高過ぎるとの見方が強まっている
ことは明らかだからです。新興国のヘルスケア銘柄が、
長期的に見て魅力的だとの考えは変わりませんが、目
先は不透明感が払拭されません。マクロ経済要因が市
場に影響を及ぼしており、中国銘柄の一連の増資が
2015年下期の利益成長率を抑える可能性もあり得ま
す。とはいうものの、ヘルスケア製品ならびにサービス
に対する新興国の需要は拡大基調が続くと見ており、
市場の大幅な下げは、絶好の買い場になると考えます。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内
容が変更される場合があります。
※MSCI指数は、MSCIが開発した指数です。同指数に対する著作
権、知的所有権その他一切の権利はMSCIに帰属します。また
MSCIは、同指数の内容を変更する権利および公表を停止する権
利を有しています。
2015年下期の展望
ヘルスケア・セクターの堅固なファンダメンタルズは、高
水準のバリュエーションを正当化する要因になると考
えます。また、足元のパイプラインの状況と製品開発
の成功が、増収ならびに増益の勢いを保つものと考え
ます。もっとも、悪材料が繰り返し浮上することとなれ
ば、ヘルスケア・セクターが失速するリスクは殆どない
にしても、長期にわたって投資家心理に影響を及ぼす
可能性が否めないことには留意が必要です。
治験の失敗、規制環境の変化、高過ぎる買収は、すべ
てリスクの源泉となり得ます。
当資料をご利用にあたっての注意事項等
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