No307(2012年10月)

No.307
平成24年
10
社会医療法人母恋の使命「医療人として組織として社会に貢献する」
糖尿病に関係する皮膚疾患〜日々のチェックが大切 … 2〜3
糖尿病患者さんに気を付けてほしい足のケア …………… 4
栄養通信 …………………………………………………… 5
糖尿病食事療法〜生活習慣病予防にも応用しよう!
母恋インフォメーション ……………………………… 6〜7
NEW FACE〜10月の着任医師のご紹介
病院医療機能評価4度目の認定
診療科名変更のお知らせ
室蘭市市民活動センター出張講座
第4回健康プラザのご案内
行事報告:第4回日鋼記念病院緩和ケア研修会
在宅緩和ケア支援広場「あっとほーむ」
開催報告と次回のご案内 ………………………………… 8
9月21日に緩和ケア病棟で行われた “秋の味覚を楽しむ会” では、
爽やかな秋空のもとボランティアさんが庭で秋刀魚を炭焼きに!
病棟いっぱいに秋の香りが広がりました。
糖尿病に関係する皮膚疾患
日々のチェックが大切
かね
皮膚科 科長
こ
り
え
兼 古 理恵
医師
日本皮膚科学会 専門医
糖尿病はその病気が原因で様々な合併症を引き起こす病気です。その中でも皮膚疾患は多く、症状の
種類も様々です。「皮膚疾患をきっかけに糖尿病が発見されることもあるのです」という皮膚科科長、
兼古先生にお話を伺いました。
糖尿病にかかわる
皮膚の病気の種類
直接デルマドローム
え そ
① 糖尿病性壊疽
糖尿病で通院されている患者さんの6割は、
糖尿病による末梢神経障害、血管障害、感
何らかの皮膚疾患を持っていると言われてい
染が原因となり主に足のゆびなどの皮膚が回
ます。
復不能の壊死を起こす状態をいいます。感染
糖尿病に合併する皮膚疾患には大きく分けて、
1.糖尿病の代謝異常で発症する疾患(直接
のコントロールがつかない場合、命にかかわ
ることも稀ではありません。
デルマドローム)、2.代謝異常とは直接関
連しない疾患(間接デルマドローム)に分け
られます。内臓の病気があると出てくる皮膚
の病気をデルマドロームと言います。
間接デルマドロームには、①湿疹・皮膚炎
および皮膚そう痒症、②易感染性(感染症に
a
かかりやすい状態)があります。易感染性に
よる皮膚症状には足白癬や体部白癬、指間カ
ンジダをはじめとしてたくさんの疾患があり
ます。間接デルマドロームは、比較的一般の
方が、耳にすることも多い疾患と言えます。
今回は、あまり耳馴染みのない直接デルマ
ドロームについて簡単にご紹介します。
2
日鋼記念メディカル情報
ふしゅせい こうかしょう
② 糖尿病性浮腫性硬化症
うなじから上背部にかけての皮膚が境目の
はっきりとしない盛り上がりができて硬く
変化します。
10月号 No307
おうしょくしゅ
ぜんけい こつぶ
③ 糖尿病性黄色腫
しきそはん
⑧ 前脛骨部色素斑
前脛骨部(すねの前側の硬い骨の部分)に
四肢(特に肘や膝)や臀部に直径2〜3mm
直径1cm程度の円形の褐色の斑点が多発します。
の黄色の丘疹(小さな皮膚のぶつぶつとした
盛り上がり)が多発します。
こくしょく ひょうひしゅ
⑨ 黒色表皮腫
えし しょう
④ リポイド類壊死症
うなじや脇の下や股のつけ根の皮膚が黒褐
両側の下腿に形の
色に変化し角質が増えて皮膚がゴワゴワとし
境目がはっきりしな
た状態になります。
い紅い斑点が出現し
ちょうめいさいぼうかんかんしゅ
ます。自覚症状はあ
⑩ 澄明細胞汗管腫
りません。糖尿病発
見のきっかけになる
顔の、特に目の周りに黄褐色の直径5mm
ことがあります。
b
すいほう
くらいまでの丘疹(小さな皮膚のぶつぶつと
した盛り上がり)が多発します。糖尿病発見
のきっかけになることがある発疹です。
⑤ 糖尿病性水疱
足のゆびなどに直径1cm前後の水疱(みず
ぶくれ)が突然できます。自覚症状はありま
せん。
自分で判断の付かない皮膚症状
皮膚科専門医の早期受診を!
こうしゅく
⑥ デピュイトラン拘縮
てのひらに小豆大から大豆大までのかたい
このように糖尿病には様々な皮膚症状が出
しこりが数個つらなって出現し、進行すると
現することがあります。これらの多くは、皮
指が曲がったまま伸ばせなくなることもあり
膚科医以外の医師にとってもあまり馴染みが
ます。
あるとは言えない疾患です。皮膚疾患をきっ
かけに糖尿病が発見されることも稀ではあり
はしゅじょう かんじょう にくがしゅ
ません。自分で判断のつかない皮膚症状があ
⑦ 播種状環状肉芽腫
る場合は、皮膚科専門医を受診してみるよう
典型的には、体・四肢の皮膚に環状の紅い
斑点が多発します。自覚症状はありません。
に心がけてください。
また、糖尿病が既にある方は、様々な皮膚
疾患を合併する可能性があることを念頭にお
いて、特に命にかかわることの多い糖尿病性
壊疽の早期発見のためにも、毎日足をきれい
に洗って点検する習慣を身につけることが大
切です。
a:末木博彦:最新皮膚科学大系18巻. p54,
中山書店,2003
b:末木博彦:糖尿病と下肢の皮膚病変.Derma 2003;(73):51-57
日鋼記念メディカル情報
10月号 No307
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糖尿病患者さんに
気を付けてほしい足のケア
し
糖尿病看護認定看護師
みず
さ
ゆ
り
清水小百合
糖尿病患者さんの足は病気によって様々な皮膚トラブルが起こりやすく、重症化しやすい傾向があります。
起こりやすいトラブルの原因と観察のポイントを紹介します。
注意① 傷が治りにくくなる
血糖値が高い状態が続くと細菌や水虫などの感染に対する抵抗力が低下します。
傷口が化膿しやすくなったり、傷の治りが遅くなります。
動脈硬化が進行すると、足先の血流が流れにくくなります。
細胞が必要とする栄養や酸素が、十分に供給されなくなるため、傷ができても治りにくくなります。
自分の足を見て、確認しましょう!! まず観察!!
注意② 痛みを感じにくいだけではなく…
糖尿病神経障害があると、痛みを感じにくいだけでなく、足の発汗機能が低下して、乾燥やひび割れ
を起こしやすくなります。また、運動神経の障害により、足の変形が起こり、タコ・魚の目ができ
やすくなります。
水虫
あかぎれ
うおのめ
タコ
腫れ
巻き爪
傷
乾燥
爪周囲炎
爪水虫
出血
ひび割れ
靴ずれ
足はトラブルが起きやすく、異常に気が付きにくい場所です。毎日足を見る習慣をつけて、気になる
異変があれば、医師や看護師に相談してください。
糖尿病教室
毎週火曜日 14:30〜
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開催
中
医師・看護師・管理栄養士・理学療法士・薬剤師が週替わりで
講義を担当しています。開始時間、内容は変更の場合がありま
すので、申し込み時にご確認ください。
申込・問合せ
日鋼記念病院 糖尿病外来
日鋼記念メディカル情報
10月号 No307
TEL
0143-24-1331
糖尿病食事療法
生活習慣病予防にも応用しよう!
せ
栄養課 管理栄養士
がわ
よう
こ
瀬川 瑤子
糖尿病の食事療法の基本は規則正しい食事と栄養バランス、そして適正エネルギーの 3 つです。
ですから、基本的には食べていけないものはありません。この3つ、おぼえておいてください。
食事療法3原則
規則正しい食事
栄養バランス
血糖の変動を穏やかに
することが期待できます。
基本は昔ながらの一汁三菜。
肉や魚、納豆等の大豆製品、
卵料理などご飯がすすむおかず
ばかりではなく、野菜や海藻、
きのこなどを取り揃えて
一汁三菜を完成させましょう!
適正エネルギー
体重や活動量によって
個人差があります。
糖尿病治療中は内服や
体重コントロールも考慮し
主治医の指示に従いましょう。
適正エネルギーを知る
① 自分の適正体重を知ろう!
鉄鋼製造業にお勤めのAさんを例に
紹介します。
適正体重 = 身長 (m)
身長 170cm のAさんの適正体重は ⇒ 1.7
1.7
身長 (m)
22
22 = 63.58kg
② 必要なエネルギー
活動量によって必要なエネルギーが違います。
①で算出された体重に、下の表に該当するエネルギーをかけます。
Aさんのお勤めは鉄鋼製造業なので生活活動は(普通:30 〜 35Kcal)
63.58
30 = 1907.4kcal、約 1900kcal
生活活動別 体重1kg あたりに必要なエネルギー
軽い
事務などデスクワーク・専業主婦
25〜30Kcal
普通
サービス業・製造加工業・販売員
幼児のいる主婦
30〜35Kcal
重い
外回りの営業・農業
35〜40Kcal
厚生労働省ホームページより
体重コントロールは生活習慣病予防につながります!! 適正体重を目指していきましょう。
ちょっと食べ過ぎた、と思ったときは運動で消費エネルギーをアップ!
摂取エネルギーと消費エネルギーのバランスもとても大切です。
日鋼記念メディカル情報 10月号 No307
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インフォメーション
『母恋インフォメーション』では、当法人のニュースやトピックス、お知らせなどを掲載いたします。
NEW FACE〜10月着任医師のご紹介
産婦人科
消化器内科
まつうら
もとき
おがわ
ゆうし
科長 松浦基樹 医師
小川悠史 医師
札幌医科大学 平成16年卒
昭和大学医学部 平成20年卒
医学博士
日本産婦人科学会専門医
日本臨床細胞学会細胞診専門医
新生児蘇生法ジュニアインストラクター
日本内科学会認定内科医
片岡先生の後任として着任いたしました。
北海道は2回目です。
どうぞよろしくお願いします。
室蘭での生活を楽しみにしております。
病院医療機能評価4度目の認定
第三者の目で病院の医療活動が組織的かつ安全に
適切に実施されているかを評価する病院医療機能評
価に、日鋼記念病院は平成9年(1997年)に全国で初め
ての認定を受けました。
それから15年、4度目の認定をめざし書類審査、
日本医療機能評価機構からの評価調査者チームによ
訪問審査では院内の細部に至るまで
チェックを受けます。
る訪問審査を経て、このたび認定基準を満たす病院
として評価をいただきました。
この認定は日々の実践の積み重ねへの評価と受け
止め、良い点は励みに、改善点は課題として、この
後も医療の質の向上に努めようと職員一同思いを新
たにしております。
10月1日より診療科の名称が変更になりました
医療法の改正及び受診科をわかりやすくご案内するため、診療科の名称を変更いたしました。
消化器科
循環器科
呼吸器科
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消化器内科、消化器外科
循環器内科
呼吸器内科
日鋼記念メディカル情報
10月号 No307
室蘭市市民活動センターで出張講座のご案内
各講座とも定員は15名となっております。ふるってご参加下さい。
テーマ
◆ 知っておきたい薬の知識
① 薬を安全に使うために
② 薬の正しい使い方
③ 薬の正しい保管のしかた
開催日
平成24年10月17日(水)
15:00〜16:00
講
師
薬剤部部長 佐藤英二
主
催
室蘭市市民活動センター
室蘭市海岸町1-20-30
テーマ
◆ 転倒予防を考えよう
開催日
平成24年11月15日(木)
15:00〜16:00
講
リハビリセンター 技士長 小山内康夫
師
TEL:0143-25-7070
第4回健康プラザの参加 お待ちしています!
健康維持、病気予防を目的に開催する公開講座「健康プラザ」を開催します。学んで、身体を
動かして、いきいき健康な毎日をめざす講座です。はじめて参加される方には簡単な体力測定
を行いますので動きやすい服装でお越しください。
開催日
平成24年11月19日(月) 13:30〜15:00
場
日鋼記念病院 地域医療研修センター
所
主な内容
当日参加も可能です。
◆ 講座 : 血圧のおはなし ~基礎・食事・お薬
◆ 体操 : 目指せ体力測定結果改善!
申込先
地域医療連携センター
TEL:0143-25-2555 (直通)
お知らせ:11月に予定していた体力測定は12月の開催に変更になりました。
早期から切れ目ない緩和ケア実践を!
日鋼記念メディカル情報
10月号 No307
第4回日鋼記念病院
緩和ケア研修会開催
行事報告
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在宅緩和ケア支援広場
9月4日、緩和ケア病棟で開催
全てのがん患者さん・ご家族の
相談と交流の広場を目指して
がんと診断された患者さんの抱える痛みの軽減、
ご家族の悩みや不安の支援を目的に緩和ケア病棟
で開催された「あっとほーむ」。
この日、約40名が参加した会場では、音楽療法
士の四方(よも)さんのピアノ演奏のなか、医
師・看護師・栄養士・医療ソーシャルワーカーの
相談ブースや、高橋緩和ケア認定看護師によるリ
緩和ケア科曽根医師や在宅ケアセンターなど
専門スタッフがゆっくりとお話を伺いました。
ンパマッサージなどが行われ、リラックスした雰
囲気に包まれていました。
参加した方は「マッサージを受け、ゆっくりと
話を聞いてもらい、本当に気持ちが楽になりまし
た」と笑顔で話されました。
心配なことや不安な気持ちを話したり、専門職
や同じ病気を持つ方の話を聞くことで気持ちが
ボランティアさんによるアロママッサージも
好評でした。
「ほっと」和らぐ、そんな広場を目指してこれか
らも開催してまいりま
す。次回も、気楽
次回の開催
な気持ちでお立ち
日時
11月16日(金) 13:30〜16:00
寄りください。お
場所
日鋼記念病院 緩和ケア病棟
待ちしています。
申込・問合せ
がん相談支援センター
TEL 0143-22-2225
当日の参加も可能です
朝夕がひんやりと秋の風になってき
ました。10月といえばスポーツの秋。
胆振地域の秋は例年、爽やかに気持ちの
いい天気が多いように思います。
今月は糖尿病にかかわる様々な記事を紹介しましたが、生
活習慣改善ポイントは食生活と運動とよく関係スタッフの
皆さんから伺います。
日鋼記念病院職員の健康診断が先日行われ、やっぱり改善
しないと…と耳に痛い今月号でした。
(ハギ)
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委員長
林
茂