5.20.2016 担当:Yoshimi FUJINO ソーシャルワーク入門(5) 北米におけるソーシャルワークの発展(2) Ⅰ.レスポンス・ペーパーから 〔ソーシャルワークの歴史について〕 ・オクタヴィア・ヒルやジェーン・アダムズなど、女性がソーシャルワークの発展に関わっていたということに驚いた。女性が 前に立っているということに対する社会の風当たりは、良いものだったのですか? ・ジェーン・アダムズの活動は当時社会にすぐに受け入れられたのでしょうか。反感を買ったりすることはなかったのでしょ うか。日本は、戦後にジェーン・アダムズと似た立場の女性が、混血児を引き取る活動をしていて、社会にあまり良い とらえ方をしなかったということを、歴史で学んだので興味がわきました。教えて下さい。 ・ハルハウスへの入所は、女性が逃げ込んでくることもあったとおっしゃっていましたが、生活に困った人が自己申告で入 所する方式だったのでしょうか。 ・セツルメントの「住民を交流する」ということは、みんなで集まって話し合ったり、地域行事に参加するといったことを想 像するが、そうではなくて何か特別なことが行われたのか? ・COS とセツルメントに思想的問題意による対立はあったのですか。 ・セツルメント運動に関わってきた人々の、移民の人々の文化的な違いによる苦労はあったのですか。 ・「施しではなく、友情を」というモットーは、人々は平等になるべきだという意志を感じるので良いと思う。 ・COS にたずさわっていた人々は、エリザベス救貧法の「貧困は個人の問題」という考え方を持っていたとのことでした が、同じように活動の対象者も限定されていたのでしょうか?また、なぜ COS は救済申請者を調査する必要があっ たのですか? ・COS の貧困に対する考え方は、貧困は個人の責任であるというものですが、給料が良い会社に勤められない、また 勉強ができないといった人たちに責任があるということでしょうか? ・COS の有給職員の給料は、どこから出ていて、どのくらいの金額であったのか?寄付金の中から出されていたのか? ・資格ができる前は、ソーシャルワーカーというのは、COS の職員全般のことを指していたのか? ・現在、COS とセツルメントは統一されたのでしょうか。それとも、別々に活動しているのでしょうか。 ・専門化と専門分化の違いがよく分からなかったので、くわしく解説お願いします。 ⇒ レジュメの通りです。言葉そのものが分からない場合、辞書をひいてみるといったこともしてみて下さい。 ・どうして慈善活動をすることが、高貴な人のステイタスになったのでしょうか? ⇒授業中に説明したと思うのですが、さらに知りたいのなら「ノブレス・オブ・リージュ」で調べてくれると良いと思います。 ・民間での福祉活動と公的機関での福祉活動に何か違いとかってあるのでしょうか。日本の民間団体の福祉も活発 ですか? ⇒ NPO 法人について調べてくれれば、日本の民間団体についての理解は深まると思います。 ・アメリカでは、福祉は公的機関ではやっていないのでしょうか。アメリカの制度などの問題でしょうか。 p. 1 5.20.2016 担当:Yoshimi FUJINO ・「公的福祉機関の設置」とありますが、税金が少ないアメリカでどのように実現されたのでしょうか? ⇒ アメリカは、税金が少ない国ではありません。 ・「ジェネリック-スペシフィック」概念は、片仮名のまま覚えたらいいのですか? ⇒ 片仮名のまま覚えてください。 〔その他〕 ・医療ソーシャルワーカーの仕事内容はどのようなことですか? ⇒ 自分で調べてみてください。 ・よくイギリスやスウェーデンなどの国々は、福祉国家と呼ばれ、福祉制度が充実していますが、そのようになるまでに歴 史的な問題などはあったのですか? ・日本の虐待を受けている子どもが増加していますが、虐待を防ぐためには、社会がどう変化していけばよいのですか。 また、ソーシャルワーカーは、今、どのような対策を行っているのですか? ⇒児童虐待は、文献もたくさん出版されているので、自分で読んで勉強して下さい。また、後期の「児童福祉論」 でも、理解を深めることができると思います。 ・日本はニートに対する対策はしていますが、ホームレスに対する対策も行っているのでしょうか? ⇒充分か不十分かの議論はおいておくとして、 「ホームレスの自立の支援等に関する基本方針」(平成 25 年7 月 31 日厚生労働省・国土交通省告示第1号) があります。ほかに知りたい場合は、まず厚生労働省の「ホーム レス対策」のサイトを参照して下さい。 ・電車の遅延による遅刻も私的な理由の遅刻になりますか ⇒口頭でも説明しましたが、まず 4 限だけに来る 1 年生、2 年生はほとんどいません。午前中、休講などで、たまたま 4 限だけに来るということはあるかもしれませんが、そういう時に電車が遅延する確率はほとんどないと思います。遅刻 は厳密にはチェックしていませんが、そこまで細かいことを求めるというのなら、遅刻を厳密にチェックしたほうが良いという ことでしょうか? ・先生は大事なものを増やせば自分の興味も広がるのではないかと言っていましたが、大事なものが増えすぎて興味 のあるものもひとつに絞れなくなった場合、先生はどうやってひとつにしぼりますか? ⇒ 開き直って、「ひとつに絞らない」ということを選択します。 *「対立」とか、「反感を買う」という言葉が出てくる質問が、今年の 1 年生からはよく出てくるのですが、何かあるので しょうか? *これも、今年度の特徴なのですが、質問を書いてくる人は、一人でいくつもいくつも書いてきます。本当に知りたいこ とを質問しているのでしょうか?自分で調べることも可能だし、できれば絞ってください。自分で考えて、自分で調べて みるということを怠らないで欲しいと思います。自分で調べてわからなかったことを質問してくるのは、大歓迎です。たい して思考せずに、反射的に質問を多く書く人がいるように感じます。大事なことなので 2 回言いますが、自分で考える ことを怠らないで下さい。自分で考えることは、大学で勉強することの大きな意味でもあります。 p. 2 5.20.2016 担当:Yoshimi FUJINO Ⅱ.北米におけるソーシャルワークの発展 / 基礎確立期(1920 年代後半~1950 年代)2つの主義 ○フロイトの精神分析学の台頭: 主義 ⇒個人のパーソナリティに焦点を当て、個人を「 主な論者 」することにより問題解決を図ろうとした G・ハミルトン(1940)『ケースワークの理論と実際』 F・ホリス(1966)『ケースワーク -心理社会療法』 ○ 主義 ⇒O・ランクの をベースにしている。利用者の「 」ではなく機関の機能を重視 主な論者 V・ロビンソン(1930)『ケースワーク心理学の変遷』 ○ 主義と ・ 主義の論争を終結しようとする動き 主義と ⇒ 主義との折衷を図ったモデル ・ソーシャル・ケースワークの構成要素として4つのPを示す ○グループワークの動き ・1935 年 による定義づけ ⇒ グループワークは か? 「GW は 」 か」と議論 グループワークは YMCA やキャンプ活動等、教育場面で用いられることが多かった背景が影響 ・1946 年 によって と定義 ○コミュニティワークの動き、理論化:公的社会福祉機関が多数の社会福祉計画を立案する中で発展 ・1939 年 報告 「コミュニティ・オーガニゼーションの一般的目的は、社会福祉の資源とニーズの間に、しだいにより効果的な調整を行 い、維持していくことであると考える」 * ・1947 年 論」 ○ による「 説と言われる 結成(1955) ・5つの専門職団体と2つの研究団体が統合され結成 医療ソーシャルワーカー協会(結成 1918 年)、 学校ソーシャルワーカー協会(結成 1919 年)、アメリカソーシャルワーカー協会(結成 1921 年)、 アメリカ精神医学ソーシャルワーカー協会(結成 1921 年)、アメリカ・グループワーカー協会(結成 1946 年) コミュニティ・オーガニゼーション研究協会(結成 1946 年)、社会福祉調査グループ(結成 1949 年) p. 3 5.20.2016 担当:Yoshimi FUJINO Ⅲ.批判期(1960 年代)ソーシャルワークへの批判と社会的視点 ・1960 年代 が起こる: と の撤廃を求める黒人たちの運動 黒人たちが置かれている貧困と差別の実態を自分たちによって明らかにし、本来持っているべき権利の獲得を求めて 起こした運動 ・きっかけとなる事件 1955 年モンゴメリにて、ローザ・パークスが白人にバスの席を譲らなかった ⇒アラバマ州のバス人種隔離法違反で逮捕される モンゴメリの を中心に抗議運動 ⇒1956 年に連邦裁判所が違憲判決を出し、黒人の公民権運動が全米に広がる ・1964 年ジョンソン大統領「 」を宣言 ⇒国家として貧困や差別の撲滅に取り組むことを示した。また、 成立 ・各地で、ベトナム戦争の反戦運動、自立生活運動等さまざまな運動が起こる ⇒ ・こういった運動の影響⇒「 主義」への批判 * 主義は の影響を強く受けていた。 ・問題の原因を個人の「心」に帰結し、問題の解決には「心の治療」が必要と考える主義は、差別や貧困問題には 何の解決方法も示せなかった。 ・例えば、貧困を考えるにあたってもあくまで個人の心に問題があるとし、「仕事がない」といった社会的要因を考えて こなかった。 ⇒ ⇒ 主義に傾倒していたSWへの批判 ・ (1967)“ Casework is Dead” ・ブライアー(1968)『ケースワークの現代的危機』 *新しい役割の提案 p. 4
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