2011 年秋号! 2011 年 10 月 8 日発行

この新聞は、やしょーだ(小崎好美)がユネスコ世界寺子屋
運動「インド・ゴカックプロジェクト」での学び、出会い、
思い出、これからを語る新聞です。
2011 年秋号!
2011 年 10 月 8 日発行
場所:カルナータカ州 ベルガウム県 ゴカック郡の 45 村
期間:2002 年~2007 年 3 月
2007 年 8 月からフォローアップ事業 、2012 年 7 月 31 日終了予定
対象:子ども、青年、成人女性
現地パートナー(NGO):ベルガウム農村開発協会(BIRDS)
わたしが初めてゴカックを訪れたのは、2001 年、現在のプロジェクトが始ま
る直前だった。この 10 年間には様々な変化があった。インドという国そのもの
も、世界も変わった。ゴカックにおける寺子屋運動の成果は、あらゆることに関
する意識の変化ではないかと思う。寺子屋での活動を通して、村の人たちが、
自分たちの抱える問題に対し、何を思い、どう取り組んだか。子どもに良い教
育を受けさせたいと願う親が増えた。女性も男性とともに話し合いに参加する
ようになった。行政に協力を求めるようになった・・・。それまで当り前だとされて
いたこと、諦めてきたことが、次々に変化していった。寺子屋は、きっときっかけ
に過ぎなくて、彼らの内なる力が、村を、彼らを変えていったのだと思う。2011
年 1 月末、ゴカック滞在最終日、彼らの顔を見ていて、大丈夫だと思った。こ
れからもずっとずっと、見守っていたい。
※
学びの場である「寺子屋」は Community Learning
Center(CLC)と呼ばれている。
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識字補習クラス
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職業訓練(洋裁)クラス
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セルフヘルプグループ(SHG)活動
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環境保全活動
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パソコンクラス

各ミーティング(寺子屋運営委員会、
環境保全委員会、SHG など)

村人のニーズに合わせた活動
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図書館
など
ユネスコ世界寺子屋運動は、1989 年に始まった、開発途上国において読み書き計算ができない非識字の人々等に学ぶ機会を提供する、
公益社団法人日本ユネスコ協会連盟の教育支援活動のひとつです。
Episode
1
ちょうど 1 か月前、9 月 8 日は国際識字デーだ。世界には今も、読み書き計算が
できないまま大人になった非識字者が 7 億 5900 万人、今現在、学校に通えていない学齢期の子
どもが 7200 万人いると言われている。学校に通えないまま大人になるって、どんな感じなのだろう。
学校に行きたくても行けない、かわいそうな子どもたちだ、勝手にそう思ってきた。教育は大切だ!だから世界寺子屋運動は
必要だ!それは今でも変わらない。でも、実際に村にいると、学校をさぼる子もいる。なんで自分が学ぶのか、その価値を見い
だせない子もいる。支援してるのにけしからん!と思うかもしれない。けれど、子どもの生活には、学ぶより楽しいこともある。これ
が現実であり、また、子どもらしさなんじゃないかと思った。子どもらしさは世界共通。
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板谷めぐみ(奈良ユネスコ協会)
2009 年秋、初めてゴカックにやってくる。当時
は看護師の卵。医療や母子保健、公衆衛生の問題
に深い関心を持ち、その行動力でゴカックの人々
に強烈な印象を残す。インドネームはメガ。
インド。それは自分にとって魂から行きたいと思っていた国でした。
そんな中でインド・ゴカックに行かせていただくチャンスがありました。ゴカック
に向かう車の途中、田舎のばあちゃん家に帰るような、初めて来るはずなのに
何だか心地良いくすぐったい感じが自分とゴカックとの出会いでした。インド特有
の雰囲気、空気、人のオーラがとても丌思議。
とてもユニークなスタッフやゴカックの人達、建物、食べ物、文化、そして牛に
囲まれゴカックでの 1 カ月を過ごしました。寺子屋を訪問させてもらう中で、識字
のことだけでなくおもしろい活動を村の皆で決めて活動していることに驚きました。
「ベビーショウ」という活動。赤ちゃんのショウをするのかと思っていましたが、なん
と小児科医を呼んで発育状態の良い赤ちゃんを競うコンテストでした。他にも牛
の健康診断、凧あげなどバラエティの富んだ活動が寺子屋にはありました。
ゴカックに魅せられ、気付いた時には二度目のゴカックの地を踏んでいました。前回の滞在で村のドクターに村で多
い疾患をインタビューしたことがありました。インド人でも下痢と腹痛に悩ませられるらしく、特に菌に免疫のない子供が多
いとのこと。そういえば子供がご飯前に手を洗っている場面を一度も見たことがない。まるでそこに見えない便器がある
かのように川沿いや道端で用をたす村の子供たち。子供たちの手は大腸菌の温床になっているはず。そこで「大腸菌
減らそう計画」を立て寺子屋や小学校に行かせてもらい、手洗い教室をさせてもらいました。「手洗いって何?」と言わ
んばかりの顔をしている子供達。相手は強敵ばかりでしたが、楽しそうに手洗いワークショップに参加してくれた子供達が
ご飯の前に手を洗って腹痛が減ることを願っています。
ほんの一部ですが衛生状態の悪さで雨期の時期マラリアが流行る村もあり、寺
子屋を利用してマラリア予防啓発活動を行っている村もありました。識字活動だけ
でなく、健康面を支える活動場所を提供できる寺子屋は、村の人々の健康にも
結びついていることを学ばせていただきました。様々な機能を持つ寺子屋。また
寺子屋の活動について紹介したいです。
識字率ほぼ100%
のこの国で、いかに識字というものの
ダンニャワード!【ありがとう】
価値を認識していくか(認識してもら
ダンニャワーダガルーと言うともうちょっと丁寧な言い方になる。
うか)は、今後の世界の識字率に大
インド人は普段あんまりありがとうと言わないらしい。だからダンニャワードを
きく関わってくると思う。国際識字年
連発するわたしにみんな最初は結構驚いていた。ありがとうをあんまり言わ
から 30 年になる 2020 年。世界はど
ないのは、気持ちがないからじゃなくて、お互いが何かをしてあげたり、しても
んな風 にな ってい るのだろ う。そ し
らうことをお礼を言ったり言われたりするほどのことじゃないと考えているか
て、わたしは世界とどんな風にかか
ら。赤の他人の異国人のわたしのことですら、家族だと思って接してくれる。
わっているだろう。ちっぽけでもいい。
家族だから当然でしょ。これがインディアンホスピタリティだよ。いつもそう言
面白くてカッコいいことをやっていけた
って彼らは恥ずかしそうに笑っていた。
らいいなと思っている。
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