9月号

郡高キャリア通信
9月号
2008年8月26日 (火) 発行
奈良県立郡山高等学校 進路指導部
キャリアサポーター 新居宏美
<職業紹介 ④>
エンジニアとは??
エンジニアとは技師、技術者のことを言います。その定
義は1つではありませんが、「何かを作ったり、作り方を考
案したりすることによって給料を得ている人」と言えばわ
かりやすいでしょう。エンジニアはサイエンティストと似て
いますが、おおざっぱに言えば大学で働く職員の多くがサ
イエンティストであり、企業で働く人たちの多くがエンジニ
アです。エンジニアとサイエンティストの共通点は、好奇心、
チャレンジ精神が大切であるという点です。しかし、サイエ
ンティストはある目標に向かって努力する課程で何かを発
見すれば良いが、エンジニアは目標そのものを達成しなければならない点で、サイエンティストよりも実務的と
いえます。つまり、エンジニアの役割は、すでに存在しているものや技術を組み合わせて目標とするものや技
術を効率よく作り出すことで、研究よりも工夫が必要な仕事なのです。
一口にエンジニアといっても仕事の内容は様々です。高速道路や橋などの建設に関わる人や、ガス・水道な
どを完備させるための計画を練り、設計する人、より高速処理が可能なコンピュータを作る人、ソフトウェアを
開発する人などエンジニアは身近で様々な分野で活躍しています。また最近、石油価格の上昇が問題となっ
ていますが、石油以外の次世代エネルギーとして期待される太陽光発電・地熱発電などのエネルギー分野で
もエンジニアの活躍が期待されています。さらに、バイオテクノロジー分野、地球環境の分野も注目を浴びて
いるものの1つです。
エンジニアになるということは、企業の研究開発部門に入るということですが、企業の研究開発部門は大学
院の修士課程を終えていないと入るのが難しくなっていて、学部を卒業しただけでは研究開発部門に配属さ
れないことが多いです。これは、大学の4年間だけでは応用した研究は難しく、基礎だけで終わってしまうため、
企業は応用した研究を学んだ修士課程卒の人を即戦力として優先して採用するためです。
高校生の間に将来の職業を決めることは難しいですが、
エンジニアになるには自分のなりたいエンジニアの分野の
勉強ができる大学・学部に入ることが必要です。興味のあ
る分野があれば、その学部・学科がある大学を調べるなど
して、将来の仕事について考えてみましょう。
<大学紹介 ④>
京都大学
京都大学には、総合人間学部、文学部、法学部、教育学部、
経済学部、理学部、医学部、薬学部、工学部、農学部の10学
部があります。キャンパスは吉田、宇治、桂の3カ所にあります
が、学部はすべて吉田にあり、学部生は吉田キャンパスを中
心に大学生活を送ります。
(写真は百周年時計台記念館→)
京都大学は、日本で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出して
います。「自由の学風」、「自学自習・自発自啓」を基本理念とし、
その精神を基本として教養課程と専門教育を編成しています。そのため4年間の一貫性を持ったカリキュラム
に基づいて、学生は早い時期から自ら学ぶ姿勢を身につけ、積極的に研究活動に携わることができるように
しています。また、新入生向けのポケット・ゼミが設けられています。これは、入学直後に少人数制の、魅力的
な講師陣によるゼミを受けることができるもので、受講生の9割がその内容に満足しているという人気のゼミ
です。理系だけでなく、文系の学部でも開かれています。
職業紹介で紹介したエンジニアになるには、理学部や工学部に入るのが一般的です。学部での学科は下の
紹介で触れていますが、大学院の研究科ではさらに細かく専攻が分かれます。例えば、京都大学大学院の
工学研究科では社会基盤工学、都市社会工学などを専攻することができます。このような分野を専攻すれば、
道路や橋の建設に関わるエンジニアとして就職できます。原子核工学を専攻すればエネルギーに関わるエン
ジニアになることができますし、京都大学にはエネルギー科学研究科もあるので、エネルギー変換科学などを
専攻することもできます。工学研究科では他にも航空宇宙工学や、電気工学など17の専攻があります。また、
理学研究科では物理学、宇宙物理学、地球惑星科学、生物科学などを専攻することができます。
〜 学部学科紹介 〜
(湯川秀樹胸像と基礎物理学研究所 →)
教育学部
・現代教育基礎 ・教育心理 ・相関教育システム論
経済学部
・経済学 ・経営学
医学部
薬学部
・薬科学 ・薬学
・医学科 ・看護学 ・検査技術科学 ・理学療法
・作業療法
文学部
・哲学基礎文化 ・東洋文化 ・西洋文化
・歴史基礎文化
・行動・環境文化 ・基礎現代文化
理学部
・数理科 ・物理学 ・宇宙物理学 ・地球物理学
・地質学鉱物学 ・化学 ・生物科学
工学部
・地球工学 ・建築学 ・物理工学 ・電気電子工学 ・情報学科 ・工業化学科
農学部
・資源生物科学 ・応用生命科学 地球環境工学 ・食料・環境経済学 ・森林科学
・食品生物科学
総合人間学部
・人間科学 ・認知情報学 ・国際文明学 ・文化環境学 ・自然科学
郡山高校からは、H16 に3 名、H17 に 7 名、H18 に 8 名、H19 に 6 名、H20 に 7 名が
合格しています! !
キャリアサポーター
元根朋美
1.自己紹介
みなさんはじめまして。8月からキャリアサポーターとして着任しました元根です。これ
からみなさんの進路やキャリアについて、みなさんと一緒に考えていきたいと思っていま
す。キャリア通信だけに、まずは私のキャリア紹介から始めたいと思います。
私は6年一貫の国立大学附属高校卒業後短期大学に進学。卒業後は、製菓会社に就職し、
関西では、みなさんにとってのイベントの一つ(?)であるバレンタインやクリスマス向
け商品の関西地区担当や関西・中四国地区の情報端末管理。本社では、薬剤師をめざす人
にはとてもなじみの深い添付文書(薬を購入すると箱の中に小さくたたまれて入っている
薬の説明書)を作成する部署で全国支店オンライン文献端末システムの管理をはじめとす
る様々な仕事を経験してきました。その後一念発起して英
語を学び直すために大学へ3年次編入をし、現在は奈良女
子大学大学院博士後期課程で教育学を勉強すると同時に、
大学や専門学校の非常勤講師として、学生達の可能性を引
き出せる授業のあり方と奮闘しています。
経歴から察していただけるとおり、私は、現役高校生の
時は「勉強」に苦手意識を持つ気持ちを目一杯味わい、社
会人を経て、大学でもう一度学びなおした時は、学部では学部首席、修士では学業業績の
表彰をいただくなど「学ぶ」ことの楽しさもたくさん味わってきました。ですからこれか
らキャリアサポーターとして皆さんと関っていく中でも、幅広い多角的な視野を持って、
みなさんのいろんな気持ちに共感していけたらと思っています。
最近ランニングをはじめました。一つ一つの体の動かし方や、よりよく走るための知識
など新しいことをたくさん学んでいます。今まで文化系クラブに属し、走ることと無縁な
生活で数百メートル走るだけでも息切れしていた体が、今では5km位なら軽いと思える
まで成長したことや、今までの自分の経験も併せて「スタートに遅いはない」ことを実感
しています。1年生の時から勉強してこなかったから・・・ではなくて、一歩踏み出せたら、
そのスタートは遅くないと思っています。もし遅れを心配するのなら、その分一生懸命努
力すれば結果はついてきます。一緒に将来の夢や目標にむかって進んでいきましょう!
2.夢は願えば叶うもの ――大学院での研究と社会と自己実現――
大学院生生活も4年目を迎えると、「大学院って何年あるの?」とよく聞かれます。大学
院には大きく2種類あり、日本では4年制大学卒業後に進学する2年制の修士課程(博士
前期課程、マスター等数種類の呼ばれ方があります)と、修士課程修了後に進学する3年
制の博士課程(博士後期課程、ドクターとも呼ばれます)とがあります。英語表記にする
とさらに違いがあります。ちなみに、それぞれの機関における教育を修了すると、4年制
大学では学士、修士課程は修士、博士課程では博士の学位を取得することができます。
現在、私は大学院博士後期課程の2年生として教育学、主に生涯教育とよばれる分野を
勉強しています。その中でも、おとなを対象とした大学教育(開放のあり方)を考えてい
くことを目標に、目下、その対象となる「大学とはなにか?」をテーマに、大学はいつど
こから始まったのかの歴史的変遷を文献から、現在の状態を計量学的調査(アンケート調
査のデータを元に統計的手法を行う)から明らかにしようとしています。きっかけは、編
入学した学部時代に、大学における社会人学生率がアメリカでは 4 割強、イギリスでも約
4割であることを知ることで、日本との違いは何であるのかを疑問に思ったことからはじ
まりました。最初学部時代にふと感じた疑問に向き合ったことが、本等で知識を深め実際
に見たい気持ちにつながり、一歩踏み出してアメリカの大学に短期留学をしたことで、修
士時代に留学経験を買われイギリスの小学校で行われ
る海外教育実習の引率同行等につながり、昨年度は大学
院からアメリカの大学視察に派遣されるなど、視野と範
囲がどんどん膨らむだけでなく、自分の中の「したい」
気持ちを叶え続けてくれています。こうした経験から、
私は勇気を持って一歩踏み出すと、それ以上の幸せが待
っていると信じています。
ほかにも学ぶなかで感じたことがあります。それは、自分が経験したことは必ず何かに
役立つということです。私は短大時代に教職免許と司書、司書教諭免許を取得し就職しま
した。民間企業に就職した私にとって取得した免許は何の役にも立たないと思っていまし
たが、司書で学ぶ分類法は仕事内容を分類し整理するのに大いに役立ちました。教職免許
も後輩が入社し仕事を教える立場になったときの指導案作成に役立つだけでなく、全体の
仕事を計画する際に指導計画ならぬ仕事計画の立案にも役立ちました。これらのどれをと
っても、大学で学んだ知識内容とまったく同じ形で出力したわけではありませんが、同じ
構造を持つ応用できる知識として役に立ちました。このような知識「方法知」は、習得に
時間がかかります。自転車に乗るために膝を擦りむかせながら練習し獲得したバランス感
覚を、自分の中に取り込むことで、他の乗り物やスポーツにも応用できるようになるのと
同じようなものです。
同様に高校時代の勉強と大学時代の勉強とが全くことなるものでもなく、学生時代の勉
強と社会に出たときの仕事とが全くことなるものではありません。おとなの学びと子ども
の学びの決定的な違いは経験であるといいますが、それはいかに方法知を発見できるかの
差なのかもしれません。大人料金で電車に乗るみなさんは、もう「おとなの学び」の一歩
を踏み出しているのではないでしょうか?将来に向けての方法知を見つけるために、ぜひ、
いろんな人と話す経験もしてほしいと思います。その中の一人として、サポーターを加え
てみてください。