学習のヒント - 埼玉県立上尾高等学校

学習のヒント
上尾高校では学力の向上に力を注いでいます。これは各自の志望校合格や就職の内定な
どの進路実現に限らず、学ぶことの楽しさ自体を知ることも含みます。
教科・科目に対する興味関心を高め、自分なりの学習方法を確立し、将来世の中や人の
役に立つ人間になろうという志を持つ生徒を育てる。これが上尾高校の目指す「学力向上」
です。ヒントとなる学習法を教科別に示していきます。
1
国
語
最も勉強しにくい教科が国語でしょう。定期考査の前にどれだけ国語の準備をするでし
ょうか。漢字・ノート・本文・ドリルこれくらいでしょうか?
範囲のわかっている定期
考査でさえこのような状況ならばいったい本番の試験に向けて何をすればよいのでしょう。
国語の力は、突き詰めれば読解力と表現力の 2 つとなります。これらを試すのが試験で
す。であるならば、この 2 つの力を伸ばすことこそ真の学力となるはずです。
(1)「要約」
新聞の社説を要約します。ポイントは制限字数を同じ題材ごとに 100 字と 150 字の 2 通
り作ることです。この 50 字の違いが読解力と表現力を育みます。時間のかかる学習なので
最初は 1 週間に 2 点くらいで十分です。慣れたら徐々に増やしてください。題材となる社
説は親に選んでいただきましょう。興味のありそうな、役に立ちそうな、面白そうななど
その基準は問いませんが、一緒に勉強しているという生徒にとってかけがいのない教材と
なります。そして配点が高く時間もかかる「作文」対策にもなっているのです。
(2)「語彙」
社説の中には、難しい熟語が多く出てきます。文の真意を読み取るために不可欠な要素
が言葉の意味の正確な把握です。わからない言葉が出てきたら必ず辞書で調べ確認しまし
ょう。オリジナルの「重要語句集」を作っておけばとても役に立つはずです。少しでも多
く「知っている言葉」を増やしましょう。
(3)古典
中学レベルの古典は決して難しい科目ではありません。指導要録の変遷で最も簡単にな
った分野の一つです。やれば誰でもわかるようになります。ここを疎かにすると高校でつ
まずきます。文型の難関大学の進学が困難になるだけでなく、国公立理系についても選択
の幅をせばめてしまいます。現在している受検勉強は実は高校での学習が飛躍的に伸びる
かの足がかりなのです。苦手科目・苦手分野を作らないように頑張りましょう。
重要語句の整理、基本的な文法に加えて、動詞の活用は機械的に覚えるのではなく必ず
それぞれの形の意味を理解しましょう。用例をいくつか作ると確実に自分の力になります。
ぜひ専用の「古典ノート」を作りましょう。
2
数
学
一番差が付くと言われているのが数学ですが、昨年のように難問が多く平均点が下がる
と、差が少なくなり、数学が得意な生徒にとって不本意であったようです。難易を1年ご
とに繰り返す25年度入試は「易」が予想されるので確実に勉強しなければなりません。
(1)「時間」
定期考査でも大学受験でも数学の試験は時間との戦いです。「あと少しあればできたの
に」とか「時間が足りなくてあせってパニクった」など試験後の感想には事欠きません。
対策は1の前半の計算問題をできるだけ早く、もちろん正確に解く事から始まります。丁
寧にやっても急いでやってもケアレスミスは出るときには出ます。であるならば早く正確
に問題を解く訓練が必要です。時計を片手に繰り返し計算問題をしましょう。ここで残し
た余裕が1の後半や2以降の問題を解いていく精神的なゆとりにつながります。
(2)もうひとつ「時間」
できる生徒は問題集などあっという間に終わってしまいます。苦手な生徒はいくら時間
をかけてもなかなかページが進みません。あたりまえのことですが、同じ2時間勉強した
と言っても内容においてこの両者の差は相当なものでしょう。時間がかかるから途中で勉
強が嫌になるのです。我慢が第1に必要です。乗り越えることができれば最高です。もし
そうでないときはどうしましょう?ここが分かれ道です。数学嫌いになる瞬間がこの場面
です。高校に入ってからもこの危機はたびたび訪れます。前置きが長くなりましたが、一
つの答えは「答えを知りあらためてやり直す」です。あきらめるわけではありません。こ
れは、実は予習の大切さを述べているのです。
「答えを知る」タイミングこそがポイントで
す。数をこなしましょう。一問あたり必ず2分は解くための努力をすることです。2分経
ってできそうならば続行です。だめなら聞くなり、見るなり答えに行きましょう。大切な
のはわかるまで(できるまでではない)やり直すことです。授業の前にこの作業をおこな
わなければ意味がないことを理解してください。
(3)「100点」
100点満点の試験になったことで部分点が入るようになりました。数学では完答が難
しい問題があるのでここで少しでも点数を稼ぐことは大切なことです。表現が悪かったか
もしれませんが、途中までわかっていれば評価されるということです。チャレンジしてく
ださい。数学は論理なのですから順番に整理して答案を書きましょう。気がつくことも十
分あるはずです。日頃からの取り組みが大切です。
3
英
語
大学受験において理系文系を問わず試されるのが英語の力です。もちろんその先はさら
に語学力は大きな財産となります。国際化社会を生きる皆さんにとって最も重要な学習と
なるはずです。
(1)リスニング
センター試験では、筆記200点に対しリスニングの配点は40点です。配分の仕方は
大学の判断ですが合否を左右します。埼玉県の昨年度では100点中28点となります。
さて学習法ですが、慣れるしかないようです。もちろん過去問にもCDが付いていると
思いますが、英語検定のテキストが役に立つようです。3級ないしは準2級にチャレンジ
してください。もちろん実際に受ける必要はありませんが、上尾高校は英検3級以上の資
格に対し加点をします。一石二鳥ですね。聴き方はもちろん問題を解くわけですがその際
に次のことも意識するとさらに力が付きます。
・RとLの聞き分け‥「あっぷる」と聞こえたときの「る」はどちらなのか
・複数形の確認‥○○sという時の「ス」「ズ」「ツ」の聞き分け
・数字(oneだけでなくfirstなども)をチェック
・上下左右、東西南北などの単語をチェック
・全体を聞き大筋を理解して細部を確認する聴き方
などです。とにかくネイティブの発音になれましょう。
リスニングは聴き取るだけでなく総合的な英語の力が正答のために必要となります。文
法・単語などとバランスよく学習し総合的英語力を高めましょう。
(2)和文英訳
英語で一番難しいのが「英作文」です。ただし採点が大変なので高校入試の問題の形式
は様々です。並び換えや単語の補充・選択がこれの変わりです。根本であるところの「日
本語を英語で表現する力」こそ必要な英語力です。どんどん英語にしましょう。簡単な方
法が日記です。毎日英語で日記を書きましょう。学校や塾で英語の先生に添削してもらい、
間違ったところを理解し、次にいかせれば確実な進歩です。学校の先生方は忙しいですが
ぜひお願いしてみましょう。高校入学後も続ければさらに夢が広がるはずです。習慣化し
ましょう。
(3)「辞書」
近ごろの中学生は英和辞典を使わないようです。電子辞書も含めての話です。越谷北高
校の英語の授業では入学直後から徹底して辞書を使い意味を調べさせます。英語の力が伸
びる大きな要素だそうです。理由は、「選ぶ」ことにあります。makeという語の意味を
問えば普通の中学生(高校生も)は「作る」と答えます。もちろん正解です。
「ほかには?」
と尋ねるとまず答えは続きません。辞書を見ると「作る」の他に「用意する」「する」「さ
せる」「引き起こす」「得る」「なる」「進む」などが書かれています。文意・文脈を考えこ
の場合「どの意味が最もあてはまるか」を考えることが学習の方法です。ちなみに逆に「作
る」の意味を有する単語にBUILD、CONSTRUCT,ERECT,ASSEMB
LEなどもあります。どのようなものを「つくる」のかで動詞自体が異なることも高校で
は学ぶのです。書いたり覚えたりすることよりも真剣に選ぶことが大事です。時間を惜し
まず、わかったつもりにならずボキャブラリーを増やしましょう。血となり肉となるはず
です。最初はその単語にたどり着くのに時間がかかりますが慣れれば(その辞書を使い込
めば)一発でそのページが開きます。合格はゴールではありません。高校入試のその先に
スタート地点があるのです。
4
理科・社会
理社の試験は例え記号の問題であったとしても、「知らない問題は解けない」のです。あ
たりまえのようですが、逆に知っていれば必ず正解となり点数が伸びていきます。誤解の
無いように言えば点を増やすと言うよりは、知識量を増やす勉強が必要で、実はここで頑
張ったことが高校で得意科目になる一番の早道になるのです。社会は高校では「現代社会」
「政治経済」
「倫理」
「世界史」
「日本史」
「地理」に、理科は「物理」
「化学」
「生物」
「地学」
にそれぞれ専門的に分かれます。これらの本格的な学習の基礎になるのが中学校での勉強
なのです。したがって、数学のように応用問題は少ないのです。応用ではなく複合的な問
題が多いのが埼玉県の入試問題の特徴ですが、これは2つの正確な知識があれば簡単に解
けるものです。
では、肝心の勉強方法ですがこれについては「繰り返し」しかありません。とにかく間
違った問題についてできるまで繰り返しやることです。北辰テストで68点だとしたら出
来なかった32点の分を悔しがり次は絶対間違えるもんかと出来るまでやり直すことです。
1年1学期の中間テストから理社の試験全てをやり直してください。時間をかければその
分だけ知識が増え点数も増えます。今覚えたことは一生忘れないはずです。高校でそれぞ
れ1つ得意科目になるよう、例えば「地理」ならば誰にも負けないというような気持ちで
勉強してください。
暗記と理解は違うということに早く気付いてくれればこの2つの科目は得点源になるは
ずです。
学習習慣の確立は最も困難な課題の一つです。部活・行事に限らず時間の確保はいつの
時代でも高校生が抱える悩みです。逆に言えば最も充実した期間がこの時期なのかもしれ
ません。中学 3 年生の2・3学期こそこの解決の糸口となる時期です。高校入学の前期間
であり、高校受検という目標のあるこの瞬間こそやる気に溢れ自分自身を高めるきっかけ
としましょう。倍率など気にせずにどこの高校に入っても土台となる基礎学力の確保に努
めましょう。効果的な学習方法の確立こそ真の学力づくりのおおもとです。頑張ってくだ
さい。