活気のない組織風土が現地人材の成長を妨げる

31 August 2011
JIJI News Bulletin
SHANGHAI
時 事速報
68億円の宝く
8億円の宝くじ当選者、
じ当選者 現れる=「カンフー
カンフー・パンダ
パンダ」に扮装−浙江省
30日付の上海 紙・新 聞 晨 報( A11面)によると、中国の宝くじ史 上 最高 額5億6500万元( 約
67億9400万円)を当てた男性が29日、浙江省杭州市の引換所に現れ、賞金を手にした。米人気映画
「カンフー・パンダ」の主人公のマスクを付けた男性は、その場で、宝くじ当選者による寄付では過去最高の
2000万元を、出身地の同省紹興市新昌県の福祉事業に寄付した。寄付金と税金を引いた手取り額は約
4億3600万元。
このくじは、表面に数字が記された赤青2色のボールを組み合わせて抽選される「双色球」で、男性は200
元分を購入した。男性は30歳代、宝くじ購入歴は11年。過去にも1万元を当てたことがあるという。
(時事)
第14回
活気のない組織風土が現地人材の成長を妨げる
野村総研(上海)諮詢有限公司
ここ数年、現地幹部人材の早期育成のため人材育成体系を構築したいという依頼を受け、スキルレ
ベルの現状把握と人材育成の重要課題を抽出するためのヒアリングを実施する機会が多い。
そこでは、現地幹部人材の日々の行動に対して、全局的なものの見方ができず、他責・他人(他部門)
批判に終始する、主体性がなく言われたことしかしない、当たり障りのないアウトプットしか出てこない
という課題がよく挙がる。そして、このような消極的な現地幹部人材を多く抱える企業には往々にして
共通点が見受けられる。それは、
現地幹部人材に限らず会社全体に消極的で活気のない風土が蔓延
(ま
んえん)しているということである。
では、なぜ組織風土が活性化しないのだろうか。弊社では15の要素で組織の活性度を診断してい
るように、組織の活性度に影響を与える要素は多岐にわたる。しかし、活気のない風土が蔓延してい
る中国の日本企業に限るならば、経営側または日本人駐在員側の要素が大きく影響しているケースが
少なくない。
会社は、経営幹部が一体となり、現場での経営方針の徹底に努めなければ、求心力が低下し、士気
は上がらない。ある日本企業のトップは、経営幹部間の意思疎通が不十分なまま経営方針を決定する
傾向が強かった。そのため、経営方針が腑(ふ)に落ちない経営幹部は、現場での経営方針の浸透に
消極的になり、社員の一体感が希薄になっていた。しかも、経営方針に賛同しない経営幹部は、自部
門の都合や利害を優先して思考・行動するケースが少なくなく、それが部下にも影響し、会社全体にセ
クショナリズムが蔓延していた。経営幹部の一体感がないため経営方針が徹底されず、それが社員一
人ひとりにまで影響した結果、対立的で活気のない風土を醸成してしまった例である。
また、上司である日本人駐在員が単純業務しか指示しなかったり、部下が自ら考え提案しても的確
なアドバイス、指導をしないでいると、積極果敢な現地人材でも、勤務年数が増すにつれて主体性を
なくすケースがある。ある現地人材は、入社当初、単純業務しか指示されないため、自分の価値を高
めようと、上司に対して積極的に問題提起し、解決施策を提案していた。上司はその場では聞くもの
の、提案はほとんど採用されなかった。しかも、なぜ採用しないのか、提案内容の改善点について、ア
ドバイスや指導はなかった。そのため、現地社員はどういう提案が評価されるのかという判断のよりど
ころがなく、提案自体も採用されないため、次第に主体的な提案をしなくなってしまった。この企業で
は、こうした部下指導に注力しない日本人駐在員が多かったため、会社全体に主体性が乏しい活気の
ない風土が醸成されてしまった。
現地幹部人材の行動レベルを高めようと考えた場合、
短絡的に人材育成施策を実施しがちである。
しかし、
上述したように、
行動の変化を妨げる組織風土が醸成されていることが少なくない。この場合、
人材育成施策に着手しただけでは効果は限定的である。組織の活性化という一段高い視座に立った
課題設定をし、経営・日本人駐在員側の要素も含めたあらゆる側面から原因を分析することで、本質
的な解決施策が見つかるだろう。 (副主任諮詢顧問・吉川昌樹)
時事通信社
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