今回は、おしっこにまつわるお悩みに付いて、お話をしましょう。 出ては

今回は、おしっこにまつわるお悩みに付いて、お話をしましょう。
出てはならぬときに困らせる、女性のお悩み「失禁」、出したいのにうまく出ない、男性のお悩み「前立腺肥大症」。命に障りはなくとも
生活には影響大です。しかし、実際はお一人で我慢なさる方の多いこと。病気ではないから。歳のせいだから。相談するには恥ずかしい
から。特に女性の泌尿器科受診率は男性より低く、内科や産婦人科にご相談されるケースもあるようです。
こういったお悩みの中で、「腹圧性尿失禁」「過活動膀胱」「膀胱炎」「前立腺肥大症」をとりあげました。
腹圧性尿失禁は、咳、くしゃみ、ジャンプなどお腹に力が加わったときに膀胱の出口がゆるみ、漏らしてしまう失禁を言います。膀胱
は「骨盤底筋」と言って、ハンモックのような筋肉の膜でつり上げられています。この筋肉が出産や度重なる便秘で緩むと、出口が緩く
なり漏らしやすくなってしまいます。対策は簡単で、
「骨盤底筋を鍛える」です。排尿の時、力を入れてスッキリ出し切ろうとする方は多
いと思いますが、そこを我慢して、一回の排尿につき、10回はきゅっ、きゅっ、と止めてみていただきたいのです。止めるとき、知ら
ず知らずのうちに骨盤底筋に力を加えられるのです。
過活動膀胱は、以前は「神経因性膀胱」といいました。突然に、耐えられない程強い尿意に襲われ、間に合わなくて漏らしてしまう失
禁です。膀胱は「貯めておくだけの袋」ではなく、必要に応じて伸び縮みでき、溜まりきるまでは出口を締めておくことが出来、いざ溜
まれば脳に信号を送って出口を緩ませ、伸びた壁を縮ませることの出来る賢いタンクです。
しかし、この神経連絡網やセンサーがおかしくなってしまったのが過活動膀胱なのです。
残念ながら、根本から神経や筋肉を治療することは出来ませんが、異常な信号を発しないように薬でコントロールすることは可能です
し、効果もよく現れます。漏れを恐れて、楽しいおでかけやスポーツを我慢するくらいなら、お薬を試していただきたいと思います。
膀胱炎は「一度かかったら何度も再発して治りにくい」といわれますが、実際はどうでしょう。治りにくいのは細菌のせいではなく、
生活習慣にあります。
・排便後の始末は前から後ろにしましょう・便秘は出来るだけ解消しましょう・トイレのビデ機能は使わないようにしましょう・汚れた
下着やパッドはまめに換えましょう。
・・・これらによって、膀胱の入り口を清潔に保てます。そして、細菌が膀胱に侵入しにくくなります。
・疲れやストレスを貯めないようにしましょう・ムリなダイエットは避けましょう・下腹部は冷やさないようにしましょう
・・・こうすることで、抵抗力を高め、細菌が侵入して来ても炎症を起こさせません。
前立腺肥大症は、もともと日本人には少ない病気でしたが、近年食生活の変化により急増しています。80歳代男性の80%は肥大し
ているそうです。若いときと比べて、排尿具合が悪いと気づいたら、治療のチャンスです。タイミングを逃すうちに、排尿しづらさがエ
スカレートして膀胱に尿が残ってしまうようになります。気づけば膀胱はいつもパンパンで、溜まりきらない尿がじわじわと漏れ出るよ
うになってしまいます。こうなると男性でも膀胱炎を起こしたり、上流の腎臓に障害をおこすようにもなってしまいます。
あわせて気にされる「前立腺がん」とは、腫れる部位が違うので、前立腺肥大症ががんの前兆・・・ではありません。しかし、前立腺
がんも近年増加中ですし、血液検査である程度の予測が出来ますので、健診の際にはぜひ、前立腺がんの検査もお受けください。
命には別状ない、でも、気になって思いっきり暮らせない。なのに、相談しにくい・・・
どうぞ、思い切ってご相談くださいませ。
「ビミョー」な話題にも、勇気を出して取り組んで参ります。よろしくお願い申し上げます!