実践事例1~6

実践事例1
小学校音楽 (4・5・6学年)
1 研究課題
「自分の力で楽譜を読めるようにすることで、生き生きと表現できる子どもを育てよう」
2 研究課題について
「楽譜から音楽を読み取ること」と「表現するために必要な技能を身に付けること」ができれば、子
どもたちは今よりもさらに、自ら進んで音楽を楽しむことができるようになるのではないか、と考え
てこの研究を始めた。また、
「楽譜を読む」ことは、単に階名が読めるということではなく、楽譜の中
から、音の長さやリズム、表情を読み取って、自分なりに表現を考えることと考える。
「楽譜が読める」
ようになることで、自分の力で楽譜から音を生み出し、演奏方法を工夫して、音楽表現を楽しめるよ
うにしたいと考え、以下の手だてにより取り組んだ。
手 だ
①
②
③
3 実
て
階名読みのためのゲーム感覚の練習を取り入れる。
拡大譜や掲示資料などの視覚的な情報の活用ができるようにする。
階名唱やリズム打ちなどの学習を繰り返し、音符の表記と音を結び付けるようにする
践
Ⅰ 毎時間の授業の中で時間をつくり、継続して行ったこと
フラッシュカード(階名) (手だて① 4年生の2学期から)
・1枚に1つの音を書いたカードを使う。
・何の音?の問いに答えるように声に出して階名を答える。
・全員で答えたり、列ごとで答えたりする。さらに一人ず
つ答えられるようにする。
・慣れてきたら答えと同時にオルガンで音程を出し、高さ
にあった声で答えるようにしていく。
フラッシュカード(リズム) (手だて① 4年生の3学期から)
・4/4拍子1小節のリズムパターン。
・オルガンのリズムボックスを利用し、一定の速さを保っ
てリズム打ちする。
・言葉に置き換えてリズム唱をして、リズムのパターンを
覚える。
「ブロッコリー」とリズム唱。
・全員→ 列ごと→ 1人で 進めて全員が分かるようにする。
階名読みのプリント (手だて① 5年生1学期から)
・前年度までに学習した曲を利用する。
・4小節抜き出した楽譜でプリントを作成する。
・1分程度の時間で階名をすばやく正確に書き込む練習をする。
・このとき、できるだけ音符の真上か真下に小さくカタカナを書き込むことを指導する。
・プリントの配布や回収に時間をかけずに、できるだけ短時間で行うことができるようにする。
・階名唱して答え合わせ、回収して採点し一人ひとりの実態を把握するようにする。
Ⅱ 題材の学習の中で行ったこと
4年生 「ふしのとくちょうを感じ取ろう」 (手だて②・③)
〈ねらい〉
・旋律の特徴を感じ取って想像豊かに聴いたり表現したりすることができるようにする。
・旋律の特徴を生かして、レガートやスタッカートなどの歌い方や楽器の演奏の仕方を工夫すること
ができるようにする。
〈取 組〉
「陽気な船長」
(リコーダー奏)
(手だて②)
・拡大譜を利用して、音符を見て階名唱することに慣れる。
・階名唱に慣れたら、リコーダー奏の練習をする。
・スタッカートとレガートの曲想や奏法の違い、記譜の仕方を確認する。
・伴奏に合わせて演奏して楽しむ。
「あたらしいえがお」
(歌唱)
(手だて③)
・範唱を聴いて歌う。
・スタッカートとレガートの歌い方の違いを考え、発音や息
の出し方を工夫して歌う。
・譜面の中の記号に注目してスタッカートのついた音だけ声
に出して歌詞唱する練習をしたりして、音符を見ながら歌
う習慣が付くようにする。
「オーラリー」
(リコーダー奏)
(手だて②・③)
・範奏に合わせて体を動かしながら聴き、曲想を感じ取る。
・音楽室の壁に掲示した拡大譜(音符のそばに小さく階名を
書き込んである)を利用して、リコーダー奏を練習する。
・演奏に慣れてきたら、自分の教科書の譜面(階名を書きこ
まない)を見て練習する。
・伴奏に合わせて演奏したり、二重奏したり、演奏を披露し
合ったりして楽しむ。
・階名唱の練習曲として継続的に取り上げ、音符の位置を覚
えたり、音高感を身に付けたりする。
5年生 「曲想を感じ取ろう」 (手だて②・③)
〈ねらい〉
・曲想を感じ取って、想像豊かに聴いたり表情豊かに表現したりす
ることができるようにする。
・曲想や歌詞の内容を生かして、表現の仕方を工夫することができ
るようにする。
〈取 組〉
「キリマンジャロ」
(器楽合奏)
・範奏を聴いたり、カタカナで作られた拡大譜を利用して練
習したりして、リコーダーと鍵盤ハーモニカの朱旋律の交
互奏に慣れる。演奏に慣れてから、教科書の楽譜を使い、階名を書き込むことなく演奏でき
るようにする。
・スタッカートを確認したり、音符や休符の長さを確かめたり、繰り返し記号を覚えたりする。
6年生 「世界の音楽に親しもう」 (手だて③)
〈ねらい〉
・旋律の特徴や響きの違いを感じ取りながら、世界の音楽に親しむようにする。
〈取 組〉
「こげよマイケル」
(三部合唱)(手だて③)
・ゴスペルの響きをイメージして 「こげよマイケル」の3部合唱に挑戦する。
・ゴスペルらしく歌うには、
“自分の声に自信を持って”
“正しい音程で”
“声を響かせて”歌う
ことが必要とねらいをもたせる 。
・楽譜を見ながら、階名唱や階名暗唱をしたり、自分のパートの音を楽器で確認したり、楽器の
音で三声の響き合いを聴いたりして、正しい音程を意識して歌うようにする。
・拡大譜を利用して楽譜に注目させ、音符から声をのばす長さを確認したり、三声の重なる和音
を理解したりしながら、声が響くように歌う。ٛ
4 成果と課題
○必ず覚えよう、と思うことが大事
子どもたちは読めるようになりたいと思っている。
「ドレミは音楽の
あいうえお、自分の力で読むことができれば便利」だということを伝え、
毎時間の練習に積極的に取り組んだ。
5、6年生は、4小節(13から14個の階名を書く)の楽譜に1分
間で階名を書き込むプリントに取り組み、5年生の 1 学期のはじめには
5割ほどだった正解率が、1学期の終わりには9割に達するようになった。
○繰り返し使って慣れる
器楽曲は、必ず階名唱する。 歌唱曲も階名唱し、その後楽器で演奏
する、という経験を重ね、階名に慣れた。さらに、楽譜に注目するため
の仕掛け(2小節交替で演奏する、息つぎ記号のところで交替して歌う、
△△の音は声を出さないで階名唱する、二部音符だけ声に出して階名唱
する、休符のところは手をにぎるなど)を毎時間の練習に取り入れ、楽
譜を見て演奏する機会をつくった。何度も繰り返し、経験を増やしたことで、効果があがった。
○楽譜を見る習慣を付ける
正確に階名を書き込むことができるようになっても、そのカタカナだけを見ながら演奏しているとリズムや音
の強弱などのさまざまな音の表情は表現できない。楽譜を正確に読み取り、楽譜からさまざまな情報を得て演奏
することが豊かな音楽の表現につながる。このことをたくさん体験できるような学習を積み重ねていくことが、
子どもたちが音や楽譜を大事にして、自分の力で音楽を楽しむことができるようになることにつながると改めて
感じた。これからも「分からなかったら、楽譜を見よう!」を合言葉に、子どもたちと音楽の学習に取り組んで
いきたい。
▲さらなる学習意欲向上に向けて
演奏する曲の譜面に階名を書きこんでから練習を始める児童が約9割。残念ながらこの割合はあまり変化して
いない。しかし、読譜力をつけようと意識して取り組むようになってからは、階名を速く正確に書き込むことが
できる児童が増えてきた。しかし、単に読譜力を付けることが目的ではない。楽譜を読めるようになることで、
さらに表現を考えたり工夫したりしながら、音楽を楽しめる子どもを育てるために、今後も努力を重ね、
「新し
い曲に挑戦したい!」
「もっとこんな風に演奏してみたい!」という子どもたちを増やしていきたい。
実践事例2
小学校音楽(3・4・5・6学年)
1
研究課題
「自分の力で楽譜を読めるようにすることで、生き生きと表現できる子どもを育てよう」
2
研究課題について
「ドレミが読めないから合奏が苦手」「楽譜を見ても、どんなふうに歌えばよいか
分からない」等…残念ながら、「楽譜を読むことが苦手なので、音楽はよく分からな
い」と感じている児童の姿がある。また、教われば分かるが、自分で楽譜を読み取っ
て表現するということはなかなかできず、受け身の状態である児童が多い。そこで、
自分の力で楽譜を読めるようになれば、主体的に音楽活動に取り組むことができ、生
き生きと表現することができるようになるのではないかと考え、本課題に取り組んだ。
手
①
②
③
④
⑤
だ
て
読譜に関する活動を毎時間少しずつ取り入れ、積み重ねる。
拡大譜等を用い、階名唱を行ってから演奏する。
身体表現で音高感やリズム感を養う。
ゲーム感覚の活動を取り入れ、楽しみながら身に付けられるようにする。
掲示物を工夫し、読譜に関する知識を自然に覚えられるようにする。
3
実
践
Ⅰ
3∼6年生を通じて継続的に行う取組の具体的な手だて
① 音 符 早 読 み 選 手 権 ( 所 要 時 間 : 5 分 程 度 ) (手 だ て ① ④ )
・時間内になるべくたくさんの音符を読めるようにする。
・1∼2分で30問行う。時間内に全部読める者は、速さ
の記録が上がるようにする。
・答え合わせは、音高を付けて歌いながら行う。
② フ ラ ッ シ ュ カ ー ド ( 所 要 時 間 : 5 分 程 度 ) (手 だ て ① ④ )
・教師が音符の書いてあるカードを次々にめくっていき、
児童が声に出して読む。
・階名用、リズム用、強弱記号用を、学年や題材によって使い分ける。
③ ‘ 今 日 の 曲 ’ を 作 曲 ( 所 要 時 間 : 3 分 程 度 ) (手 だ て ① ④ )
すごい集中力
です!
・階名用フラッシュカードを使い、児童が選んだカードを並べて黒板に貼り、‘今日
の曲’として、みんなで歌う。
※①∼③の活動の中から、毎時間1つ選び、継続的に行った。
掲
示
物
(手だて⑤)
子どもたちに興味をもって見てもらうために、大きく見やすく作った。また、教室移動の
際、児童は音楽室後方の扉から並んで出入りするため、音楽室後方の壁に貼り、目に入りや
すいようにした。このように、頻繁に目にすることによって、自然と覚えられるよう掲示場
所も工夫した。
♪ドレミでイントロクイズ
階名を読んで曲を当てる。一定期間経ったら問題を変
えられるように、一枚ずつ画鋲で留めてある。
「らくらくコース」(中学年までの教科書に載っている曲)
「はってんコース」(流行歌やアニメソングなど)
♪目指せ!! 楽譜の達人コーナー
めくると音符、記号等の読み方や
意味が書いてある。
自主的に見るだけでなく、授業中
にみんなで見て確認することにも
使えて便利である。
Ⅱ
題材の学習の中で行ったこと
3年生
「階名に慣れよう」
〈ねらい〉
楽譜というものを意識し、五線の仕組みを初めて学ばせる。
楽しみながら楽譜に慣れ親しんでいけるようにする。
〈取
組〉
「春の小川」(歌唱)。
・みんなで手をつないで輪になり音高に合わせて手を上下する。
⇒音程を意識させる。
「ドレミで歌おう」(歌唱)
・ドレミ体操を行う。→ドレミという言葉と音程を結び付ける。
・ドレミ体操を使い、既習曲「かえるの歌」なども行う。
「海風きって」(合唱奏)
ドレミカードは、音
符だけ書いてあるカー
ドと、カタカナと音符
が書いてあるカードが
あります。ゲームや能
力に応じて使い分けま
す。
・全員で階名唱をしたり、鍵盤ハーモニカでふしを演奏したりする。
・終わり2小節のふしづくりを行い、楽譜に書いたり演奏したりする。
その他
・「ドレミカード」を1人1セット作り、5分程度ゲームをする。
(カルタ取り、神経衰弱、早読み、鍵盤ハーモニカでその音を吹く等)
・ト音記号や音符を書く練習をプリントで行う。
・音符から暗号を読むクイズをする。
(例:ミソ=味噌
ソラ=空、シソ=紫蘇
等)
4
成果と課題
○早読み選手権では、「前回よりも点数があがった人」「秒数があがった人」「満
点 だ っ た 人 」 と 毎 回 児 童 に 聞 い た( 挙 手 ) 。難 し い 問 題 を 行 っ た 時 は 「 さ が っ た 」
という児童も10名程度おり、「(点数または秒数が)あがった」という児童が
半数程度、「変わらない(満点も含む)」という児童も数名いたが、復習問題の
時は、90%近くの児童が「あがった」と挙手することが多く、自分に力が付い
たことを実感して大変嬉しそうだった。
○掲示物に興味を示し、繰り返しよく見ていた。授業で来たときにちらっと見るだけでなく、
休み時間にわざわざ来室して見る児童もいた。また、授業の中でも「あの掲示物にヒントが
隠されているよ」などと、説明する時にも有効であった。
○楽譜に書いてある音符の種類や記号に注目するようになった。
〈例1〉曲中にタイでつながっている音符があった時、「これは何拍のばす?」と
問 う と 、ほ と ん ど の 児 童 が す ぐ に 解 答 す る こ と が で き る よ う に な っ て き た 。
〈例2〉「どの部分を盛り上げると良いか」という問いでは、「フォルテがあるの
で」「音が高くなっているので」「ここから2部に分かれているので」な
ど、楽譜から理由を探して考えられるようになってきた。(高学年)
○ 積 み 重 ね の 成 果 が あ り 、音 符 を 速 く 読 め る よ う に な っ た 。そ う な る と 、器 楽 曲 も 、
今まで楽譜を読むことにかけていた時間を、演奏の練習にまわすことができた。
また、音符を読むことに慣れ、前ほど抵抗感がないようである。
○楽譜を読む力が付いてくると、意欲的にそして主体的に音楽に取り組むことができるように
なってきた。
▲楽 譜 に ド レ ミ を カ タ カ ナ で 書 か ず に 読 む こ と は 、 な か な か 難 し い よ う で あ る 。 カ
タカナを書きこまずに直接読んで演奏できることを目指していきたい。
▲音名が分かってもリズムが分からない児童が多い。部分が分かっても、他の時に
応用できないことが多いので、応用力を付ける工夫も必要である。
▲繰り返し行い積み重ねていくことの重要さがよくわかったので、今後も引き続き行っていか
なければならない。
実践事例3
中学校音楽(1・3学年)
1 研究課題
「自分の力で楽譜を読めるようにすることで、生き生きと表現できる子どもを育てよう」
2
研究課題について
小学校段階では、楽譜の読み方を学習してきている。それにもかかわらず、中学校になると楽
譜に対する意識が低下してしまうように感じられる。これは、自分自身も含め、教える側の教師
自身が、中学生は楽譜が読めなくても演奏ができるから、と読譜力を付けさせる指導を行わない
部分があるからではないか。最近は便利なことに合唱練習は範唱CDがたくさん手に入るため、
短時間で音取りができるようになってきた。生徒たちは、縦書きの
歌詞を見ながら、音程を耳で覚えているのである。そして、自分は
楽譜が読めない、という思いをもったまま卒業している現実がある。
大人になったら、楽譜は苦手、音楽は苦手、というようになってし
まう可能性は大きい。
個人的にピアノ等を習うことはあっても、専門的に音楽の道を志
そうとする生徒は少ない。しかし、将来ふと楽譜を手にしたとき、
多少でも楽譜が読めれば、より音楽に親しみがもて、楽しみの幅が
広がるのではないか。また、楽譜を読めるようになることで、自分
自身で音楽の諸要素に敏感になり、より美しい音楽を追求すること
ができるのでないかと考えた。
手 だ て
A 歌唱においては、音程が取れるまでは縦書きの歌詞を見るのではなく、音符を見させる。
たとえ階名や音程がわからなくても、音の上がり、下がりを視覚的に感じさせる。
また、平易な楽譜の場合は、階名唱を行う。
B 器楽(アルトリコーダー等)では、楽譜に階名を書いたプリントを始めから配布し、階
名唱する。また、必ず学期に1度は、リコーダーで吹いた楽譜の「音符の穴埋めのテス
ト」を行う。音符を書く練習をすることで読む力が向上すると考える。
C 難しいリズムや重要なハーモニーは楽譜を板書して徹底させる。
D 実際に授業で行っている教材(楽譜)の中で出てくる記号を意識させるように、曲の流
れの中で、生徒に記号の意味を考えさせる。
3
実
(1)3年生
践
教材「カントリーロード」
B.ダノフ・T.ニバート・J.デンバー作詞・作曲/石桁冬樹編曲
【手だてA】
楽譜を見ながら、英語の歌詞を歌う。
特にシンコペーションのリズムやタイになっている部分、
裏拍のタイミングを意識させて楽譜を見ながら歌わせる。
【手だてB】
器楽の部分をアルトリコーダーで練習する。
時間短縮のため教師がその部分に階名を書いたプリントを
配布し練習を行う。歌詞がある部分なので歌ってから、ア
ルトリコーダー、階名唱、「音符の穴埋めテスト」を行う。
【手だてD】 2分の2拍子、D.S. 、コーダ の読み方や意味、表現の仕方
を考える。
2分音符を1拍とした乗りの良いテンポ感を意識して表現させる。
【手だてE】
(2)1年生
【手だてA】
3時間扱いとし、第1時は全体指導、第2時はグループ練習、第3時に発表を行う。
教材「こげよマイケル」
スピリチュアル/長崎一男 日本語詞/黒沢吉徳編曲
ハ長調で8小節をリピートする大変短い曲である。ド∼ラの6つの音だけでできて
いるので、階名唱・歌詞唱を行う。
【手だてC】
リズム伴奏を加え、打楽器(タンバリン、シェイカー、カバサ、大太鼓、小太鼓、
コンガ、ボンゴ、クラベス、カウベル、アゴゴベル)でそのリズムを練習する。
CDの伴奏に合わせてリズム伴奏を入れる。その際に奏法や音色にも心掛けさせる。
また、練習の際には、黒板に用意したリズム譜を意識させる。
1.
2.
【手だてD】 4分の4拍子、Allegro、
【手だてE】 3時間扱いとし、第1時は全体練習、第2時はグループ練習、
第3時は発表。
4
成果と課題
○小学校・中学校9年間の系統性と連携の必要性に気付いた。
音楽科の先生方の話し合いの中で、小学校の先生方は、低学年から楽譜を読めるように工夫をし、
努力をしているのを感じた。
○楽譜を読もうとする生徒が増えてきた。
「先生、この音符は何拍分ですよね。」など、楽譜を読もうとする生徒が少しずつ増えてきている。
○教師が意識すること、そして、繰り返すことの大切さ。
今回の研究課題を意識して授業に取り組み、今まで楽譜を読めるような指導をほとんどしていなか
ったことを感じた。週に1時間しかない音楽の授業でも音符や記号に少しでも意識させる習慣が大
切である。生徒は一度や二度習っただけではすぐに忘れてしまう。大人がパソコン研修をしても日
頃から使っていないとすぐに忘れてしまうのと同じだ。長い時間をかけることではなく、楽譜に書
いてあることに少しずつ触れる。ただし、それをなるべく数多く繰り返し行うことが大切である。
▲バランスよく計画的に行うこと。
楽譜を読むことだけに時間をかけすぎると、難しさを感じている生徒にとっては苦痛の時間になっ
てしまう。表現することの楽しさ、音楽の美しさを感じさせることを大切にしながら、また、クラス
やグループで協力しながら、生徒が生き生きと活動できる音楽の授業を展開していきたい。
実践事例4
中学校音楽(1・2学年)
1
研究課題
「自分の力で楽譜を読めるようにすることで、生き生きと表現できる子どもを育てよう」
2
研究課題について
今話題になっている「読譜力」。もしかすると日本中の音楽の先生方が「これでいいのだろうか」
と疑問に思っているのではないだろうか。便利さ・時間短縮を求めるあまり、耳コピー(聴くだ
けで覚える)で練習を重ね、真似することは上手になってきた。しかし、その先に進むための、
階名はもちろん、
『曲の中の音符や記号の意味を理解した上での表現』が本当にできているだろう
か。本来の意味での『音楽の楽しさ』を子どもたちに感じさせられるような積み上げをしている
だろうか。自分自身で、今一度確かめておく必要があると思われた。そして、小学校で行ってい
る読譜の取り組みを生かせるよう、中学校でも継続的に取り組み、真似だけではなく、自分の力
で考え、音楽を生き生きと表現できるようにさせたいと思い、この題材を設定した。
手 だ て
① 1年生 器楽では階名唱を行い、リズム・音程・階名と運指を一致
させる。
② 2年生 歌唱では楽譜をよく見るという意識をもたせる。自分が歌
う音を色ペンでつなぎ、音程感や記号等に気付かせ、表現の工夫に
つなげさせる。
3
実
(1)
践
1年生
器楽
「めざせ
アルトリコーダーの達人」
アルトリコーダーに慣れることを目標とし、生徒がよく知って
いるような短い曲を取り上げる。
①教師の範奏を聴く。
②個人練習を行う。階名を書き込んでもよい。
③教師の前で階名唱・演奏をして合格スタンプをもらう。
④全部合格したら、裏演奏にチャレンジさせる。
【配慮事項】
・アルトリコーダーの初期に覚えたい運指のみにする。
・スタッカート・スラー・リピート・休符も意識させる。
・表演奏(楽譜の通り)は、楽譜が読めなくても演奏できる
曲を選ぶ。しかし、裏演奏は楽譜をきちんと読んでいかな
いと正しく演奏できない。
(2)
2年生歌唱
「合唱」
①常に「楽譜を見てごらん。」と、呼びかけた。
②「このクラスオリジナルの味付けをしよう。
」と、
強弱記号や、速度記号を楽譜に書き込ませた。
③パート練習に階名唱を取り入れた。階名が読みや
すい曲で行った。(遠い日の歌・新しい世界へ
等)
『生徒の感想の中に表れてきた、読譜に関すること』
1、強弱記号はわかりやすい。
楽譜に書き込む習
・「いーま」の所の強弱がしっかりできるよう頑張ります。
慣が付いてきました。
・強弱を激しくつけると、曲にリズムがつくので良いと思う。
・今日はクレッシェンド(強弱)に気をつけて歌うことができました。
2、クレッシェンドの付け方にもいろいろある。
・クレッシェンドのいろいろな付け方がわかったので、これからの練習にいかしたい。
3、p(ピアノ)は弱ければいいってもんじゃない。
・クレッシェンドやピアノの歌い方を練習した。聞こえるピアノにするために、もっと
はっきり歌うようにしたい。
4、クレッシェンドをしたいと思うことで、適切な発声ができていないことに気が付いた。
・クレッシェンドを頑張りました。そうしたら地声になりそうでした。
5、音符・休符・ブレス
・伸ばすところを練習しました。息を続けるのが大変だけど、できるように頑張ります。
・伸ばすところと伸ばさないところ(休符)の区別をする。
・音はつられないようになったけれど、2分音符のところを意識できていなかった。
・息継ぎの場所に気を付けたい。
6、うまくできれば、うれしい。
・細かい部分を少し気にしただけで、上手く歌えた気がする。
・強弱をつけて歌ってみたら、私達の曲がかなり変わった。うれしかった。
7、リズム・伴奏・指揮
・リズムを見直して正しいものにしたい。
・伴奏のペダルや強弱など、まだ知らなかったことがあるので頑張
りたいです。
・指揮もピアノやフォルテの差をつけたり、優しいところは
ゆったりしたりしていきたい。
4
成果と課題
○階名を読むことに抵抗が無くなってきた。
○階名やリズムが正しく読めると、リコーダーでも正しく演奏できる、ということが分かってき
た。
○縦書きの歌詞ではなく、楽譜を見ながら歌っている姿を見ることが増えた。
○パート練習などで、「この記号のところはこうしていこう。」と提案できる生徒が増えてきた。
▲階名を書き込むことをよしとしているが、書いてしまうとそのカタカナに頼ってしまう。
▲階名は正しく読めるが、リズムがわからない(例:
「ドッドドドッド」と階名で歌って欲しいと
ころを「ドドドドド」と歌う。)生徒への手だての工夫。
▲階名やリズムは正しく読めるが、正しい音程で表現できない生徒がいるので、階名と音程を結
び付けていくための手だての工夫が重要であると感じている。
※2名の教科研究委員の実践から、読譜に関することをリストアップしました。
実践事例5
♪読譜に関する指導実践事例 (小学校6年間)
学 年
実践事例★
教 材
けんけんぱ
しろくまのジェンカ
第1学年
先生!ドレミって、おもし
ろいね!ドレミで歌えるよう
になったよ!
てをたたきましょう
ぶんぶんぶん
どんぐりさんのおうち
おちば
きらきらぼし
とんくるりんぱんくるりん
こいぬのマーチ
ドレミのうた
かっこう
★
かえるのがっしょう
ぷっかりくじら
トルコ行進曲・メヌエット
いるかはざんぶらこ
山のポルカ
リズムあそび
虫のこえ
音さがし
かぼちゃ
小ぎつね
えがおかがやいて
こぐまの二月
春の小川
★
ドレミで歌おう
★
海風きって
小さな花
かりかりわたれ
さよなら
バードウォチング
ねむたいこねこ
エーデルワイス
ちびっこカウボーイ
第2学年
第3学年
ここは、リコーダー
が主役だから、こっち
の楽器は小さい音にし
たほうがいいね。
ゆかいな木きん
あの雲のように
パフ
第4学年
★
★
★
第5学年
★
★
第6学年
あの青い空のように
子どもの世界
いろんな木の実
歌のにじ
とんび
こきりこぶし
音のカーニバル
陽気な船長
あたらしいえがお
オーラリー
冬の歌
空に雲に
おどろう楽しいポーレチケ
茶色の小びん
歌よひびけ
Believe
こいのぼり
いつでもあの海は
やさしい風に
おはやしづくり
わたり鳥と少年
静かにねむれ
それは地球
威風堂々 第1番
秋にさよなら
自分の気持ちを曲で表そう
冬げしき
キリマンジャロ
スキーの歌
夕ぐれ
失われた歌
大空がむかえる朝
朝日をあびて
思い出のメロディー
おぼろ月夜
ラバースコンチェルト
こげよマイケル
アンデスの祭り
われは海の子
星空はいつも
風を切って
勇気ひとつを友にして
星の世界
ふるさと
木星
一日一歩の未来
広い空の下で
越天楽今様
メヌエット
思い出の曲をつくろう
さよなら友よ
さようなら
読譜に関する指導事項
○○○■
リズム打ち、リズムを体で表現
○■○■ ○○○■
リズムを体で表現
○○○■ ○○○■リズム打ち、リズム唱、言葉遊び 「めがね」「むしめがね」
○○○■ ○○○■言葉遊び
ド・ソ階名唱、手作り鍵盤を黒板にはる
ドレミファソ階名唱、旋律奏、ふしづくり
○○○○ ○○○■ 絵のリズム譜、リズム伴奏
副次的な旋律の視奏、階名模唱、リズム伴奏
旋律の視奏、階名模唱、リズム伴奏
鑑賞して、ドレミ体操をする、階名模唱
○○○■のリズムでふし問答
旋律を視奏、階名模唱、
絵のリズム譜でリズム伴奏
たとえば、
○■■■ ○■■■ ○○○■
○○○■ ○○○■は、
旋律を視奏、階名模唱・暗唱、二重奏
○をタン(四分音符1拍)、
副次的な旋律の視奏、ふしづくり
■をウン(四分休符1拍)
2拍子、3拍子の身体表現
つまり、
3拍子の身体表現、リズム打ち
『タンタンタン ウン
2拍子のリズム伴奏、旋律の視奏
タンタンタン ウン』 と
リズム創作、リズム遊び、カードでリズムリレー
読みます。
分担唱
○■○■ ○○○■のリズムを視奏
○■○■ ○○○■のリズムを視奏
旋律の視奏、階名模唱・暗唱、分担奏
副次的な旋律の視奏
旋律や副次的な旋律及び低音部の視奏、階名模唱
身体表現、旋律の階名唱
階名唱、旋律の視唱(白抜きでない五線譜)、五線譜、名称、
ドレミカード(カルタとり、早読み、鍵盤で弾く)
旋律の階名唱、視奏、ふしづくり(五線に書く)、二重奏
リコーダーの導入 シラソ
リコーダーの導入 ドレ、ラドレの3音でふしづくり
旋律の視奏、二重奏
旋律の視奏、二重奏
旋律の視奏、階名唱、リコーダーの運指 ミファ
旋律の視奏、階名唱
副次的な旋律の視奏、階名唱、タイ
旋律の視奏(鍵盤ハーモニカ)、階名唱、
副次的な旋律の視奏(リコーダー)、低音部の視奏、リズム伴奏
旋律、副次的な旋律の視奏、階名唱、二重奏
旋律の視奏、副次的な旋律の視奏、リコーダーの運指 レ
低音部の視奏、階名唱、リズム打ち、リズム伴奏、リコーダーの運指 ド
音符の長さ、全音符、リズム創作
息つぎ記号
リズム伴奏、反復記号、リズム打ち
副次的な旋律の視奏、階名唱、ふしづくり、付点2分音符、五線に書いて演奏
副次的な旋律の視奏、階名唱
副次的な旋律の視奏、階名唱、リズム伴奏
リズム譜の視奏 全休符
旋律、副次的な旋律の視奏、階名唱、スタッカート
スタッカート、反復記号
旋律、副次的な旋律の視奏、階名唱、サミング ミファソ
副次的な旋律の視奏、階名唱、リズム伴奏、4分の2拍子、リズムづくり(楽譜に書いて演奏)
2部合唱、旋律の視唱、4分の4拍子
2部合唱、旋律の視唱、4分の3拍子、♯、ナチュラル
合奏、旋律の視奏、階名唱、リズム打ち
二部合唱、旋律の視唱
反復記号、旋律の視唱
付点のリズム
二部合唱、旋律の視唱
副次的な旋律の視奏、階名唱、シ♭、8分の6拍子 p、mp、mf、f、クレシェンド、デクレシェンド
ふしの創作、リズム伴奏、記譜してリコーダーで演奏
8分の6拍子、ヘ音記号の楽譜、副次的な旋律の視奏、低音部の視奏
旋律の階名唱、視奏、和音の視奏、ヘ音記号の楽譜、低音部の視奏
三部合唱、階名唱、階名視奏
旋律の視奏、スラー、ヘ音記号の楽譜(反復記号)、シ♭、ファ♯、階名唱
ハ長調とイ短調、ソ♯、強弱記号
ふしの創作
二部合唱、旋律の視唱、強弱記号
色々な曲で
合奏、視奏、リズム伴奏(スタッカート、反復記号、強弱記号)、階名唱
勉強したので、
強弱記号、息つぎの記号
譜面が読めるよ
三重奏、旋律の視奏(息つぎ記号)
うになってきて
楽譜を見ながら、ど
二重奏、旋律の視奏(反復記号、息つぎ記号、スラー)
うれしいです。
んな風に歌ったらい
二部合唱、視唱(強弱記号)
いのか、考えるよう
二部合唱、視唱
になりました。
二部合唱、視唱(息つぎ記号)、速度(メトロノーム)記号
4分の3拍子
合奏、視奏、リズム伴奏、階名唱 シ♭
三部合唱、旋律の視唱、階名唱、旋律の視奏
階名唱、合奏
旋律の視唱、強弱記号
旋律の視唱、副次的な旋律の視奏、階名唱 ド♯
合奏、視奏、アクセント、反復記号、強弱記号、タイ、ソ♯
副次的な旋律の視奏、ニ短調、ヘ音記号の楽譜
三部合唱、視唱
三部合唱、視唱、強弱記号
階名唱、合奏、旋律の視奏、3拍子、息つぎ記号、強弱記号
二部合唱、視唱
二部合唱、視唱(反復記号)
通奏低音の視奏
二重奏、旋律、副次的な旋律の視奏(三拍子、息つぎ記号、反復記号)
ふしの創作
二部合唱、視唱(強弱記号)
二部合唱、視唱(強弱記号)
※2名の教科研究委員の今までの実践から、読譜に関することをリストアップしてみました。
実践事例6
♪読譜に関する指導実践事例 (中学校3年間)
学 年
実践事例★
事例3★
第1学年
教 材
明日という大空
読譜に関する指導事項
拍子、速度、長調、短調、ブレス、タイ、強弱
音符や記号を覚えよう
音符や記号の読み方
こげよマイケル
リズム・リズム譜の見方、速度、「1.「2.
主人は冷たい土の中に
速度、写譜(穴埋め)、強弱、フェルマータ、階名唱
未来への飛翔
速度、D.C.、コーダ、強弱、クレッシェンド
ドナドナ
短調
夏の思い出
♯、強弱、「1.「2.
パフ
速度、拍子、ト音譜表、ヘ音譜表、階名唱、ソプラノリコーダーで演奏
太陽がくれた季節
ハーモニー、旋律の重なり
赤とんぼ
速度、拍子、強弱
Let`s search for Tomorrow
拍子の変化、アクセント、ハーモニー
心の中にきらめいて
速度、D.S.、コーダ、♭、♯、ナチュラル、合唱楽譜の読み方
合唱曲・混声三部合唱
合唱楽譜の読み方、様々な記号
鑑賞「魔王」
旋律の変化や伴奏のリズムの変化、登場人物による違い
アルトリコーダー「オーラリー」
「アニーローリー」
アルトリコーダー「喜びの歌」
「聖者の行進」「CMソング」
ギター「愛のロマンス」
階名唱、アルトリコーダーで演奏、速度記号、同じ旋律の繰り返しを楽譜から読み取る、強弱記号、独奏と
合奏の違い
作曲家はどんな気持ちで
写譜(穴埋め)、階名唱
作ったのでしょうか。
楽譜から、いろいろな情報
階名唱、拍子
を読み取って考えられるよう
にしていきましょう!
TAB譜の見方|777|753|320|∼
筝曲 「さくら」
筝の楽譜の見方
鑑賞 筝曲 「六段の調べ」
筝の楽譜の見方、速度の変化
そのままの君で
強弱記号 、旋律の動き
ここにしか咲かない花
リズム、旋律の重なり
旅立ちの日に
速度、三連符、TempoⅠ、強弱記号
仰げば尊し
拍子、ブレスの位置、rit. フェルマータ、a tempo、タイ、強弱記号
夢の世界を
拍子、rit.、a tempo、mf、f、「1.「2.、ユニゾンとハーモニーの部分
翼をください
速度、D.C.、コーダ
ラバースコンチェルト
写譜(穴埋め)、拍子感、多声的な音楽、階名唱
夏の日のおくりもの
速度記号、強弱記号
サンタルチア
速度、拍子、アクセント、フェルマータ、反復記号
浜辺の歌
写譜(穴埋め)、拍子、フレーズ
荒城の月
速度、短調、♯、歌詞の内容の感じ取り
心の中にきらめいて
速度、D.S.、、コーダ、♭、♯、ナチュラル、合唱楽譜の読み方、ユニゾンとハーモニーの部分
そのままの君で
クレッシェンド、旋律の重なり方
心の瞳
ハーモニー、転調、旋律の重なり方
Yesterday
D.C.、Coda、♭、♯、ナチュラル、
筝曲「さくら」「うさぎ」
筝の楽譜の見方
鑑賞「交響曲第5番ハ短調」
第1主題、第2主題を読み取る、ソナタ形式
鑑賞「小フーガト短調」
主題の重なり
合唱曲:混声三部合唱
合唱楽譜の読み方、様々な記号
旅立ちの日に
速度記号、三連符、強弱
仰げば尊し
拍子、ブレスの位置、rit. フェルマータ、a tempo、強弱、タイ
花
拍子、リズム、旋律の違い、rit.、a tempo、フェルマータ、強弱、タイ
早春賦
拍子、速度、♭、強弱、タイ
花の街
拍子、フレーズ
鑑賞「春」
事例4★
第2学年
事例4★
事例3★
第3学年
カントリーロード
拍子、リズム、rit.、a tempo、フェルマータ、強弱、タイ、写譜(穴埋め)
Hey Jude
拍子、「1.「2.リズム、写譜(音符の穴埋め)
大地讃頌
ハーモニー、フレーズ、強弱
合唱曲:混声三部・四部合唱曲
合唱楽譜の読み方、様々な記号
リズム楽器で楽しもう(創作)
写譜(リズムパターンを書いてみる)→演奏してみる これを繰り返す
Yesterday once more
速度、拍子、「1.「2.、D.S.、Fine、強弱、階名唱
筝曲「さくら」二重奏
筝の楽譜の見方
旅立ちの日に
速度記号、三連符、強弱
仰げば尊し
拍子、速度、フェルマータ、強弱、タイ
繰り返し練習す
ることで、楽譜
を深く読むよう
になりました。
楽譜に書
き込む習
慣が付き
ました。