15 身のまわりを片付けるのが苦手 (1) 子どもの様子 ○ 机やそのまわりも散らかっている 自分の持ち物などを片付けるのが苦手で、机の上にはいろいろな物が散らかっています。前 の時間に使った教科書やノートが、そのまま出しっぱなしです。朝配られたプリントや返され たテスト、図工の時間のはさみやのり、ゴミもそのままです。たくさんの物が散乱する机の上 でノートを書いたり作業したりするので、机の上からいろいろな物が落ちてしまいます。机の 上ばかりでなく、机のまわりもその子どもの物で散らかっています。 ○ 探し物が見つからない よく見ると、机の中やカバンの中もごちゃごちゃです。机の奥には、しば らく前のプリントなどがぐちゃぐちゃになってつまっています。ですから、 いざ、必要になって何かを出そうと思っても大変!ごちゃごちゃの中をかき 分けるように探すのでなかなか見つかりません。見つからないときも多く、 学習に取りかかるのが遅れ、なかなか落ち着いて取り組めません。 (2) 気になる行動の背景 ○ どうして片付けられないの このような子どもたちに「片付けなさい」と言っても、それだけではうまく片付けられませ ん。具体的に何をどこへしまえばいいのか分からなかったりします。空間の認知力が弱いため に机やカバンなどの空間に物をうまく入れることが苦手だったり、目にした物に注意がいって しまい一つの作業を続けることが苦手だったり、何が大事な物で、何がそうでない物なのかの 区別がうまくできなかったりなどの理由が考えられます。 ○ 分かっているのに 「 片付けなさい」 「 整理整頓をしなさい」と耳にたこができるくらい聞いてはいます 。また 、 しなくてはいけないことはよく承知していますが、やりたくてもどうしてもうまくできないの です。そのため、ストレスを感じていることも多いようです。そのことをまず指導者が理解し た上で、その子どもに合った手だてを考えていきます。 (3) 支援・手だて ○ 置き場所を分かりやすくします ロッカーや机の中に、そこに片付ける物の絵カードを 貼り、道具を片付ける場所を目で見て判断できるように します。道具箱にしきりをしたり、しまう物の形を描い ておいたりして形に合わせてしまわせます。本人に分か る方法で、「何を 」「どこへ」しまうかを明確にし、具体 的に教えることが大切です。 ○ 取りあえず置く場所を作ります プリントや学習用具などをどこにしまったらよいのか、その場ですぐに判断することが苦手 だったり、片付けていると他のものに気を取られてしまったりする子どもには 、「取りあえず 置く場所」を作ります。机の横に大きめの箱を用意して、「□□ちゃんの箱」とします。机の 中にきちんとしまえなくとも、この箱に入れておけばいいというようにします。そして、放課 後などの時間を使って、一緒に片付ける練習をします。 自分から片付けをしていたら、はっきりと言葉にして誉めましょう。やって当たり前と思わ ないで、よい行動を強化していきます。 ○ 学習用具を管理する工夫 各教科の学習用具を、ジッパー付きのビニールケースなどに入れるよ うにします。教科ごとに色を決め、目印になるシールなどを貼っておく さんすう とよいでしょう。各教科の色別シールを貼った時間割も用意し、それを 見ながら次の時間のビニールケースを出させ、授業が終わったら学習用 具の色を確かめて、その色のビニールケースに入れるように促します。 「∼の学習で使う物」という関連性に気づかせ、まとめて準備や片付け ができるようにしていきます。 ○ 片付ける習慣作り 低学年では、学級全体で学習準備の仕方や片付けの仕方など学習の基 本的な習慣が身に付くよう、クラスの目標にしながら取り組 むのも一つの方法です。何を出してどこに置くのか、また何 き場所を示したり、道具箱の中もしまう場所にしきりをした 本・ノート りして、見て分かるようにすることが大切です。準備の時間、 ふでばこ <机> をどこへしまうのかを、机の上にテープなどで線を引いて置 片付けの時間を確保することも必要です。 構造化とは 構造化とは、指導および学習を組織化、体系化することである。 場所や場面の構造化では、活動と場所や場面を対応させて、今やるべき活動をわかりやすく したり、集中しやすくしたりする。 スケジュールや時間の構造化では、あらかじめ活動の時間割をわかるようにしておき、見通 しをもって自発的に活動できるようにする。一つの活動から次の活動に移るときには、終わっ たことをチェックしたり確認したりできるようにしておく。 活動内容や順序の構造化では、活動の要素と目標または活動の最終段階および活動の手順を わかるように示し、何をどのようにすればよいのか見通しをもって行い目標が達成できるよう にする。 (日本LD学会 LD・ADHD等関連用語集 日本LD学会編 日本文化科学社 から引用)
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