平成26年度 小 論 文 (90分) 短 期 大 学 部 食 物 栄 養 学 科 解答はすべて解答用紙に記入すること 注意事項 1、試験開始の合図があるまで、この問題用紙を開かないこと。 2、問題用紙は、表紙を含めて3ページである。 3、解答用紙は、2枚である。解答は横書きにすること。 4、受験番号・氏名は、監督者の指示に従って記入すること。 5、問題用紙の余白等は適宜使用してよい。 -1- 問 題(その1) 短期大学部 食物栄養学科 次の文章を読んで設問に答えなさい。 毎年繰り返されてきた農山村に住む人々の四季折々の営み、自然との協奏曲とでも言うべきこうした 姿を実感する世代は少なくなったかもしれない。だが、人々と自然を包み込んできた風土は、今なお私 たちの感性の奥底に引き継がれているのではなかろうか。土地土地で、気候風土が変われば、その様相 は多少とも異なった姿を現すが、基本的な営みは地域をこえて共通している。ここに、「自然と人間」 の関わりを人々の営みとして示す原型をみることができる。 ⑴ 今日、あふれかえるほどのモノの豊かさを キョウジュできる時代を迎えた。ありとあらゆる食べ物 ⑵ を世界中から入手し、飽食のかぎりをつくせる状況の中で、私たちはかえってモノや食べ物を ソマツ ⒜ に扱うようになっているのではなかろうか。食べ物や 農業の世界のもつ奥深い意味を感じ取る感性を にぶらせてしまい、十分に認識する力を失いかけているように思えてならない。 私はかねてから、人間にとっての食と農について、大地(自然)と人間を結ぶ「へその緒」にたとえ ⑶ てきた。つまり、母親の体内に宿る タイジが「へその緒」を通じて命のかてを手に入れている姿を連 想するからだ。地球と人間が、食と農という行為(回路)を通してつながっているのであり、人類がそ の命のかてを大地(自然)からくみ取る行為、それが農業であり食生活なのである。 ⒝ 農業を、ただ単に栄養素のかたまりとしての食べ物を製造する工場といった イメージでとらえるの は、いかにも貧弱な発想である。同じく、食べ物を味覚や栄養素だけでみてしまうのも、大地と私たち をつなぐ豊かな世界を切り捨ててしまうせまい認識である。食と農をめぐる世界は、大地と自然が織り なす生命の多様でダイナミックな働きを体現するものであり、奥深い世界を底に秘めた営みなのである。 祖田修,杉村和彦 編 「食と農を学ぶ人のために」 世界思想社より抜粋 設問1 本文中の 線を引いた個所⑴~⑶のカタカナを漢字に、 線を引いた個所⒜、⒝の語句を英 単語(小文字)にそれぞれ直しなさい。 設問2 この文章を読んで、あなたが思う食と農との関わりについて 400 字以内で述べなさい。 -2- 問 題(その2) 短期大学部 食物栄養学科 次の文章を読んで設問に答えなさい。 昨年 11 月、神戸市中央区の「デイサービス真愛」に、認知症の高齢者 40 人と、3 組の赤ちゃんと 母親が集まった。「さあ、赤ちゃんと一緒に体を動かしてみましょう」。高齢者らはポンポンを手に車い ⒜ すに乗ったまま体を動かし始め、赤ちゃんが近づいてくると大きく手を動かし リズムを取る。体育の “ 授業 ” を受けた高齢者は「体を動かすと気持ちよかった。子育てをしていた遠い昔を思い出しました」 ⑴ と笑顔で話した。この取り組みは、NPO 法人「ママの働き方応援隊」(神戸市中央区)が シュサイ。 ⑵ 赤ちゃんが持つ他者を優しい気持ちにさせる力に着目、赤ちゃんを高齢者施設などへ ハケンする「赤 ⒝ ちゃん先生」事業を平成 23 年秋に スタートさせた。 今回は、より発展させた形で、介護プログラムとしての事業化を計画。母親たちが得意分野を生かし て講師となり、高齢者は赤ちゃんと一緒に “ 授業 ” を受ける。ふだんは無口な高齢者が笑顔を見せよく ⒞ しゃべるようになるなどの変化が見え始めており、こういった効果を 写真を交えて細かく記録。来年 3 月までに調査結果をまとめる予定だ。介護の現場では、赤ちゃん人形を抱っこしたり、赤ちゃんロボッ トと触れ合ったりすることで高齢者の心を癒す「ドールセラピー」や「ロボットセラピー」が取り入れ られている。「実際の赤ちゃんに触れる効果はより深いのではないか。介護プログラムとして採用して ⑶ もらいたい」と同法人理事長の恵夕喜子さんは キタイを込める。 神戸大学発達科学部の伊藤篤教授(子ども家庭福祉論)は「赤ちゃんにはいとしい、守ってあげたい と思わせる力が生まれつき備わっている。高齢者も赤ちゃんをあやしたり、抱っこしたりする中で、小 さな命のために自分が役に立っているという実感がわくのでは」と話している。 産経新聞(大阪版)「ベビーと笑い 認知症に効果」平成 25 年 5 月 8 日 夕刊より抜粋(一部改変) 設問1 本文中の 線を引いた個所⑴~⑶のカタカナを漢字に、 線を引いた個所⒜、⒝、⒞の語句 を英単語(小文字)にそれぞれ直しなさい。 設問2 この文章に書かれている介護方法の要点について、100 字以内で書きなさい。 設問3 高齢化社会における介護についてあなたの考え(意見)を 300 字以内で書きなさい。 -3-
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