◆◆◆ 二酸化塩素の基礎知識 ◆◆◆ 1.基本性質 日本語名 二酸化塩素 英語名 Chlorine dioxide 分子式 ClO2 分子量 67.5 CAS 番号 10049-04-4 ◇ 沸点:11℃ ◇ 融点:-59℃ ◇ 比重(水=1):1.6(0℃)(液体) 物理的性質 ◇ 水への溶解度:0.8g/100ml(20℃) ◇ 蒸気圧:101kPa(20℃) ◇ 相対蒸気密度(空気=1):2.3 ◇ 爆発限界:10vol%(空気中) 許容濃度 TLV:0.1ppm(TWA) 0.3ppm(STEL) 【ACGIH 2001】 臭味の閾値 0.4mg/L 臭い 刺激臭 色(気体) 赤~黄色 2.安全性と使用例 厚生労働省 WHO(世界保健機関) JECFA(国連食品添加物専門委員会) FDA(米国食品医薬品局) EPA(米国環境保護局) USDA,FSIS 水道水の殺菌、プール・公衆浴場の消毒、 小麦粉の漂白 A1クラス認定 ADI(人体摂取許容基準)A1クラス認定 食品添加物、医療用消毒許可 飲料水、工業排水処理、環境浄化用に使用許可 食品・食肉消毒使用許可 (米国農務局、食品安全検査局) NASA(米国航空宇宙局) HACCP(米国食中毒予防計画) 諸外国 スペースシャトル内及び宇宙食の完全滅菌に採用 食中毒発生危険度の高い食肉消毒に採用 多国が水道水の消毒・医療用・食品添加物として 使用許可 3.特長 1 2 3 4 殺菌(酸化)力が強い。 塩素の約 2.6 倍。 反応が早い。 塩素の約3倍。 pH に左右されない。 pH10 程度まで安定した除菌効果を示します。 トリハロメタン類(発ガン性物質)がほとんど発生しない。 塩素の場合は、フミン質と反応してトリハロメタン類を生成してしまう。 消臭力が極めて高い。 5 メチルメルカプタン(野菜の腐敗臭)、硫化水素(トイレ臭)、トリメチルアミン(魚の腐敗 臭)、アセトアルデヒド(タバコ臭)などの酸化できる成分であれば、ほとんど消臭可能 です。 香水やお香などの香料には効果が期待できません。 抗菌スペクトルが幅広い。 6 レジオネラ菌、緑膿菌、サルモネラ菌、腸炎ビブリオ、乳酸球菌、乳酸桿菌、セレウス、 クロストリジウム、カンピロバクター、クラドスポリウム、フザリウム、くものすカビ、 青カビ、大便連鎖球菌、白癬菌などが殺菌試験で効果が確認されております。 4.純粋二酸化塩素による殺菌試験データ ■ 2.5 分後の殺菌性比較試験結果 試験試薬 108CFU 108CFU 108CFU 108CFU 106CFU 大腸菌 黄色ブドウ球菌 MRSA 枯草菌 黒麹カビ グルタルアルデヒド 100,000 100,000 100,000 100,000 100,000 フェノール 10,000 >10,000 >10,000 >10,000 >10,000 無水エタノール 500,000 500,000 500,000 >500,000 >500,000 グルコンサンクロルヘキシジン 100 10 1,000 1,000 >10,000 塩化ベンザルコニウム 100 10 100 1,000 10,000 ポピヨンヨード 10 100 100 >1,000 1,000 次亜塩素酸ナトリウム 10 10 10 >1,000 1,000 純粋二酸化塩素水溶液 1 1 1 100 10 ※上記試験データ:(財)日本食品分析センター名古屋支所 試験報告より。 ※>はその濃度においても殺菌性のないことを表しています。 ※MBC(最小殺菌濃度):ppm ■ 11 種類の試験菌株に対する測定結果 試験菌株 2.5 分 15 分 試験菌株 2.5 分 15 分 緑膿菌 10 1 クロストリジウム 100 100 サルモネラ 1 0.1 青カビ 10 10 腸炎ビブリオ 1 0.1 クラドスポリウム 10 10 乳酸球菌 10 1 フザリウム 10 1 乳酸桿菌 1 1 くものすカビ 10 10 セレウス 1,000 100 ※上記試験データ:(財)日本食品分析センター名古屋支所 試験報告より。 ※MBC(最小殺菌濃度):ppm ■ 純粋二酸化塩素希釈水によるレジオネラ菌の生菌数測定結果 試験菌 レジオネラ 生菌数(/ml) 試験液 開始時 1 分後 5 分後 15 分後 100 倍希釈液 3.7×105 <100 <100 <100 1,000 倍希釈液 3.7×105 <100 <100 <100 10,000 倍希釈液 3.7×105 4.2×105 <100 <100 対 照 3.7×105 *** *** 3.5×105 <100 :検出せず 検 体:純粋二酸化塩素水(2,000ppm) 対 照:滅菌精製水 作用温度:20℃ ■ 純粋二酸化塩素希釈水による白癬菌の生菌数測定結果 試験菌 白癬菌 <10 生菌数(/ml) 試験液 開始時 5 分後 100 倍希釈液 2.0×105 <10 1,000 倍希釈液 2.0×105 <10 対 照 2.0×105 1.9×105 :検出せず 検 体:純粋二酸化塩素水(2,000ppm) 対 照:滅菌精製水 作用温度:20℃ ※レジオネラ菌および白癬菌の試験データは、(財)日本食品分析センターに依頼して取得したものです。 ■ ウィルス不活化効果 インフルエンザウィルス、ネコカリシ(ノロ)ウィルス、エイズウィルス、B 型肝炎ウィルス、 ロタウィルス、イヌパルボウィルスに対する不活化が確認されています。 ■ 二酸化塩素による腐食性試験 試験方法:上水+0.25ppm の二酸化塩素ガス通気 試験液(ClO2):気相 0.7ppm、液相 9.0ppm、pH6.92 サンプル 相 期間 消耗量 (日) (μ/Y) 判定 腐食状況 材料 接点 気相 48 0 光沢なし A B 液相 48 0 光沢あり・変色あり A B 気相 14 105.9 腐食大 A D 液相 14 248.0 腐食大 B D 気相 48 21.0 光沢なし・腐食あり A C 液相 48 91.0 光沢あり・腐食あり A C 気相 48 0 光沢なし A B 液相 48 8.4 光沢なし・変色あり A B 気相 48 0 光沢なし A B 液相 48 0 変色あり A B ステンレス 気相 48 0 変化なし A A (SAS304) 液相 48 0 変化なし A A ステンレス 気相 48 0 変化なし A A (SAS316) 液相 46 0 変化なし A A 気相 48 1.93 良 A A 液相 14 172.0 腐食あり B C 銅 鉄 ブリキ トタン アルミ 【参考:上水のみ】 鉄 ※判定の材料 A:<125μm/Y ※判定の接点 A:問題なし B:125~1250μm/Y B:表面多少劣化 C:>1250μm/Y C:表面劣化 D:使用不可 ■各種素材変質試験 試験方法: 二酸化塩素濃度 100ppm の液をハンドスプレーにて下記素材に2時間あたり5回の噴霧を 30日間に亘っておこない、各素材の変化を目視および触手により判定した。 素 材 ステンレス 鉄 結 果 変化なし。 赤錆びが発生した。 素 材 ウレタン 木 結 果 外観に変化なし。少し硬化した。 少し漂白された。 ゴム 外観に変化なし。少し硬化した。 モルタル 変化なし。 塩ビ 変化なし。 スポンジ 変化なし。 ポリエチレン 外観に変化なし。少し硬化した。 たわし 変化なし。 ビニール 外観に変化なし。少し硬化した。 木綿 変化なし。 プラスチック 変化なし。 ※腐食試験ならびに変質試験については、協力会社にて実施致しました(参考資料)。 5.安全性試験 ■ 経口毒性 : マウス LD50 5,000mg/kg (参考: 食塩 4,500mg/kg、 カフェイン 1,950mg/kg) ■ 吸入毒性 : マウス LC50 12,000mg/kg ■ 皮膚一次刺激性 : ラビット 認められず ■ 眼粘膜刺激性 : ラビット 認められず ※純粋二酸化塩素製剤 500ppm での結果 6.濃度測定方法 ◆DPD 比色法 (一般的に使用されている) ◆ヨウ素滴定法 ◆イオンクロマトグラフ法 ◆隔膜電極法 など 7.中和方法 亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウムなどの還元性物質を使用します。 最後に・・・ 二酸化塩素は、塩素系及びアルコール系の製剤と比べてコスト的には到底かないませんが、 耐性菌の出現により代替品として注目されています。 どの化学薬品も同じなのですが、人体に対して全く害がないというものではありませんので、ご使 用の際には注意事項を必ず守ってご使用下さい。 二酸化塩素に関する事でご不明な点がございましたら、是非一度、ご相談ください。 株式会社リンクス 環境衛生事業部 藤田まで TEL:03-3971-1175 E-mail:[email protected]
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