現代社会と青年

第1章
現代の社会生活
3
3.現代社会と青年
(1)青年期
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現代社会と青年
§1 青年期
青年期の特徴
青年期の発達過程
① 第二次性徴…大人に向けての身体的な変化がみられる。→第二次性徴により,急激に身体が
大きくなるが,それに対して心も正しく追いついていかなければならない。
身体→第二次性徴。
心 →自我の確立。
② マーガレット=ミード(アメリカの文化人類学者)の指摘。
未開地の青年期は短く安定的。これに対し,欧米では,青年特有の葛藤や緊張が激しい。→
文化的要因が関係している。
青年期をめぐる学説
・
「第二の誕生」…ルソー(フランス)『エミール』より。
「私たちは二回この世に生まれる。一回
目は存在するために,二回目は生きるために。
」
・
「マージナルマン」(境界人)…大人と子どもの両集団の境界に生きる青年のこと。
レビン(ドイツ)の用いた用語。
・
『モラトリアム』…エリクソン(アメリカ)の言葉。社会的な義務を果たさないで,先延ばしにす
る人間。モラトリアムは=経済用語で「支払い猶予」の意味。
→ホーリングワークス。
・
「心理的離乳」…親などの保護から離れて,精神的に自立し生きる時期のこと。
・
「疾風怒涛時代」…感情の起伏や行動の変化が激しい青年期の別称。
・
『第二反抗期』…青年は,周囲の権威や価値観に反抗して自己の存在を確認する。
幼児期の第一反抗期に対する語。
境界人の位置と発達区分に応じた友人関係の特徴
子子ども
ども
境境界線
界人
大 人
大 人
発達
乳児期 幼児期
児童期
0∼1歳ころ
∼12歳ころ
∼6歳ころ
青年期
壮年期
22歳ころ∼
中・老年期
50歳ころ∼
特質
意義
選択
契機
持続性
幼
児
期
遊びの友
社会的訓練に
役立つ
誰とでも
遊びなどの接触
場面に規定され
ることが多く、
変わりやすい
男女未分離
児
童
期
生活の友
社会的訓練集団
への所属性
選択的
接触頻度および
好ましい行動特性
やや不安定
反発・分離
青
年
期
心の友
人格的影響を
及ぼしあう
厳選する
人格的尊敬と共鳴
生涯の友となる
ほど持続する可
能性
異性への憧憬
恋愛への発展
現代社会
新基礎演習
性
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自我のめざめ
「自分とは何か」を考えはじめる青年期は,自我にめざめる時期である。身体的に成熟するだ
けでなく,精神的にも人格や価値観を形づくる基盤を築く大切な時期であるといえる。
心理的離乳の第一歩
① 親などへの依存から離れて,精神的に自立して生きる時期で,親や大人社会の価値観に
対して懐疑や批判の気持ちが高まり,反抗的な態度を示す傾向もみられる。→「第二反
抗期」
。
② 幼児期にみられる第一反抗期の次にくる段階で,自立に向けての心の動きのあらわれで
ある。
「第二の誕生」青年期は,心理的には「性のめざめ」と「自我のめざめ」とによってはじ
まる。異牲を意識しはじめることによって,無器用でぎこちない態度があらわれたり,自
分を強く意識しすぎることで,自意識過剰に悩むことも多い。
・
「第二次性徴」…男女とも,身体の急激な変容を体験する。→男女間の情緒に思春期がおと
ずれる。
アイデンティティ(自己同一性)の確立
モラトリアム(猶予期間)…自我の発見を求め続けることで,アイデンティティの追求とよ
ばれる。アイデンティティとは,
「本当の自分とは何か」を求める姿である。
アイデンティティの確立
① アイデンティティが確立した状態は,
「自分が自分として生きる」という,個人の内面的
な側面(個性化)と,
「社会の何かとつながっている」という社会的な側面(社会化)の両方
がうまくバランスがとれている状態のことである。
② 自分と社会との関係に苦しみながらも,自分らしく生きていく道を探すことが,青年期
の永遠の課題である。
③ 苦しみのなか,どうすれば自分らしい自分でいられるかを試案すること。
→「生きる目的」につながる。
青年期の発達課題
① エリクソン―モラトリアムの期間
青年期は,社会人としての責任や義務がある程度猶予され,自由な立場で様々なことを試み
ることができる。→エリクソンによって指摘された。
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新基礎演習
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② ハヴィガーストの発達課題
人間は成長して老いていくが,いつでも,それぞれの年齢に応じた課題がある。
・同世代の男女との成熟した人間関係。
・男女の社会的役割。
・責任ある社会人としての人生観をもつ。
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