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情報提供資料
マーケットレポート
2016年6月22日作成
英国のEU離脱問題の背景と現状を考える
今回のポイント
 英国は元来、経済と金融分野に限定した緩やかなEUの統合を望む立場で、移民急増や債務問題を抱え
るEU諸国に対する懸念などから、EUに加盟していることに対する反発や懐疑が高まり、EU離脱を模
索する動きが目立つようになっていました。
 6月23日の国民投票を前にたびたび行われている世論調査は、離脱派と残留派の支持が拮抗しています。
離脱派は、移民問題を議論の焦点としており、残留派は経済への悪影響をあげ議論を進めています。
 英国のEU離脱リスクは主要国の政策当局では、先月下旬に行われた伊勢志摩サミットで共有されてお
り、離脱の場合には世界的な金融危機回避のための政策対応は準備されていると考えています。
英国のEU離脱問題の背景
EUの一員としての自覚の低さ
1993年11月に発足したEU(欧州連合)は、
その後統合の深化と拡大が図られていましたが、
英国ではEUに加盟していることに対する反発
や懐疑が高まり、EU離脱を模索する動きが目
立つようになっていました。英国は元来、経済
と金融分野に限定した緩やかなEUの統合を望
む立場にあり、踏み込んだ統合に批判的な意見
を表明していました。
80
70
60
50
40
30
20
10
英国
フランス
平均
EU
オランダ
(出所:欧州委員会のデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
移民増加に対する懸念
また、欧州債務危機の影響によるユーロ圏の
停滞により、相対的に景気が堅調な英国への移
民が増加して雇用情勢が問題化しています。加
えてEU内の先進国への社会保障給付金を得る
ために移民するベネフィット・ツーリズムも問
題となっていますが、ヒトの移動の自由を定め
るEU憲章に自国の移民政策が縛られているこ
とも、EU離脱の背景となっています。加えて
難民増加も追い打ちをかけ、テロに対する警戒
感が高まる環境にあります。複数の閣僚や次期
首相を狙う前ロンドン市長等、世論への影響が
大きい人物が離脱支持を声高に主張しており、
事態は予断を許さない状況です。
ドイツ
0
スペイン
英国のEU加盟(当時1973年はEC)から40年
以上経っていますが、近年英国の一人当たり
GDPがユーロ圏を上回っており、欧州委員会が
行う調査からも経済圏の統合によるメリットを
実感していない英国人は増加しています。
(%)(調査期間:2015年11月7日~17日)
90
ルクセンブルク
経済メリットを感じられない英国人
欧州市民と感じている人の割合
英国への純移民流入数
(千人)
300
250
(1994年~2014年)
EU諸国から
EU外から
200
150
100
50
0
1994
1999
2004
2009
2014
(年)
(出所:Office for National Statisticsのデータをもとに
DIAMアセットマネジメント作成)
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
商 号 等 / DIAMアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
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離脱か、残留か?
世論調査は拮抗
6月23日の国民投票実施は、キャメロン首相
が、EUに対して英国との関係改善のための改
革を要求し、2月のEU首脳会議で英国の要求が
大筋で承認されたことを受けたものです。6月
に入りEU残留・離脱を問う国民投票の意向に
関する世論調査結果は、概ね残留と離脱が拮抗
する内容と報道されています。ただし、残留支
持の英国下院議員が殺害されたことを受けて停
止されていたキャンペーン運動が再開される中、
20日には調査会社によると残留を支持する割
合が離脱を支持する割合を上回り、残留派が勢
いを盛り返していると報道されています。
離脱派と残留派の意見
離脱派は、移民問題を焦点にあげており、英
国独自の移民政策を行いたいと考えているのに
対し、残留派は移民を制限することは難しいと
考える立場で、またEUを離脱することの経済
的悪影響の方が大きいと指摘し議論を進めてい
ます。離脱派には、高齢者が多いとされ、生ま
れたころからEUに加盟していた若者に残留を
支持する人が多く、若者の投票に結果を左右さ
れるとも言われています。
金融市場への影響
離脱派と残留派の意見
【現状】
英国への純移民流入数は年間30万人超と、キャメロン
首相が最近掲げた目標(10万人以下)を大きく上回る。
EU市民は、EU域内のすべての国で働く権利を持つ。
離脱派
「移民問題」に焦点
EUに加盟している限り、移民数を管理する
ことは不可能。公共サービスが移民増によ
り機能しなくなっている。移民増により賃
金が抑制されている。
残留派
移民は経済にはプラスであり、EUからの移
民は、EU外の移民よりも税金を多く納めて
いる。キャメロン首相のEUとの合意により、
移民への在職社会保障給付は4年間制限され
る。EUの外にいても、単一市場にとどまり
たいなら自由移動を認めるべき。
(出所:報道などをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
為替の推移
現地通貨高
(2015年6月19日~2016年6月21日)
(円安)210
190
英ポンド
ユーロ
170
為替
レート
150
130
国民投票でEU残留が決定された場合は、金
110
融市場は落ち着きを取り戻し、その焦点を米国
15/9
15/12
16/3
16/6
現地通貨安 15/6
(円高)
(年/月)
や中国など主要国の景況感と金融政策、米国大
(出所:BloombergのデータをもとにDIAMアセットマネジメント作成)
統領選挙などに移していくことが考えられます。
一方、EU離脱が決定された場合、同国経済
自体に及ぼす影響は甚大とみられていることも
あり、金融各資産のボラティリティが高まる等、
市場の混乱が予想されています。こういった一
時的な混乱阻止に向けては、主要国の政策当局
が協調して様々な政策対応を行うとみており、
上記同様に徐々に落ち着くとみています。ただ
し、景況感の下振れ懸念、世界的な金融緩和姿
勢強化を織り込んだ形で当面は落着くとみられ、
特に円相場は円高方向にシフトするとみていま
す。
※上記は、将来の市場動向を示唆・保証するものではありません。※巻末のご注意事項等を必ずご確認ください。
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160622情報英国国民投票背景-1
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