フィリピン医療情報 以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の 服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ イスを受けるようにしてください。 最新更新履歴:2017 年 2 月 9 日更新 1.赴任前の準備 (1)予防接種 入国に際して定められた予防接種はないが、滞在が長期であれば A 型肝炎、B 型 肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、腸チフスのワクチンを接種することを勧める。また、 麻疹や水ぼうそうが流行することがあり、これらの罹患歴がない、または麻疹につい て幼少期の接種が 1 回だけの方は追加接種することを勧める。 小児の予防接種に関しては、日本とは予防接種のスケジュールが違うものもある ので、日本で開始した定期予防接種に関しては終了してから来比する事を勧める。特 に、日本脳炎は感染例があるにもかかわらず一般にはあまりワクチンが流通してい ない為、本邦で計画的に接種を済まされることを勧める。 (2)その他の準備 持病がある場合は、かかりつけの医師から英文の紹介状を持参するとよい。内服 薬については、商品名でなく一般名と用量を記入してもらう事。また、アレルギーがあ る薬についても、一般名で覚えておくとよい。 コンタクトレンズ用品はソフト(使い捨て)もハードも入手可能であるが、最新の商品 を入手するのは難しい。コンタクトレンズ及び関連商品は、マニラ、セブ島や一部州都 にあるショッピングモールなどにある眼鏡店で取り扱っている。 歯科治療について、マニラ首都圏及びセブ市では、近代的な設備を持ったクリニッ クもあるが、費用が高額になるケースもあり、日本で終了させてから赴任することを勧 める。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 2.医療情報 マニラ首都圏、セブ市の医療レベルは高くなってきており、専門医の数も多い。地 方においては、ある程度設備やサービスが充実している私立病院はあるが、日本人 の感覚では快適と言えない場合も多い。首都圏と地方、私立病院と公立病院の格差 は非常に大きい。 医師、看護師などは、英語で教育を受けているので、地方の病院でも英語でのコミ ュニケーションには問題ない。マカティ市内のマニラ日本人会診療所では直接日本語 での診療を受けることができる。 フィリピンの医療システムは「オープンシステム」と呼ばれ、医師は病院に所属して いるのではなく、病院と契約して診療スペースを利用している。したがって、どの病院 を選ぶかより、どの医師を選ぶかが重要である。受診の際は、初めに医師を選択して 予約を取る。救急の場合は、救急室に行くとその場で医療関係者が対応してくれる。 総合病院では通常、夜間休日でも、一般医(General Practitioner)と小児科医が常駐 している。救急でなく、どの医師に受診して良いか分からない時は、病院の入り口近く の“Information”で相談すると、症状にあった医師を紹介してくれる。 検査に関しては、診察した医師の指示に従い、検査施設のある病院に行き検査を 受ける。日本のように一括払いでなく、血液検査なら血液検査の会計、レントゲンなら 放射線部の会計と、検査ごとに支払いが生じる。結果は患者が取りに行き、その検査 結果を持って再度医師に診察を予約する。 入院に際しては、入院時にデポジット(2000 ペソ~50,000 ペソ程度)が必要である。 総合病院などではクレジットカードの使用が可能な場合が多い。マニラ首都圏の病院 は付き添いの必要はないが、地方では入院時に必要な医薬品や衛生材料(アルコー ル、注射針等)を薬局で購入しなければならない為、家族または介護人(私費)の付き 添いが必要である。 (1) 医療機関 日本人がよく利用する医療機関は次のとおり。 【マニラ首都圏】 【クリニック】 マニラ日本人会付属診療所 所在地:23F Trident Tower, 312 Sen Gil Puyat Ave, Salcedo Village, Makati City All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 電話:02-818-0880, 819-2762 FAX:02-819-2811 E-Mail: [email protected] ホームページ:http:/www.jami.ph/clinic.html 診療時間:受付は平日 8:30〜11:00、13:30〜16:00、土 曜日 8:30〜11:00 産婦人科(火・木の午前)、小児科(水・金の午後) 日曜、祝日休診。予約不要。 診療科目:内科、小児科、産婦人科。※救急外来なし 入院:不可。入院が必要な場合はマカティ・メディカル・センター、セントルークス病 院(グローバル市)を紹介。 備考:日本人医師と日本人スタッフが常駐し、フィリピンの医師法に従いフィリピン 人医師と共に診療を行う。産婦人科と小児科の専門医はフィリピン人医師で あるが日本人の診療には慣れている。院内にはレントゲン、心電図、超音波、 検査室(血液、尿・便検査)がある。薬局は診療所内にないため、処方箋を 持参して薬局で購入する。健康診断可能(要予約)。各種予防接種も可能(A 型肝炎、B型肝炎、狂犬病、破傷風、腸チフス、日本脳炎、インフルエンザ、 流行性髄膜炎等、予約が必要なものあり)。 東京ヘルスリンク(マカティ) 所在地:Sunnyvale Bldg, I , #2247 Don Chino Roces Ave, Makati City 電話: 02-819-2010(代表) 日本人サポートデスク 02-506-8989、0917-861-8362(日本語対応) FAX: 02-892-1291 ホームページ:http://www.tokyohealthlink.net/ 診療時間:月~土 8:00~20:00、日 9:00~18:00 診療科目:全科および歯科 入院:不可 備考:日本人医師はいないが、日本人スタッフが駐在しており、診療のサポートを 受けることができる(日曜日は要連絡)。一般内科は常勤医が担当するが、 専門医はそれぞれ診療時間が異なるため、事前に予定を確認してから受診 することを勧める。病院内には画像診断(レントゲン、CT、超音波)、検査室、 リハビリテーション室、胃内視鏡検査室、手術室がある。薬は処方箋を得て All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 院外の薬局で購入する。健康診断、各種予防接種可能(要予約)。 モンティンルパ市(アラバン)に同系列の「東京ヘルスリンク(アラバン)」あり。 日本人サポートデスク電話:02-822-1465、0917-808-8874(日本語対応) 【総合病院】 マ カ テ ィ ・ メ デ ィ カ ル ・ セ ン タ ー ( Makati Medical Center) 所在地:2 Amorsolo St., Legaspi Village, Makati City 電話:02-888-8999(代表),8910(救急部) FAX:02-819-5423 ホームページ:http;//www.makatimed.net.ph 診療時間:医師により異なる 24 時間救急(Emergency Room/ER)あり 診療科目:全科 入院設備:あり。約 700 床。 備考:国内最高水準の私立総合病院。院内には全科の専門医がクリニックを開業 している。診療時間は医師により異なるため、事前に病院受付に確認してか ら受診すると良い。ER では受付時に看護師によるトリアージ(重症度による 治療の順位付け)をうける。緊急性の高いものから診療となるため、軽症の 場合は待ち時間が長くなる場合もある。日本人ヘルプデスク(Japanese Help Desk)の日本人スタッフが常駐している。利用料(USD30-80/1時間) は、加入している保険の種類により、保険でカバーされる場合と自己負担と なる場合がある。 セントルークス・メディカル・センター グローバル・シティ (St.Luku’s Medical Center Global City) 所在地:32nd Street, Bonifacio Global City, Taguig City 電話:02-789-7700、内線/国際デスク 1066、1003 0917-525-0050(日本人コーディネーター) ウェブサイト:http://www.stlukesmedicalcenter.com.ph/index.php All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 診療時間:各医師により異なるので受付、または国際デスクに問い合わせる。 24 時間救急あり。 診療科:全科 入院設備:620 床。 備考:ケソンにある St.Luku’s Medical Center の分院で 2010 年 1 月に開業。裕 福層をターゲットにしており、ホテルのような贅沢なサービスを提供する。 PET 等の最新の機材を導入している。院内の国際デスクには日本人コー ディネーターが常駐し予約や診療に関する相談に応じてくれる。 【歯科】 Kobayashi Dental Clinic&Laboratory 所在地:4/F Left Wing,Maga Center,Paseo de Magallanes Village,1232,Makati City 電話:02-852-3622 受付時間:09:00~17:00(月~土) 要予約 備考:フィリピン歯科医師免許、日本の歯科技工士免許を持つ日本人が院長。日本 語での診療が可能である。 Barnardo Dental Office 所在地:Unit2J Kendington Place, 1st Ave.cor.29th St.Crescent Park West,BGC 電話:02-856-2056 受付時間:月~金 08:00~17:00(要予約) Echiverre Dental Clinic 所在地:Unit1401,No.31Atlanta Center Annapolis St. Greenhills, San Juan 電話: 02-705-7505 受付時間:火~金 09:00~18:00、土 09:00~12:00(要予約) 備考:フィリピン人男性医師が治療に当たるが、日本人の奥様(歯科医資格有)が診 療介助にあたられる日もある。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency Dr.Nyla 所在地:Rm1209, Medical Plaza Makati 12F, Amorsolo cor dela Rosa Sts.Makat 電話:750-4334/404-0390(要予約) 受付時間:火・水・金 9:00~17:00、土 9:00~12:00 【眼科】 Asian Eye Institute 所在地:8~10Floor,PHINMA Plaza Bldg.Rockwell 電話:898-2020、日本語直通電話:898-2003 FAX:898-2002 受付時間:月~土 08:00~17:00(要予約) 備考:最新の機材と専門医が揃った眼科総合センターである。日本人スタッフによる 通訳が無料で受けられる。 【セブ島】 【総合病院】 CHONG HUA HOSPITAL 所在地:Fuente Osmena,Cebu City6000 電話:032-255-8000 受診時間:医師により異なる。救急外来は24時間オープン 診療科目:全科 入院設備:660 床 備考:セブ島にある3大私立病院の一つ。設備、人材ともに優れており、マニラとほぼ 同様のレベルの医療を受けられる。マンダウエに系列の新病院あり。 Cebu Doctors University Hospital 所在地:Osmena Bolevard Cebu City, 6000 電話:032-253-7511 診療時間:医師により異なる。救急外来は 24 時間オープン 診療科目:全科 入院施設:300 床 備考:セブ島にある 3 大私立病院の一つ。国内トップレベルの医科系大学の附属病 院であり、マニラとほぼ同様用レベルの医療を受けられる。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency Perpetual Succour Hospital 所在地:Gorordo Avenue,Lahug, Cebu City 電話:032-233-8620 診療時間:医師により異なる。救急外来は24時間オープン 診療科目:全科 入院施設:350 床 備考:セブ島にある、3大私立病院の一つ。Heart Center, Kidney Center, R ehabil Center, Cancer Centerがある。リハビリ施設は規模、内容ともに かなり充実している。フィリピン政府が推進しているMedical Tourism(外国 人向けに観光と医療をあわせた観光プロジェクト)の中心病院の一つ。設備、 内容ともマニラ首都圏の私立病院に引けを取らない。 Mactan Doctors Hospital 所在地:Basak Lapu-Lapu city,CEBU 電話:032-236-0000 診療時間:医師により異なる。救急外来は 24 時間オープン 診療科目:全科 入院施設:160 床 備考:セブ国際空港のある、マクタン島にある私立病院。空港から車で約 20 分。 Cebu Doctors University の系列病院であり、MRI 検査や開胸手術など対応 不可能な患者は Cebu Doctors University Hospital(車で約 1 時間~1 時間半) に移送している。 (2)緊急時の対応と措置 24 時間体制の病院の救急外来を受診する。救急車は公的なものと病院のものがあ り、どちらも有料。公的なものは台数が少なく時間がかかる場合があり、勧められな い。自家用車等で病院まで行くのが、最も早くて確実である。 緊急時の対応は、地方でも州都の病院であれば、基本的な応急処置は可能である。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 3.医薬品、衛生用品 (1)携行することが望ましい医薬品 使い慣れている薬がある場合は携行することが望ましい。特に少児を帯同する場 合は、かかりつけ医に相談して準備することを勧める。解熱剤を持参する際は、デン グ熱罹患時に使用することも考慮し、成分名アセトアミノフェン(acetaminophen)のも のを準備する必要がある。 総合感冒薬、食べ過ぎ飲みすぎの際の消化剤、整腸剤、消炎鎮痛剤の含まれた 湿布薬などは当地での入手は困難である。一部の日本食材店では取り扱いがある が、種類は限られる。滞在初期は風邪をひいたり下痢をすることも多く、当座必要な 分は携行すると安心である。 (2)現地で調達できる医薬品 たいていのものは入手可能。ただし、含有成分量は通常日本製のものより多いた め、使用時には注意が必要である。 (3)現地で調達できる衛生用品 品質の良し悪しはあるものの、こだわらなければ生活に必要な衛生用品はひととお り手に入る。しかし、生理用ショーツや幼児のトレーニングパンツなどは、あまり出回 っていないので持参した方がよい。またヘッドの小さい歯ブラシや歯間ブラシなどは、 日系スーパーでわずかに取り扱っているが、種類も少なく高額である。皮膚用虫除け はクリーム、ローション、スプレーなど種類が豊富である。 日本メーカーの熱さまし用冷却シートは購入可能である。脱水時の経口補液には Oral Rehidration Solution(ORS)が薬局で販売されている。また、日本でもなじみの あるスポーツドリンク類もスーパーで手に入り、粉末についてもマニラの日系スーパ ーなどで購入可能である。 (4)薬局 都市部には、多くの Marcury Drug Store(薬局チェーン店)があり、睡眠薬、循環器 薬などの特殊な薬以外は、医師の処方箋なしに購入可能なことが多い(抗生剤各種、 制酸剤、解熱・鎮痛剤、抗アレルギー薬等)。しかし、安易に自己判断で服用を開始 することは危険であり、特に抗生剤につては院外耐性菌の発生も懸念されているの で、医師の診察を受け症状に応じた薬剤を服用すべきである。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 医薬分業が確立しているフィリピンでは、医師からもらった処方箋で、薬の在庫が あればどこの薬局でも薬の購入が可能である。しかし、地方では薬品の種類や在庫 が乏しい事が多いのが現状である。 4.妊娠、出産、育児 (1)妊娠した場合の対応 主治医を決めて定期健診を受ける。首都圏での分娩は正常に経過すれば、入院 期間を除いて日本と大差なく立ち会い分娩も可能である。しかし、少しでも異常がある と正常分娩から帝王切開になることが多く帝王切開率は高い。また、分娩時のトラブ ル、大量出血、低出生体重児への対応等には不安がある。緊急時の対応や輸血の 安全性などの医療事情を考慮すれば安定期に入る妊娠 12 週~搭乗が許可される 35 週まで(航空会社に要確認)に帰国し日本での出産を勧める。また、人工中絶は、 法律により厳い実施基準と宗教上の理由から扱う医師は少なく基本的には不可能で ある。 (2)出産後の対応 正常分娩の場合(帝王切開でも経過がよければ)、通常3日目に退院となる(患者 の希望により入院期間を延長することは可能)。退院後の再診は通常 1 週間後に担 当医のクリニックで受ける。乳児は小児科医のクリニックで検診を受ける。 入院中、日本の様な育児指導などはないが、自宅で看護師による個人指導を受け ることができる。これは看護師のサイドビジネスであり、入院中に看護師から話しが持 ち込まれることがある。 (3)フィリピンの小児予防接種スケジュール BCG;出生時、B 型肝炎;①出生時、②生後 6 週、③生後 14 週 ポリオ、DPT;①生後 6 週、②生後 10 週、③生後 14 週、麻疹;①生後 9 か月 (4)育児 育児に必要な哺乳瓶、オムツ、粉ミルク、ベビーパウダー、ベビー石鹸等は、こだ わらなければひとおりのものは購入可能である。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 5.手術 (1)現地で可能な手術 マニラ首都圏では、冠動脈バイパス手術、肝・腎移植なども行われており、ほとん どの手術の実施は可能である。 (2)手術設備の状況 メトロマニラにおいては、最新ではないが設備は整っている。 (3)その他の留意点 手術は医師の収入に直結するため、安易に手術を勧める傾向にあるので注意が必 要である。看護体制、食事、言葉の問題等を総合的に考慮すれば、緊急の場合を除 き、手術は日本で受けることが望ましい。 輸血用血液については、赤十字が管理している血液と、個々の病院内の血液バ ンクが管理している血液がある。地方では停電も多く、輸血製剤の保存方法や有効 期限が厳守されているかは疑問である。首都圏の大病院であれば、患者自身が集め た献血者からの輸血が可能であるが、輸血準備までに最低 2-4 時間かかるため、緊 急の場合はストックされている血液を使用する。B 型 C 型肝炎、HIV、マラリア、梅毒 の感染症スクリーニングが行なわれている。 6.疾病 (1)一般の傷病 マニラ首都圏は大気汚染が著しい上に、クーラーにより室内と屋外の温度差が大 きいため、呼吸器感染症(風邪・咽頭炎・副鼻腔炎・気管支炎等)を繰り返す人が多い。 また一旦呼吸器系の症状が発症すると、長引く傾向にある。下痢、腹痛などの胃腸 炎も多い。高温多湿な気候のため、水虫、湿疹などは悪化することが多い。また、雑 菌が多いため、虫刺されのあとのかきこわしや、傷を放置しておくと化膿しやすい。 (2) 風土病、感染症 当地で流行がみられる風土病、感染症のうち、主なものは以下の通り。 • デング熱、ジカ熱、チクングニヤ熱、マラリア デング熱はフィリピン全土において流行している。流行のピークは雨期(5 月~ 11 月)であるが、乾期に入っても患者が発生している。気候の変化や台風の All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 発生など、雨が降り蚊の発生する環境が整いやすい当国においては、一年中 デング熱罹患予防(=蚊に刺されないこと)が重要である。蚊により媒介され る病気として、ジカ熱、チクングニヤ熱の発生も確認されている。また地域によ っては、マラリアの流行も見られる。一年中、24 時間防蚊対策が必要である。 • 狂犬病 全土が汚染地域であり、年間 200~300 名の死亡者がいる。動物にはむやみ に近づかないよう留意し、哺乳動物に噛まれた場合は、応急処置の上、速や かに病院を受診しワクチン接種を受けることが重要である。 • インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎・気管支炎、結核 •インフルエンザは 1 年を通じて発生しているが、最も大きな流行は 6 月~10 月、次いで 12 月~2 月で、当地では 6 月からの流行に備え南半球型の予防 接種が流通している。マイコプラズマの感染例も多く、なかには薬剤耐性例も 見られる。インフルエンザやマイコプラズマの検査ができる病院は限られてい る。結核の高蔓延国でもあり、その他新型インフルエンザ等のような新興感染 症も、発生すれば急速に感染が広がることが懸念される。日常的な体調管理 に加え、手洗いうがいなどによる予防が重要である。 • 食中毒、感染性腸炎 • アメーバ赤痢、腸チフスをはじめとして、汚染された飲食物による食中毒や感 染性腸炎の発生頻度が高い。比較的衛生状態の良いレストランでも水、氷、 生ものの摂取には控えた方が良い。また、毎年貝毒による死亡者が出ている。 雨期(6月〜10月)に発生しやすいと言われており、この時期は火が通してあ っても、貝類は食べないほうがよい。 • 水を介して感染するレプトスピラ症は、雨季の台風や洪水による浸水で感染 者数が急増するので、汚水に触れないよう注意が必要である。また、 Cagayan, Sorusogon, Negros Occidental, Samar, Leyte 島, Bohol 島, Mindanao 島、ARMM では日本住血吸虫症の流行が確認されているので、む やみに淡水に接触しないよう注意すること。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency 7.保健衛生 (1)飲料水 水道水は直接飲用できないので、水道水を3分間以上沸騰させたもの、またはボト ルウォーターを飲用する。コンドミニアムなどには、飲料水用のタンクを配達してくれる サービスがある。また町の中にも飲料水用タンクの配達をしているお店がある。 (2)濾過器の入手 アメリカ、ヨーロッパブランドの製品が各種市販されている。 (3)その他の留意点 • 結核や寄生虫症が流行しているため、ドライバーやメイドなどを雇用する前、 また 1 年毎にレントゲンを含めた健康診断を受けてもらうことが、本人達の健 康管理はもとより、雇用側の健康を守るためにも必要といえる。通常、費用は 雇用主負担となる。 • 年間通じて紫外線量が多いため、皮膚の老化や発がん性(日本人には少ない と言われている)の他、紫外線角膜炎、白内障などのリスクがある。戸外で長 時間活動する際には、日焼け止めを塗布したり、衣類、帽子、日傘、サングラ スなどで紫外線対策をするとよい。 All Rights Reserved, Copyright(c) 2017 Japan International Cooperation Agency
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