ブラジル(ブラジリア)

ブラジル(ブラジリア)医療情報
以下は必ずしも最新の医療事情ではありません。詳細(特に緊急時対応や予防薬の
服用方法など)については現地医療事情に詳しい医療専門家から常に最新のアドバ
イスを受けるようにしてください。
最新更新履歴:2012 年 5 月
1.赴任前の準備
(1)予防接種
ボリビア、コロンビア、エクアドル、ペルー、パナマから入国する際はイエローカー
ド(黄熱病ワクチン接種証明書)の提示が必要である。その他、入国に際して義務
づけられた予防接種はない(小児・妊婦も同様)が、赴任前には、狂犬病、破傷風、
A 型肝炎、B 型肝炎を受けることを強く勧める。小児は赴任前に基本的な予防接
種を済ませておいたほうがよい。現地でも接種は可能であるが、種類や回数が日
本とは若干異なるので、予め医師に相談した上で予防接種の計画を立てたほうが
よい。また、予防接種記録は英語で準備することを勧める(保育園や幼稚園の入学
手続き時にも、英語もしくはポルトガル語の予防接種記録の提示を求められること
がある)。
(2)その他の準備
歯科治療技術の水準は日本と変わらないと考えてよい。コンタクトレンズ、眼鏡
も調達可能だが、現地で作る場合は眼科医の診断書が必要となるため、日本から
予備を携帯するほうがよい。また、ブラジリアの乾季は低湿度のためコンタクトレン
ズが使用困難となる人もいる。よって、コンタクトレンズの使用者には眼鏡の携行を
勧める。
2.医療事情
(1)医療機関
医師は診療室を病院内や院外のビル内に設けており、必要時(検査・手術・入院)
に契約病院の施設を利用するシステムになっている。したがって、受診する際は病
院ではなく、医師の診療室に直接電話をして受診予約をする。受診料は病院では
なく診察した医師に直接支払う。受診料は医師によって異なるが、およそ 70 ~
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
200 レアルである。検査の場合は医師のオーダーを検査機関に提出し、必要なら
ば検査予約をとり、検査代を検査機関に支払う。その検査結果を持参して再度医
師の診察を受ける(医・検査分業)。投薬が必要な場合は、医師の処方箋に基づき
薬局で購入する。
ブラジルは日系人医師や日本語が通じる医師も多いので心強い。しかし、医学用
語を日本語で不自由なく読み書きできる医師は少ないので、微妙な事柄について
は、日本語とポルトガル語両方で確認するほうがよい。
病院やクリニックでの手続き時には、必ず身分証明書の提示を求められるので、
留意すること。
日本人がよく利用する医師、医療機関は次のとおりである。
<医師>
・Dr. Susumu Hirako(消化器内科)
SHLS. 716 Cj.L, Bl.II, Sala 119 e 121
TEL:3346-2666/3857(FAX 兼用)
勤務先:Centro Clínico Sul
月木 午前 (診察)、火 午後(診察)、水金 午前 (胃内視鏡)
診療科目:消化器内科(日本語可
・Dr. Jorge Issao Sassaki(産婦人科)
SHLS. 716, Cj.L
TEL:3245-3439(FAX 兼用)
勤務先:Centro Clínico Sul(Torre II) Sala 101
月~木 8:00~12:00、14:00~18:00、金 8:00~12:00
診療科目:産婦人科
・Dra. Hitomi Miura Nakagawa(産婦人科)
SHLS. 716, Cj.C, Centro Clinico Sul Ala Leste
TEL:3345-8030 FAX:3245-6315
勤務先:Genesis Sala L 321
月水 午後、火金 午前、木 午前/午後
診療科目:産婦人科(日本語可)
・Dr. Gladys Cambel(皮膚科)
Brasilia Shopping, Torre Notre Sala 930
TEL:3327-8188
勤務先:Permatologia Dra. Gladys Cambel
月水 14:20~17:40、火 9:20~11:20、木金 14:20~16:20
診療科目:皮膚科(英語可)
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
・Dr. Francisco Jose de Paula Lima(耳鼻科)
SHLS. 716, Bl.E, Sala 201
TEL:3245-1422/2295
勤務先:Centro Medico de Brasilia
月~金 9:30~11:00-14:30~17:00
診療科目:耳鼻科(英語・スペイン語可)
<検査機関>
・Exame Medicina Diagnóstica
SHLS. 716, Bl.B ou SMHN Ed. de Clínicas,
Qd. 02, Sobreloja
TEL:SHLS 3245-2233 FAX:3245-2603
SMHN:3327-9740
月~金 7:00~17:00、土 7:00~10:30
・Centro Radiolólgico de Brasília
SHLS. 716, Bl.B
TEL:3245-1622 FAX:3245-7034
月~金 08:00~18:00
検査項目:単純レントゲン検査(予約不要)、
造影検査、超音波検査、CT 検査(要予約)
<救急外来 :Pronto Socorro>
・Hospital Santa Lúcia
SHIS. 716 Cj.C, Lt.03
TEL:3445-0000
URL:http://www.santalucia.com.br
E-mail:[email protected]
・Hospital Santa Luzia
SLS 713, Conj. E
TEL: 3445-6000
・Hospital da Base do D. F.(公立)
SMHS. Q1, Área Especial
TEL:3325-4052(病院)/4074(救急)
<予防接種実施医療機関>
・Imunocentro
SEPS. 715/915, Bl.D, Salas 510/513
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
TEL:3346-0101(FAX 兼用)
E-mail:[email protected]
月~金 8:00~18:00、土 8:00~12:00
小児アレルギークリニックであるが、小児、成人の予防接種全般が実施可能。
(2)緊急時の対応と措置
緊急時には主治医に連絡をとって診療してもらうか、Pronto Socorro(救急外来)
へ行く。救急車を手配する場合は私立の移送会社(電話帳で Ambulancias の欄を
調べる。ブラジリアの場合 Uti Vida、電話 :248-3030)に依頼する。また、大きな私
立病院は救急車を持っているので、日ごろ受診した際に連絡方法などを確認して
おくとよい。192 に電話をかけて消防隊の救急車を呼び(無料)、最寄りの医療機
関へ移送してもらう方法もあるが、混雑している可能性が高いのであまり勧めな
い。
緊急移送が必要な場合は、AXA 社(場合によってはインターナショナル SOS 社)
の緊急移送サービスを利用する。国内移送の場合でも、原則として同社にコーディ
ネートを依頼するが、状況によっては現地の移送会社を利用することもある。
国内旅行時などの事故や病気を想定し、緊急連絡先、血液型、アレルギーの有
無など、基本的な情報を記入した緊急連絡カードを作成し、非常時に備え常時携
行することを勧める。
3.医薬品、衛生用品
(1)携行することが望ましい医薬品
常備薬は現地でも調達可能だが、胃腸薬、湿布剤、目薬(目が乾燥しやすいた
め)、レスタミン軟膏などの虫刺されやアレルギー時のかゆみ止めなど、使い慣れ
ているものは持参したほうがよい。
(2)現地で調達できる医薬品
湿布剤、「キンカン」「オロナイン」軟膏などを除けばたいていのものは購入可能
である。ただし、ブラジルの薬剤法では、多種の薬剤を混ぜて 1 つの薬として販売
することを制限しているため、日本のような総合感冒薬、胃腸薬などは入手しにく
い。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
(3)現地で調達できる衛生用品
質にこだわらなければ、水まくら、湯たんぽ、生理用品、ガーゼ、脱脂綿、救急絆
創膏など、すべて現地で調達可能である。
(4)薬局
ブラジルでは医薬分業が実施されており、医薬品を購入するには医師の処方箋
が必要である。簡単な薬(解熱剤、鎮痛剤、抗炎症剤、胃痛止め、基本的な抗生物
質、各種軟膏、目薬など)は処方箋なしで購入できるが、薬局で薬を選んでもらうよ
り医師の処方箋で購入するほうが安全である。
薬の有効期間は、それぞれ明記されているので確認すること。服用前に説明書、
特に分量、副作用、禁忌についてよく読んで確かめること。
薬局は各居住区域の商店街に必ず 1 軒は存在する。ただし、調剤が必要な処方
箋を書いてもらった場合は、日本語での対応が可能な Pharmagreen を利用したほ
うがよい。ただし、ここは一般の市販薬は取り扱っていない。
・Pharmagreen(薬剤師:Sra. MIKAMI)
SCLS. 407, Bl.B, Lj.20
TEL:3244-7055、3433-1183
08:00~19:00
4.妊娠、出産、育児
(1)妊娠した場合の対応
普通・異常分娩ともに対応は可能(帝王切開による出産率は日本より高い)であ
るが、緊急時の対応が十分ではないことを考慮し、帰国して出産することを強く勧
める。専門医の指示に従って定期健診を受けること。人工妊娠中絶は原則的に禁
止されている。
(2)出産後の対応
母子健診は専門医の指示に従って行うこと。なお、予防接種についても医師の
指導に基づいて行うこと。
(3)育児用品
育児用品は薬局、スーパーなどで容易に入手できる。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
5.手術
(1)現地で可能な手術
医療機関を選べば、あらゆる分野の手術が可能である。ただし、コミュニケーショ
ンの問題、医療習慣の違い、医療スタッフのレベルなどの問題もあり、特に緊急の
場合を除き、日本での手術が望ましい。
(2)手術設備の状況
設備・医療スタッフのレベルともに充実した病院は数カ所であり、担当医師と相
談の上、病院を選択する必要がある。
(3)その他の留意点
輸血用の血液は、HIV、梅毒、シャーガス病、B 型・C 型肝炎、白血病ウイルスな
どの有無を調べているが、感染のリスクを否定できないのでやむを得ない場合以
外の輸血は避ける。
病院給食制で各種病人食もある。基本的に付き添いを 1 人つける必要があり、
希望すれば付き添い人用の給食、寝具なども用意してもらえる。
6.現地での傷病
(1)一般の疾病
風邪、インフルエンザ、皮膚病、アレルギー、下痢、はしか、風疹などである。
(2)風土病、感染症
特に注意すべきものは 2002 年ごろから増加傾向にあるデング熱およびデング
出血熱である。デング熱を媒介するネッタイシマカはどこにでも生息するので注意
が必要である。また、ブラジリア市内のみでの生活であれば、寄生虫症の感染は
ほとんど見られないが、郊外では注意を要する。
そのほか、ブラジルにおける風土病および感染症としては、性病、エイズ、A 型
肝炎、リーシュマニア症、破傷風、狂犬病、黄熱病、流行性髄膜炎、コレラ、ジフテ
リア、シャーガス病、ハンセン病、オンコセルカ症、ワイル病などが挙げられる。マラ
リアはアマゾン地域全体が流行地である。80%は三日熱マラリアで、20%が熱帯
熱マラリアである。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency
(3)有害動物、病害虫
ブラジリア市内では蚊、ハチ、ブユに刺さることや、アリに噛まれることによるアレ
ルギー症状などが出ることがある。郊外には毒蛇、毒グモ、サソリ、ムカデ、ダニ、
砂ノミ、ノミ、シラミなどがいる。また、人を刺すエイ(刺されると痛みが強い)も生息
するので、川遊びには注意を要する。
7.保健衛生
(1)飲料水
飲用にはミネラルウオーターを用いる。水道水を飲用する場合は、煮沸したほう
がよい。歯磨きや、野菜を洗う時などは水道水を直接使用しても問題ない。濾過器
を利用する場合は、フィルターの交換、清掃を怠らないこと。
(2)濾過器の入手
濾過器はスーパーなどで購入可能である。
(3)その他の留意点
自宅でよく洗えば野菜の生食は可能である。外食の場合は、衛生状態のよさそ
うな店を選ぶこと。
一般にブラジル食は、高カロリー、高塩分に加え肉の摂取量が多く、生活習慣病
になりやすい状況にある。また、気候的に体内の水分が失われやすいので、日本
にいるときよりも水分は多めにとるほうがよい。また当地では、湿度が低く不感蒸
泄が増えるため日本にいる時よりも水分は多めに摂取する方がよい。
All Rights Reserved, Copyright(c) 2012 Japan International Cooperation Agency