RIN IP Partners NEWS LETTER 2015年4月号を公開しました。

NEWS LETTER
2015-4
目次
【海外における商標ニュース・トピック】......................................................................... 1
【モロッコ 法改正】 .......................................................................................................... 1
【カンボジアがマドリッド・プロトコル(マドプロ)に加盟します】 ............................. 1
【日本における商標ニュース・トピック】......................................................................... 2
■ 参考審決 ......................................................................................................................... 2
審決1 (4条1項11号関係) .................................................................................................. 2
■ 参考判例 ......................................................................................................................... 3
【事務所ニュース】 .................................................................................................................. 5
【海外における商標ニュース・トピック】
【モロッコ
法改正】
モロッコで、改正産業財産関連法が 2014 年 12 月 18 日付で施行されました。
改正法の下では、商標に関し、職権で絶対的登録要件等に関する実体審査が行われることにな
りました。また、異議申立の手続も改正され、審理期間の短縮化を図る目的から、異議申立てに
対し出願人が 2 ヶ月以内に応答しなかった場合には、異議の決定が下されることになりました。
その他にも、出願分割や、出願商標に関する使用許諾や譲渡等が可能となっています。
【カンボジアがマドリッド・プロトコル(マドプロ)に加盟します】
カンボジアが 2015 年 3 月 5 日にマロプロの加入書を寄託し、2015 年 6 月 5 日から発効するこ
とになりました。
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【日本における商標ニュース・トピック】
■ 参考審決
審決1 (4条1項11号関係)
【非類似と認定された事案】
商標の類否が争点(引用商標権者破産)
不服2014-18265(平成26年11月4日審決)
商願2012-30040(第25類:外套、すなわち、ジャケット等)
本願商標: ASHLEY B (標準文字)
引用商標: ashley (標準文字)
審決では「本願商標は、『ASHLEY B』の欧文字を標準文字で表してなるところ、その構成は、
同書、同大で外観上まとまりよく一体的に表わされており、その構成文字から生ずる『アシュリー
ビー』又は『アシュレービー』の称呼も、格別冗長でもなく、よどみなく一連に称呼し得るものであ
る。
そして、本願商標が、『ASHLEY』と『B』の欧文字との組合せからなるものと理解されるとしても、
『B』の部分を、殊更省略して、『ASHLEY』の文字部分のみに着目するというよりは、むしろ、構
成文字の全体をもって、一種の造語を表したものと認識し、把握されるとみるのが自然である。
そうとすれば、本願商標は、その構成全体をもって取引に資されるというべきであるから、『アシ
ュリービー』又は『アシュレービー』の称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。
他方、引用商標は、『ashley』の欧文字からなり、これからは、『アシュリー』又は『アシュレー』の
称呼を生じ、該文字は、特定の意味を有しない一種の造語といえるものであるから、観念を生じな
いものである。
そこで、本願商標と引用商標との類否について検討するに、外観においては、両商標は、その
構成全体において、外観上、十分に区別できるものである。
そして、称呼においては、本願商標から生ずる『アシュリービー』又は『アシュレービー』の称呼と、
引用商標から生ずる『アシュリー』又は『アシュレー』の称呼とは、語尾における『ビー』の音の差異
を有するものであるから、それぞれを一連に称呼しても、その語調、語感が異なり、互いに相紛れ
るおそれはないものである。
また、本願商標と引用商標からは、特定の観念を生じないものであるから、観念上、類似すると
はいえないものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそ
れのない非類似の商標と認められる。
なお、請求人が提出した証拠(引用商標の商標権者の閉鎖事項全部証明書、参考資料10)に
よれば、引用商標の商標権者である株式会社COLONY INDUSTRIAL DEVELOPMENTは、
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平成18年3月9日に設立され、同23年6月15日午後5時に、大阪地方裁判所の破産手続開始
(同年6月17日登記)、同24年1月11日に、大阪地方裁判所の費用不足による破産手続廃止の
決定が確定し(同年1月23日登記)、同日に同社の登記簿が閉鎖されたものと認められる。
そうすると、少なくとも、本願商標の登録出願時である平成24年4月16日以降において、引用
商標がその正当な権利者(商標権者又はこれから使用許諾を受けた者)によって使用される可能
性は極めて低いものと認められ、引用商標と本願商標との間で商品の出所についての混同を生
ずるおそれはないものである。」と認定した上で、原査定を取り消した。
【寸評】
今回は、2014年11月号に続いて、商標「○○○」と商標「○○○+ローマ字1文字」の類否が
争われた事件を取り上げることにする。
ご承知の通り、従来、「○○○ X」のように、ローマ文字1文字がスペースを空けて後ろに配置
された結合商標の場合は、当該ローマ文字は商品の型番・品番として認識されることが多いとい
う理由から、「○○○」が商標の要部と認定されて、類否判断がなされることが多かったが、最近
の審判部の判断の傾向からすれば、個別の事案次第であるが、必ずしも従来のような判断がなさ
れるとは限らないのである。
今回の案件は、なお書きという位置付けではあるが、引用商標の権利者の破産手続きが終了
し、登記簿が閉鎖されている状況にあるときには、「当該引用商標がその正当な権利者(商標権
者又はこれから使用許諾を受けた者)によって使用される可能性が極めて低いものと認められ、
引用商標と本願商標との間で商品の出所についての混同を生ずるおそれはない」と認定されたも
のである。
今回の事案では、特に、このような事情が背景にあったがために、審判部としても両商標が非
類似と認定しやすかったのではないだろうか。
現行の運用では、引用商標の権利者が破産している場合には、事実上、不使用取消審判請求が
機能しないことから、権利化を諦めるケースが少なくないと思われるが、本願商標と引用商標が
同一でない限り、審判段階でも、このような主張を積極的に試みる価値は十分にあると思われる。
同種の事案であれば、是非ともトライしてもらいたいものである。
■ 参考判例
平成 26 年(ワ)第 7132 号 商標「Agile/アジル」損害賠償請求事件
平成 27 年 2 月 27 日判決言渡
【事案の概要】
本事案は、本件商標に係る商標権を所有している原告が、被告に対し、スニーカー等の履物
に被告標章を使用したことにより、原告の商標権を侵害したとして、本件商標権に対する不使用
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取消審判の請求の登録日までの行為について、不法行為に基づく損害賠償を求めた事案であ
る。
本件商標
被告標章1
被告標章2
指定商品 25 類「被服、ガーター、靴下止
め、ズボンつり、バンド、ベルト、履物」
商品「履物」については、不使用取消審判
により取消確定。
【判決概要】
(1)本件商標と被告標章の類否
原告は、「履物」についての本件商標の不使用を理由に、本件商標と被告標章について誤認
混同のおそれがない等と主張しましたが、裁判所は、『本件商標と被告商標1は、いずれも特定
の観念を生じず、外観において類似し、称呼は同一であるから、被告標章1は本件商標と類似
する。被告は、本件商標権に係る商標登録の指定商品中、「履物」についての本件商標の不使
用を理由に、本件商標と被告標章1について誤認混同のおそれがないと主張するが、証拠によ
れば、本件商標は他の指定商品である「被服」に使用されていたことが認められるところ、「被服」
と「履物」が同じ第25類という商品区分に分類されており、日常取引において少なからず関連性
を有すると認められることに鑑みると、本件商標が「履物」に使用されていなかったからといって、
直ちに被告標章1との誤認混同のおそれがなかったと認めることはできない』と説示し、本件商
標と被告標章1は、類似すると判断しました。被告標章2についても、同様の理由により、本件商
標と類似すると判断しました。
そして、『本件商標と被告各標章は類似するというべきであり、その他、商品の出所を誤認混
同するおそれを否定する取引の実情等は認められない。被告は、平成24年8月から平成25年
9月26日(不使用取消審判の予告登録日)までの間、被告履物を販売しており、被告履物は本
件商標権に係る商標登録の指定商品であった「履物」と同一であるから、被告は、本件商標権
を侵害したものといえる』と判断しました。
(2)損害不発生の抗弁
被告は、本件商標権に係る商標登録の指定商品中、「履物」についての登録が不使用を理由
に取り消されたことからすれば、本件商標に顧客吸引力はなく、被告履物の売上げに全く寄与し
ないため、原告に損害は発生していないと主張しましたが、裁判所は、『本件商標が履物に使用
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されていなかったからといって、直ちに本件商標の顧客吸引力が皆無であるとまではいえず、本
件商標が被服に使用されていたことに鑑みても、本件商標には幾分かの顧客吸引力があり、被
告履物の売上げに寄与したものと認めるのが相当である』と説示し、損害不発生の抗弁を認め
ませんでした。
その上で、裁判所は、損害額について、『本件商標が、平成25年9月26日から遡って3年間、
「履物」に使用されていなかったことからすれば、本件商標の顧客吸引力は必ずしも高いものと
はいえず、また、本件商標と被告各標章の称呼は同一であるものの、被告各標章から「アジル」
以外の称呼も生じ得ること、並びに平成21年度の調査における被服及び履物に係る商標の正
味販売高に対する使用料率の最小値が0.5%であったことにも鑑みれば、本件商標の被告履
物の売上高に対する適正な使用料率は0.3%と認めるのが相当である』とし、損害を算定する
に当たって基礎となる本件商標の使用料率については、低額なものとしました。
以上
【事務所ニュース】
和田 阿佐子弁理士が平成27年 4 月 1 日から入所しました。
国内外の商標に関し豊富な経験を持った若手弁理士です。
新たなメンバーも加わり頑張って参りますので、引き続き何卒宜しくお願い申し上げます。
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