第3学年理科学習指導案 平成14年7月3日(水)2校時 授業者 場所 1 単元名 2 指導に当たって 教諭 渋谷 雄二郎 3年教室 「植物のからだをしらべよう」 (1)単元について 児童は前学年の生活科の学習で草花の種をまいて育て,発芽したときや成長して花が咲いたとき の感動を体験してきている。3学年になり「植物をそだてよう」の単元で,学校周辺の探検をし, 身の回りにさまざまな植物が育っていることに気づくとともに,それらの植物の採集や栽培をして どのように成長していくのか観察を続けている。また,平行して「どんな花が咲くのかな」という 思いで植物の種をまき,芽生えや成長の様子をていねいに観察してきている。 本単元では,児童は,これまで大切に栽培してきた植物の体のつくりに焦点を当てて比較観察し, どの植物も根,茎,葉という共通のつくりをしていることをとらえる。児童は,身近な自然から採 集した植物や数種類の栽培植物を比較観察することで,植物の多様性に驚きを感じ,共通点を見つ けたときに喜びとともに問題を追求する活動に喜びを感じるだろう。また,本単元で焦点をしぼっ て観察学習を行うことで,児童の観察技能を高めることができるとともに,比較して考え,共通点 を見つける学習活動は,科学的な見方や考え方の基礎を養うことにつながる。 したがって,本単元は,児童自身が興味・関心をもって栽培している植物を科学的な見方や考え 方を養うための教材にできるよさがあり,生物の多様性に気づかせることができる魅力的な単元で ある。 なお,植物の個体の育ち方に一定の順序があることについては,児童は,次の「花と実をしらべ よう」の単元で,観察記録を整理し,発表会を開いたりすることでまとめる。そのための布石とし て,本単元で植物を比較観察する際,随時,植物の名前調べなどを行わせ,学習したことが日常生 活と結びついていくように配慮していく。 (2)児童の実態 本学級は,男子8名,女子6名,計14名の少人数学級である。 本単元の指導に当たって事前テストをしたところ,植物の根,茎,葉などの言葉については6名 の児童が知っていて,特に自分が栽培している植物については,どの部分が根や茎,葉なのか知っ ていた。しかし,どの植物の体のつくりにも共通していることだと意識している児童は3名と少な く,違いについても,驚きの目で見ている児童は少なかった。観察技能については4名の児童はよ く見て比べて気づいたことを記録することができるが,他の児童は,見通しをもつことができず, その場限りの観察記録に止まっている。(以下省略) (3)指導の着眼 児童の実態を踏まえ,児童一人一人が楽しく見通しを持って観察学習に取り組んで行けるように, 以下のような手立てで指導に当たりたい。特に,児童がこれまで大切に栽培してきた植物と身近な 自然から採集してきた植物との比較観察に重点を置き,興味・関心を高めながら科学的な見方や考 え方を養っていく。また,観察技能が高まるように観察の視点や記録の取り方を示していく。 ・単元の導入で,児童と育てている植物,児童と採集してきた植物の写真撮影を行ったあと,単 元のテーマ「植物のからだをしらべよう」を提示し,学習への興味・関心を高める。 ・これまでの観察カードを整理し,どのように育ってきたかを発表し合い,見えない根の部分を 想像させ,学習の見通しをもたせる。 ・植物のからだを根,茎,葉に分解できる図を身近な自然から採集した植物と児童が栽培してい る植物の中から数種類選んで準備しておき,導入時の意欲付けと単元のまとめに利用する。 ・ベランダで栽培している植物の成長の様子を観察させたあと,植物の成長が良くなるという理 由で,日当たりの良い場所に植え替えさせる。その際,児童の目に触れやすい昇降口前のプラ ンターに移植し,観察しやすいようにする。 ・観察カードに比較の対象とする身近な自然から採集した植物を記録しておき,根,茎,葉とい う言葉を示すとともに,児童が比較観察しやすいようにする。 ・児童が大切に育てている植物の種類が同じ児童同士でグループをつくり,観察させる。児童が 大切に育てている植物は,根の部分を確認するにとどめ,根の観察は,代替えの植物を準備し て行い,生命を愛護する態度に配慮していく。 ・根,茎,葉を赤,青,緑のペンで囲んで比較して考えさせ,共通点や相違点を見つけやすくす る。 ・児童同士が高め合い,いろいろな見方や考え方ができるように,見つけた共通点と相違点をカ ードに書かせ,黒板に貼らせていく。その児童の言葉を利用しながら,どの植物のからだのつ くりも根,茎,葉という共通の部分からできているということまとめ,理解を深める。 (4)評価の工夫 単元の目標に合わせて,評価規準を作成し,単元全体を通して4つの観点を評価できるように構 成していく。自己評価については,児童の負担を考えて,短時間で1時間あたり1観点ずつ行うよ うにする。児童同士の相互評価については,特に時間を設けず,教師が児童の学び合う様子を観察 する中で,お互いを認め励まし高め合えるように支援していく。 3 単元の目標 身近な自然から採集して栽培している植物と種から大切に栽培している植物とを比較観察して調 べ,植物のからだは,根,茎,葉という共通のつくりをしていることをとらえることができるように する。 ○植物の採集や栽培を通して,植物の体のつくりを比較観察し,体のつくりの共通点(根,茎,葉か らできていること)を理解することができるようにする。 (思考,知識・理解) ○採集した植物や種から育てている植物を観察し,変化の様子を記録することができるようにする。 (技能・表現) ○採集した植物や種から育てている植物の成長に関心をもち,進んで世話をすることができるように する。(関心・意欲・態度) 4 次 1 指導計画(6時間扱い 時間 2 植 物 の か ら だ を し ら べ よ う 学習活動 ・ 育てている植物と一緒の写真を撮る。 ・支援 ☆評価規準 ・ 一緒に写真を撮ることで,興味・関心 を高める。 単元のテーマ 「植物のからだをしらべよう」 そ だ ち か た を し ら べ よ う 2 本時−4/6) ・ 身近な自然から採集した植物と児童が ・本時の課題を知る。 栽培している植物のからだを茎,葉に 育てている植物の成長の様子を観察しよう。 分解して提示し,観察の観点を示す。 ・根,茎,葉という言葉を知る。 ・ 植物の成長が良くなるという理由で植 ・ 見えない根の部分を想像しながら観察し, え替えさせる。その際,児童の目に触 カードに記録する。 れやすい昇降口前のプランターに移植 ・ 育てている植物を日当たりの良い場所に植 し,観察しやすいようにする。 え替える。 ・ これからどのように成長するか話し合い, ☆ 植物の成長の変化に興味をもち,進ん で世話をして,観察しようとする。 世話の仕方を確認する。 (関心・意欲・態度) 2 ・ 育てている植物の根の部分を観察する。 ・ 自分が育てている植物を意識させるた ・ 観察する植物を準備する。 めに行うが,大切に育てていることを 本時 ・ 本時の学習課題を知る。 考慮し,根の部分を確認するにとどめ, 2 / 植物のからだは,どのような部分からできて 代替えの植物を用意しておく。 2 いるのかしらべよう。 ・ 児童が採集した植物を利用し,興味・ 関心を高めると共に,植物のからだの つくりを観察するための視点を示す。 ・ 身近な自然から採集した植物で,根,茎, ・ 育てている植物の種類が同じ児童同士 葉というつくりを確認する。 でグループをつくり,観察させる。 ・ 身近な植物と比較して調べやすいよう ・ グループごとに植物のからだのつくりを調 に工夫した観察カードを準備する。 べ,観察カードに記入し,話し合ってまと める。 ☆ 育てている植物のからだのつくりを 観察し,正しく記録できる。(技能・ ・ 自分が育てている植物のからだも,根,茎, 表現) 葉という部分からできていることを知る。 ☆ 植物のからだの各部を根,茎,葉に分 けて判別することができる。(思考, 知識・理解) 2 ・ 育てている植物の種類ごとに,観察カード を掲示する。 ・ 本時の学習課題を知る。 いろいろな植物の根,茎,葉をくらべよう。 ・ 発表のとき,根,茎,葉を赤,青,緑 のペンで囲ませることで,共通点や相 ・ 調べた植物のからだのつくりを発表し合 違点を見つけやすくする。 う。 ・ 児童同士が高め合い,いろいろな見方 や考え方ができるように,見つけた共 ・ 共通点をまとめ,植物のからだのつくりを 通点と相違点をカードに書かせ,黒板 まとめる。 に貼らせていく。 どの植物のからだも同じように,根,茎,葉 ☆ いろいろな植物のからだを比較し,ど の部分からできている。 れも,根,茎,葉からできていると考 えることができる。(思考) 5 本時の学習 (1)題材 「植物のからだをしらべよう」 (2/2) (2)本時の目標 ○植物の体のつくりを比較観察し,植物のからだが根,茎,葉からできていることを理解すること ができるようにする。(思考,知識・理解) ○採集した植物や種から育てている植物を観察し,正しく記録することができるようにする。 (3)準備物 教師:課題を提示するカード,演示用の児童が採集した植物,児童が育てている植物の代替え, 移植ごて,トレイ,観察カード,まとめを掲示するカード 児童:筆記用具 (4)学習過程(別紙) (5)評価 ☆育てている植物のからだのつくりを観察し,正しく記録できたか。 (技能・表現) →植物のからだの各部の特徴をとらえて記録しているか。 ☆植物のからだの各部を根,茎,葉に分けて判別することができたか。(思考,知識・理解) →植物のからだの各部を指でなぞることができ,各部を示して正しく根,茎,葉と記入してい るか。 (6)板書予定 7/3 植物のからだは,どのような部分から できているのかしらべよう。 演示用の図 (7)座席表 観察カード 根,茎,葉という部分からでき の見本 ている。 (部分省略) 黒板 <場の設定> 1 3 教師 2 アサガオ 5 4 6 7 昇降口前 8 キンギョソウ 9 身近な自然から採集してきた植物 種から栽培している植物のプランター オジギソウ 10 11 13 コスモス 12 14 14鉢 生活班3班分と,みんなで観察するプランター1鉢 主な参考文献 全般的な参考書 [1] 文部省: 「小学校学習指導要領解説 理科編」 東洋館出版社 1999 [2] 文部科学省: 「初等教育資料 No.745∼No.747」 東洋館出版社 2001 大日本図書 1991 宮城県 1993 [3] 武村重和/秋山幹雄編:「理科重要語300の基礎知識」 [4] 文部省: 「小学校理科指導資料 明治図書 指導計画の作成と学習指導」 [5] 藤陸奥雄/雪江美久監修: 「環境教育副読本 宮城の自然と環境」 (4)学習過程(本時 段階 つかむ 45分 追求する 30分 本時 まとめる 15分 2/2) 学習活動 ○ 主な発問 ・ 予想される児童の反応 1 育てている植物の根の部分を観察する。 ○大切に育てている植物のからだのつくりをよく見てみましょう。 ・本葉がいっぱい出てきたな。 ・茎がのびたぞ。 ・根はどうなっているんだろう。 ○根の部分はどうなっているでしょう。 ・白いひげのようになっていると思う。 ・掘ってしまったらかれちゃうよ。 2 観察する植物を準備する。 ○代わりの植物を用意して,同じ植物を育てている人同士でグループを作って 調べてみましょう。 ・うわっ,根っこだ! 3 本時の学習課題を知る。 植物のからだは,どのような部分からできているのかしらべよう。 ○今日は,植物のからだが,どのような部分からできているか調べます。 4 身近な自然から採集した植物で,根,茎,葉というつくりを確認する。 ・あっ,Kくんが育てている草だ。 ・根,茎,葉という言葉は知ってるよ。 5 グループごとに植物のからだのつくりを調べ,観察カードに記入し,話し合 ってまとめる。 ○みなさんが大切に育てている植物は,どんな部分からできているのか,よく 見て観察カードに記録しましょう。そして,グループごとに話し合って,ど んな部分からできているか意見をまとめましょう。 ・きっと,同じようなしくみだ。 ・アサガオは,ひょろひょろの茎がある。 ・コスモスは茎の先に本葉がかたまっている。 ・オジギソウは,どこからが葉っぱなの。 ・わたしは,ここから茎でここが根だと思う。 ・ぼくは,ここは枝だと思う。 ○○○○のからだも,根,茎,葉という部分からできている。 6 次時の課題を知り,自己評価をする。 ○次の時間は,グループごとに発表し合って,植物の体のつくりについて考え ます。今日の理科の学習をして,わかったことやできるようになったことが ある人は,観察カードの右下に三重丸を付けましょう。 形態 指導と支援の工夫,評価 ○ 指導と支援 ☆ 準備物 評価規準 →評価基準 個別 ○自分が育てている植物を意識させるために行うが,大切に 育てていることを考慮し,根の部分を確認するにとどめ,代 替えの植物を用意しておく。 ○これまで観察してこなかった根の部分に着目させ,関心を 高める。 児童が育ててい る植物の代替え ○観察技術の向上をねらって,植物を掘り上げたり,根を洗 移植ごて ったりといった作業を慎重にさせる。 トレイ グループ ○本時の課題をしっかりつかませるために,課題カードを提 課題を掲示する 示する。 カード 演示用の児童が ○児童が採集した植物を利用し,興味・関心を高めると共に, 採集した植物 植物のからだのつくりを観察するための視点を示す。 ○育てている植物の種類が同じ児童同士でグループをつく 観察カード り,観察させる。 ○身近な植物と比較して調べやすいように,観察図例を示し た観察カードを準備する。 ○一人ひとりがよく観察し,記録を取った後,気づいたこと や意見を出し合わせ,自分たちが育てた植物も根,茎,葉の 部分からできていることをまとめさせる。 ☆育てている植物のからだのつくりを観察し,正しく記録で きる。(技能・表現) →植物のからだの各部の特徴をとらえて記録しているか。 まとめを掲示す ☆植物のからだの各部を根,茎,葉に分けて判別することが るカード できる。(思考,知識・理解) →植物のからだの各部を指でなぞることができ,各部を示し て正しく根,茎,葉と記入しているか。
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