学習指導計画pdf(618KB)

5年 図画工作科実践事例
1.単
元
2.指導時期
3.目
標
トローリかたまれ(日本文教出版 5・6年上)
6月
○ 液体粘土を生かし、造形の面白さを感じながら、表し方を構想して表
現する喜びを味わう。
○ 表したいことに合わせて、適した方法や材料を組み合わせ、工夫する。
○ お互いの作品を見て、感じたことや思ったことを話し合い、表現の意
図や特徴などをとらえる。
4.指導にあたって
この題材は、柔らかい素材である布の表面を液体粘土で固め、できた形を何かに見立て、材
料を選び、表し方を工夫してつくることを楽しむものである。児童は、液体粘土のトローリと
した感触のよさや、それが布をカチカチに固めてしまう面白さを味わいながら造形表現を楽しむこ
とができる。
導入は、
「一枚の布を変形させよう!」という指導者の呼びかけから始める。児童は「ねじる」
「絞る」
「裂く」
「編む」
「結ぶ」
「糸と針で縫う」などの操作を通して、一枚の布を変形していく。
そして、その変形した布に液体粘土を塗布して固める。その固まった布をいろいろな方向から眺め
ながら、自分が表したいことを見付けるようにする。
表したいことが見付かったら、それにふさわしい材料を選んで自分の思いに合った立体に構成し
ていく。使う材料の色は、液体粘土の色である白に限定し、材料の形や質感の違いに目を向けるよ
うにする。事前に身の回りにある、綿、発泡スチロール、白いひもなどの白色の材料を集めておく
ように知らせておくとよい。また、紙粘土を用意しておき、人間の形をつくって「自分」や「友達」
に見立てるのも楽しい。
液体粘土で固めた凹凸のある土台に、白い色の多様な素材を使って構成していくこの表現は、自
分なりの感じ方や見方が育ってくる高学年にふさわしい題材だといえる。
また、粘土で固めたとはいえ、生地が薄いので、他の材料との接着・接合で困る場面もあると思
う。自分なりに新たな方法を見付けたり、試みたりするよう励ましていきたい。
さらに、発想するのが苦手だったり、接着・接合で困ったりしている児童が、友達のアイデアや
工夫を参考にできるよう、製作途中に鑑賞の機会をもちたい。
完成した作品は一ヶ所に集めて鑑賞する。白で統一された共同作品として、ダイナミックな力強
さを感じたり、みんなの思いを共有したりする楽しさも味わうことができる。
この単元での基本重要語彙
縫う 編む つなぐ 塗る 変形する 見立てる
○ 色や形、材料の特徴を考えながら、表したいことを見付け
て伝え合う。
○ 作品を製作する過程で、色や形やイメージについて、友達
と語り合う。
この単元で重視した言語活動
○ 自分の造形活動を振り返り、工夫したことや苦労したこと、
楽しかったことを書いたり、話したりする。
○ 他者の作品の表現意図を感じ取り、感想を伝え合う。
5.学習指導計画(全6時間) ★評価の観点
次
時
学習活動(活動のねらい等)
指導上の留意点(活動の流れ等)
Ⅰ
1
1.学習のめあてを確認し、布
○柔らかい布のひだや凹凸が、液体粘土でそのま
時
間
30
分
を変形させる。
ま固定されることを知らせる。
・布を裂く、編む、ひだをつく ○布はタオル地でも、さらし布でもよい。
る、
糸と針で波縫いをして縮
めるなどの操作をして、
思い ○変形した布は紙コップやペットボトルでつ
のままに変形させる。
くった高さの異なる土台にのせて、全体の形を
決める。
2.変形させた布に、液体粘土
を塗って、形を固定する。
・液体粘土を布の表面に手のひ
らで塗りつける。2、3日そ
のまま置いて、固める。
・布を変形し、その形を液体粘土で固めましょ
う。
・長方形のタオルがこんな形に変わったよ。
・縫った糸を引っ張ると、たくさんひだができ
たよ。
・液体粘土の感触が、気持ちいいなあ。
★液体粘土の特徴を生かし、造形の面白さを考え
てつくろうとしている。
Ⅱ
3
時
間
30
分
1.液体粘土で固まったものか
ら、表したいことを見付
け、思いのままにつくる。
○事前に身の回りにある白い材料(綿花、発泡ス
チロール、ティッシュ、白い小包ひもなど)を
集めるように知らせておく。
・表したいことに合わせて、 ○接着・接合は材料に合わせて工夫する。接着剤
材料を選び、
構成の美しさも
の他に、糸と針で縫いつけることにも気付くよ
考えて、
表し方を工夫してつ
くることを楽しむ。
うにする。
・自分の表したいことに合わせて材料を選び、
その使い方を工夫しよう。
・途中で鑑賞の機会をもち、
自分が表したいものについ
て話し合う。友達のアイデア
から新たな発想を得たり、
接
着・接合のよい方法に気付い
たりできるようにする。
・綿は薄く広げて使うと、ふわーっとした雰囲
気になるよ。
・発泡スチロールを切り抜いて、お花をつくろ
う。
・紙粘土で私をつくって、この山の頂上に置こう。
・紙粘土をひも状にして、くるくると巻きつけよう。
★表したいことに合わせ、適した方法や材料を選
んだり、組み合わせたりして思いのままにつく
ることができる。
1
時
間
1.自分や友達の作品を鑑賞し、 ○製作後、表し方や、自分の気持ちの変化を振り返
自分の表現を振り返る文章
り、工夫したことや苦労したこと、楽しかったこ
を書いたり、互いにそれを読
となどを文章に書き、それをお互いに読んで感想
んだりする。
を話し合うようにする。
本
時
・振り返りの文章を読み合い、
(
)
Ⅲ
互いの工夫やよさに気付く。
・製作過程を振り返ったり、自分や友達の完成
作品を見て思ったり考えたりしたことを、文
章にまとめてみましょう。
【ワークシート①】
・友達はこれをどうやって接着したんだろう。
「トローリかたまれ」
・同じ材料なのに、こんな使い方が
あるんだ!
・自分が思うようにつくるのは楽しいなあ。
・文章を書くと、自分の思いが広がっていった
ことがよくわかるな。
★自分や友達の作品に関心や親しみをもち、表現の
よさや工夫を感じとることができる。
<作品カード>
作品の題名
表現したかったこと
ヤマオリ
6.本時の展開(6/6) 使用するワークシート【ワークシート①】
学習活動(活動のねらい等)
指導上の留意点(活動の流れ)
自分のイメージを
自分や友達の完成した作品を鑑賞する。
端的に表す題名を
1.完成した作品を鑑賞 ○完成した作品には、自分の作品にぴったりの題名
考えたり、作品で
し、表し方の違いや
と、自分が表現したいと思ったことを短くまとめ
表したいと思った
よさ、工夫などに気
て書いた作品カード(本書135ページ参照)を
ことを短い文章に
付く。
付けておく。
まとめたりするこ
とは大切である。
自分の表現を振り返る文章を書く。
それにより、自分
2.ワークシートに、自 ○次の4つの観点で製作活動を振り返るようにす
分の表現を振り返っ
る。
が表したかったこ
とをあらためて確
たり、友達の作品を
・自分の表現を振り返る文章を書こう。
見たりして、気付い
苦労したこと、工夫したところ、一番
たことを書く。
楽しかったこと、自分や友達の作品を
認できる。
見て気付いたことなどを書きましょ
う。
「ここは苦労したなあ…」
・布を裂いたりひだをつくったりして変形
することが意外に難しかった。
・接着・接合方法を材料によって変えるこ
とに苦労した。
製作時に困難だと
感じた事実を具体
的に書けるように
する。
「ここは工夫したよ!」
工夫は、何をどの
・糸と針でひだをつくるとき、目を細か
くしたり荒くしたりすると、面白いひ
だができました。
・紙ひもをほぐして使うと形に変化が出
るし、雰囲気も柔らかくなりました。
ようにするため
に、どんな工夫を
したのかを明確に
書けるようにす
る。
「一番楽しかったことは…」
・液体粘土の感触が最高! ヒヤッと冷た
くて気持ちがよかったです。
楽しかったこと
は、どの事実から、
・紙粘土で「自分」の人形をつくって作
どんな思いを感じ
品に置くと、本当に自分が作品の世界
たか、根拠を明確
にもぐりこんだ感じがした。
にして書けるよう
にする。
「自分や友達の作品を見て、気付いたこと」
・上に高く積み上げた紙コップがおとぎ
の国のお城のように見えます。
・みんないろいろな接着方法を考え出し
ているな。
作品のどんな形か
ら、何に気付いたか
を明確にして書け
るようにする。
書いたものを発表し合い、互いの工夫やよさに気付く。
3.書いた文章を基に、 ○振り返りの作文を基に作品を見ながら、よさや工
互いの工夫やよさを
夫点を発表する。
発表する。
○互いのよさや工夫点を発表することにより、完成
振り返りの文章を基
した作品を見るだけではわからない、製作過程の
に発表することによ
苦労や工夫に気付くようにする。
り、互いの表し方の
・作文を基に、自分の工夫点や友達のよ
さを発表しよう。
違い、工夫やよさな
どをとらえることが
できる。互いに伝え
・Aさんは粘土でつくった人間を固定する
のにとても苦労していたのだな。最後に
竹串を使うことを見付けてあんなに
しっかりと固定できたんだ。
・つくるにつれて、どんどんイメージが広
がっていったことが、よくわかったよ。
板書例
せいさく
☆ 製作をふり返る文章を書こう!
・ ここは苦労したなあ…
・ ここは工夫したよ!
・ 一番楽しかったことは…
・ 自分や友だちの作品を見て気づいたことは…
合い、交流する機会
を大切にする。
ワークシート活用のポイント
【図-5年 ワークシート①】
(記入例 1)
トローリ かたまれ
5年
組
名前(
)
「自分の造形活動を振り返り、工夫したこ
とや苦労したこと、楽しかったことを書い
たり、話したりする」
ここは苦労したなあ…
ぬのをさいたり、ひだをつくったりして変形す
ることが意外にむずかしかったです。
○自分の表現を振り返って感じたこと、気
付いたこと、考えたことを書く。書くこ
ここは工夫したよ!
糸とはりでひだをつくるとき、目を細かくした
り、あらくしたりすると、面白いひだができまし
とで、自分の苦労や工夫が鮮明になり、
あらためて成就感を感じることができ
る。
た。
一番楽しかったことは…
えき体ねん土のかんしょくが最高!
○書いたことを基にして話し合うことで、
自分や友達のよさや工夫がより明確に
なる。
ヒヤッと冷たくて気持ちがよかったです。
自分や友だちの作品を見て気づいたことは…
○○さんの作品は、上に高く積み上げた紙コッ
プが、おとぎの国のおしろのように見えました。
(記入例2)
トローリ かたまれ
5年
組
名前(
ここは苦労したなあ…
四角いタオルを思うような形に変形することが
むずかしかったです。
ここは工夫したよ!
だ円形の発ぽうスチロールを細長く切って花び
らにして、大きな花をつくりました。それがとて
も気に入っています。
一番楽しかったことは…
小さいときに、どろ遊びしたことを思い出しま
した。ぬるぬるした感じがとても気持ちよかった
です。
自分や友だちの作品を見て気づいたことは…
みんなの作品を全部ならべると、真っ白のすご
いはくりょくのある世界があらわれました。
重視した言語活動
)