EPTJ Newsletter from DKN Research

#0704、2007年1月28日
今週の話題
韓国のカラオケバーで
先週は韓国内をあちこち回っていろいろな会社を訪問したり、人にあったりしており
ました。私が訪問するのは、だいたいプリント基板か関連するメーカーのあるところです
から、ソウルのような大都会ではなく、安山市のように工業団地の集まっている地方都
市です。
韓国でビジネスのミーティングをすると、夜はよく豪華な宮廷料理のディナーに招待
されます。食事だけでも2時間くらいはかかってしまいますが、それで終わりではなく、
クラブやバーでもうしばらく時間をつぶすというのは日本と同じです。韓国でもカラオケ
は盛んで、地方の町といっても、夜に人が集まる繁華街にはカラオケバーの看板が軒
を連ねています。私も今回は1度だけ韓国でカラオケバーに出かける機会がありました。
韓国人の友人が連れていってくれたのは、おそらく典型的な地方都市のカラオケバー
なのでしょう。 韓国人の友人は女性に囲まれて、何か楽しくやっています。ところが、店
の女性陣は日本語も英語もほとんど話せません。私の韓国語は挨拶程度ですから、
お互いに全く会話になりません。
こうなると、水割りでも飲み続けるか、カラオケを歌うぐらいしかすることがありませ
ん。一人の女性が分厚いカラオケのメニューを2冊持ってきました。1冊目は韓国人用
のものらしく、全てハングルで書かれています。おそらく韓国の流行歌が入っているの
でしょう。2冊目は外人用のものらしいので、さっそくページを繰ってみます。最初の10
ページは日本語で、日本の少し古い流行歌が並んでいます。ところが、その後が実に
多様なのです。ロシア語、タガログ語、タイ語、ベトナム語、マレー語、トルコ語、等々通
常我々が目にすることのない文字が踊っています。意外なことに英語と中国語はあり
ません。
当然、需要があるから供給されているのでしょうが、なぜこのような他言語のカラオ
ケメニューが韓国で普及しているのでしょうか。マレーシアぐらいなら、まだ可能性があ
るかもしれませんが、トルコのビジネスマンがエレクトロニクス製品の取引のために、こ
のような地方都市をそれほど頻繁に訪れているとは考えられません。
答えは韓国の労働力市場にありそうです。韓国のエレクトロニクス産業も目覚ましい
勢いで伸びており、メーカーは慢性的な労働力不足に悩まされています。ただ韓国が
日本と違うのは、外国人労働者に対するハードルがはるかに低く、東南アジア、中国、
ロシアなどからまとまった人数の出稼ぎ労働者を受け入れているのです。言葉のバリ
アーがあるので、高いスキルを必要とするような作業には付けられませんが、プリント
基板のパンチングプレスのような単純な仕事であれば、十分可能です。そういえば、フ
レキシブル基板工場の最終工程で、金髪のロシア人女性が並んで打ち抜きや、補強
板貼りなどの作業をしているのを見たことがあります。彼ら、彼女らは家族を故国にお
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いて、単身で出稼ぎにきていますので、それを相手にしたカラオケバーというものが繁
盛しているようです。
韓国でも、おそらく半導体デバイスや液晶パネルなど、技術集約型の主要プロセス
では、このような外人労働者はほとんど使っていないでしょう。しかし、メッキや部品の
組み立てのような労働集約型の産業、それも下請け、孫請けなどの仕事をこなしてい
る中小企業メーカーでは、安い人件費の労働力を必要としており、その需要を満たす
べくしかるべき人材斡旋会社などができているのでしょう。これが日本ならば、さまざま
な規制があり、とても実現性があるとは思えません。
だからといって、日本の方が良いとか、韓国の方が進んでいるなどということをいうつ
もりは全くありません。ただ、韓国の安カラオケバーで思わぬ発見をし、韓国製造業の
「国際的なレベルでの柔軟性」に妙に感心してしまった次第です。
沼倉研史
DKN リサーチ
今週のヘッドライン
2007年1月28日
1. サンミナSCI(米国EMS最大手)1/19
全社的な合理化の一環として、フィンランドの従業員500名の内、150名をレイオ
フする方向で協議を開始。
2. Mフレックス(米国のフレキメーカー最大手)1/19
シンガポールのフレキシブル基板メーカー大手MFSテクノロジー社の買収を断念。
3. デジタイムス(台湾の業界メディア)1/22
台湾の大手PCメーカーは、いずれも2007年に強気の見通し。コンパルは38%
上方修正。
4. インテル(米国半導体メーカー最大手)1/22
韓国、台湾、中国で、それぞれ複数の自動車関連メーカーとカーエレクトロニクス
製品の開発で協力へ。
5. 中国 1/23
2006年に中国では、従来の携帯電話登録者の17.2%にあたる6788万人が
新規に登録。
6. デジタイムス(台湾の業界メディア)1/24
.台湾の大手マザーボードメーカー4社の第1四半期の出荷は、前期比で1.9%の
減少となる見通し。
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7. Denel (南アフリカの基板組み立てメーカー)1/24
今年の5月までに、プリント基板組み立て装置を売却へ。
8. Advanced SCT (シンガポールの銅素材ディーラー)1/24
プリント基板から銅を再生する新しい工場の起工式を挙行。
9. IPC(米国)1/24
12月の北米プリント基板産業のB/Bレシオは、前月と同じ0.92。リジッド基板
は0.92、フレキシブル基板は0.90。
10.RBP Chemical Technology (米国の化学品メーカー)1/25
今後需要の大きな成長が見込めるインド市場へのサービスを強化するめに、現地
に製造工場を建設へ。
11.マイクロソフト(米国ソフトメーカー最大手)1/25
ゲーム機のXボックス360の採算を改善するために、部品納入メーカーに対して5
∼15%の値下げを要請。
12.IDC(米国の市場調査会社)1/25
2006年の世界の携帯電話出荷台数は10億台を突破したと推定。
13.AT&S(オーストリアの基板メーカー大手)1/25
06/07第3四半期の売り上げは急回復。1億25百万ユーロで、前年同期比で3
2%増。
14.Scanfil (フィンランドのEMS)1/25
全社的な合理化の一環として、フィンランド国内2工場で183名の従業員をレイオ
フに。
15.フレクストロニクス(シンガポールのEMS大手)1/25
台湾の携帯電話用フレームメーカーの Chi Cheng Enterprise と戦略的な業務提携
で協議。特に資本の投入は無い見込み。
16.IBM(米国コンピュータ最大手)1/26
プリンター事業を整理するために、分離へ。このためニューヨーク州エンディコット
工場で60名の従業員を整理。
17.Mio Technology (台湾の電子機器メーカー)1/26
欧米向けGPSシステムが急成長。05年は90万セット、06年は160万セット、07
年は350万セットを見込む。
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18.モトローラ(米国エレクトロニクス企業大手)1/26
携帯電話事業の急成長に対応するために、液晶ディスプレイの調達先として、これ
までのシャープ、三洋、エプソン、ウィンテックの他に、新たに台湾のAUOを追加。
19.アスポコンプ(フィンランドの基板大手)1/26
最近の事業の不振状態を打開するために、インドを中心として、アジアで積極投資。
20.ソレクトロン(米国EMS大手)1/26
昨年年末にマレーシアの工場で発生した、プリント基板の大量盗難事件に関して、
現地警察は10名の容疑者を逮捕。
21.Victory Circuit (台湾の基板メーカー)1/26
中国の子会社、Victory Circuit Changshu 社の製造能力を強化するために、新た
に製造装置に170万米ドルを投資。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の誤訳や数
字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
DKNリサーチ
栄泰産業株式会社
最近の興味深い文献から
Articles of DKN Research
1. New “2006 Global Material Projection for Flex Circuit” DKN Research, October,
2006. http://www.dknresearch.com/Products.html
2.「カーエレクトロニクス用プリント配線板入門ーフレキシブル基板」沼倉研史、日刊工
業新聞社、2006年6月発行、2400円
“Introduction for the Printed Circuit Boards of Car Electronics, Flexible Circuits”,
(Japanese only), Dominique Numakura, Nikkan Kogyo Shinbun, June, 2006, 2400 yens.
3. New「先端実装インサイド、No.22.高密度実装への道(4)始めはどうだったか、F
DD、CDドライブ」沼倉研史、実装技術、2007年1月号
“The latest semiconductor package, Part XXI, Teardown Analysis of FDD, CD Drive”,
Dominique Numakura, Electronics Packaging Technology, January, 2007
4. “Five Year Projection of the Global Flexible Circuit Market” Robert Turunen,
Dominique Numakura and James J. Hickman, The Board Authority, Volume 7, August,
2006
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5.「フレキシブル基板材料の技術動向と需要予測」沼倉研史、工業調査会、2006年1
0月号
“Technical Trends and Market Projection of the Materials for the Flexible Circuits”,
(Japanese only) Dominique Numakura, Denshi Zairyo, October, 2006
6.「最新ポリイミド材料と応用技術高機能フレキシブル基板と材
料―」沼倉研史、シーエムシー出版、2006年8月
“Leading Edge Material and Application of Polyimide (Materials for the Advance
Flexible Circuits)”, Dominique Numakura, CMC publication, August, 2006
7. New “Business Trends and Technology Trends of the HDI Flexible Circuits Roadmap for the Ultra High-Density Advanced Flexible Circuits”, Dominique
Numakura, KPCA, October 31, 2006
From the Major Industry Magazines
1. “Innovative Solutions for Leading Edge Designs”, George Milad and Mario Orduz,
CircuiTree, January, 2007.
2. “Finding hidden Placement Problems ‐ Recalibrating equipment improves
placement yields”, Kary Voegele, Circuits Assembly, December, 2006.
3. “Screen Printing in the Dawn of Fuel Cells”, Darren Brown, SMT, December, 2006
4. “Laminate Material Selection for RoHS ASSEMBLY, Part 2”, Ed Kelley and Erik
Bergum, Printed Circuit Design & Manufacturing, December, 2006.
5. “Innovations in Computer Tomography, 3-D X-ray Inspection has Arrived”, David
Bernard, Advanced Packaging, November/December, 2006
6. “From Chips to Systems via Packaging ‐ A Comparison of IBM’s Mainframe
Servers”, Hubert Harrer, George A. Katopis and Wiren Becker, IEEE Circuits and
Systems Magazine, 4th Quarter, 2006
7. “Under the Hood-Latest DESIGN GEMS Unearthed”, presented by EE Times and
techonline, December 2006
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