EPTJ Newsletter from DKN Research

#0713、2007年4月1日
今週の話題
台湾エレクトロニクス業界のしたたかさ
先週は米国の大手携帯電話メーカーであるモトローラ社の業績低迷により、
台湾の多くの組み立てメーカー、プリント基板メーカー、電子部品メーカーなど
のビジネスに大きな影響をおよぼしているということをご紹介いたしました。裏
返していえば、台湾メーカーがいかに世界の携帯電話市場の中で重要なポジショ
ンを占めているかということを表していることになります。今週ヘッドラインの
中には、その台湾のエレクトロニクスメーカーがいかにしぶとくビジネスを維持
しているかを表すようないくつかのトピックスが見受けられます。
EMS最大手のフォックスコン社は、モトローラ社の主要外注先の1社で、
モロトーラショックのダメージも小さくなかったはずですが、2月の売り上げは、
42%の増大で、依然として力強く成長しています。仮にモトローラのプロジェ
クトが減少しても、その他に、ノートPC、デジタルカメラ、ゲーム機などが好
調で、モトローラの穴を完全に埋めています。プリント基板メーカーも、2月は
季節要因にしてはちょっと大きめの下落となりましたが、いずれ元のレベルにも
どすものと考えられます。セラミック関連の部品などは、品不足などが予想され
るような事態です。
同じ携帯電話でも、台湾メーカーは韓国や中国のメーカーのためにも、下請
け的な生産を行っています。今週は Arima Communication 社が、韓国の大手メー
カーであるLG電子向けに、OEM生産を開始するというニュースが出ています。
また新年早々話題になっている米国アップル社のiPhoneの実際の組み立て
はほとんど台湾メーカーです。韓国のもう一つの大手メーカーである三星電子や
中国の多くの携帯電話メーカーに対する供給も始まっています。ただ実際の組み
立てを行っているのは、台湾メーカーの中国工場という図式が一般化しつつあり
ます。
パーソナルコンピュータについては、以前から台湾メーカーがマザーボード
で高いシェアを持っていることは良く知られた事実ですが、最近は完成品でのシ
ェアも確実に上昇しています。PC大手のデルやHPの生産はほとんど台湾メー
カーが請け負っていますし、米国でこのところシェアを伸ばしているアップル社
のPCなどは、始めから台湾での生産を前提にしているようです。またIBMの
PC部門を買収した中国のレノヴォ社は、生産の一部を台湾のメーカーに委託し、
その台湾メーカーは、中国の現地工場で量産を行うという冗談のような状況も起
きています。
アップル社のiポッドに代表されるMP3製品は、現在世界市場をどんどん
拡大していますが、その生産のほとんどは台湾メーカーです。市場の競争激化が
1
伝えられるコンピュータゲーム機は、日米の3社の争いということになっていま
すが、これも実際に生産しているのは、台湾メーカーです。
一方で、今週のヘッドラインにもあるように、台湾の Wistron 社は、採算の
合わないマイクロソフトのXbox360の生産をやめるとのことです。また将来
性がないと見た台湾のFPDメーカーはプラズマテレビなどからは、さっさと撤
退しています。
このように見てくると、華々しい民生エレクトロニクスの表の世界では、日
米のブランドメーカー、それに最近では韓国メーカーも加わって派手なプロモー
ション活動が目につきますが、実際の生産の大部分は台湾メーカーとなっている
のが実情です。著しい成長が伝えられる中国も、実際には台湾系メーカーによる
ものです。こうして見ると、世界のメーカーがしのぎをけずる民生エレクトロニ
クス産業も、現実には台湾メーカーの手のひらの上での戦いという気がしてくる
のは私だけでしょうか。
DKN リサーチ
沼倉研史
今週のヘッドライン
2007年4月1日
1.
ジェイビルサーキット(米国EMS大手)3/23
第1四半期の予測を大幅に下方修正。株価は10%以上の下落。
今後大規模の合理化が必要か。
2.
マイクロソフト(米国のPCソフトメーカー最大手)3/26
新たな事業として、audio phone や video phone を準備中。
3.
Palm (米国のPDAメーカー大手)3/26
前週の会社売却のうわさに、台湾の部品供給メーカーが動揺。
買収先として大手携帯電話メーカー、PCメーカーの名前も。
4.
Wistron (台湾のエレクトロニクスメーカー大手)3/26
採算改善のために、ゲーム機の Xbox360 の生産をやめる可能性。
マイクロソフト社は代わりにカナダのEMS大手セレスティカ社を
ベンダーとして追加認定。
5.
ノキア(フィンランドの携帯電話メーカー最大手)3/26
ルーマニアの Cluj に同社の11番目の携帯電話組み立て工場を建設へ。
投資額は約6千万ユーロに達する見込み。
6.
In-Stat (米国の市場調査会社)3/26
2006年における世界のMEMSの市場規模は7億27百万ドル。
2
2009年には10億ドルに成長すると予測。
7.
Sony Ericsson (携帯電話メーカー大手)3/26
フランスのエレクトロニクスメーカーの Sagem 社に、廉価品の携帯電話の
生産を委託することで戦略的な業務提携。
8.
EEタイムス(米国の業界雑誌)3/27
世界のEDA市場は、前年比で11%の成長で、44.5億米ドルの
規模に。
10.
ノキア (フィンランドの携帯電話メーカー最大手)3/26
2006年の廉価携帯電話の出荷は4000万台に。世界シェアの
56.4%を維持。
11.
PSMA(電子部品関連の業界団体)3/27
プリント基板に搭載する電源モジュールについて、業界で初めての
まとまったガイドラインを出版。
12.
TRENDFOCUS (米国の市場調査会社)3/27
HDDの新たな需要が期待され、今後5年間で世界市場は
25億台にまで成長と予測。
13.
サムスン電子(韓国のエレクトロニクス企業最大手)3/37
業界で初めてとなる、1.8インチタイプの64GB/8GB
フラッシュ・ソリッドステートドライプを発表。
14.
ホンハイ(台湾のEMS最大手)3/27
3月の売り上げは42%増の21.7億米ドル。アップル、ソニー、
任天堂、レノヴォ、ノキアなどからの受注が好調。
15.
デジタイムス(台湾の業界メディア)3/28
任天堂社の Wii、マイクロソフト社のXbox360 などのゲーム機の
組み立てに関して、台湾メーカー再編成の動き。
16.
フォックスコン(台湾のEMS最大手)3/29
中国の事業所では、初めての組合が結成され、その最初の会合が
持たれる。中国全土で20万人の従業員の内、1153名が加盟。
17.
Freedonia Group (米国の市場調査会社)3/29
世界のスペシャルティーフィルムの市場は、今後年あたり4.8%の
成長率で、2010年には73億ドルの規模になると予測。
3
18.
CIPSA Circuits (スペインの基板メーカー)3/30
インドでの事業拡大のために、現地のJV、CIPSA-RIC 社の資本金を
積み増し。
19.
DRAMeXchange (半導体関連の市場調査会社)2/28
4、8、16GBの NAND フラッシュメモリーチップの市場価格が、
3月になってから4∼7%上昇。iPhone の立ち上がりが影響か。
20.
Arima Communications (台湾のEMS大手)3/29
2007年は、韓国のLG電子向けの携帯電話を取りあえず
2百万台程度生産する計画。
21.
DisplaySearch(米国の市場調査会社)3/29
世界の液晶ディスプレイパネルの市場価格は安定化の方向。
プラズマディスプレイパネルの価格は依然として下落傾向。
22.
アスーステック(台湾のマザーボード最大手)3/30
自社ブランドのノートPC事業は分離する方針。マザーボードと
ゲーム機事業は本社内で継続。
23.
IPC(米国)3/30
2月の北米プリント基板産業のB/Bレシオは、0.05改善して
0.96に。硬質基板の需給インデックスは反発、フレキシブル基板は
下落。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の
誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
DKNリサーチ
栄泰産業株式会社
最近の興味深い文献から
Articles of DKN Research
1.
2006 Global Material Projection for Flex Circuit
DKN Research,
October, 2006. http://www.dknresearch.com/Products.html
4
2.「カーエレクトロニクス用プリント配線板入門ーフレキシブル基板」沼倉研史、
日刊工業新聞社、2006年6月発行、2400円
Introduction for the Printed Circuit Boards of Car Electronics,
Flexible Circuits , (Japanese only), Dominique Numakura, Nikkan Kogyo
Shinbun, June, 2006, 2400 yens.
3. 「先端実装インサイド、No.22.高密度実装への道(4)始めはどうだ
ったか、FDD、CDドライブ」沼倉研史、実装技術、2007年1月号
The latest semiconductor package, Part XXI, Teardown Analysis of FDD,
CD Drive , Dominique Numakura, Electronics Packaging Technology,
January, 2007
4.
Five Year Projection of the Global Flexible Circuit Market
Robert
Turunen, Dominique Numakura and James J. Hickman, The Board Authority,
Volume 7, August, 2006
5.「フレキシブル基板材料の技術動向と需要予測」沼倉研史、工業調査会、20
06年10月号
Technical Trends and Market Projection of the Materials for the
Flexible Circuits , (Japanese only) Dominique Numakura, Denshi Zairyo,
October, 2006
6.「最新ポリイミド材料と応用技術高機能フレキシブル基板と材
料̶」沼倉研史、シーエムシー出版、2006年8月
Leading Edge Material and Application of Polyimide (Materials for the
Advance Flexible Circuits) , Dominique Numakura, CMC publication,
August, 2006
7.
Business Trends and Technology Trends of the HDI Flexible Circuits
Roadmap for the Ultra High-Density Advanced Flexible Circuits ,
Dominique Numakura, KPCA, October 31, 2006
From the Major Industry Magazines
1.
Flex-Based Interconnection Structures for High-Speed Applications
Joseph Fjelstad, CircuiTree, February, 2007.
2.
Organic and Printed Electronics: The Next Big Things?
Gamota and Jie Zhang, Circuits Assembly, February, 2007.
5
, Daniel
,
3.
First Article Inspection: Understanding the Problems
SMT, February, 2007
, Greg Ross,
4.
The PCB Design Outsource Proposition. Is outsourcing the right
solution for your company? , Joseph Zaccari, Printed Circuit Design &
Manufacturing, February, 2007.
5.
Fluxless Wafer Bumping by Electron Attachment , Christine Dong,
Richard Patrick, Eugene Kawacki and Gregory Arslanian, Advanced
Packaging, January/February, 2007
6.
From Chips to Systems via Packaging ‒ A Comparison of IBM s
Mainframe Servers , Hubert Harrer, George A. Katopis and Wiren Becker,
IEEE Circuits and Systems Magazine, 4th Quarter, 2006
7.
Under the Hood-Latest DESIGN GEMS Unearthed
Times and techonline, December 2006
6
,
presented by EE