EPTJ Newsletter from DKN Research

#0741、2007年11月4日
今週の話題
米国メーカーの営業とは
米国のプリント基板メーカーや電子部品メーカーとつきあっていて、時々違
和感を感じるのは Marketing と Sales との分業が進んでいることです。日本語に
直訳すれば、営業と販売ということになるのでしょうが、実際の担当者の動きを
見ていると、日本の企業でいう営業、販売の感覚とは微妙な差があります。もう
ひとつわかりにくい職種を加えるとすれば、Planning(企画)という担当です。
日本の中規模以下の企業では営業と販売を分けている会社は少ないでしょう。
多くの場合、営業部門長が客先に関することは全ての責任を持ち、需要動向の調
査から、販売促進活動、得意先との交渉、そして代金回収まで行っていると思い
ます。中でも重要な仕事は、得意先からいかにしてより多くの注文をもらうとい
うことでしょう。中小企業のことですから、営業部門とて多くのスタッフが潤沢
にいるわけではなく、たいていは各営業担当者が多くの役割をこなしています。
ところが、アメリカのプリント基板メーカーなどでマーケティングといえば、
市場動向の調査や販売促進のための材料を作ることが主な仕事で、実際に得意先
との交渉はほとんど行いません。それではセールス担当が得意先との接点になっ
て受注活動をしているかというと、そうでもなさそうです。多くのセールス担当
は、得意先との連絡係以上のことをしていません。日本の営業担当者に比べると、
得意先との接触は希薄なので、時々得意先の重要な情報を見落としたりします。
特に悪い情報ほど見逃しがちです。得意先のビジネスが不調で減産になり、部材
の調達が減少するなどという情報は、案外入ってきません。
意地悪な言い方をすれば、アメリカの企業のマーケティング、セールスの担
当者は、ドライなサラリーマンで、与えられた業務以上のことをやりません。彼
らが、得意先との交渉の中で、全く新しいプロジェクトやビジネスを獲得してく
るような事態はほとんど期待できません。時々、営業担当者が、受注増に寄与し
たということで、社内表彰されることもありますが、たいていは得意先のビジネ
スが好調なので、受注が増えただけで、本人の努力とはあまり関係ありません。
それでは、アメリカのメーカーで、だれが実際の受注活動を行うのかという
と、それは社長か、それに準ずる会社経営の責任をもった役職者ということにな
ります。彼らは、会社と一心同体ですから、いかにして受注を増やすか、新しい
ビジネスを立ち上げるかということに総力を上げてあたります。外からみればト
ップセールスなどと呼んだりしますが、中身はそんな生易しいものではありませ
ん。会社の創業者的な社長は、だいたいクリエイティブなセンスを持っており、
事業の拡大に積極的ですが、彼らが年を取り、引退モードになってくると、会社
の勢いもなくなってくるようです。
このような責任者の他に、アメリカ企業の場合にはレップという力強い味方が
います。レップ(Representatives)とは、地域ごとの販売代理店のようなもの
1
ですが、多くは一匹狼的な個人か、大きくても数人の企業です。彼らは歩合で収
入が決まるので、いかにしてより多くの受注を得るか、新しいプロジェクトを獲
得するかということに努力します。ただレップは、メーカーの対応が悪いと、競
合メーカーに鞍替えしたりするので、100%気が許せるパートナーというわけ
でもありません。
北米のプリント基板業界は、2001年のバブル崩壊以来低迷が続いています
が、このような米国基板メーカーの営業体質では、低迷するビジネスを打破する
ようなアイデアを期待するのは難しいかもしれません。今年になってから、北米
の基板業界はさらに厳しい状況になってきており、今後さらなる縮小が起きる可
能性があります。
沼倉研史
DKN リサーチ
今週のヘッドライン
2007年11月4日
1.
フォックスコン(台湾のEMS最大手)10/29
中国の China s Alibaba.com Ltd.(ネット関連の企業)の株式の
0.347%を2億3930万香港ドルで購入。
2.
Nam Tai Electronics (香港/カナダのEMS大手)10/29
2007年第3四半期、売上げは6.4%下がって2億450万ドル。
利益は5%増の1270万ドル。
3.
ベトナム 10/29
ホーチミン市近郊の Saigon Hi-tech Park (SHTP)は、この5年間で28社
の外国企業を誘致に成功。総投資額は14億ドル以上に。
4.
Seagate Tech (米国HDDメーカー最大手)10/29
北アイルランドの工場を閉鎖へ。従業員780名はレイオフへ。全世界の
従業員の1.5%。
5.
Elcon Pcb (デンマークの基板メーカー)10/29
2006/2007会計年度の税引き前利益は、
マイナス266,000DKr で赤字。約5万米ドル。
6.
Express Manufacturing (米国の基板、EMSメーカー)10/29
過去12ヶ月で、従業員は22%増の700名に。カリフォルニア州
オレンジカウンティでは、フォックスコンを抜いてトップに。
7.
NOTE AB (スウェーデンのEMS企業)10/30
2
ポーランドのクラコフで、地元の Fideltronik IMEL 社と50:50の
合弁企業を立ち上げへ。
8.
Flextronics (シンガポールのEMS大手)10/30
Gothenburg の embedded solutions consulting unit をスウェーデンの
IT企業 Prevas 社に売却。
9.
Cuptronics (スウェーデンのエレクトロニクス企業)10/30
プリント基板の製造コストを半減させる新しい技術を開発。導体を転写
する技術か。
10.
DDi (米国の基板メーカー大手)10/30
米国の軍規格 MIL-PRF-55110G の認定を取得。今後航空宇宙関連分野で
の多層基板ビジネスに弾み。
11.
Songwon R&D (韓国の化学会社)10/31
ハロゲン元素を含まない新しい難燃化剤3種をプリント基板用に開発。
12.
フォックスコン(台湾のEMS最大手)11/1
任天堂向けゲーム機 Wii の出荷が好調。2007年第3四半期の利益は
67%増の30億台湾ドルに。
13.
Compal (台湾エレクトロニクス大手)11/1
第4四半期のノートPCの出荷は、第3四半期に比べて10%増加の
見込み。来年はさらに30%の増加を予測。
14.
Eastman Kodak (米国フィルム、カメラメーカー)11/1
2007年第3四半期の利益は3700万ドルで、黒字に転換。
デジタルカメラ販売の増大が寄与。合理化費用は最小限に留まる。
売上げは26億ドル。
15.
EIU ViewsWire Vietnam (ベトナムのメディア)11/1
2006年のエレクトロニクス製品の輸出は18億ドルで、前年比で
25%増。インテルの新工場開設などもあり、今後さらに成長を予測。
16.
デジタイムス(台湾の業界メディア)10/29
2007年9月末における、中国の携帯電話登録数は5億23百万件。
前年同月比で18%の増大。
17.
Acer (台湾のPCメーカー大手)10/29
3
中国での労働力の確保が難しくなっており、今後の中国でのPC生産の
懸念材料。
18.
Molex (米国コネクターメーカー大手)10/29
ミネソタ州セントポールに建設中だった新工場が稼働。以前に買収した
Century Circuits の機能も移転。
19.
デジタイムス(台湾の業界メディア)10/29
低迷していた台湾のフレキシブル基板業界は回復基調に。今後3年間は
大幅な市場価格の下落はないと予測。
20.
デジタイムス(台湾の業界メディア)10/29
2008年第四半期における台湾のノートPC生産は26百万台に
達する見込みで、ODMメーカーでは部品供給不足を懸念。
21.
Frost & Sullivan (米国の市場調査会社)10/23
2005年の中国における難燃剤の出荷は、53万トン。今後の
経済成長により、2012年には81万トンにまで増大と予測。
(注)このヘッドライン・ニュース・レターは速報性を重視するために、若干の
誤訳や数字の変換に誤りがある場合もございます。ご了承下さい。
DKNリサーチ
栄泰産業株式会社
最近の興味深い文献から
Articles of DKN Research
1. New
Screen Printing for High-Density Flexible Electronics , Robert
Turunen, Masafumi Nakayama and Dominique Numakura, Printed Circuit FAB,
October, 2007, http://pcdandm.com/cms/content/view/3846/95/
2. New 「印刷法による高密度多層フレキシブル•エレクトロニクス回路の総合加
工プロセス技術」沼倉研史、電子材料、 2007年10月号、 工業調査会、
Total Process Solution for the High-Density Multi-layer Flexible
Printable Electronic Circuits , (Japanese only) Dominique Numakura,
Denshi Zairyo, October, 2007
3.New「先端実装インサイド、No.31.高密度実装への道、携帯電話」沼倉
研史、実装技術、2007年10月号
4
The latest electronics package, Part XXXI, Cellular Phones ,
Dominique Numakura, Electronics Packaging Technology, October, 2007
4. New
Coombs
Printed Circuits Handbook, 6th Edition, Part 15Flexible Circuits , Dominique Numakura, McGraw Hill, New York,
September, 2007
5. New DKN Research Develops Film Base Connector
September, 2007.
, Circuits Assembly,
6. 「フレキシブル基板材料」沼倉研史、電子材料、 2007年4月号、 工業
調査会、
Flexible Circuit Materials , (Japanese only) Dominique Numakura,
Denshi Zairyo, April, 2007
7.
Business Trends and Technology Trends of the HDI Flexible Circuits
Roadmap for the Ultra High-Density Advanced Flexible Circuits ,
Dominique Numakura, KPCA, October 31, 2006
From the Major Industry Magazines
1.
Evaluation of Photoimageable Solder Resists With Regard to the VOC
and EuP Directives , Manfred Suppa, CircuiTree, September, 2007.
2.
Using AOI in the 01005 Assembling Process
Petras, Circuits Assembly, September, 2007.
3.
Corner and Edge Bond Dispensing for BGAs
September, 2007
, Owen Sit and Joshua
, Al Lewis, SMT,
4.
OPTOELECTRONIC SUBSTRATES ‒ Will it happen?
Circuit Design & Manufacturing, September, 2007.
5.
Single Wafer Surface Conditioning
Packaging, August/September, 2007
, Scott Drews, Advanced
7.
Under the Hood, Efficiency vs. Speed
Techonline, October 8, 2007
5
, Jack Fisher, Printed
, presented by EE Times and
8. 「転換期迎えたテープサブストレート市場」半導体産業新聞、2007年9
月26日
Tape Substrate Manufacturers Have Been Facing Conversion Phases ,
(Japanese) The Semiconductor Industry News, September 26th, 2007
6