福岡病院 CPAP ニュース No.76 2012.04.01. いよいよ春本番、公園には桜の花が咲き、空き地にはスミレが花を開いていました。 万葉集には “春の野にすみれ摘みにと来し我そ、 野を懐かしみ一夜寝にける” という歌があるそうです。春の野にスミレをつみ に来てその美しさにひかれて、野で一晩眠ってしま ったというのです。スミレもさることながら、よほ ど眠たかったのでしょうか…。 さて、皆様が CPAP を使用する目的は、良好な睡眠 を確保して日中の眠気をとり活発な生活を送れるよ うにすることと、もう一つは、 身体の負担をとって、 脳・心血管障害を防止することにあります。この後 者に関連する成績が発表されました。 CPAP は心臓の負担を軽減する カナダでおこなわれた研究です(Chest 2012;141:674-681) 。心疾患や高血圧が無い睡眠時無呼 吸の患者 52 名で、CPAP 治療を開始する前後で、心臓の形態が超音波や MRI を用いて検査されまし た。その結果、CPAP 治療をおこなうと、心臓の大きさ(右心房、右心室、左心房)や左心室重量が 小さくなったというのです。心臓は、負担がかかると、その大きさや重量が増大します。それが小 さくなることは非常に望ましい変化なのです。もともと高血圧や心疾患の無い人を対象にした検討 ですから、CPAP 治療による血圧の変化はなく、このような望ましい効果が生じていることは普通で は気づかれないことです。 CPAP を長く続けていると、一体何の効果があるのか、わからなくなってきたと感じられている 方は多いかと思いますが、体の中ではこのように望ましい変化が起こっていることを知っておいて ほしいと思います。 MRI による左心室重量(g/体表面積 m2)
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