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2008 年 6 月 2 日
本資料は、サノフィ・アベンティス社(フランス、パリ)が5月27日(現地時間)に発表したプレスリリースを
日本語に翻訳・編集したものです。本資料の正式言語はフランス語・英語であり、その内容および解釈については
両言語が優先します。http://www.sanofi-aventis.comをご参照ください。
リンパ節転移陰性早期乳がん患者さんにおいて
タキソテール®ベースの化学療法により再発リスクの低下を証明
リンパ節転移陰性の高リスク乳がん患者さんを対象とした第III相試験において、
タキソテール®ベースの化学療法レジメンが無病生存期間(DFS)の有意な改善を示しました
フランス・パリ、スペイン・マドリード、2008年5月27日:サノフィ・アベンティスとスペイン乳がん研究グループ
(GEICAM:Grupo Espanõl de Investigacion en Cancer de Mama)は、GEICAM 9805/Target-0試験において、高
リスク・リンパ節転移陰性早期乳がんの女性患者さんを対象に、タキソテール®(ドセタキセル)注を含むTACレジメン
(タキソテール®、ドキソルビシン、シクロホスファミド)による術後補助療法を実施した場合、現在の標準療法といわれ
るFACレジメン(5-フルオロウラシル、ドキソルビシン、シクロホスファミド)と比較して無病生存期間(DFS:Disease Free
Survival)を有意に改善させることを発表しました。
この試験結果については、シカゴで開催される米国臨床腫瘍学会(ASCO:American Society of Clinical Oncology)
の2008年度年次総会(2008年6月2日、月曜日、午後2時~6時、ポスターナンバー1D、抄録番号542)において発
表される予定です。
欧米では、多くの乳がん患者さんは、腫瘍がリンパ節に転移する前の早期がんの時期に診断を受けます。過去にリン
パ節転移陽性および陰性が混在した集団を対象としたタキサン系薬剤による術後補助療法の試験が複数行われて
いる一方で、今回のようなリンパ節転移陰性の患者さんに登録を限定した試験は実施されていませんでした。
GEICAM 9805/Target-0試験では、再発リスクが高いと考えられるリンパ節転移陰性早期乳がんの女性患者さんの
みを登録しました。再発リスクが高い患者さんとは、年齢が35歳未満、腫瘍の組織学的悪性度がグレード2/3、腫瘍
サイズが2cm超、またはホルモン受容体(エストロゲンまたはプロゲステロンもしくはその両方)陰性のうち、いずれか
1つ以上満たしている場合(ザンクトガレン1998基準)としました。
多施設第III相試験に登録した高リスク・リンパ節転移陰性早期乳がんの女性患者さん1,059名を無作為化し、腫瘍の
外科的切除後にTAC(n=539)またはFAC(n=520)のいずれかを受けるように割り付けました。治療は3週毎合計6
サイクル行いました。主要評価項目は無病生存期間(DFS)、副次的評価項目は全生存期間(OS:Overall Survival)、
忍容性および生活の質(Quality of life)としました。
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ASCOに提出された抄録に記述されているように、5年間追跡調査後に有効性を分析したところ、再発が見られなか
った患者さんの割合はTACレジメン群が91%、FACレジメン群が86%(HR:0.66、95%CI:0.46~0.94、p=0.0202)
であり、5年DFSに関してTACレジメン群はFACレジメン群を有意に上回る改善を示しました。OSデータは未集計です
が、推定5年OSはTACレジメン群が97%、FACレジメン群が95%(HR:0.72、95%CI:0.40~1.30、p=0.2677)でし
た。忍容性に関する結果は、既に発表されています(Martin他[2006]、Ann Oncol 17:1205-12)。またTACレジメン
群において、FACレジメン群と比べ、血液毒性がより認められましたが、フィルグラスチム(G-CSF)の一次予防投与に
よって発熱性好中球減少(neutropenic fever)の発生率は低下しました。血液毒性は管理可能でした。
GEICAMの代表であり、9805試験の主任治験責任医師を兼務するミゲル・マルティン(Miguel Martin)教授は次のよ
うに述べています。「まず、私の同僚である治験責任医師の皆さんに対して、リンパ節転移陰性の患者さんのみの集
団を対象とした革新的な臨床試験に取り組んでいただいた勇気を称賛したいと思います。本試験は、乳がんの再発
リスクが高いリンパ節転移陰性の女性において、TACレジメンが無病生存期間(DFS)を改善することを証明しまし
た。」
本試験について
GEICAM 9805/Target 0試験は、リンパ節転移陽性早期乳がんの女性患者さんを登録した試験である、BCIRG
001/TAX 316試験に対する補完的試験として開始されました。
1999年7月から2001年12月までに、年齢18~71歳、病期T1~T3、N0、M0で、かつ高リスクを示すザンクトガレン
1998基準(年齢35歳未満、腫瘍の組織学的悪性度がグレード2/3、腫瘍サイズが2cm超、またはホルモン受容体陰
性腫瘍)を1つ以上満たしている、手術可能な乳がん患者さん1,059名を登録し、結果的に1,047名の患者さんを適
格例としました。スペインのほかドイツ、ポーランド在住の患者さんを、施設および閉経状態の有無によって層別化し、
手術後に無作為化を行った後に、TACレジメン(ドセタキセル75mg/m2、ドキソルビシン50mg/m2、シクロホスファミド
500mg/m2 ) ま た は FAC レ ジ メ ン ( フ ル オ ロ ウ ラ シ ル 500mg/m2 、 ド キ ソ ル ビ シ ン 50mg/m2 、 シ ク ロ ホ ス フ ァ ミ ド
500mg/m2)を3週間毎に6サイクル投与しました。乳房温存手術後には放射線療法を義務付け、腫瘍サイズが5cm
を上回る患者さんには同療法を推奨としました。内分泌療法に反応性のある患者さん全員に対して、タモキシフェン
を5年間投与しました。登録期間中に試験の修正を行い、血液毒性および発熱性好中球減少の発現および重症度
を抑制することを目的として、TACレジメンの初回サイクルとともにG-CSFの投与を義務付けました。
主要評価項目は、5年以上の追跡調査後に予定する分析時における無病生存期間(DFS)としました。
忍容性の分析については、すでに発表されています(Martin他[2006]、Ann Oncol 17:1205-12)。同分析によると、
TACレジメンでは発熱性好中球減少が最も多く(24.6%)、かつ臨床的に重度の事象として報告されたことが明らかに
なりました。TACレジメンの初回サイクルからG-CSFを使用することにより、発熱性好中球減少の発現率が低下しまし
た(6.5%)。一方、FACレジメンの患者さんにおける発熱性好中球減少の発現率は2.3%でした。毒性に伴う死亡例
の報告はありませんでした。
乳がん
世界保健機関(WHO)によると、乳がんは、世界各国、性別に関係なく、肺がんに次いで2番目に罹患率の高いがん
です。毎年100万人が新たに乳がんと診断され、40万人以上の女性がなくなっていると報告されています。また、早
期乳がんとして診断される女性は30万人以上と推定されています。
欧州では、乳がんは女性のがんの新規症例の27.3%に達し、がんによる死亡数の20.22%を占めています。IARCは、
360,749症例が新たに乳がんと診断され、死亡数は129,013人と推定しています。
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米国臨床腫瘍学会によると、一般的に、欧米諸国での乳がんの罹患率は過去25年間に約30%上昇したといわれて
います。発症数は欧米諸国で高くなっていますが、これはがんのスクリーニングの普及による早期発見の増加による
と考えられています。
タキソテール ® について
タキソテール ® は現在、欧米では下記の5つのがんにおいて承認されています。日本では、乳がん、非小細胞
肺がん、胃がん、頭頸部がん、卵巣がん、食道がん、子宮体がんの7つのがんにおいて承認されており、現在
前立腺がんにおける追加適応を申請中です。
乳がん
タキソテール ® は、前治療の化学療法が奏効しなかった局所進行または転移性乳がんの治療薬として、欧米で
承認されています。また、前治療を受けた患者におけるドキソルビシンとの併用、およびアントラサイクリン系薬
剤を含む化学療法が奏効しなかった場合のカペシタビンとの併用療法として、ヨーロッパで承認されています。
欧米では、手術可能なリンパ節転移陽性乳がんの術後補助療法として、ドキソルビシンおよびシクロホスファミ
ドとの併用(TACレジメン)が承認されています。また、ヨーロッパでは、HER2陽性転移性乳がんの治療として、
トラスツズマブとの併用が承認されています。
肺がん
欧米では、タキソテール ® は、シスプラチンとの併用療法で前治療の化学療法を受けていない切除不能な局所
進行または転移性非小細胞肺がん(NSCLC)の治療薬として承認されています。また、白金製剤を使用した化
学療法が奏効しなかった切除不能な局所進行または転移性NSCLCに対しても、単剤療法として認められてい
ます。
前立腺がん
タキソテール ® は、アンドロゲン非依存性(ホルモン不応性)転移性前立腺がんの治療において、プレドニゾンと
の併用療法が、欧米で承認されています。日本では申請中です。
胃がん
FDA、およびEMEAのCHMPは、2006年3月、食道胃(GE)接合部がんも含め、進行がんのための前治療の化
学療法を受けていない進行胃がんの治療に、タキソテール ® のシスプラチンおよび5-FUとの併用療法を承認し
ました。
頭頸部がん
2006年10月、EMEAおよびFDAは切除不能局所進行頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)の治療においてタキソ
テール ® とシスプラチンおよび5-FUとの併用療法を承認しました。2007年9月、FDAは化学放射線療法および
手術施行前の局所進行頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)の治療において、タキソテール ® とシスプラチンおよび
5-FUとの併用療法を承認しました。2007年11月には、EMEAは局所進行頭頸部扁平上皮がん(SCCHN)に対
する導入療法としてタキソテール ® 療法を承認しました。
GEICAMについて
GEICAM(スペイン乳がん研究グループ:Grupo Espanõl de Investigacion en Cancer de Mama)は、乳がんを専門
と す る ス ペ イ ン の 非 営 利 科 学 協 力 団 体 で あ り 、 ス ペ イ ン 腫 瘍 内 科 学 会 ( SEOM : Spanish Society of Medical
Oncology)に所属するオンコロジスト、および乳がんの研究と治療に関連するその他の医療関係者によって構成され
ています。GEICAMの主な目的は、基礎研究、疫学研究および臨床研究を促進し、医師や患者に対する教育を進め
るとともに、スペインの一般市民に対して乳がん領域に関する情報を普及させることにあります。
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サノフィ・アベンティスについて
世界をリードする製薬企業の一社であるサノフィ・アベンティスは、医薬品の創薬発見・開発・販売を通じて、
人々の生活の質の向上に取り組んでいます。
サノフィ・アベンティスは、パリ(Euronext: SAN)およびニューヨーク(NYSE:SNY)に上場しています。
今後の見通しに関する記述
このプレスリリースには、1995年民間有価証券訴訟改正法(修正を含む)でいう「今後の見通しに関する記述」が
含まれています。今後の見通しに関する記述とは、歴史的事実を述べるものではない記述です。これらの記述に
は、財務計画と予測ならびにそれらの根拠となる前提、将来の事象、事業、製品およびサービスに関する計画、目
標、意向および期待に関する記述、ならびに、将来の実績に関する記述が含まれます。一般的に、今後の見通し
に関する記述は、「予想」、「期待」、「見込み」、「予定」、「予測」、「計画」などの表現によって識別されます。サノ
フィ・アベンティスの経営陣はそのような今後の見通しに関する記述に反映された予想を妥当と考えますが、投資
家は今後の見通しに関する情報と記述がさまざまなリスクと不確実性の影響を受けやすく、それらの多くが予測困
難であり、通常サノフィ・アベンティスが制御できず、そのために実際の結果と進展が、今後の見通しに関する情報
と記述の中で表現された、暗示された、または予測されたものとは大幅に異なる可能性があることに注意して下さ
い。これらのリスクおよび不確実性には、サノフィ・アベンティスの2007年12月31日終了事業年度フォーム20-F年
次報告書の「リスク要因」および「今後の見通しに関する記述」項目を含む、サノフィ・アベンティスが作成したSEC
およびAMFに対する公の届け出の中で議論されているかまたは特定されているものに付随する不確実性とその他
の事項が含まれます。サノフィ・アベンティスは、適用法によって義務付けられている場合を除き、今後の見通しに
関する情報または記述の更新または見直しを行う義務を負うものではありません。
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