ウサギの腎不全 - ハート 動物病院

Heart Animal Hospital
ウサギの腎不全
症例報告
ハート動物病院
Heart Animal Hospital
腎不全の原因
 ウサギも様々な原因によって腎臓が障害を
受け、腎不全になってしまいます。
①摂食量低下や飲水の減少を伴う疾患
ex)消化器疾患、臼歯不正咬合など
→循環血液量の低下から腎前性腎不全に
②細菌性腎炎
③尿石症(尿管結石、膀胱結石、尿道結石)
Heart Animal Hospital
症状
 食欲低下∼廃絶、元気消失
 多尿、乏尿∼無尿
 下痢
 脱水
 浮腫
※ウサギは腎不全が
かなり進行した状態
でも元気に振る舞うこ
とがあるので注意が
必要です!
 虚脱
 高カリウム血症による心機能不全
 貧血
Heart Animal Hospital
診断
 血液生化学検査:BUN、Cre値の上昇
 尿石症などの一次疾患が早期に適切に治療され
れば予後は良好です。
 一般にBUNが50mg/dlを超えた場合、尿毒症に対
して積極的な治療が必要で、さらに高値になるほ
ど死亡率は高まります。
 高カリウム血症や高トリグリセリド血症を伴う場合
は特に予後が悪くなります。
Heart Animal Hospital
治療
 補液:尿毒症の改善
脱水(多尿・流涎・下痢による)の改善
カリウム量の調節
 利尿:乏尿の場合
※BUNが50mg/dl以下の場合は皮下補液も有効です
が、基本的に血管内に行うべきです。
→入院が必要になります。ただし、ストレスにより逆
効果になる可能性を考え、個々に慎重に判断する
必要があります。
Heart Animal Hospital
症例
 7歳、オス
 6歳の時点で左腎に腎結石あり
結石に対して投薬を継続
 症状:食欲廃絶
排便・排尿減少
 血液検査:
BUN 99.3mg/dl
Cre 7.6mg/dl
Heart Animal Hospital
症例
 尿毒症に対する治療を開始
①初日:静脈内点滴(利尿剤添加)
2日目以降:皮下点滴(利尿剤添加)
②吸着炭の投薬
Heart Animal Hospital
症例
 治療後
BUN(mg/dl)
Cre(mg/dl)
正常値
11∼27
0.6∼1.4
来院時
99.3
7.6
1週間後 2週間後
24.2
28.0
1.8
1.3
 高窒素血症、高Cre血症の改善および排尿改善
に伴い食欲・元気回復
 点滴治療終了後も尿石症治療薬および吸着炭の
投薬を継続
Heart Animal Hospital
まとめ
 腎不全は完治できる病気ではありませんが、早期
に治療を開始することでQOLを上げ、寿命を全う
することができます。
 また、ウサギが食欲低下を引き起こす原因は腎
不全を含めて様々ですが、いずれも早期発見・早
期治療が重要です。
 そのためには定期的に健康診断を受けることをお
勧めします。普段から健康チェックを怠らず、少し
でも異常が見られたらすぐにご相談ください。