No.1 グラム染色簡易アトラス（ver.1）グラム陽性球菌ぶどう状・集塊状分裂がぶどう状に行われるためにぶどうの房状に観察される。鑑別点：菌塊をなすことが多い。菌体が丸く染色性が均一のことが多い。 MRSA(喀痰） MSSA（関節液） S.aureus：貪食がある場合が多く（病原性が強い）、院内発生の場合は染色性が悪くなる場合もある。 MRSAとMSSAの区別はつき難いが患者背景を考慮すると予測がつく。類似の菌：短いレンサ球菌の集合体 CNS（静脈血） CNS：貪食例は少ない。皮膚常在菌の混入かどうかの鑑別が大事。菌によっては大型の菌もあるがS.aureus よりはやや大きめの菌。大きな菌塊を形成することが多い。MRCNSかの鑑別は難しいが検出菌の多くはMRCNS。レンサ状 S.pneumoniae(喀痰） Enterococcus（腎盂尿） S.milleri group（喀痰）双球菌。莢膜が観察される（=ペニシリン耐性度が低い） 4～8連鎖で観察されることが多い。やや長細く、GPRとの鑑別が必要。連鎖は短く不染性が多い。検体は無臭の膿瘍形成することが多い。 S.pyogenes(皮下膿瘍）連鎖が長く、やや小型の菌。菌は丸いものが多い。 S.viridans(血液）連鎖が非常に長く、少し長細い。8 連鎖以上を形成することが多く、腸球菌との鑑別になる。 S.agalactiae(脳膿瘍）連鎖は短く、連鎖球菌の中でも大型の菌。菌体は丸く染色性は良い No.2 グラム染色簡易アトラス（ver.1）グラム陰性桿菌 E.coli(尿） K.pneumoniae(喀痰） H.influenzae(喀痰）フィラメント化染色性は良く直線型。単一で見ることが多い。 P.aeruginosa(喀痰）やや大型で連鎖状に見えることもある。菌の周囲は緑膿菌のムコイドよりやや濃く菌の周囲に莢膜が紅く見えたり、抜けて見える。 P.aeruginosa(喀痰）ムコイド型湾曲した桿菌で、集族することが多い。少し菌体が丸く、腸内細菌と比較して菌幅が小さいものが多い腸内細菌と比べて薄く染まる。ムコイド型は周りに粘液を産生して紅く染まる。 K.pneumoniaeとの鑑別が重要。耐性菌かどうかは判らない。 Bacteroides(膿瘍）小型でやや太めの短桿菌で散在性に一面に見える。嫌気性菌の特徴でもある菌の形態が不順になるものが観察される。一部菌体が膨張しているものも見えることがある。 Campylobacter(糞便）小型の短桿菌で、1-3回捻りのあるらせん状の桿菌。染色性は弱いため後染色にはフクシンを用いると良い。前染色の単染色の方が見つけ易い。グラム陰性球菌 B(M).catarrahlis(喀痰）双球菌。散在性に確認される。貪食像がないと起炎菌の可能性が低い。非病原性Nisseriaの場合は集族する。 N.gonorrhoae(尿道分泌物）双球菌。貪食像のある場合が多く単染色では明瞭に観察される。小型の短桿菌で散在性に一面に見える。一部フィラメント化して見えるのも特徴。 Acinetobacter(髄液）小型の短桿菌で散在性に一面に見える。Haemophilusとは非常に類似して見える。グラム染色簡易アトラス（ver.1） No.3 グラム陽性桿菌 Clostridium(血液） Bacillus(血液）芽胞大型の桿菌。グラム染色では芽胞は確認されないことも多い。横に連鎖して確認される。辺縁がやや四角い。 L.monocytogenes(血液）小型の桿菌。腸内細菌と同じ位の大きさで直線性のある菌。 Actinomyces(膿瘍）分岐状桿菌。嫌気性菌で太さに差があることが多く観察される。大型の桿菌。グラム染色では芽胞は確認されないことも多い。横に連鎖して確認される。辺縁がやや丸みを帯びているのがClostridium との鑑別のポイント。 Corynebacterium(膿瘍）小型の桿菌。ハの字型に分裂する。中心部が膨らんだような菌が多い。 P.acnes(血液） Nocardia(喀痰）分岐状桿菌。嫌気性菌で太さに差があることが多く観察される。分岐状桿菌。抗酸性があるのでやや不染性の桿菌。真菌 C.albicans(喀痰） Aspergillus (BAL） Cryptococcus (喀痰）墨汁染色球菌に比べかなりの大型。一部仮性菌糸が確認できる。分節はやや丸いのでAspergillusとは鑑別できる。球菌に比べかなりの大型。菌体周囲には莢膜が紅く染まる。墨汁染色すると抜けて見える。本来グラム陽性だが、染まりが悪く陰性に確認されることが多い。Y字上に分岐して、分節はやや四角い。接合子菌は染まりにくい。