クッチャロ湖通信

2003年12月号 No.93
浜頓別クッチャロ湖水鳥観察館TEL01634-2-2534
クッチャロ湖通信
クッチャロ湖の湿地帯では、ヨシが黄金色に染まり、湖畔の広葉樹たちは、すっかり葉を落
として、冬の支度を整えています。11月に入ってから、町内では気温がマイナスになる日も
あり、11月7日には空から舞い降りる白い雪が冬の到来を告げていました。湖はしだいに厳
しい冬へと移り変わって行きます。
◆
クッチャロ湖では、今
年の秋、昨年同様コハク
チョウの飛来数が3分
の1と少ない年となり
ました。昨年の秋は、渡
りの時期に東の強風が
吹いたために減少した
ものと思われますが、今
年は特に変った状況が
見られず、昨年の影響を
受けて数が減少したの
かもしれません。また、
全国的に減少している
のではなく、クッチャロ
湖だけの状況のようで
す。ただ、今年の春は例
水鳥観察館の裏に集るコハクチョウたち
年通りの飛来がありま
したし、この減少は一時
的なものなのか、今後も
継続していくものなの
かは、長い期間、観察を
続けていかなければ分
かりません。最近では1
998年の秋にも飛来
数の減少がありました。
◆
11月11日にコハ
クチョウの仲間のアメ
リカコハクチョウが3
羽飛来していました。ク
チバシがほとんど真っ
黒なこの白鳥は、数は少
ないものの毎年、日本に
アメリカコハクチョウ(中央はコハクチョウ)
渡ってきます。
白 鳥 情 報 11月18日
−1−
1,200羽
◇浜頓別の自然(白鳥を観察してみよう!!その2)
クッチャロ湖では、冬の間もずっと白鳥たちの姿が観察できます。先月同様、今月も白鳥たちの「し
ぐさ」を紹介します。今月は、ふだん見慣れたものやちょっと変った「しぐさ」も紹介します。
◆
鳴き交わしなど
湖でよく見かける白鳥たちの鳴き交わ
しは、夫婦や家族のきずなを深めるため
に行なわれています。鳴き始めは、まず
1羽が首を伸ばして頭を上下しながら鳴
きはじめ、それにあわせてもう1羽が鳴
き出します。鳴き交わしが長く続くと両
翼を少し開いて、小刻みに羽ばたかせる
事もあります。夫婦の鳴き交わしに子供
たちが参加する事もありますが、あまり
上手くできないようで、親鳥の鳴き交わ
しを見ながら覚えていくようです。
また、鳴き交わしをしていると近くに
いる別の夫婦も鳴き始めケンカになる事
もあります。クチバシでつつくだけでな
く、時にはお互いの首や肩をくわえて翼
で攻撃する事もあります。ケンカに勝っ
た夫婦は、首を上にあげて翼を広げ、さ
らに大きい声で鳴きます。
ふだんは、夫婦や家族が離れないで、
一緒にいる白鳥ですが、時々、迷子にな
る事もあります。そんな時は、首を上に
伸ばしながら鳴いて相手や家族を探しま
す。相手や家族が見つからない時は、群
れの中を歩いたり、泳いたりして探す事
もあります。
睡眠(すいみん)・警戒(けいかい)など
白鳥が寝る時は、首を体の後ろに回し
背中にのせます。クチバシは両翼の間で
はさみ、体を風上に向けて寝ます。風が
強い時や気温が低い時は、足を羽根の間
に入れて、すわって寝ますが、温かい日
や風の無い日は、両足か片足で立って寝
ます。白鳥たちは、一日に何度も寝たり
起きたりして、生活しています。
キツネやイヌ、ワシが近づくと、群れ
の中で、気づいた白鳥が声を出し、一斉
に警戒をはじめます。この時、白鳥たち
は、首をめいっぱい伸ばしてじっと辺り
の様子をうかがいます。特に危険が近づ
いた時は、それまで鳴いていた白鳥たち
が一斉に鳴きやみます。その後、一斉に
警戒の声を出しながら、逃げはじめます。
※各地の白鳥や標識のついた白鳥の情報などを集めています。みなさまの情報をお待ちしております。
−2−
シリーズ自然特集
コハクチョウ(93)
表紙でも紹介しましたが、今年の秋の渡りは、例年に比べて3分の1程度の飛来数となり
ました。昨年の秋と比べると飛来数は、若干増加しましたが、過去10年間で2番目に少な
い飛来数でした。10月21日の朝に5300羽を数えましたが、数えている最中にも渡っ
て行く白鳥たちがいましたので、実際はもう少し飛来していたものと思われます。飛来数の
減少のはっきりとした原因は不明で、過去にも年による変動がありましたので、今後の春や
秋の渡りを見て、判断していきたいと思います。
秋の渡りは、短い期間に大群が一斉に渡って来て、直ぐに南下していくのが特徴です。今
年も10月20日の夕方から21日の朝にかけて、5000羽の白鳥たちが一斉に渡って来
ました。その後は、増える事はなく、少しずつ南下していきました。現在は、例年どおりの
数になっており、越冬数は、例年どおりになると予想されます。
秋の最大
飛来数
クッチャロ湖の秋季の最大飛来数
12,200
1995年
16,000
25000
1996年
11,000
20000
1997年
22,000
1998年
6,300
1999年
13,000
2000年
15,800
5000
2001年
17,300
0
2002年
4,400
2003年
5,300
15000
年度
−3−
2003年
2002年
2001年
2000年
1999年
1998年
1997年
1996年
10000
1995年
羽数
1994年
1994年
年度
白鳥のエサ
ありがとうございました!!
白鳥の飛来シーズンとなり、「白鳥にあげて下さい」と
町内外の方から、青米、古米やお餅、乾燥したトウモロコ
シ等を頂きました。この場をおかりして、御礼申し上げま
す。ありがとうございました。なお、まだ、白鳥のシーズ
ンは続いていますので、もし、ご家庭に古いお米やお餅な
どの穀類で、必要のない物がございましたら、白鳥たちへ
与えたいと思いますので、お手数ではございますが、水鳥
観察館まで、お持込みをお願い致します。
∼水鳥観察館に観察用のカード等を設置しました!!∼
←観察用カード
水鳥観察館の湖側の観察コーナーに
観察用のカードを設置しました。
今回、設置したのはコハクチョウのク
チバシの特徴や若鳥、アメリカコハクチ
ョウとの見分け方などを紹介したカー
ドです。今後は、カモ類やワシ類などの
カードも増やしていこうと思います。観
察する時にご利用下さい。
◆
また、図書コーナーには、白鳥のパ
ズルを設置しました。パズルをしなが
らオオハクチョウとコハクチョウの違
いが分かるようになっています。こち
らもカモ類などのパズルを増やしてい
白鳥のパズル→
きますので、ご利用下さい。
水鳥観察館に子熊のはく製を寄贈いただきました!!
町内の寺澤輝夫様から、水鳥観
察館へ子熊のはく製1頭を寄贈
頂きました。クッチャロ湖畔の中
島に生息していたヒグマで、生後
3ヶ月程と思われます。10年以
上前にはく製にされたものです
が、状態も良かったため、すぐに
展示する事ができました。この場
をおかりしてお礼申し上げます。
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発行/編集:浜頓別町産業振興課(浜頓別クッチャロ湖水鳥観察館)
〒098−5739 北海道枝幸郡浜頓別町クッチャロ湖畔
開館時間 9:00∼17:00
TEL/FAX(01634)2−2534
休 館 日 月曜日、祝日の翌日、年末年始
Eメール
[email protected](浜頓別町)
Eメール
[email protected](水鳥観察館)
ホームページ http://www. town.hamatonbetsu.hokkaido.jp/(浜頓別町)
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