FIM(機能的自立度評価法)について FIM とは FIM は、患者さんがどのぐらい他の人や道具に頼らないで日常生活を行えるか、を評価す る方法の一つです。 もともと欧米で広く使われてきましたが、現在日本でもリハビリテーションに関わるすべて のスタッフの共通言語として、病棟で、また学術的な場で盛んに使われています。 評価方法 7段階の尺度を用いています。 項目は18あり、運動と認知について評価ができるようになっています(図1)。 項目ごと道具もなく完全に自分でできていたら7点、自分では全くできなかったら1点、としてい ます。合計すると18~126点での評価ということになります(図2)。 FIMの評価内容 FIMの評価内容 •• 運動項目 運動項目 13項目 13項目 •• 認知項目 認知項目 5項目 5項目 セルフケア セルフケア コミュニケーション コミュニケーション •• 食事、整容、清拭、更衣 食事、整容、清拭、更衣 上、更衣下、トイレ動作 上、更衣下、トイレ動作 •• 理解、表出 理解、表出 社会的認知 社会的認知 排泄コントロール 排泄コントロール •• 社会的交流、問題解決、 社会的交流、問題解決、 記憶 記憶 •• 排尿、排便 排尿、排便 移乗 移乗 •• ベッド・椅子・車椅子、 ベッド・椅子・車椅子、 トイレ移乗、浴槽移乗 トイレ移乗、浴槽移乗 移動 移動 •• 歩行・車椅子、階段 歩行・車椅子、階段 2007/8/7 2007/8/7 図1 鶴巻温泉病院 鶴巻温泉病院 回復期リハビリテーション病棟 回復期リハビリテーション病棟 66 FIMの採点基準 FIMの採点基準 介助者不要 移乗での実例 介助者不要 移乗での実例 7点 器具、手すりも不要 7点 完全自立 完全自立 器具、手すりも不要 6点 手すりなどを使用 6点 修正自立 修正自立 手すりなどを使用 介助者必要 介助者必要 5点 車椅子の位置変え準備 5点 監視、準備 監視、準備 車椅子の位置変え準備 4点 まさかのために触れている 100% 4点 まさかのために触れている 100% 0% 0% 本人 本人 3点 軽く引き上げる 3点 軽く引き上げる 2点 しっかり引き上げる、まわす 4 2点 75% しっかり引き上げる、まわす 4 1 1 25% 75% 25% 1点 全介助、二人介助 1点 全介助、二人介助 3 2 3 2 50% 50% 2007/8/7 2007/8/7 図2 鶴巻温泉病院 鶴巻温泉病院 回復期リハビリテーション病棟 回復期リハビリテーション病棟 13 13 では患者さんとご家族にとって、このような評価方法を用いる利点は、何でしょうか。 まず、リハビリテーションによる変化をより客観的にとらえて頂くことができます。 FIM 評価でこの項目は何点、全体で何点改善しました、この項目については改善が認められま せんでした、とお伝えすることで、実際どういった動作にどのぐらい看護、介護負担が必要とな るのかがイメージしやすくなります。 さらに、これまでの当院のデータから、入院時 FIM と入院期間・自宅退院率などが強く関 わっていることがわかっています(図3、図4、図5)。また、年齢と FIM の改善幅にも関連 があります(図6)。 もちろん例外は多々ありますが、FIM 評価によって、患者さんが今後どのぐらい入院するのか、 自宅への退院はできるのか、退院に向け、入院中いつどのような準備をしたらよいのか、など、 大まかではあってもある程度見通しがたてられるのです。 入院時FIMの7階層と自宅退院率(%) 入院時FIMの7階層と自宅退院率(%) 入院時FIMの7階層と在院日数 入院時FIMの7階層と在院日数 155 155 124 124 139 139 108 108 99 99 90.5 90.5 46.5 46.5 18-29 18-29 30-41 30-41 42-53 42-53 54-65 54-65 症例数: 症例数: 218(23.3%) 218(23.3%) 149(15.9%) 149(15.9%) 139(14.9%) 139(14.9%) 103(11%) 103(11%) 66-77 66-77 78-89 78-89 9090- 100 100 90 90 80 80 70 70 60 60 50 50 40 40 30 30 20 20 10 10 00 自宅退院率 在院日数 180 180 160 160 140 140 120 120 100 100 80 80 60 60 40 40 20 20 00 FIM 93(9.9%) 93(9.9%) 102(10.9%) 102(10.9%) 132(14.1%) 132(14.1%) 92 92 76 76 66 66 50 50 40 40 28 28 18-29 18-29 30-41 30-41 42-53 42-53 30 30 21 21 M I F 効果 20 20 15 15 30 30 28 28 24 24 22 22 12 12 11 11 55 42-53 42-53 54-65 54-65 症例数: 症例数: 218(23.3%) 218(23.3%) 149(15.9%) 149(15.9%) 139(14.9%) 139(14.9%) 103(11%) 103(11%) 図5 93(9.9%) 93(9.9%) 102(10.9%) 102(10.9%) 132(14.1%) 132(14.1%) 66-77 66-77 78-89 78-89 9090- 93(9.9%) 93(9.9%) 102(10.9%) 102(10.9%) 132(14.1%) 132(14.1%) FIM 21 21 17 17 15 15 55 00 22 22 20 20 10 10 30-41 30-41 9090- 28 28 25 25 10 10 18-29 18-29 78-89 78-89 年齢の5階層とFIMの改善幅 年齢の5階層とFIMの改善幅 改善幅 25 25 66-77 66-77 図4 入院時FIMの7階層とFIM効果 入院時FIMの7階層とFIM効果 31 31 54-65 54-65 症例数: 症例数: 218(23.3%) 218(23.3%) 149(15.9%) 149(15.9%) 139(14.9%) 139(14.9%) 103(11%) 103(11%) 図3 35 35 81 81 00 99 50代 50代 症例数: 症例数: 59(6.3%) 59(6.3%) 60代 60代 167(17.8%) 167(17.8%) 70代 70代 343(36.6%) 343(36.6%) 80代 80代 26(29.5%) 26(29.5%) 90代 90代 66(7.1%) 66(7.1%) 図6 以上 FIM について簡単にご説明いたしました。ご不明な点や、より詳しい説明をご希望の 方はスタッフまでお問い合わせ下さい。 鶴巻温泉病院 回復期リハビリテーション病棟 2007/08/14 FIM
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