Ultrasound vs High-Resolution Micro-CT Poster Session 1634 関節炎の骨びらんにおける超音波検査と 高分解能マイクロ CT 検査の比較 Detailed Comparative Study of Ultrasound and High-Resolution Micro-CT in the Detection of Arthritic Bone Erosions. Finzel S, et al, University of Erlangen-Nuremberg, Erlangen, Germany Introduction Conclusions 本研究の目的は、超音波検査で認められる骨びらんがマイクロ 超音波で検出された骨病変の大多数は、実際に骨びらんであっ CT で検出される皮質骨破壊と同じであると確認することである。 傍関節骨の骨破壊は、RA や乾癬性関節炎(PsA ) などの慢性関 た。超音波の骨びらんの感度は 85%以上と高く、また、検出さ 節炎に共通する所見である。技術的な進歩に伴い、超音波検査 いた。一方、超音波の骨びらんに対する特異度はかなり低く、超 により滑膜炎を描出し皮質骨表面を評価することが可能になっ 音波で検出された小病変をすべて皮質骨表面の破壊であると判 れた骨びらんの超音波とマイクロ CT での重症度はよく相関して た。最近では、関節病変を評価する画像診断法として超音波検 定はできない。超音波検査では、骨びらんを過剰診断しないよ 査が注目されている。一方、従来の CT に技術的な改良を加え う注意が必要である。X 線の画像所見と疾患徴候に関する正確 て高分解画像が可能となったマイクロ CT は、RA と PsA 患者 な知識は、生理学的変化や骨棘形成と骨びらんを識別するため の骨病変における骨びらん、骨棘、骨表面の変化を定量的に評 に有用である。 価できることが、最近、われわれのグ ループによって実証されている。 図 1 骨びらんの定量的評価:超音波(A)とマイクロ CT(B) Methods RA 14 例、PsA 6 例、健康成人 6 例の計 26 例を対象とした。 26 例全例で、病側 MCP 2、3、4 関節の超音波検査とマイクロ CT 検査 (A) 超音波検査による 骨びらん画像 Grade 0 骨びらんなし Grade 1 <1mm の 骨びらん Grade 2 1-2mm の 骨びらん Grade 3 2-3mm の 骨びらん Grade 4 >3mm の 骨びらん を行った。MCP 2 関節の橈側、掌側、 Grade 5 >3mm の 多発性の 骨びらん 背側、および MCP 3 と MCP 4 の 掌側と背側の、計 7 関節につき、それ ぞれ画像を解析し(図 1) 、超音波検 査とマイクロ CT で検出された骨びら んの数、範囲、正確な位置を記録した。 Results 182 の部位において、超音波とマイ クロ CT で描出された骨びらんは、全 般的によく相関していた(r = 0.463、 6 Part Ⅱ ; TNF 阻害療法② “Leading Edge” マイクロCT による 骨びらん画像 Grade 0 骨びらんなし Grade 1 <1.9mm の 骨びらん Grade 2 >1.9mm の 骨びらん Grade 3 関節構造の破壊 図 2 超音波とマイクロ CT による骨びらんスコアの散布図(Scatter Plot) 合計 182ヵ所を解剖学的位置ごとに色分けした MCP 2 橈骨側 MCP 2 手背側 MCP 2 掌側 MCP 3 手背側 MCP 3 掌側 MCP 4 手背側 MCP 4 掌側 4 r=0.463 p<0.0001 3 スコア p < 0.0001; 図 2)。超 音 波 スコア が 0 でマイクロ CT スコアが 1 以上の 偽陰性は 10%にすぎず、そのほとん どが MCP 関節背側の小さいびらん 性病変であった(図 2) 。超音波スコ アが 1 以上でマイクロ CT スコアが 0 の偽陽性は 28%と偽陰性より頻度が 高かった。その多くが MCP 関節掌 側の小さな骨チャネル(small bone channels)か骨棘を検出したことに よる偽の骨びらんであった(図 2) 。 (B) C T 2 1 -2 2 4 US スコア -1 Persistent Joint Inflammation on Histology and Imaging Poster Session 1051 組織生検と画像検査で明らかにされた臨床的寛解達成 RA 患者 における持続性関節炎 Rheumatoid Arthritis Patients in Clinical Remission Manifest Persistent Joint Inflammation on Histology and Imaging. Anandarajah AP, et al, University of Rochester Medical Center, Rochester, NY, USA 現在、RA に対する寛解の評価は、血液検査と臨床的評価を 滑膜組織 13 サンプルの病理学的な疾患活動性スコアの分類 組み合わせたコンポジットスコアが主流となっているが、その問題 は重度 3 件、中等度 6 件、軽度 2 件、低度 2 件であった。興 点は炎症局所の直接評価ができないことである。そのため、画 味深いことに、低・軽度であった 4 件中 3 件は抗 TNF 治療を受 像的・組織学的な評価が必要と考えられている。 本研究では、 けた患者のサンプルであった。超音波検査で 9 関節を評価した。 ACR 寛解基準を満たした RA 患者が持続性関節炎を有してい グレースケール(B モード) で滑膜炎が 9 関節すべてに認められ、 るか否かを調べるため組織生検と画像検査(超音波検査および ドプラーシグナルは検査を実施した 6 関節中 5 関節に認められ MRI)により検討を行った。 ACR 寛解基準を満たした RA 患者 12 例(平均罹病期間 2 年) から滑膜組織 13 サンプル(膝 5、手首 3、股関節 2、肘 1、肩 1、 母指 1)を採取した。滑膜表層過形成、ストローマ過形成、炎症 た。また、関節滲出液が 9 関節中 7 関節、腱滑膜炎が 3 関節中 2 関節に認められた。MRI 検査により 4 関節を評価したところ、 滑膜炎と骨髄浮腫が 4 関節すべてに、少量の関節滲出液が 1 関 節に認められた。以上の結果より、寛解を達成したにもかかわら 性細胞数、血管増生、リンパ濾胞の数を基に病理学的な疾患活 ず活動性疾患が持続していることが組織生検と画像検査により明 動性スコアを算出し、低度(0-5) 、軽度(6-10) 、中等度(11-15) 、 らかにされた。 重度(16-20)に分類した。 Discussion POINT US and MRI 慶應義塾大学医学部 内科学教室 リウマチ内科 講師 亀田 秀人 先生 寛解の判定を補完する 超音波などの画像検査と病理組織検査 1 例のみで、見逃しが少ない ーつまり、超音波での骨びらん 超音波検査、MRI などの技術的進歩により高感度画像評価 ただし、問題は、マイクロ CT スコアが 0 で超音波スコア 描出の感度が非常に高いことを意味している。 が可能となり、RA の診断や治療後のモニターに貢献する度合 が 3 ~ 4 の、いわゆるアーティファクトが多かったことである。 いが今後増すものと予想される。この点を目指した 2 つの演 発表者によると、特に掌側でアーティファクトが多く、部位が 題を取り上げた。 重要とのことであった。部位を選択することにより、技術的に 超音波検査では、従来、グレースケール法による滑膜炎の この問題は克服できると思われる。 有無などの確認、あるいはパワードプラー法による関節腔内の abstract No. 1051 は、画像検査に加えて病理組織でも、 血流シグナルの有無などの確認が行われていたが、骨びらんの 検討したという内容である。コンポジットスコアで臨床的寛解 検出に関する感度が低いことが欠点であった。abstract No. 1634 は、その欠点を克服することを目的とした研究である。 X 線写真より感度が高いマイクロ CT と超音波検査を比較し が検出された。“大雑把な” 全身的寛解の判定と異なり、個々 たところ、それぞれの骨びらんスコアに相関が認められ(相関 価や、必要に応じて、超音波検査、 MRI 、病理組織検査に 係数:r = 0.463) 、超音波検査の有用性が示された。マイク 基づくべきである。 の得られた患者で滑膜の生検を行ったところ、活動性の疾患 の関節における関節炎寛解の判定は、個々の臨床的な関節評 ロ CT スコアが 2 以上で超音波スコアが 0 と判定された例は 7
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