い~な あまみ 中 央 しらさぎ さくら 大阪+知的障害+地域+おもろい=創造 知の知の知の知 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所情報誌通算 475 号 2011.7.30 発行 ============================================================================== 細く長く 被災者支援寄席 朝日新聞 2011 年 7 月 29 日 自分の店で被災者支援の寄席を開く牧野さん=白 岡町 ◇バリアフリーのラーメン店「天下御麺」 白岡町のJR新白岡駅前にあるラーメン 店「天下御麺」で31日、東日本大震災の被 災者支援の寄席「結(ゆい) 寄り添って日 本」が開かれる。経営者は元養護学校長で、 長く支援を続けたいという出演者の要望で 店を提供した。義援金に充てる今回のチケッ トは売り切れたが、今後も続けるという。 ◇店主は元養護学校長 白岡/「人の輪広げ、 今後も継続」 店を経営するのは、旧県立和光南養護学校 (現特別支援学校)元校長の牧野要二さん (59)。 小学6年生の時、腰椎(ようつい)損傷で 半年間寝たきりの生活を送った。中学生の時から杖をついて山を歩き、通常の生活ができ るまでになったが、障害者の気持ちが分かる教師になろうと決め、養護学校の教員になっ た。 一昨年、一念発起して校長を辞め、店を開いた。20年以上も栄養学を勉強して料理が 趣味だったのと、車いすで入れるラーメン店がなかなかないことに不満だったからという。 店内は車いすに合わせてカウンターを低くして、通路もトイレも広くした。点字メニュ ーも用意し、難聴者には手話で対応する。県教育委員会の協力事業所として、知的障害児 の受け入れにも協力している。 両親が漫才師だったといい、知人には芸人もいる。東京都内で4月に開かれた被災者支 援の寄席で、手作りのラー油を売って義援金の一部に充てた。若手の出演者から「10年 くらいは支援を続けたい」と強い希望があり、「20人ほどしか入らない店でよければ」と 引き受けた。 今秋、開店2周年を迎える。 「常連客とのふれあいが楽しく、精神的なゆとりも持てるよ うになった。この店でささやかな支援を続け、人の輪を広げていければうれしい」と言う。 寄席についての問い合わせは同店(0480・44・8163)へ。 「農福連携」さらに拡大 中山間地日南町で初の実習 鳥取県「新たな仕組みも」 産経新聞 2011 年 7 月 29 日 障害者の働き先を農業に求める「農福連携」に取り組んでいる鳥取県は28日、日南町 の農園で体験実習を行った。昨年度スタートしたモデル事業で、社会参加を目指す障害者 と後継者不足に悩む農家の双方に歓迎されている。初年度は県西部だけで35件をマッチ ングしたが、同町など中山間地での実績がなかったことから、今回の実習を設けた。 連携事業は、農作業に意欲がある障害者と、部外者に任せられる農作業を抱える農家と のマッチングがカギ。通常は県に委託されたマッチングセンターが、賃金などの労働条件 を調整して、農作業の“契約”をまとめている。 今回は農家と働き手の双方に事業の魅力を理解してもらおうと、県が日南町の農業法人 「アルファービジネス」に協力を依頼。同町と日野町の福祉作業所で働く障害者4人が、 農作業を体験することになった。 この日4人が担当した作業は、ビニールハウスで育てられたミニトマトとジャンボピー マンの収穫。はさみの扱い方などを同法人のスタッフらに教わりながら作業に汗を流した。 農作業を体験した松岡恭二さん(25)は「暑さに耐えるのが大変だが、慣れればもっ と手際よくできそう」 。同法人の河田学さん(39)は「厳しい仕事だが、収穫期は人手不 足。手伝ってもらえれば助かります」と話していた。 県は、仲介役を通さなくても福祉作業所と農家が直接契約ができる仕組みづくりを進め たいとしている。 土壌再生へ大きく育て 福島支援でヒマワリを栽培 中日新聞 2011 年 7 月 29 日 セイコーエプソン労組が福島支援のヒマワリ畑 にする農地=塩尻市片丘で セイコーエプソン労組(諏訪市)は、 福島第1原発事故で汚染された福島県内 の農地や土壌の再生に協力しようと、放 射能の除染効果があるとされるヒマワリ の種を同県に送る取り組みを始めた。組 合員に栽培を呼び掛けるほか、30日に は塩尻市内に確保した農地18アールに 種をまく。 セイコーエプソンは子会社のエプソン トヨコム福島事業所が、20キロ圏内の 南相馬市にあり、大震災直後から閉鎖状態にある。エプソン労組の飯森貞幸副書記長(4 5)は「福島県が復興しない限り、エプソン事業所の復興もない。できることは何でもや りたい」と、支援の姿勢を強調した。 ヒマワリ栽培の取り組みは、福島県内の若手経営者らが進める「福島ひまわり里親プロ ジェクト」への協力。同プロジェクトから種を購入、各地で栽培したヒマワリの種を送り 返し、福島にヒマワリを増やす。 エプソン労組は、1袋70~80粒入りの種80袋を購入。うち50袋は組合員に配り、 自宅や各地のエプソン事業所で栽培。残り30袋で広いヒマワリ畑をつくる計画だ。 話を聞いた塩尻市農業公社が、同市片丘の遊休農地を借り受け、開墾するなど支援。3 0日には、労組役員と障害者施設の子どもたちが種をまく。飯森副書記長は「せっかくの いろいろな縁を今後の活動に役立てたい」と話している。 (福沢幸光) 住まいは福祉です! それに消費税10%? 朝日新聞 2011 年 7 月 28 日 リフォーム&リニューアル展コンテストの応募作品。防 潮堤案と囲われた家の案 (1)海岸線にRC造の津波の勢いを弱める津波減衰堤 を造る。津波が来た際には壊れる素材で間仕切りをし、 普段は地域の集会場やカルチャーセンター、ビーチハウ スなどとして使用する。屋上は公園や自転車道として利 用する。 (2)住宅は四方をRCの壁で囲い、中庭をつ くり、そこから採光や通風を確保する。囲いに は開口部を最小限とし、水圧で壊れない鉄板な どの素材の雨戸をとりつける。住宅からの景色を犠牲にしているが、景色を求め住民が海岸線の公園に集 まることにより活発なコミュニティが形成されることを文化とする。 住まいの価値とはいったい何なのか? 東日本大震災で、いまだに生活の場もなく、そ こに住む家の夢も構想も持てず、その兆しさえもない中で、やりきれない思いで避難生活 を送っておられる多くの被災者の皆さんのことを思うと、ますます考えさせられる問題で す。 住まいは“生活の場”です。その生活とは働くことです。生活をしていく場の近くで寝 泊まりができ、家族が身を寄せてともに住むところです。病院や福祉施設もない時代には、 老いて不自由な身になっても、また病になっても安心して伏せて療養することができる福 祉施設や病院の役割も担っていました。 震災の影響を受けた地域で今必要なのは、生活の拠点である働く場所と安全で安心な住 居群づくりです。それぞれの生活の場、つまり今までの農地や漁港の近くにいかにつくる かが大事です。スポット的であっても、できるところから防潮堤や防災壁(5月26日~ 6月17日の当コラムバックナンバー参照)などをつくること。また、恒久的な住まいを つくることが理想的ですが、とりあえずは仮設住宅でもその利便性を優先することです。 津波を避けて、遠隔地や高台に住宅を建てたとしても、その場所から職場への送迎バスな ど、アクセス面を充実させることが大事になるでしょう。 荒涼とした被災地に一刻も早く、一軒ごとの区画確認を急ぎ、具体的な線引きを行い、 もとの集落を基調にした新たなコミュニティーをつくるべきです。それらをつなぎ合わせ て街や村にします。復興の青写真などと、いくら絵を描いたところでその実行には何年も かかるようなものではダメでしょう。 このことは被災地のみならず、今こそ第一義に考えなければならない問題だと思います。 住まいは生活の場であり、福祉にもつながります。住宅をはじめ、医療施設や老人の福祉 施設などにも消費税をかけてしまったことは、今でも悔やまれます。その消費税を今後さ らに10%まで引き上げる動きもあり、このままいけば、3000万円の家で300万円 の消費税がかかることになります。5億円の老人施設では5000万円が消費税となり、 福祉への負担増に直結します。 なによりも残念に思うことは、こうして誰もがこの先の老後の生活や災害などに不安を 抱きながらも、老後を助けてくれる家づくりの投資もできずに“虎の子”の現金を握りし めて老いの生活に備えようとしていることです。さらに今後の消費税アップが、老後に安 心な、省エネで地震や災害に強い住まいづくりの大きな支障となるのでは、と思えること です。 プロフィール 天野彰(あまの・あきら) 岡崎市生まれ。日本大学理工学部卒。一級建築士事務所アトリエ 4A 代表。 「日本住改善委員会」(相談窓口・東京都渋谷区松涛1-5-1/TEL 03-3469-1338)を組織し「住まいと建築の健康と安全を考 える会 (住・建・康の会)」など主宰。住宅や医院・老人施設などの設 計監理を全国で精力的に行っている。TV・新聞・雑誌などで広く発言 を行い、元通産省「産業構造審議会」や厚生労働省「大規模災害救助研 究会」などの専門委員も歴任。 「日本建築仕上学会」副会長とNPO法人「国産森林認証材 で健康な住環境をつくる会」代表。 著書には、新刊『建築家が考える「良い家相」の住まい』(講談社)、 『六十歳から家を建て る』(新潮選書)、 『地震から生き延びることは愛』(文藝春秋)、『新しい二世帯「同居」住 宅のつくり方』 (講談社+α新書) 、新装版『リフォームは、まず300万円以下で』(講談 社 実用BOOK)など多数。 福祉ショービニズムの台頭=北海道大教授・宮本太郎 毎日新聞 2011 年 7 月 29 日 ノルウェーで大きなテロが起きた。与党の政治集会で銃が乱射されるなどして、多くの 人が犠牲になった。豊かな福祉国家で何が起きているのか。 背景には移民問題と新しい排斥主義の動向がある。北欧諸国では、政治難民を中心に移 民が増えて定住している。経済は好調だが、国内で安定した仕事が減少している。 こうした中で、ノルウェー進歩党、デンマーク国民党のような極右的傾向のある排斥主 義が台頭しているのである。彼らは既にノルウェーでは第2党、デンマークでは第3党だ。 今回のテロの犯人は、ノルウェー進歩党に属していたこともあった。スウェーデンでも似 通った立場の民主党が国会に進出し、フィンランドでは「真のフィンランド人党」が第3 党に躍り出た。 極右的といっても、彼らは福祉国家を守れと主張する。ただし移民を排斥して福祉国家 の保障の対象を自民族に限定すべきだと訴える。こうした立場は「福祉ショービニズム(愛 国主義) 」と呼ばれる。欧州連合についても各国の主権を侵すとして批判的だ。 ノルウェーとデンマークでは党首は女性で、イスラム社会が女性の人権を認めないと糾 弾する。北欧ばかりではなく、フランスでも国民戦線が同様の政策をかかげ、これも女性 党首のマリーヌ・ルペンがその人気でサルコジ大統領を脅かす。 他方で欧州は、実は介護などの面で移民の労働力抜きには成り立たなくなっている国も 多い。ここに福祉ショービニズムの最大の矛盾がある。 日本でも外国人労働力を経済発展の活力にとの声がある。排斥主義や差別を許すべきで はない。しかし、安上がりの労働力を期待するだけなら、新たな緊張関係を広げることに なりかねない。 月刊情報誌「太陽の子」、隔月本人新聞「青空新聞」、社内誌「つなぐちゃんベクトル」、ネット情報「たまにブログ」も 大阪市天王寺区生玉前町 5-33 社会福祉法人大阪手をつなぐ育成会 社会政策研究所発行
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