デジタル携帯電話と特許係争

デジタル携帯電話と特許係争
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●デジ タル携帯 電話と 特 許係 争
(1)携
(1)携帯 電話の デジ タルシ ス テムを完成 さ せ た の は 日本人で ある。
最 近の若者はほ とんどが携帯 電話を持っています 。数年 前 まで はアナログ 携帯 電話を持っている人も
ちらほ らいましたが、最 近で はほ とんどがデジ タルのようで す 。ク ラスで 生徒に聞 いても全員デジ タル
携帯 電話で した。
な ぜデジ タルな のかというと、同じ周波数帯 域を使ってアナログ 方式より多くのユ−ザ −が通話で き、音
質がよい。また混信 がな く、盗聴も不可能で あるからで ある。
現 在の携帯 電話の通信 システムは、実は日本人によって開発されたもので す 。研究は当時N TTに所
属していた、木下耕太 たちにより1977年 より開始され198 0 年 にはデジ タル携帯 電話の試作機
を完成させている。
しかし人間 ほ どの大きさで はとても実用化 で きるもので はな かった。 しかも当時はアナログ 携帯 電話
の全盛 時代で 、N TT社内で もデジ タル携帯 電話に対 す る評価が低かった。小型、軽量化 に必要な 要素
技術(1チップ音声コ−ディック , 高速処理用DSP, 変調技術)が無かったため、実用化 で きる状況で
はな かった。そ してついに198 4年 1月にデジ タル携帯 電話の研究は一時中断される。
しかし携帯 電話のデジ タルシステムを開発していた研究者は、世界を見渡しても彼ら以 外 にほ とんど
いな かったことを考えると、大変先駆的で あったといえる。
(2)T
(2)TDMA(時分割多 元 接 続 )技 術
1977年 N TTの木下たちは衛星通信 に使われていたTDMA技術を携帯 電話システムに応用す る
研究を始めた。
TDMA技術は複数のユ−ザ −が同じ周波数を共有で きるようにす るため、圧縮した音声デ−タを時分割(数
ms)で 通信 す る方式で ある。日本で は2 5kHzの周波数帯 域を6 ユ−ザ −が共有し、また音声信 号を
圧縮し、制御デ−タと合わせて5. 6 kビット/秒で 伝送す るシステムが採用されている。
あるユ−ザ −が送信 していな い期間 は、他のユ−ザ −が使う。このため、あるユ−ザ −の信 号と別のユ−
ザ −の信 号とを間 違って処理しな いように信 号を伝送す るタイ ミング を正確 に保つ必要がある。受信 側
で もタイ ミング を合わせる必要がある。
木下たちは最 初に受信 した信 号で 同期をとると、そ のタイ ミング を保持して次の信 号の同期をとる時の
基準とす る方法 を考案した。
これらの成果を1979年 特許として出願した(特願昭54−2 7956 )。しかしこの特許は1
98 3年 、衛星通信 にす で に利用されているので 公知 の技術で あるということで 拒絶された。
また彼らは198 1年 、デジ タル携帯 電話システムに関す る論文を発表している。(Kinoshita.K 他
"Digital Mobil Radio Telephone System Using TD/FDMA Scheme" ICC , June 1981)
この論文は次の項で 紹介す る特許係 争で のキ−ポイ ントにな る。
(3)Motorola社
(3)Motorola社と InterDigital社
InterDigital社の 特 許係 争
1993年 InterDigital社は同社の持つ自動車 携帯 電話関連の特許をMotorola社が侵 害 しているとして
裁 判 を起 こした。InterDigital社が主張す る特許はUSP−46 758 6 3(198 5年 出願、198
7年 成立)とUSP−5119375(1990 年 出願、1992 年 成立)の2 件で ある。
この特許の内容は、限られた周波数帯 域幅で 多くのユ−ザ −が通話で きるようにす るためのTDMA技
術に関す るもので あった。この特許は少な くとも世界2 0 ケ国で 成立していた。(例えば 英国特許番
号2 174571,フランス特許番 号2 579391,カナダ特許番 号12 50 6 73な ど)
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98/05/29
デジタル携帯電話と特許係争
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このロイ ヤリティや和解金は巨額で あった。たとえば AT&Tは2 40 万ドル、松下電器は2 0 0 0
万ドル支払っていた。全世界で 大量の携帯 電話を生産していたMotorola社はロイ ヤリティを2 億ドル要求
されたが、裁 判 に持ち込んだ 。
この時Motolora社の勝訴を導いたのが木下たちの論文で あった。この論文によってInterDigital社の技術
は公知 の技術で あると陪審員は評決したので ある。Motorola社が大いに感謝したのは言 うまで もな い。
日本人がデジ タル携帯 電話システムの開発者で あることが、裁 判 所で 証明 されたとも言 える。InterDigital
社は日本にも特許出願(特願昭6 1−2 18 2 97)したが、木下たちの特許と同様に拒絶されている。
(4)次
(4)次は CDMA(符号分割多 元 接 続 )技 術の 開 発
デジ タル携帯 電話はTDMA(時分割多元接続)が日本で は全盛 で あるがこれで 技術が完結というわけで
はな い。北米で 採用されているCDMA(符号分割多元接続)の開発が次の目標 で ある。
CDMA技術はTDMA技術に比べ帯 域幅当たりのユ−ザ −数を多くで きるが、システムの構成が複雑 に
な る。
CDMA方式は同じ帯 域を複数のユ−ザ −が共用で きるようにす るため、ユ−ザ −をユ−ザ −固 有の符号で 区
別す る。そ のためにユ−ザ −固 有の符号を数MHz程度のク ロック 周波数の信 号にし、音声デ−タに乗算す
る。 この乗算によって信 号の帯 域幅は広がる。受信 側で は同じ符号を乗算して元の帯 域に狭 めて再生
す る。
数年 後のデジ タル携帯 電話はCDMA方式に変わるかもしれません。我々ユ−ザ −は方式は何で あれ、
安くて正確 な 通信 がで きれば いいので はあるが。
署名は検証
されていま
せん。
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Sumiaki
Takei
電子署名者 :
Sumiaki Takei
DN: cn=Sumiaki
Takei, c=JP
日付 :
2001.05.12
16:50:43 +09'00'
理由 : この文書
の著者
98/05/29
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