ケニア・テロ情勢 平成25年12月7日 在ケニア日本大使館 テロ攻撃の標的 要警戒施設 1.政府関連施設 2.軍・警察関連施設 3.外交団、国際機関関連施設 4.米国、英国、イスラエル権益施設 5.ショッピングセンター、レストラン、ナイトクラブ、 イベント会場、観光施設、教会 6.高層ビル、ホテル 7.航空機・空港、列車・駅など交通機関 8.ガス・石油等大規模プラント・プロジェクト施設 ナイロビ市内ショッピング・モールWestgate 襲撃・立て籠もりテロ事件 ○ 9月21日昼頃、ナイロビ市内の高級ショッピング・モール「Westgate」に対し、4名の 武装集団が、手りゅう弾及び銃器により襲撃 ○ 武装集団は、人質を取って施設内に立てこもり、その後、4日間に渡り治安部隊と 激しく交戦 ○ イスラム過激組織アル・シャバーブ(以下AS)は、自らのツイッター上で、ケニア軍の ソマリア進攻に対する報復攻撃であるとして犯行声明 ○ 死者67名・負傷者174名(女性子供多数) ※英国人6名、カナダ人2名、フランス人2名、オーストラリア人1名、オランダ人1名、中国人1名、 韓国人1名等が死亡、日本人も事件に遭遇 ○ ケニヤッタ大統領は、テロと断固として闘う強い意志を表明 9.21ナイロビ市内Westgate襲撃事件後のテロ情勢 ケニア軍等によるソマリア国内ASに対する軍事作戦の再展開 【 10月5日:米海軍特殊部隊によるソマリア南部急襲作戦 】 米海軍特殊部隊は、ソマリア南部地方バラウェにあるAS幹部宅を急襲。Westgate事件 を指揮したとされるソマリア系ケニア人の捕獲を試みたもの。 【10月28日:ケニア軍の無人航空機によるソマリア南部空爆作戦】 ケニア軍の無人航空機は、ソマリア南部地方ジリーブにおいて、コンボイを組んで走行中 のAS自爆・爆弾部門の責任者を殺害 【10月31日:ケニア軍によるソマリア中南部空爆作戦】 ケニア軍を中心とするアフリカ連合軍は、ソマリアにおけるASに対する軍事作戦の再開 を発表。ソマリア中南部地方のAS訓練キャンプ空爆し、約300名のAS新規入隊訓練兵を 殺傷し、車両・武器庫等を破壊 9.21ナイロビ市内Westgate襲撃事件後のテロ情勢 テロ脅威情報 【10月24日:豪政府、モンバサに対し渡航の警告を発出】 豪政府は、過激派がモンバサにおいて、外国人観光客でにぎわうナイトクラブなどに対す るテロ攻撃を計画している可能性があるとして、渡航の警告を発出した。 【11月27日:英政府、ケニアに対し渡航の警告を発出】 英政府は、ASによるケニアに対するテロの脅威が高まっているとして、ケニア及びソマリ ア政府関連施設、外国人の利用の多いショッピング・センター、レストラン、バー等におい て、十分に警戒するよう警告を発出した。 近隣国におけるテロ攻撃 【10月13日:エチオピア首都アディスアベバ、民家爆発事件】 アディスアベバ市内の民家において、爆弾が爆発し、2人が死亡。現場からは、銃器・手 りゅう弾・サッカーユニフォームが発見された。同日、市内スタジアムでは、ワールドカップ 予選が開催されており、スタジアム等でファンを装い自爆する計画であったと見られる。 報復テロ攻撃の脅威 ○ 10月1日、ASは再度、 ケニアに対し、ソマリアからのケニア軍の撤 収がなければ新たな攻撃を行うと警告 ○ ケニア政府は、ASと断固として闘う決意を示し、ソマリア国内にお ける軍事作戦を強固に再展開 今後もケニアは、ASの報復テロ攻撃対象国であり続け、 9.21Westgate襲撃事件と同じく、大規模テロ攻撃が発生 する危険性が常に存在する。 特に、これからのクリスマス・シーズンは、 キリスト教徒にとり最大の祭典であることか ら、テロの脅威が高まるといわれています。 脅威の認識とリスク削減策の実践を! テロ攻撃への心構え 【その1】 ケニアは、ASの報復攻撃対象国であり、テロの脅威は日常生 活空間内に潜んでいるとの認識を 【その2】 テロリストは重武装化しており、警備員及び武装警察官の配置 などセキュリティが高い施設であっても、テロ攻撃は十分発生す る可能性があるとの認識を 【その3】 自らが外国人であり、テロ攻撃の標的であるとの認識を 【その4】 ケニアにおいて、手りゅう弾及び銃の入手は非常に容易。かつ 本年に入りナイロビ、モンバサで爆弾銃器の押収事件が多発し ており、これら爆弾銃器を使ったテロ事件が、今後も発生する可 能性があるとの認識を テロ攻撃からのリスク軽減策 【その1】 欧米系外国人客の多いショッピング・センターなど利用時は十 分過ぎる警戒を 【その2】 買い物等は、人で混み合う時間帯を避け、午前中の早い時間 などの工夫を 【その3】 正面エントランス及び付近での待ち合わせ、同じく正面エントラ ンス付近のレストラン・カフェ等は避けるなどの警戒を 【その4】 周囲の状況から、不審な人物(著しく厚着、覆面やフード姿、大 きな手荷物、リュック等)には注意し、発見時はその場から離れ るなどの警戒を 【その5】 爆発音・銃撃音を聞いたら直ちに伏せる、這うように移動して 柱・壁・周辺店舗などに身を隠す、できる限り姿勢を低くし現場 から退避を 【その6】 テロ現場付近に居合わせたら、直ちに退避し、決して現場に近 付かない(第2波攻撃のおそれ) 【その7】 テロ現場から離れていても十分警戒し、可能な限り自宅など安 全な空間に避難する(同時多発テロのおそれ) モンバサ・コーストにおけるテロ情勢 クリスマス・年末・年始の休暇シーズンをコースト 地域で過ごす方、モンバサに出張する方へ コースト地域の特徴 ○ スワヒリ文化発祥の地であり、数々の遺跡と美しいビーチを 有し、年間多数の欧米系外国人観光客が訪れる観光地 ○ イスラム文化が18世紀頃から大きく発達、住民の約80%が イスラム教徒、いたるところにモスク(イスラム教寺院)が所在 ○ モンバサは、ケニア最大の港湾都市であり、東アフリカ諸国 への物流の進出港としての役割を担い、近年、モンバサ港開 発プロジェクトを始め大規模な開発が実施されているほか、ラ ム港開発計画・南スーダン延伸石油パイプライン計画など経 済開発面でも今後、非常に注目 コースト地域のテロ情勢 1.過去には、アル・カーイダによるモンバサ・Kikambala のホテル爆破事件 (2002年11月、14人死亡)が発生し、近年は、ケニア軍のソマリア進攻(2011年 10月)の発端となった外国人に対する誘拐事件が発生。ケニア軍進攻後は、 モンバサ及び周辺において、爆弾テロ事件が多発し、警察部隊によるアル・ シャバーブ(以下AS) 関係者のアジト急襲作戦が多数敢行 2.報道等によれば、 ・ イスラム文化を隠れ蓑にAS メンバーが潜伏 ・ 多数のASの支援者が、資金・物資・隠れ家などASのテロ活動を支援 ・ 若者をAQメンバーとしてリクルートする過激な宗教指導者の存在 ・ ASメンバーや外国人戦闘員、リクルートされた若者らのソマリア⇔ケニア 渡航の進出路 3.イスラム教宗教指導者に対する殺害事件や、当局の宗教指導者に対する取 締りが、イスラム教徒の若者らによる暴動事件に発展 4.9.21Westgate襲撃テロ事件の標的とされた欧米系外国人が年間を通じ多数 来訪 5.過去に米国(2012年6月)、最近は、豪(2013年10月)が渡航の警告を発出 コースト地域のテロ情勢 2011年 【外国人に対する誘拐事件 2件】 ○ 9月11日、ソマリア国境から約50Km南方に当たるラム郡・キワイユ島(Kiwaiyu Island) のリゾートホテルに宿泊中の英国人夫婦のコテージを武装集団が襲撃。夫を射殺後、 妻をモーターボートでソマリアへ連れ去った。同女性は、2012年3月解放。 ○10月1日、ラム郡・マンダ島(Manda Island)の海岸に面するフランス人女性の自宅を武 装集団が襲撃。同女性をモーターボートでソマリアへ連れ去った。同女性は、ソマリア 国内で死亡。 同時期、ダダーブ難民キャンプでスペイン人女性NGO活動家の誘拐事件が発生。 一連の外国人拉致誘拐事件を受け、2011年10月15日、ケニア政府は、ASのテロ 行為を阻止するため、ケニア軍にソマリア領内へ進攻を命じ、進攻を開始。 ケニア軍のソマリア進攻に対し、同月17日、ASは「ケニア国内において、自爆テロ を含む報復のためのあらゆるテロ攻撃を行う」と公式に宣言。 コースト地域のテロ情勢 2012年 【手りゅう弾・簡易爆弾等使用テロ事件 4件】 ○ ○ ○ ○ 3月31日、モンバサ・ムトワパ地区のバス停付近、1名死亡・10名以上負傷。 3月31日、モンバサ・トノノカ地区のバー兼レストラン、20名以上負傷。 5月15日、モンバサ市内中心部のレストラン、1名死亡・3名負傷。 6月24日、モンバサ・バンブリ地区のバー、3名死亡・30名以上負傷。 【爆弾押収事件 1件】 ○ 6月20日、モンバサ市内ゴルフ場、軍用爆薬15キログラム、ケニア警察はイラン人男 性2名を逮捕。ケニア国内で大規模同時多発的なテロ攻撃を計画。 【イスラム教徒の若者らによる暴動事件 1件】 ○ 8月27日、モンバサ市内、ASとの関連性が指摘されたイスラム教宗教指導者の殺害 事件を発端にイスラム教徒の若者らによるデモが発生。デモ参加者の手りゅう弾投て きにより、警察官3名死亡・多数負傷、キリスト教会焼き討ち 【警察部隊によるAS 関係者のアジト急襲作戦 2件】 ○ 10月16日、モンバサ・リコニ地区、警察1名死亡・AS関係者2名射殺。 ○ 10月29日、モンバサ・マジェンゴ地区、AS関係者2名射殺、手りゅう弾等押収。 コースト地域のテロ情勢 2013年1月~11月 【手りゅう弾・簡易爆弾等使用テロ事件 2件】 ○ 6月9日、モンバサ・リコニ地区のキリスト教会、16名負傷。 ○ 6月19日、モンバサ・リコニ地区の警察署、不発により負傷者なし。 【爆弾押収事件 1件】 ○ 1月13日、モンバサ市内、手りゅう弾2個、ケニア警察はナイロビ・イスリー地区から来 た男性1名を逮捕。モンバサ市内のレストラン・バー等に対するテロ攻撃を計画。 【イスラム教徒の若者らによる暴動事件 2件】 ○ 10月4日、モンバサ・マジェンゴ地区、ASとの関連性が指摘されたイスラム教宗教指 導者の殺害事件を発端にイスラム教徒の若者らによるデモが発生。警察部隊との衝 突により暴徒側4名死亡、キリスト教会焼き討ち ○ 10月25日、モンバサ・マジェンゴ地区、過激思想を流布するイスラム教宗教指導者の 取締りに対するイスラム教徒の若者らによるデモが発生。警察部隊との衝突により負 傷者多数 【警察部隊によるAS 関係者のアジト急襲作戦 2件】 ○ 5月26日、モンバサ市内、AS関係者1名射殺。手りゅう弾等押収。 ○ 6月17日、モンバサ・キサウニ地区、AS関係者2名射殺。手りゅう弾、爆弾製造マニュ アル等押収。 モンバサ・テロ攻撃等発生地域 2012.11.30 在ケニア日本国大使館 領事・警備班 キサウニ地区 ASメンバー摘発地域 暴動発生地域 在モンバサ邦人が 居住している地域 既存のKPA関連施設 レストラン・バー・ 教会に対するテロ 攻撃発生地域 ケニア海軍基地 リコニ地区 ASメンバー摘発地域 ASメンバー摘発地域 軍用爆薬発見地域 コースト地域・テロ攻撃に対する警戒 ○ Westgate襲撃テロ事件以降、ケニア及び国際社会に与える衝撃 の大きさから、ASの標的は、今後も欧米系外国人に向けられる可 能性大 ○ Westgate襲撃テロ事件において、襲撃者は、イスラム教徒には危 害を加えず解放したとの報道あり。住民の多くをイスラム教徒が占 めるコースト地域で、ショッピング・センターや繁華街などでテロ攻 撃を行えば多数のイスラム教徒が巻き込まれる。 そこで、特に以下の場所は、リゾート・ホ テル等と比べて一般的にセキュリティー が弱く、欧米系外国人観光客が多数集 まることから、要警戒場所です。 欧米系外国人観光客等が利用する レストラン、バー、ディスコ、ナイトクラブ 事 例 外国人向けレストランに対する爆弾テロ事件 【2012年5月15日モンバサ市内発生】 ○ 2012年5月15日午後9時30分頃、モン バサ市内中心部モイ・アベニュー沿い にあるレストラン「ベラ・ビスタ」に対し、 手りゅう弾3発が投てき。警備員1名が 死亡し、客等3名が重傷を負った。 ○ レストランは、外国人の利用が多い、 オープンテラス式であった。 参 考 【2002年インドネシア・バリ島 ナイト・クラブに対する爆弾テロ事件】 2002年10月12日午後11時頃、バリ島内に所在す る外国人向け人気ナイトクラブに対し、自爆テロ 犯・路上駐車爆弾積載車両による爆破攻撃。豪、 英、米等多数の欧米系外国人を含む202名死亡、 うち2名は日本人夫婦。 コースト地域・テロ攻撃からのリスク軽減策 普段の心構え 【その1】 ケニアは、ASの報復攻撃対象国であり、テロの脅威は日常生活空間内に 潜んでいるとの認識を 【その2】 自らが外国人であり、テロ攻撃の標的であるとの認識を 【その3】 セキュリティーの十分なホテルの利用を 【その4】 欧米系外国人客の多いレストランなど利用時は十分過ぎる警戒を 【その5】 欧米系外国人客の多いディスコ、バー、ナイトクラブには行かない 【その6】 周囲の状況から、不審な人物(著しく厚着、覆面やフード姿、大きな手荷物、 リュック等)には注意し、発見時はその場から離れるなどの警戒を テロ 遭遇時 【その1】 爆発音・銃撃音を聞いたら直ちに伏せる、這うように移動して、柱・壁・周辺 店舗などに身を隠す、できる限り姿勢を低くし現場から退避を 【その2】 テロ現場付近に居合わせたら、直ちに退避し、決して現場に近付かない (第2波攻撃のおそれ) 【その3】 テロ現場から離れていても十分警戒し、可能な限り自宅など安全な空間に 避難する (同時多発テロのおそれ) 在留邦人の皆様へ ケニアで生活する私達の日常生活空間では、 テロが発生する可能性があることを認識し、テロ 攻撃からのリスク軽減策を日々実践すること、 そして、普段の生活、学習活動、経済活動を 淡々と冷静に営む行動こそが、テロに屈しない 大切なあり方であり、ひいてはケニアを支援する ことだと思われます。 ご静聴ありがとうございました。
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