米沢の雪菜漬 - 食品産業センター

様式2
地域食品ブランド表示基準
1.名
称
米沢の雪菜漬
(1)名称の由来
夏場に苗を植え、晩秋に寄せて藁やムシロで囲う、発酵熱でその成長した雪菜は溶け
てしまう。その間、上に雪が積もり遮光された中に薹が成長し、白く、柔らかく生育す
る。それが幻の菜『雪菜』である。昔、冬場で交通が途絶える時代における貴重な生野
菜であり、上杉家の奨励作物である。古来より雪菜と呼称されており、文献も全てこの
名称である
2.産 地
(1)範 囲
山形県米沢市
古志田・遠山地区
(2)範囲の設定根拠
雪菜の歴史は、上杉家が越後上越より、会津、米沢への移封の家臣団と共に移ってき
た歴史的作物で鷹山公奨励作物である。
米沢地区における栽培地は、伝統的にも現在もこの地区だけであり、 雪菜生産組合
も組織化され、品質の管理や、栽培技術の講習やグループごとの交換会が行われ、出荷
基準等の遵守教育が行われている。
作物は全く冬場の、12月中旬より2月初旬迄の季節限定作物である。また料理や漬
物に使用するにしても必ず湯を通す“ふすべる”ことを行わなければ、旨味が出てこな
いものである。
3.歴史的伝統性
安土桃山時代にさかのぼり、上杉家臣団と共に上越・会津・米沢と移ってきた歴史で
ある。当時、上杉家移封前は、地元に『遠山かぶ』があり、越後から持ち込まれた『長
岡菜』と自然交雑し、その中から選抜育成したものと考えられており、古くは『かぶの
とう』とも呼ばれていた。
上杉家120万石から、一挙に30万石に減封されての移封で、ほとんどの家臣達も
そのまま米沢に移ってまいり、藩政執行責任者の直江兼続公は越後・会津から多くの作
物の種子や牛、馬、犬等を持ち込み、蔬菜作物を古志田・遠山地区で験栽培を行い、そ
の結果を事細かに記し伝え、家臣に栽培をさせた。その様な経過を辿り『米沢の雪菜』
が存在したのである。特に、冬になると生野菜が途絶えてしまうことから、冬場の貴重
な生野菜として大事に守り育てられてきた大切な野菜である。
このようなことから、この米沢地区には、独特の大根等もあり、その後の『上杉鷹山
公のかてもの』へと繋がる。
栽培方法は昔ながらの方法で、8月下旬に蒔かれ11月には野沢菜の様な菜物に成長す
るが、12月にかけて一旦収穫され数ヶ所に寄せて稲わらやむしろで囲う。その後醗酵
熱で全て溶けてしまった中に雪の保温から“とう立ち”が始まり遮光から、真っ白な“
トウ”が成長してくる。その雪で覆われた畑をスコップで掘り、取り出すのが『雪菜』
である。雪の中からの真っ白な野菜、その様なことから『雪菜』と呼ばれている。
収量は最初の収穫の6分の1ほどしか取れず、栽培は古来のまま継承されており、季節
も合わせこの時だけの作物である。又、料理・漬物の処方ででも「ふすべる」ことを行
わないと雪菜を美味しく食べることができない。冬場の大切な生野菜として処方され漬
物の作り方も「ふすべ漬」という独特の漬け方が伝承されてきた。いわゆる『酵素活性
方』で雪菜の辛味を出す製法である。
上杉家第九代藩主上杉鷹山公奨励作物である。世界でも唯一の野菜である。
1
毎年、地元紙等で、雪菜の収穫、料理、ふすべという料理方法がニュ-スとして取り
上げられており、テレビ放映も同じである。
又各地、公民館事業として雪菜のふすべ漬講習会が行われる。
出典:『上杉謙信・直江兼続・雲井竜雄 ふる里三傑」』
『聞き書 山形の食事』
『どこかの畑の片すみで 在来作物はやまがたの文化財』
『北国の野菜風土誌』
『山形県置賜地方における伝統的食生活文化』 を参照
4.食品の独自性
(1)食品特性
日本でたった一カ所の米沢地方の古来よりの特産野菜である。この野菜は豊臣秀吉の
時代、上杉藩が会津、米沢への移封に伴い、家臣団と一緒に米沢の地に参ったが、それ
以前の上越と会津には残されていない。つい近年まで冬場における貴重な生野菜として
、正月料理や慶事に活用されていた。雪菜漬は、料理でも独特の「ふすべる」という工
程を経なければ美味しくなく単なる苦みだけであり“ふすべる”ことにより美味しくな
る。
いわゆる野菜の特性を生かす“酵素活性法”で、味を出しすのである。
(2)原材料の特徴
夏場に苗を植え、初冬に寄せて藁やムシロで囲い、発酵熱でその成長した雪菜は溶け
てしまう。その間、上に雪が積もり遮光された中に薹が成長する。それが幻の菜『雪菜
』である。白く、柔らかく生育し、独特の『ふすべ』る製法で辛みを引きだして作り上
げる
日本全国でたった1ヶ所の作物であり、類似品はない。よって混在することが無い。
季節限定、数量限定作物で全て契約栽培である。
【栽培】
① 8月下旬~9月上旬、播種
② 11月、『床寄せ作業あるいは寄せ植え』60cmほどに成長した株を土から抜き取り
、10株程度を1束にして畑に並べ立て、その周囲をワラもしくはムシロ等で囲う
③『床寄せ作業』後、寄せられた密植からと上に雪が積もり、その中は発酵熱で寄せた
野菜は溶けてしまう。
④その後、溶けた中に
真っ白な『トウ』が立ち始める。 ⑤収穫・・・雪をスコップで掘り『雪菜』を収
穫する。この時、外側のトウは切リ落とす。
(3)原材料の使用理由
日本全国でたった1ヶ所の米沢在来作物であり、スローフード協会「味の箱船」の認定
作物である。料理、漬物も古来より行われてきた作物で、米沢地方の冬の風物詩である
。山形の食を代表する漬物であり、他の野菜では絶対に出せない味わいの野菜である。
その様なことにより、使用理由とする。
(4)製法の特徴
工
程
選別、洗浄
きざみ
内
容
収穫した雪菜を選別し、きれいに洗浄する
3㎝~4㎝にきざむ
2
ふすべる
約2秒~3秒間ふすべます。
「ふすべる」とは、お湯で野菜を加熱して辛みを出させること。
塩
塩分2%で塩漬けする。
漬
手 も み
塩を加えた『雪菜』をビニールに入れ、封をしたら、揉んで辛味を引き
出す。
包
包装室にて、各種商品仕様に基づき、規定重量を袋詰する。
装
(5)品質・衛生管理基準
工
品
程
内
質
食品添加物の合成保存料、合成着色料、合成甘味料を使わず調味料もな
るべく使用しないようにして製造する。
衛生管理
容
(1)工場内の清浄化、及び昆虫の侵入防除
(2)作業員の作業服、靴、帽子及び手袋のクリーニングと清潔保持
(3)作業員の衛生教育の徹底
5.生産量
(1)全体の生産
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
単位:トン
平成19年
8,861.5
8,501
8,987
8,535
8,468
生産量
(全体)
資料:組合資料
(2)該当商品の生産量(商品の全体量のなかで、「本場の本物」に該当する商品)
単位:トン
平成15年
平成16年
平成17年
平成18年
平成19年
生産量
(該当商品)
1.5
1.8
1.8
2.5
4.5
資料:組合資料
6.製造団体・製造企業等(「本場の本物」に該当する商品を製造できる団体・企業名)
団体・企業名
従業員数
6
住
所
有限会社
後藤商店
米沢市窪田町窪田413-3
株式会社
三奥屋
93
東置賜郡高畠町大字糠野目1664
有限会社
やまいち漬物店
15
米沢市花沢3111
3
7.該当商品名(「本場の本物」に該当する商品名)
商品名
製造者名(製造団体・製造企業等)
雪菜
有限会社
後藤商店
雪菜漬
株式会社
三奥屋
雪菜漬
有限会社
やまいち漬物店
8.業界取りまとめ団体
団体名(代表者役職名
山形県漬物協同組合
(理事長 近
清
氏名)
剛)
住
所
山形県山形市五十鈴一丁目3番27号
9.識別マークの貼付と管理
地域食品ブランド表示基準に認定された山形県漬物協同組合員の商品のみ識別マー
クを貼付できるものとする。また、それらの管理をするため組合の中に組織をつくり厳
重にチェックをし社会的責任を果たしていく。
10.第三者認証
山形県に依頼し、第三者認証を行うとともに、組合内部にも『本場の本物』内部審査
の組織を立ち上げ、間違いが発生しないよう管理施行を行う。
また、山形県食品産業協議会の指導による品質・衛生管理等に関した講習会を等し日
常の適正な管理に努めるとともに、全日本漬物協同組合連合会の技術・品質の指導を受
け、品質の向上に努めていく。
第三者認証基本・①申請通り製造されていること。
②年一回以上は認証検定と視察を行う。
③産地証明書を保管すること。
内部審査委員会・①年数回の委員会の開催 ②野菜原料の産地証明のチェック
③調味原材料のチェック ④マークラベルの使用状況のチェック
⑤表示のチェック
11.参考(社会的評価)
*この雪菜は、日本全国たった1箇所の米沢在来作物であり、
スローフード協会「味の箱舟」の認定作物です。
《 品質維持向上・社会的評価向上に関する活動 》
*昭和40年第1回山形県漬物展示品評会より4年毎に実施し次回平成22年には
第12回を迎える。
審査員として学識経験者による厳正な審査基準をもって評価をし、農林水産大臣賞
・東北農政局長賞・山形県知事賞等々の賞を授与している。
*第1回『沢庵禅師供養祭』並びに『香の物祭・沢庵禅師口伝の沢庵漬け込み式』を毎
年開催している。
*中・高校生を対象にした食育『漬物出前授業』を行い特産品、山形の食文化を子供達
に伝えている。
4
*毎年、組合における技術講習会を支部単位で開催し、多くの社員が受講できるようお
こなっている(昨年、今年の講師 宇都宮大学名誉教授・前田安彦先生、東京家政大
学教授・宮尾茂夫先生)。
四年前より、山形県農林水産部の『食の支援会議』事業の中で、県の好事例とすべく
『山形県漬物協同組合として、支部事業に『冬場における遊休ハウス利用による特産野
菜・青菜の栽培』を行い、組合員の高度利用を図り、更に他の食品業界より注目を集め
ている。
12.添付書類
①生産が行われている場所(施設)の所在地を示す資料が添付されていること。
②商品に冠された地名が旧地名であり、現在、当該地名が住居表示に使用されていな
い場合、現在の地名との関係が分かる資料が添付されていること。
③製品概要、生産範囲、製品特性、製法(含工程図・管理図)、社会的評価、生産量等
に関する記載内容の妥当性を示す資料(含写真)が添付されていること。
④製品特性や製法に関して記載された内容で実際に生産が行われていることを示す資
料が添付されていること。
⑤業界取りまとめ団体に係る登記簿謄本、定款又は寄附行為の写し又は規約、直近の
総会資料が添付されていること。
⑥当該とりまとめ団体に属さない事業者による同一食品の生産がなされている場合、当
該事業者の活動規模等が分かる資料が添付されているか。
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