平成二十八年度 推薦入学試験問題(国語) 【注意】 この問題はマークシート問題と記述式問題とにわかれています。 設問部分に「記」とあるものは記述式問題、 「マ」とあるものはマークシート問題です。マークシート問題・記述問題ともにそれ ぞれ全問が通し番号になっていますが、記述式問題は設問ごとに個別にわけた解答欄となっています。 それぞれ所定の用紙・箇所に解答を記してください。 受験番号 氏 名 第1問 次の文の傍線部の読みを「ひらがな」で書きなさい。(慣用読みは正解としない) 記1 今は亡き前任者の偉業を称え、心からの弔意を表した。 記2 この看護師に対するそのような不安は杞憂に終わるだろう。 記3 判断をあやまったことが、看護師長の逆鱗にふれてしまった。 記4 彼はわたしにとって、まさに不倶戴天の敵だ。 第2問 次の漢字(送りがなを含む)の読みが正しければマーク欄[1]を、誤っていればマーク欄[2]を、それぞれチェックし なさい。 マ1 頑な〔かたくな〕 マ2 弛む〔たるむ〕 マ3 怪訝〔かいが〕 マ4 汎用〔ぼんよう〕 マ5 仔細〔ささい〕 第3問 次の文の傍線部の「漢字」表記として正しいものをひとつ選び、それぞれ該当するマーク欄をチェックしなさい。 マ6 現場には挙動フシンな人物がいた。 [1]不振 [2]不審 [3]不信 マ7 遠隔地の支店にフニンすることになった。[1]赴任 [2]付任 [3]敷任 マ8 地元の機関のカンコクに従うほうがいい。[1]監告 [2]看告 [3]勧告 第4問 次の文の傍線部のカタカナを文意に即して「漢字」で書きなさい。各設問には異なる漢字が入ります。また、同じ解答が複 数箇所に書いてある場合はすべて誤りとします。 記5 私は彼の親のカわりを務める覚悟だ。 記6 手持ちの宝石を現金にカえることにした。 記7 病室のベッドをすべて新しいものにカえる計画がある。 第5問 次のそれぞれの語の対義語ないし類義語をあとの語群からひとつ選び、記号で答えなさい。また、対義語の場合はA、類義 語の場合はBを、それぞれ区分欄に記しなさい。 歳月 記9 猜疑 記 下落 記 記 12 11 10 記8 高邁 回復 【語群】 ア.鈍重 イ.低俗 ウ.残忍 エ.博識 オ.星霜 カ.騰貴 キ.偏屈 ク.治癒 ケ.信頼 コ.凡庸 第6問 次の慣用表現の空欄に入るもっともふさわしい語句をあとの語群からひとつ選び、それぞれ該当するマーク欄をチェックし なさい。 マ9 〔 〕の打ちどころがない マ 心血を〔 〕 [1]流す [2]洗う 汚名を〔 [3]否 [4]陽 [3]失う [4]注ぐ 11 マ [2]非 10 [1]被 〕 [1]返す [2]挽回する [3]そそぐ [4]晴らす 第7問 次の語句の意味としてもっともふさわしいものをあとの選択肢からひとつ選び、それぞれ該当するマーク欄をチェックしな さい。 マ 12 [1]仲のいい男女をひやかすこと [2]興奮しているひとをなだめること [3]いい状態の物事の邪魔をすること [4]不意打ちをして驚かせること 歯が浮く 13 マ 水を差す [1]夢見心地になること [2]軽薄な言動に不快を覚えること [3]はやる気持ちを静めること [4]物事に飽きて退屈すること 足が出る 14 マ [1]嘘がばれて正体が明らかになること [2]気持ちがはやること [3]予算を超えた費用がかかること [4]計画が滞りなく進むこと 第8問 慣用表現を用いた次の文の空欄には、それぞれ身体の部位をあらわす漢字一文字が入ります。文脈から判断してもっともふ さわしい漢字一文字を記しなさい。同じ漢字を複数回使用することは認めません。 記 記 身内から無礼な非難を浴びせられ、私は〔 15 14 13 記 〕をつぶされた。 さらに腕をみがき、いずれは彼の〔 〕を明かしてやるつもりだ。 あまりにも悲しい話を聞かされて〔 〕がつぶれる思いだ。 第9問 次の傍線部のかなづかいが正しければマーク欄[1]を、誤っていればマーク欄[2]を、それぞれチェックしなさい。 マ マ マ 玄関をほおき(箒)で掃く かんづめ(缶詰)を常備する ねばりずよさ(粘り強さ)という長所 問 次の文章表現が適切ならばマーク欄[1]を、不適切な部分があればマーク欄[2]を、それぞれチェックしなさい。 10 第 とうか(十日)ごとの通院 18 17 16 15 マ マ マ 施設内で高齢者が安心を感じれるよう配慮が欠かせない。 視線を合わせないまま説明すると、相手に不快感を与えることがある。 問 次の傍線部の敬語表現が尊敬語であればマーク欄[1]を、謙譲語であればマーク欄[2]を、それぞれチェックしなさい。 11 第 年配者との対応に不可欠なのは、敬意を忘れないことが必要である。 21 20 19 マ マ マ 入所について不明の点を係員にうかがった。 24 23 22 マ 担当の介護士にお取り次ぎくださいますか。 車椅子を拝借してよろしいですか。 問 論述には、常に論理的に正しいものと、常に正しいとはかぎらないものとがあります。次の文章が論理的に常に正しければ 12 第 マーク欄[1]を、常に正しいとはかぎらなければマーク欄[2]を、それぞれチェックしなさい。 【注】「ゆえに」の前の二つの文の叙述内容は常に正しいものであると仮定します。また、叙述の内容が実社会の現実と合っている とはかぎりません。 マ マ この入所者の口腔ケアは必ず奇数日におこなわれる。今日は奇数日である。ゆえに今日、この入所者は口腔ケアをおこなう。 この車いすは重い。重いものは操作がしにくい。ゆえにこの車いすは操作がしにくい。 問 次の推論が適正であるために、あとの選択肢のなかでもっとも適切な条件はどれか、ひとつ選び、該当するマーク欄をチェ 13 第 週末の会議には教授以外は参加できない。この会議は週末開催ではない。ゆえにこの会議は教授以外も参加可能である。 27 26 25 マ ックしなさい。 【注】叙述の内容が社会の実態と合っているかどうかを問うものではありません。 あの女性はナースシューズを履いているから、看護師にちがいない。 28 マ [1]看護師はよくナースシューズを履いている。 [2]看護師のみがナースシューズを履いている。 [3]看護師はナースシューズ以外は履かない。 [4]看護師はみなナースシューズを履いている。 問 14 第 次の文章を読んで、後の問に答えなさい。 自分一人が得をしたい 幼児的願望とは、わがまま、頑固、恩着せがましさ、ナルシシズム、依存性、いつでも誉められたい、注目されたい、求められた い。努力したら「よくやったね!」と言われたい。周囲の人にはいつも自分の話をしてもらいたい、だから人の話題はつまらない。 いつも自分一人が得をしていたい、でも ① とは言われたくない。損するのはいや、でも〔 あ 〕な人と言われたい。辛い自 分の気持ちを汲んでもらいたい。いつでも「あなたは正しい」と言ってもらいたい。無責任でいたい、でも尊敬はされたい……。 幼い子がある人を好きになったとする。するとその人が、自分の側にいてもらいたいときに側にいなければ、その人に不満を感じ る。 しかし、その人に側にいてほしくないときには、その人が側にいると不満になる。幼児的願望とは、とにかく自己中心的なのであ る。 さらに重要なことは、幼児は「してもらうことがあたりまえ」と思っている。自分のしてほしい何かをしてもらえることがあたり まえと思っている。 幼児的願望とは、 ② に「愛して!」という叫びでもある。相手に何かを与えるのではなく、与えてほしいという叫びである。 心理的に健康な大人は、他人に背中をかいてもらった、肩を Aタタイテもらった、マッサージをしてもらったなど、何かをしても らったら「ありがとう」と言う。 普通はいろいろなことをしてもらえば、相手に感謝する。相手の気持ちを汲み取る人なら「あー、気持ちよくなった、ありがとう」 と付け加える。 〔 a 〕 、幼児はそれをしない。してもらっても「気持ちいい」と思うが、教えなければ「ありがとう」は言わない。それは、 してもらえることが自然だからだろう。 幼児的願望が満たされないまま大人になった人の心理 幼い頃から「良い子」を演じている人は、何よりもこの幼児的願望が満たされていない。これが満たされないままで社会的に大人 になると、 ③ 。 大人になって幼児的願望が〔 い 〕されていると、表面は大人の顔をしなければならないから憂欝になる、イライラする。 社会的に大人の振る舞いをすることは、本当の自分の願望とは ④ の振る舞いをしなければならないということである。だか ら、 「 ガマン、ガマン」で、最後には気力を失い、憂欝になるのは当然である。なんだかわからないけどイライラするのもあたり B まえである。 (中略) ゆりかごを押してもらいたいときに、自分のほうが押さなければならない。 自分が養ってもらいたいときに、人を養う立場に立たされる。 社会的、肉体的には父親でも、心理的にはまだ子供である。だから、日々無理をして生きていることになる。日々人知れずガマン をして生きている。 幼児的願望は大人の願望とは〔 う 〕する。大人の願望とは、与えられることよりも与えることに喜びを感じる。 幼児的願望を持っている人が、大人の立場に立たされることは、たいへん辛い。自分の願望とは ④ のことをすることを周囲 から期待されるからである。 したがって、大人になってからも、自分の感情が、この満たされない幼児的願望に心の底で支配されていると、毎日が辛い。心理 的に健康な人には想像もできないほど毎日が苦しくたいへんである。 気持ちを汲み取ってあげれば素直になる 塾に来て「ぼーっ」としている子がいる。ケンちゃんという。 「あ・い・う」も書かない。 そこで、先生がケンちゃんに、 「ケンちゃん、今いっぱい悩みを抱えていて、 『あ・い・う』を書くのも辛いんでしょ。その気にな らないんだよね」と言った。 それを聞いてケンちゃんは字を書き始めた。自分の辛い気持ちを汲み取ってもらえたから気力が出たのである。 先生は続いて、 「ケンちゃんの悩みをいろいろ聞いてあげるからね。その時間をとろうね」と言った。 〔 b 〕子供は「それを先生からお母さんに言ってくれ」と言う。 幼児的願望を満たされていない大人は、幼い頃こうした先生が側にはいなかった。 多くの場合、幼児的願望を満たしてくれるのは母親だけである。その母親が大人だったら、与える喜びを知っているから、幼児的 願望は満たされる。 しかし、幼児的願望を満たしていない母親は、子供に自分の気持ちをぶつける。子供は母親に気に入られようとして、自分の気持 ちを押し殺して「良い子」になろうと努力する。だから、 「良い子」は幼児的願望が満たされないまま大人になる。 大人になって幼児的願望を〔 え 〕出したら、恋人は逃げていく。これがマザコン青年の失恋である。 愛された人だけが人を愛することができる。愛されるなかで愛する能力が Cツチカワレる。 しかし、愛されなくても社会的には大人になっていく。そして、人から何かをもらいたいときにでも、自分が与えなければならな い立場に立っていく。 〔 c 〕 、幼児的願望を持って社会的に大人になれば、日々生きるのが辛くなるのはあたりまえなのである。日常生活が辛くて、 「じっとガマン」することになるのはあたりまえである。人間関係で不満になるのはあたりまえである。あの人にも不満、この人に も不満になる。 「こうしてほしい」「ああしてほしい」という気持ちが強いときに、逆に「あれも、これも」といろいろなことを相手にしてあげ なければならない。 自分の苦しい気持ちをわかってほしいときに、逆に相手の苦しい気持ちを理解してあげなければならない。 自分が泣きたいときに、相手を慰めてあげなければならない。 「オレのこの気持ちをわかってくれー」と叫びたいときに、相手の気持ちをわかってあげなければならない。 これでノイローゼやうつ病にならなければ、ならないほうがおかしい。この辛い気持ちを誰かがわかってくれれば、あなたはノイ ローゼにもうつ病にもならなくてすんだのである。 先のケンちゃんの母親である。 母親は、 「この子は家では、 ⑤ 動かない」と不満を言う。〔 d 〕母親は、 「もう私が泣きたい」と悲鳴をあげた。 この母親は、じつは幼児的願望が満たされていないままに母親になってしまったのである。 だから、子育てがうまくできない。子供が言うことを聞かないときに子供を殺したくなるという。 これが、幼児的願望を満たされないままに大人になってしまった者の心理である。 幼児的願望を満たされないままに母親になった者は、頑張っているにもかかわらず、子育てを上手にできない。そこで、 「もう泣 きたい」と悲鳴をあげるくらい辛い日々になる。 記 16 記 17 記 傍線部Aの「タタイテ」を、 「漢字と送りがな」で書きなさい。 傍線部Bの「ガマン」(四箇所とも同一)を、 「漢字二文字」で書きなさい。 18 記 傍線部Cの「ツチカワレ」を「漢字と送りがな」で書きなさい。 19 加藤諦三『自分のうけいれ方』 《愛蔵版》より 空欄 ① には漢字四文字の語が入ります。六行あとの「自己中心的」とも考え合わせ、最もふさわしい語句を「利」を マ 29 最初の一字とする漢字四文字で書きなさい。 空欄 ② [1]無抵抗 に入る最もふさわしい語句を以下からひとつ選び、該当するマーク欄をチェックしなさい。 [2]無差別 [3]無条件 [4]無頓着 [5]無意識 空欄 30 マ ③ に入る最もふさわしい語句を以下からひとつ選び、該当するマーク欄をチェックしなさい。 [1]この幼児的願望は変質してしまう [2]この幼児的願望は次第に肥大化する [3]この幼児的願望は心のなかに残る [4]この幼児的願望の消滅には時間がかかる [5]この幼児的願望を克服しようとする 空欄 20 記 ④ (二箇所とも)には同じ漢字一文字の語が入ります。前後の文脈から判断し、最もふさわしい語句を漢字一文字 で書きなさい。 空欄 21 記 ⑤ には「頑として」という意味の「~でも」という語が入ります。ある道具を喩えとして用いたこの表現の「~」 の部分にあてはまる語をひらがな二文字で書きなさい。 文中の〔 あ 〕から〔 え 〕に入る言葉の組み合わせとして最もふさわしいものを次の語群から選び、該当するマーク 31 マ 欄をチェックしなさい。 [1]〔あ〕温厚 〔い〕制御 〔う〕対立 〔え〕臆面もなく [2]〔あ〕柔和 〔い〕隠蔽 〔う〕相反 〔え〕大げさに [3]〔あ〕冷静 〔い〕温存 〔う〕併存 〔え〕全面的に [4]〔あ〕寛大 〔い〕抑圧 〔う〕矛盾 〔え〕あからさまに [5]〔あ〕公正 〔い〕秘匿 〔う〕拮抗 〔え〕唐突に 文中の〔 a 〕から〔 d 〕に入る最もふさわしい語を次の語群からそれぞれ一つずつ選び、該当するマーク欄を 35 ~ 32 マ チェックしなさい。同じ語の重複使用は認めません。なお、使用しない語が一つあります。 〔 a 〕 〔 b 〕 〔 c 〕 〔 d 〕 35 34 33 32 マ マ マ マ 記 22 [1]したがって [2]ただし [3]すると [4]さらに [5]しかし 本文中には括弧つきの「良い子」という言葉が書かれています。本来は肯定的な意味で用いられるこの言葉は、この文章で はどのような意味合いで用いられていますか。前後の文脈ならびに語の意味を考慮して簡潔に説明しなさい。解答は五〇文字以上 六〇文字以下の一文で記すこと。句読点も一字分とします。冒頭の一字下げは不要です。なお、末尾は「意味合い。」で終えるよ うに作文すること。
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