日本語日本文学科 The Dreams of DoRIS 2013 ●表象文化学部 Doshisha Women's College of Liberal Arts 服部 匡 教 授 HATTORI Tadasu [現在の専門分野] 言語学・音声学、日本語学 [現在の研究テーマ] 日本語日本文学科 日本語文法・意味とその変化 [学 位]文学修士(京都大学) [所属学会]日本言語学会、国語学会、日本音声学会、計量国語学会、The Linguistic Society of New Zealand ■ 主要研究実績 〈著書〉講座 ITと日本語研究6 コーパスとしてのウェブ(共著) 明治書院 2011年 ■ 研究・社会活動等 日本言語学会大会運営委員会 委員 2004年〜2007年 法科大学院適性試験問題作成研究会 委員 2004年〜2007年 独立行政法人大学入試センター 客員教授 2006年〜2007年 〈論文〉多寡を表す述語の特性について 玉村文郎編『日本語学と言語学』2002年 小さな量を表わす表現の意味的性質について 言語研究 大規模コーパスを用いた副詞「全然」の共起特性の調査 同志社女子大学学術研究年報 因子分析を用いた程度副詞と述語等の共起関係分析の試み 同志社女子大学総合文化研究所紀要 2004年 科学研究費補助金(一般研究(C)) 日本語における否定対極表現の研究 1995年 2007年 科学研究費補助金(萌芽研究) 落語CDにおける終助詞用例(音調付き)のデー 2007年 科学研究費補助金(特定領域研究) コーパスを用いた日本語研究の精密化と新 タベース化と研究 「漢語動名詞+‘先’ 」の意味分析 新聞コーパスの実例に基づく多義の研究 『言葉と認知のメカニズム 山梨正明教授還暦記念論文集』 2008年 「〜シテイル」と「〜シテオル」 :戦後の国会会議録における使用傾向調査 計量国語学 程度的な側面を持つ名詞とそれを量る形容詞類との共起関係─通時的研 究─ 言語研究 しい研究領域・手法の開発 2002年〜2002年 2006年〜2010年 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 有無・量的大小・増減・出現消滅の述語の総 合的研究 2011年~ 2014年 2009年 2011年 話者の出生年代と発話時期に基づく言語変化の研究─国会会議録を利用 して 計量国語学 ■ 学内外研究費による主要研究活動歴 ■ 主要な担当授業科目 [大学院]日本語特殊研究Ⅰ [大 学]卒業研究、演習ⅠM、基礎リテラシー、日本語学の世界など 2011年 現代日本語の特質をデータから探る 現代の日本語のさまざまな面、特に、言葉 書物などから収集した少数の用例の考察に基 進行中であることを発見したりすることがあ の意味や文法の面を、言語学的に研究してい づく方法が主流でしたが、現在は、コンピュー ります。 ます。日本語に限らず人間の言語というのは タの上で利用できる大量のデータ(コーパス) 例えば、ある事態が起こる可能性はどのく もともと自然発生的にできたものなのに、ず が強力な研究材料となっています。例えば、 らいあるかを話題にしているとき、私たちは いぶん規則的に、また、精緻にできているも 国会の会議録、新聞記事、文学作品、ネット 「可能性が大きい」 「可能性が高い」などの言 のだと驚かされることがあります。しかし一 上のブログなど、さまざまなデータが電子的 い方をよく使います。ところが、わずか60年 方で、長い歴史の中で偶然そうなったとしか に利用できます。文庫本に換算すれば何万冊 前には、 「可能性が高い」という言い方はあま 言いようのないような説明しにくい面がある 分にも相当するデータを短時間のうちに検索 のも事実です。また、どの言語でも、時の流 したり加工したりできる利点ははかりしれま れの中で変化してゆく部分があるのは面白い せん。 たようなのです。 「危険性」などについても、 ことです。 こうした大量のデータを分析してみると、 同じような使用傾向の推移が見られます。 現代の日本語の研究に利用できる材料は、 頭で考えたのではまず思いつかないようなタ このような新事実の発掘は、近年よく聞く もともと、われわれの身の回りに無限にある イプの用例の存在に気づかされたり、一見同 「データマイニング」に通じるところがあり、 わけですが、近年、電子化の進展に伴って研 じ意味のように思われる二つの表現の使用傾 究環境が大きく変わってきました。従来の研 向に意外な相違があることが分かったり、こ 究は、研究者が頭で考えて作った例や、紙の れまで指摘されていないような言葉の変化が り用いられず、 (現在はめったに聞かれない) 「可能性が多い」という言い方がよく用いられ その方法の開拓に力を入れています。 同志社女子大学 教員研究活動紹介集 15
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