1年 音楽科実践事例

1年 音楽科実践事例
1.題
材
2.指導時期
3.目
ようすを おもいうかべて きこう(教育芸術社 1年)
標
11月
○ 曲想の変化に関心をもち、意欲的に聴こうとする。
○ 曲想の変化を知覚・感受する。
○ 曲想の変化を意識して聴き、そのよさを人に伝える技能を身に
つける。
4.指導にあたって
本題材では、
「曲想の変化」を指導内容とし、速さや旋律が変わることによって、楽曲の
気分が変化することを、楽曲全体を通して味わうことがねらいとなる。楽曲の流れを感じ
取りながら聴くために、音楽に合わせて体を動かす、ねこになって動いてみるといった身
体表現を取り入れ、楽曲の気分を全体的に感じ取れるようにする。
また、楽曲の気分が、旋律や速さによって変化することを意識できるようにするために、
変化した部分を初めの部分と同じ身体表現で動いてみる活動を取り入れる。そうすること
によって、異なる旋律が出てくることや、その後また同じ旋律がでてくることにも気付く
ことができると考える。このように、旋律や速さが変わることで曲想が変化し、お話の展
開のように音楽がすすんでいくことに気付いた子ども達は、音楽全体を楽しみながら味わ
うことができる。
言語活動を設定する際には、楽曲がもつ特徴やそこから感じ取れる気分、様子などの事
柄を、身体表現をすることで、低学年なりの言葉で表すことをめざす。楽曲を聴いて想像
したことを自分の体験と結び付けて書いたり、音楽の特徴や感じたことを音楽の言葉を使
って書いたりして、相手にわかりやすく伝える力を養いたい。例えば、
「トライアングルの
チリチリという音が」といった音楽の言葉を使って表したり、
「小鳥が集まってくるように
聞こえた」といった自分なりの想像を記述したりできるようにしたい。また、相手意識を
もって書くことができるようにするために、紹介文を書くという活動を取り入れる。
この単元での基本重要語彙
曲 速さ 旋律 ゆっくり
○
楽曲を聴いて身体表現をすることを通して、曲想の変
化に気付き、感じたことやイメージしたことを書いた
この題材で重視した言語活動
り、発表したりする。
○
楽曲のよさや楽しさを音楽の言葉を使って、相手にわ
かりやすく伝えるために紹介文を書く。
5.学習指導計画(全2時間)
時
第1時
学 習 活 動
○留意点 ★評価規準と評価方法
①題名を聞かずに「おどるこ ○初めから約23秒のところまで聴かせ、バイオ
ねこ」の初めの部分を聴き、
リンのグリッサンドに注目するようにする。
何を表しているか考える。
この曲は、ある動物の鳴き声が聞こえてきます。
どんな動物が出てくるかよく聴いてみましょう。
どうしてそう思ったのかも考えてみましょう。
・小鳥。すずみたいなのが鳴き声に聞こえたから
・象。ヒュウ〜というところが鼻をゆらして
鳴いているみたいだからです。
②「おどるこねこ」の初めの ○初めから約43秒のところまでを繰り返し聴け
部分に合わせて、自由に体
るようにテープに録音をしておく。
を動かす。
この曲をつくった人はねこを表したかったので
す。では、音楽に合わせて体を動かしてみましょ
う。だれの動き方が音楽によく合っているかな。
音楽に合った動きをしている児童がいれば、横へ行って賞
賛の言葉をかける。
③三拍子の曲に合っている動 ○ゆったりとした三拍子のワルツの感じがつかめ
きを互いに模倣し合う。
ていたり、ねこの様子が音楽に合っていたりす
る児童の動きを取りあげて紹介するようにす
る。
・先生がみていると○○さんの動き方がとっても
音楽に合っていましたよ。みんなでまねをして
みましょう。
・
(動いてみて)音楽に合わせて気持ちよく動けま
したか。
2~3人の動きを取りあげて、模倣してみる。
・途中からちょっと速くなったよ。
・また最初の速さにもどったよ。
○初めから約1分18秒のところまでを聴かせ、
同じ音楽でも速さが変わっていることに気付け
るようにする。
★評価規準
曲想の変化に関心をもって意図的に動いている
か(関心・意欲・態度)動きの様子
④なかの部分を聴き、初めと ○初めから約1分42秒までを1回聴かせ、今ま
なかでどのように違うか、
での部分と音楽が変わることに気付くようにす
発表し合う。
る。
今度は、もう尐し長く音楽をかけますよ。○○さ
んの動き方で動いてみて気が付いたことを教えて
ください。
(動いてみた後で)
・初めと違う音楽がでてきました。
・なんかすごく速くなって、違う動き方をしたく
なりました。
・ヒュウ ヒュウって音がしていました。
ここの部分はねこが何をしているところで
しょう。
・くるくると回っておどっているところです。
★評価規準
曲想の変化を知覚感受しているか(表現の工夫
と感受) 動きの様子
⑤全曲通して聴き、気分の違 ○音楽の変化からどんな感じがするかを書けるよ
いで感じたことをワークシ
うなワークシートを準備する。
ートに書く。
では、今から全部通して音楽をかけますから、ねこ
ワークシート①
が何をしているのか、想像してプリントに書きまし
「ようすをおもいうかべ
ょう。そのときに、音楽のどこでそう思ったのかも
て」
書きましょう。
○「音が○○だから」
「音楽が速く・遅くなったか
ら」
「○○の音がでてきたから」といった音楽の
言葉が使えるように、黒板に例示する。
★評価規準
曲想の変化について気付いたことや感じたこと
を書いているか(表現の工夫・感受)ワークシ
ート
第2時
① 「おどるこねこ」を全曲 ○楽曲を繰り返して聴けるようにしておく。
通して聴き、曲の変化を
意識してグループで曲に
合った動きをつくる。
・今日は4人のグループで「おどるこねこ」の音
楽に合った動き方を考えてみましょう。
・音楽が変わるところで、動き方をどう変えるか
グループでよく話し合ってみましょう。
②中間発表をする。
○2〜3回流したら、グループでの話し合いの時
間をとるようにする。
★評価規準
曲想の変化を感じ取って意欲的に動いているか
(関心・意欲・態度)動きの様子
・どんなことをしているところですか。
・どんな様子ですか。
③再度、グループで曲に合っ ○動きの変化がよくわかるグループを2つほど取
た動きをつくり、できた動
りあげ、何をしているところか、何を表そうと
きを発表し合う。
しているか、曲の変化でどこを変えたのかとい
った点を発表し合う。
・できた動きを発表しましょう。音楽の変わったと
ころで動き方をどう変えたかを教えてください。
④曲の紹介をワークシートに ○曲想の変化に合わせて、動きをどのように変え
書く。
たかを、見ている人に伝えてから発表するよう
にする。
ワークシート②
「きょくを
しよう」
しょうかい
○変化がよく現れているところはどこかを考えな
がら見るように促す。
・この音楽をまだ聴いたことがないおうちの人に
お手紙で教えてあげましょう。
・今日、4人でつくった動き方やこの間書いた文
章をもとにして、たくさんの言葉でよくわかる
ように教えてあげてください。
○書けたら隣の人に読んでもらい、よくわかる文
章になっているかどうかを互いに読み合いでき
るようにする。
★評価規準
曲想の変化を意識して聴き、そのよ
さを紹介文に詳しく書いているか(鑑賞の能力)
ワークシート
ワークシート活用のポイント
【音‐1年 ワークシート①】
【音‐1年 ワークシート②】
【音-1年 ワークシート②】
【音-1年 ワークシート①】
きょくの しょうかいを しよう
ようすを おもいうかべて
1ねん
♪「おどる
こねこ」を
くみ
なまえ(
1ねん
)
きいて・・・
♪「おどる
はじめのところ
人に
くみ
こねこ」は
おしえて
)
なまえ(
「こんな
音がくだよ」と
おうちの
あげましょう。
ここは ねこが どんなことを しているのかな?
ねこのくにのおうじょさまが、おど
りを はじめるところ。
(略)
かんがえた
えに
ことを
まとめて
文や
みよう。
この
なかのところ
ここは ねこが どんなことを しているのかな?
ヒュウヒュウという音がしていて
もりの どうぶつと いっしょに
ねこが はしゃぎまわっている。
犬のなきごえが きこえてきた。犬
のくにから やってきた犬に ほえ
られ、大さわぎになる。そのとき こ
ねこの ゆめが おわった。
おどるこねこと
はじめは、ゆっくりとした
おしろで ねこが
なかんじです。
いいます。
おんがくで
おどっているよう
「はじめは」「つぎに」「さいご
は」という
おわりのところ
ここは ねこが どんなことを しているのかな?
おんがくは
ことば
をつかっ
て、おはなしの ように かいて
みよう。
重視した言語活動
つぎに、いろいろな
がっきが
いって、にぎやかな
す。
さいごは、こねこや
がします。ねこの
ふえて
かんじになりま
犬の
なきごえ
気ぶんになります。
重視した言語活動
「曲想の変化に気付き、感じたことやイメ
「楽曲のよさや楽しさを音楽の言葉を使って
ージしたことを音楽の言葉をつかって、人
相手にわかりやすく伝えるために紹介文を書
に伝える」
く」
自分の経験や知識の中から言葉を選び、音楽を聴
前時に書いた文章を参考に、おうちの人に紹介するとい
いて思ったことを音と関係づけておはなしのよう
う設定で音とお話を関連付けて文章を書く。自分の感想
に書く。
も付け加える。
(補助文つき)
(例)
(例)
・ (はじめのところ)トライアングルがなっている
・この音楽は「おどるこねこ」といいます。はじめは、
ので、ちょうちょとねこがお話しているみたい。
ゆっくりしたりはやくなったりしてねこがちょうちょ
・ (なかのところ)ヒュウ ヒュウという音がして
とお話をしながらおどっています。つぎに、タータタタ
いて、どんどん森の動物や小鳥さんが集まってき
という音楽が何回も出てきて、くるくるおどっていると
た。
森の動物や小鳥がどんどんあつまってきて、みんなでい
・ (おわりのところ)犬の鳴き声がして、みんなが
びっくりしてにげた。
っしょに遊びました。最後は、犬がやってきて、大きな
声でほえたので、みんなびっくりして逃げてしまいまし
た。とても楽しい音楽です。
※下線
下線
は、音にかかわること。
は、想像した内容。
ワークシートの使い方
○
○
用紙は B4の大きさで、二つ折りにして用いる。またはA4 2枚にして使う。
第1時で、3つの部分に分けて聴いて書いたことがらを、第 2 時では、全曲通して聴き、つな
がりのある文章として書く。
「はじめは」
「つぎに」
「さいごは」といった、接続語を使えるよう
にする。
○
○
自分の思ったことやおすすめの点なども書くように声かけをする。
曲想の変化の知覚(音がこう変わった、こんな音がした、速さがこうなった)と感受(だから
こう感じた、こう思った)ということを関連させて書けるようにする。