2001年度「視聴覚教育」 「映画」の誕生 1.「映画」とは何か ■技術的定義 ●『 人間が映画をとり始めたとき 』ハンス・トラウプ 「 連続的な像の 、写真による投影 」 ●『映画小辞典 』(カルレス・ライトネイト) 「クロノフォトグラフィ[瞬間多重写真]と対照的に、動きの幻覚を写真的な手段によ って与える技術的な装置」 ●『広辞苑』 「長いフィルム上に連続して撮影した多数の静止画像を、映写機で急速に(普通一秒間一 五こま以上)順次投影し、眼の残像現象を利用して動きのある画像として見せるもの 。」 ■用語 日本語 「活動写真 」(明治時代)→大正初めごろから「映画」 英語 モーションピクチャー( motion picture)ムービー( movie ) film(フィルム) フランス語 発明の呼称 シネマトグラフ( cinématographe ) シネマ cinéma(シネマ)→英語圏でも普及 2.「映画」の前史 ●カメラの原型( )[ラテン語で「暗い部屋 」] 発明者 不明 発明時期 紀 元 前 ? 暗くした部屋の屋根や壁などに小穴をあけ、その反対側の白い壁や幕に、戸外の実像を 逆さまに写し出す装置。紀元前4世紀のギリシアの哲学者アリストテレスも戸外の観察に 使用したといわれる。 イタリアの物理学者ジョバンニ・バッティスタ・デラ・ポルタが『 自然の魔術 』 ( 1589 ) の中で絵を描くときの補助具として推奨。各国語に翻訳され、普及する。1620年ごろドイ ツの天文学者ケプラーは移動可能なテント型のものを製作し測量に使用。 ドイツのヨハン・シュトルムは『実験的もしくは好奇的集団 』(1676)のなかで、初め て箱形レフレックス型カメラを図解(一眼レフカメラの基本原理 )。 ●写真の発明(ヘリオグラフィー) 発明者 フランスの( ) 発明時期 1826年(22年説もある) 白っぽい天然アスファルトをスズと鉛の合金の板に塗布し、これをカメラに装填。戸外 で約8時間露出したあと、石油とラベンダー油の混合液で洗い、光でアスファルトが硬化 した部分を残すことで画像を固定した。 ●銀塩写真[現在の写真の基本原理]の発明( ) 発明者 フランスの( ) 発明時期 1837年 銀メッキした銅板上に生成させたヨウ化銀に露光を与え、水銀で現像し食塩水で定着し て現像した。 ●幻灯機との組み合わせによるスライド上映の考案 考案者 フィラデルフィアのライゲンハイム兄弟 考案時期 1850年頃 映画と同様に物語を上映し、モンタージュやフラッシュバックの技法を用いた。 1 ●動きの幻視を与える装置の発明( ) 発明者 プラトー 発明時期 1832年 円盤に連続した絵を描き、スリットを入れ、鏡の前で回転させる。切り込みから鏡を のぞくと絵が動いているように見える。→ストロボ効果の法則 ■ストロボスコープ(ウィーンのシュタンパー) 同じ時期・ほぼ同様の装置 ■ゾーアトロープ(イギリスのホーナー) 1834年 ドラムにスリットを入れて、回転させるもの。 ■プラクシノスコープ(フランスノレイノー) 1877年 ソーアトロープの改良。鏡をドラムの内側に付けた。 ●連続写真の考案 考案者 アメリカのエドワード・マイブリッジ 考案時期 1877年 馬のギャロップを連続写真で撮影。ゾーアプラクシスコープ(投影式フェナキスティコ ープ)を使って上映した。 ●多重撮影の発明( ) 発明者 フランスの生理学者のマレイ 発明時期 1882年 当初は一枚の原板に多くの瞬間写真を重ね合わせていたが、のちに手持ち式銃型の写真 機とロール型の紙フィルムを用いた。これにより多数のカメラを必要とするマイブリッジ の方法の欠点が大幅に改善された。 ●映画の原型の発明( ) 発明者 エジソン 発明時期 1891年 ループ状のフィルムを一人一人がのぞいて見る装置。蓄音機と結びつける実験をした。 3.映画の誕生 ●ビオスコープ(本当の発明者?) 発明者 ドイツのスクラダノフスキー兄弟 発明時期 1892∼1895年頃 二本のレンズを持った映写機で上映。 ●シネマトグラフ(映画によって成功) 発明者 フランスの( )兄弟 発明時期 1895年 パリの国内産業振興協会で最初の映画を公開した。題名は『リュミエール工場の出口 』。 映画は社会にどのような影響をもたらしただろうか。 2
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