福音の価値に従った生涯を送るために必要な小中高教育

福音の価値に従った生涯を送るために必要な小中高教育
―同じ課題に立つ高等教育の宗教学の立場からー
於:第 23 回全国カトリック学校 校長・教頭合同研修会
2014 年 6 月 26 日
白百合女子大学 佐々木裕子
[email protected]
1.自己紹介(生涯学習・宗教学≠神学)
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「大学における宗教文化教育の実質化を図るシステム構築」
→「宗教文化士」認定試験制度
・
「東日本大震災後の地域コミュニティの再編と宗教の公益性に関する調査研究」
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「19 世紀のアジアと日本におけるフランス系宣教会及び修道会と教育に関する比較研究」
2.
「福音の価値に従った生涯」を送るために模索する高等教育
司祭・修道者・信徒の教員の減少など課題は類似 etc.
3.カトリック学校がおかれている課題(多様性の中で)
①何を伝えるか?どう伝えるか?
②経営をどう考えるか?
③提供したいと思っているカトリック教育の理念は伝わりにくい、見えにくい?
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「右手のしたことを左手に伝えない『美徳』
」?「言葉化が苦手」?
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「カトリック学校としての自己点検評価基準」はあるが、実際の教育に何を
どう入れるか? e.g.「〇〇校生 18 才のすがた」
・
「建学の精神」や「創立者の人生」や「モットー」だけでは、なかなかわかりにくい。
or それぞれの学校の建学の精神は伝わるが、カトリック全体の教育の精神は?
“What makes Catholic schools Catholic?”
4.生涯教育・一般教育学的視点
(1)生涯学習とカトリック教育
生涯学習理論はキリスト教的背景が大。e.g.フレイレ、英国大学開放運動等
日本では国公立大学で教育学を学ぶ場合には価値を扱うことはタブー
生涯学習において価値の問題が扱われ出したのは20世紀末
→1980 年代後半~ 生き甲斐や、死について考える。
(2)教育の営み 「ヘリテージ」から何を「レガシー」にするか。
<Education as a History Project>
heritage → You & I
→ legacy
一人ひとりが歴史に関わっている、責任を持っている。
あなたはどういう社会が幸せな社会だと思いますか?という問い
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5.高等教育機関が現在迫られている、大きな課題。
①いわゆる「バリキャリ教育」と「リベラル・アーツ教育(教養教育)
」
②社会人基礎力(経産省) ←「高等教育の義務教育化」
(村上陽一郎)
「役に立つか、立たないか」?「使えない」?「過労死しないための
ストレス・マネージメント」?
vocation と professon → personal vocation
「商品化され得ない私」を保ち続けられるか?
6.経営との問題
・
「マネージメント」自体の問題。
・
「マネージメント」を使いながらも、マネージメントにおとしめない。
7.
「協働の方策」の模索に向けて
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「ご自身が生徒・児童に一番伝えたいことは何ですか?」
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「卒業後、30年後、50年後、覚えていてほしいことは何ですか?」
↓
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「共通に立てるところ」を探すところから始める
・川嶋あい&川本隆史の対談
(川嶋あい・川本隆史「7.幸せを感じる社会とは」上田紀之編『Q-私の思考探究―』NHK 出版、2011 年)
8.新たな在り方
・アメリカの女子大・女子校の再起の例
良妻賢母→「女の子は成功してはいけない」という観念から解き放すための学び
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「Youcat」
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「教会の社会教説」との対話
9.新しい地平のリベラル・アーツの再評価と方策 (体験型リベラル・アーツ)
・リベラル・アーツの動向(ELSI)
・東大の初年次教育等
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「あなたを苦しめているものは何ですか?」
(隣人愛)
U2 のボノさん「ボランティアはチャリティではなく、正義」
・静かな時間への希求(スコレー) /今、若者はなぜ歩くか?
・プロテスタントの方々や諸宗教の方々、宗教を持っていない方々との対話
幾つかのこと
・グローバルな視野をもった人間を育てるが、
「グローバル人材」として育てない
・私立学校としての意味の確認
・
「感謝される人になりなさい」→「思わず感謝してしまう人に」
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