第3学年 道徳学習指導案 岩国市立東中学校 1 単元名 「生命の大切さについて考えよう」(総時数13時間) 2 単元構成 (1) 単元構成の意図 中学生をとりまく社会環境は、決して健全なものとは言えない。生命軽視の社会風潮が多くの犯罪を生んでいる。近年、 生活様式の変化から、人間関係は希薄化し、命あるものとの接触が少なくなっている。家庭で楽しむファミコンなどでは 「敵」を殺していくことがゲーム化され、残忍なシーンのあるテレビドラマに 興味をもつ生徒も少なくない。 これまで、本学級の生徒は、道徳や学級活動で生命の尊さ、大切さを学んできた。しかし、理屈では理解できても、日 常生活の中で生命の重みを実感する機会は少ない。生命尊重をいくら唱えてみても、その体験の乏しい生徒にとっては、 非現実的ものとしかとらえられない。だからこそ、命の輝きや強さ、いとおしさを実感させる場面を意図的にくり返し設 定する必要がある。 そこで、本単元では、「保育実習」を中心に道徳、教科等を総合単元化することによって、生命の尊さを実感させ、生 命に対する畏敬の念や自他の生命を尊重した生き方について深く考えさせていきたい。また、この機会をとらえて、自分 を育ててくれた家族・地域の人々に対してどのような態度や行動をとることがより望ましいことなのかをじっくり考えさ せ、家族や地域の人々への感謝の心を育んでいきたい。 (2) 単元構成表 時 1 教科・領域 道徳 (本時) 学習内容 生命の尊重 「語りかける目」 ねらい 「価値の自覚」の高まり ・阪神・淡路大震災で最愛の母を失っ た少女の深い悲しみに共感すること 生命の尊さに気づく を通して、生命の尊さを理解し、か けがえのない自他の生命を尊重する 態度を育てる。 2 社会科 家 族 に お け る 個 人 の ・家族の中で今まで自分が学んできた 尊厳と両性の本質的 ことを話し合いを行うことを通し 家族や地域社会へ感謝す 平等 て、家族や地域社会に支えてられて る 「一人の人間として 生きていることを理解する。 のわたしたち」 3∼6 家庭科 乳 幼 児 期 の 発 育 と 保 ・心身の発達段階に応じた保育の基礎 自分自身のことを振り返 育 る 的技術を習得し、乳幼児を愛育する 態度を育てる。 7∼ 10 11 ∼ 12 英語科 家庭科 生 命 の 尊 重 ・ 思 い や ・物語を通して、生命とはかけがえの り ないものであることを自覚し、自他 自他の生命の大切さに気 「A Mother's Lullaby」 の生命を大切にする心情を育てる。 づく 保育実習 ・乳幼児とのふれあいを通して、生命 の尊さを実感し、将来の人間形成に 生命の尊さを実感する 必要な父性・母性を育てる。 13 家庭科 保育実習を振り 返る ・保育実習への取り組みを振り返り、 自他の生命の尊厳について考えを深 自他の生命の尊厳につい て考えを深める める。 14 道徳 生命の尊重 「天井が明るい」 ・筆者が死の恐怖と向かい合ったこと をへて、得たものは何だったという 自他の生命を尊重した生 ことを考えることを通して、命ある き方について深く考える ことのすばらしさに共感し、決して 軽々しく扱われるべきではない生命 の尊さを深く自覚し、自他の生命が かけがいのないものとして尊重する 態度を育成する。 3 本時案 (1) 主題名 「生命の尊重」[内容項目3−(2)] (2) 資料名 「語りかける目」( 山口県教育委員会、山口県道徳実践活動学習教材 『未来を拓く』 第2集) (3) 主題設定の理由 ① 男子17名、女子15名の全体的に穏やかな雰囲気のクラスである。男子、女子ともに概して活気があり、いろいろ な活動に積極的に参加したり活動したりすることができる。その反面、お互いに遠慮しすぎている面もあるが、不用意 に相手の気持ちも考えずに傷つけるような言葉を発したり、また、相手の立場を理解しないで行動したりする生徒も見 られる。生徒はいたって健康であるが、自己の生命の有り難みを感じている生徒は決して多いとは言えない。また、核 家族化により身近な人の死に接したり、人間の生命の有限さやかけがえのなさに心を揺り動かされたりする経験も少な くなっている。 ② 本資料は、兵庫県の中学生に向けた防災教育のために作成されたもので、阪神・淡路大震災の時の警察官の手記を元 に書かれたものである。震災の状況下で、母を失った少女の悲しみの深さを感じ取るとともに、その悲しみを乗り越え ていこうとする、少女のたくましい生き方について考えさせることのできる資料である。目の前で母が炎の渦に飲み込 まれていくという残酷な場面や、焼けこげた母の遺骨を鍋に入れて身じろぎもせずに見入っている場面など、中学生に は強烈すぎる場面も見られるが、それだけに鮮烈な印象をもって親子の深い愛情に共感できるものと思われる。 ③ 生命は、かけがえのない大切なものであって、決して軽々しく扱われてはならないものである。指導にあたっては、 最愛の母を目前で失った少女の深い悲しみに共感させることを通して、生命の尊厳について深く考えさせたい。また、 生命あるものは互いに支え合って生き、生かされていることに感謝の念をもつよう指導するとともに、自他の生命を尊 重する態度や、生きることのすばらしさをしっかりと自覚させたい。 (4) ねらい 阪神・淡路大震災で最愛の母を失った少女の深い悲しみに共感することを通して、生命の尊さを理解し、かけがえのな い自他の生命を尊重する態度を育てる。 (5) 準備 資料、ワークシート、OHPシート (6) 学習過程 段階 学習活動 教師の働きかけ(発問・指示) 予想される生徒の反応 留意点 1 阪 神 ・ 淡 路 ① 阪神・淡路大震災について印象に残 ① ・ 平 成 7 年 の 冬 に 起 き た 大 ○OHPなどを使い、 気 大震災につい っていることをあげてみましょう。 地震 資料を提示する。 づ て思い出す ・6千人以上の犠牲者が出 く た。 ・ニュースで悲惨な場面を 2 資 料 「 語 り ② にぎっている手を放した母の思い たくさん見た。 ○教師が範読する。 / かける目」を と、手を放して逃げるときの少女の ②・ 娘だ けで も助か ってほし ○ 最 愛 の 人 と 別 れ る 読んで話し合 気持ちはどんなだったでしょうか。 い。 悲しみの深さを押 う ・早く逃げなさい。 さえる。 ・私の分まで生き抜いて。 ○母を見捨てるとい ・お母さんと別れるのはい う残酷な行為を強 や。 いられた少女の気 深 ・自分だけ逃げるなんてそ 持ちを考えさせる。 んなことはできない。 ③・これは悪夢だわ。 ③ 燃える我が家を見ながら少女は何を ・おかあさん、ごめんなさ ○ 母 を 助 け ら れ な い を考んていたのでしょうか。 い。助けてあげられなく 無力さ、震災への て。 恐怖感や憎悪を感 め ・どうしてこんなことにな じさせる。 ったの。 ・人間はなんて無力なのだ ろう。 る / 見 つ め る / ま と め る 3 悲しみの絶 頂からはい上 がって生きよ うとする少女 の優しさと強 さに共感する ・ワークシート ①に記入する ④ 少女と「ナベ」の中の母は何を しているのでしょうか。 ④・おかあさん、ありがとう。 ○ 少 女 と 「 ナ ベ 」 の 私を助けてくれて。自分 中の母との会話を の命を捨てて私を守って ワークシートに書 くれたのね。私、お母さ かせる。 んの分まで生きるからね。 私のこと見ててね。(少女) ・ずっとあなたのことを見 守っているから、私の分 まで強く生きてね。(母) 4 自 分 の こ れ ⑤ 家族からどんな時に愛情を感じます ⑤ ・ 部 活 動 な ど で 遅 く な っ た ○ 資 料 を 通 し て 、 自 までの言動を か。 とき、バス停まで迎えに 分のこととして、 ふり返る。 来てくれた。 見つめ直すように ・お弁当を作ってくれた。 助言する。 ・試合の時に応援に来てく れた。 ⑥ 自 分 が 急 に い な く な っ た 時 、 家 族 ⑥・すごく悲しい。 ○時間があれば数名 はどんな気持ちになるでしょうか。 ・きっと悲しむと思う。 の発表を聞く。 ・落ち込む。 5 授 業 を 振 り ⑦ 今日の授業を振り返って感想を書き ⑦ ・ 感 想 を プ リ ン ト に ま と め 返る。 ましょう。 ながら授業を振り返る。
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