新生理学 新 生理学 フルカラー新装版 北里大学医学部教授 竹内昭博 ◉著 臓器・細胞レベルのメカニズムを 徹底図解 仕組みがわかると、こんなに面白い! 24 Q 1 5 25 骨格筋の微細構造 筋ジストロフィー ◉ 筋原線維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントからなる。 ◉ 筋原線維を光学顕微鏡で観察すると,横紋を構成する明るい帯(I 帯)と暗い帯(A 帯)を区別できる。I 帯の中央に見える暗い線を Z 帯という。Z 帯から Z 帯までの 一単位を筋節といい,長さは約 2 μm である。 筋原線維はアクチンフィラメントとミオシンフィラメントからなる。A 帯はミオシ ンフィラメントの部分に相当し,筋収縮において短縮しない。I 帯はアクチンフィ ラメントの部分で,ここが移動することで筋節が短縮する。 ミオシンフィラメントは約 200 個のミオシンの重合体である。ミオシンは軽鎖と コネクチン(タイチン) アクチンフィラメントは 2 本の F- アクチン(G- アクチンの重合体)とトロポミオ シンがより合わさってできた線維であり,トロポニンを 38.5 nm の間隔で持つ。 + トロポニンは,トロポミオシンとの結合部(トロポニン T),Ca2 との結合部(ト ロポニン C),ミオシンの ATP 分解酵素抑制部(トロポニン I)からなる。トロポニ 横 紋 筋 に 存 在 す る 蛋 白 質。 長いフィラメントが M 帯と Z 帯をつなぎ,筋伸展時に ショックアブソーバーとし て働いている。 り骨格筋の収縮が起こる。 筋原線維は,筋線維内の Ca 2+ し,Ca 2+ 3 濃度が高まると ATP の化学エネルギーを使って収縮 が筋小胞体に回収されると弛緩する。 + ① Ca2 がトロポニン C に結合すると,トロポニンが変形してアクチンフィラメント の活性部位が露出される。活性部位はミオシンフィラメントと結合する。アクチ ンとミオシンが結合した状態を連結橋という。 ②連結橋が形成されると,ミオシン重鎖は屈曲し,アクチンフィラメントを引きず り込む。アクチンフィラメントが移動し,筋節の連結橋が切れる。この連結・屈 曲・切断のサイクルが 1 秒間に 5 回起こり,筋節が短縮する。 死後硬直 ③ミオシン頭部は ATPase 活性を持ち,ATP の加水分解によって得たエネルギーを筋 細胞内 ATP 濃度が 1 μmol/ ℓ以下では,アクチンとミ オシンが結合した状態にな り,筋は固くなる。 2 収縮のエネルギーに変えている。ミオシン頭部は ATP が結合するといったんアク チンと離れるが,ATP が加水分解されるとアクチンと連結し屈曲する。 神経と筋 維と筋小胞体,横行小管系を持つ。 重鎖からなり,頭部はアクチンと結合する部分と ATP 分解酵素の部分を持つ。 ◉ ミオシンフィラメントの間にアクチンフィラメントが滑り込むことによ ◉ ジストロフィンは細胞膜を 裏打ちする蛋白で,N 末端 はアクチンに,C 末端は細 胞膜にあるジストログリカ ン 複 合 体 に 結 合 し て い る。 ジストログリカン複合体は 細胞外でラミニンを介して 基底膜に結合している。細 胞膜にあるインテグリンも ラミニンを介して基底膜に 結合している。これらの蛋 白質の異常により,各種の 筋ジストロフィーが生じる。 骨格筋は数百の筋線維からなる。1 つの筋線維は 1 つの細胞であり,数百の筋原線 1 骨格筋の収縮機序 Q 1 6 4 5 6 7 8 9 10 11 ン I は通常はアクチンフィラメントの活性部位を覆っている。 12 筋原線維の構造 筋収縮の分子機構 13 アクチン 筋節 I帯 A帯 M Z C I帯 Z I T トロポニン トロポミオシン 連結 ADP ミオシン アクチン 活性部位 細いフィラメント 太いフィラメント ミオシン アクチン M ミオシン ADP トロポニンがアクチンの活性部位を覆い隠して いるため,ミオシンは結合できない。 屈曲 Ca2+ ATP トロポニン トロポミオシン 軽鎖 頭部 (ATP 分解酵素をもつ) 切断 重鎖 Ca2+ が結合するとトロポニンの構造が変化し, アクチンとミオシンが結合できるようになる。 ATP 14 54 55 体性感覚の伝導路 体性感覚の伝導路 ペンフィールドのホムンクルス − 内側毛帯路により視床へ伝達される。 ◉ 体性感覚は脊髄視床路,後索 ◉ はラテン語でこびとの意。 さらに視床でニューロンを代え大脳皮質へ伝達される。 脊髄視床路:温度覚・痛覚,粗大な触覚は,一次ニューロンから脊髄後角の二次 4 投射の法則 ニューロンへ伝達される。二次ニューロンは対側へ交叉し,外側脊髄視床路(温・ こう さく 後索−内側毛帯路:触覚,深部感覚は,一次ニューロンの軸索が同側の後索(下肢 けつ 性 感 覚 上肢領域 野 6 は薄 束,上肢は楔 状束)を上行し,それぞれ延髄の薄束核,楔状束核へ伝達され 7 もう たい る。二次ニューロンは対側へ交叉し,内側毛帯を上行し視床の後外側腹側核へ投 射する。 内包 顔面領域 視床 さ 顔面・頭部の体性感覚は,三叉神経(第Ⅴ脳神経)により橋の三叉神経核に伝達さ レンズ核 れる。二次ニューロンは対側に交叉し,視床の後内側腹側核(VPM)へ投射する。 10 11 視床の中継核 顔面・頭部の 体性感覚 三叉神経 12 ◉ 体性感覚は視床を介して大脳皮質感覚野へ伝達される。 ◉ ◉ 痛覚は網様体にも伝達され,自律神経系や情動の反応をも引き起こす。 ◉ 橋 三叉神経核 視床を上から見たところ 外側腹側核(VPL)は脊髄視床路,内側毛帯から線 維を受け,後内側腹側核(VPM)は三叉神経領域の しつ A 知覚を受け,大脳の感覚野へ投射する。内側膝状体 VA (GM)は聴覚の,外側膝状体(GL)は視覚の中継核で ある。外側腹側核(VL)は小脳歯状核,淡蒼球から MD の線維を受ける。 大脳皮質の体性感覚野は体部位局在があり,頭頂部 VPL VPM LP P から側頭部にかけて下肢,体幹,上肢,顔面の順に 並んでいる。感覚野の大きさは末梢受容器の分布に 髄板 対応し,顔面や手の領域が広い。感覚野に伝達され た情報は,さらに脳の他の領域にも送られる。 VL LD GM A 前核 (←乳頭視床束) MD 内側核 (←内嗅皮質) LD, LP 外側核 VA 前腹側核 (←淡蒼球) 外側腹側核 (←小脳) VPL 後外側腹側核 (←内側毛帯) VPM 後内側腹側核 (←三叉神経核) 視床枕核 (連合核) GL 外側膝状体 (←視索) GM 内側膝状体 (←下丘) P GL もうよう な修飾を受けつつ伝達される。 脳幹網様体の傍巨大細胞網様核(NRPG)は,自律神経系や錐体外路系へ影響を及 ぼし,自律神経反射や筋緊張などを引き起こす。脳幹網様体賦活系とも関連し, 痛みによる覚醒反応を生じる。また,視床の髄板内核を介して大脳辺縁系(情動, 内側毛帯 楔状束核 延髄 触圧覚・深部感覚 痛覚は,視床・大脳皮質へ伝達されるだけでなく,脳幹網様体へも伝達される。網 様体は神経線維が網目のように走り,その間に神経細胞体が存在し,情報は様々 脊髄毛帯 薄束核 VL 視床症候群 視床膝状体動脈の出血・閉 塞により生じ,病巣と反対 側 の 運 動 麻 痺, 感 覚 障 害, 激 し い 疼 痛 を 引 き 起 こ す。 視床痛は持続性の激しい痛 みであり,薬剤で抑制する ことができない。 13 14 嗅覚以外の感覚情報はすべて視床で中継される。後 不快)へも影響する。 8 9 脊髄小脳路:筋,関節からの運動に関する情報は小脳へも伝達される。 Q 4 8 5 感覚 感覚経路のどの部位が刺激 されても,意識される感覚 部位は,その受容器の存在 場所である。 痛覚),前脊髄視床路(触覚)を上行し,視床の後外側腹側核(VPL)へ投射する。 はく そく 3 下肢領域 を描 いたもの。 「ホ ムンクルス」 体性感覚は,一次ニューロン(細胞体は後根神経節にある)から二次ニューロンへ, 1 2 感覚野の大きさに比例して各部位 体 Q 4 7 温度覚・痛覚 粗大な触圧覚 脊髄 外側脊髄視床路 前脊髄視床路 132 Q 1 04 133 洞房結節の自動能 ◉ 外部からの刺激がなくとも自動的に興奮する性質を自動能という。 ◉ ◉ 洞房結節に生じた電気的興奮は,刺激伝導系を介して両心室へ伝わる。 ◉ 洞房結節 ◉ 洞房結節の発火頻度が,心拍数を左右する。 ◉ 心筋細胞は通常,隣接する細胞に活動電位が発生しないかぎり,静止膜電位にと どまっている。ところが洞房結節では,ひとりでに脱分極が起こり,ある閾値に 洞房結節で生じた電気的興奮は,左右の心房に放射状に伝わるとともに,房室結節 右心房の上大静脈との境界 付近にある細胞集団。洞結 節,キース・フラック結節 とも呼ばれる。 → ヒス束 → プルキンエ線維(右脚・左脚)を経て心室筋に伝わる。この伝播経路を 刺激伝導系という。 達すると活動電位を発生する。つまり,細胞が自動的に興奮する性質(自動能)を 持っている。 刺激伝導系のいずれの細胞も自動能を持っているが,洞房結節の発火頻度(70 〜 80 回 / 分)が速いので,他の部分がこれに追従する。もし,上位の組織が長時間 房室結節 洞房結節や房室結節では,最大分極電位が−40 mV 程度であり,第 4 相の膜電位 は緩やかな上向きを示す。この脱分極を歩調取り電位(ペースメーカー電位)とい う。膜電位が閾値に達すると,Ca2+ チャネルの活性化による脱分極が生じる。こ の脱分極(発火)は刺激伝導系により心臓全体へ広がり,心収縮が起こる。すなわ ち,洞房結節の発火頻度が心拍数を決めている。 洞房結節の発火は,①静止膜電位が深くなるほど,②歩調取り電位の勾配が緩やか 歩調取り電位の発生機序 洞房結節・房室結節では,第 4 相の膜電位は, I(外向き K 電流)の減少と I(内向き Na 電流) K f の増加により,緩やかな上向きを示す。 膜電位が閾値近くになると,T 型 Ca チャネル 0 + 性化されないので,脱分極の立ち上がりは緩 If + く,静止膜電位が浅い。また Na チャネルは ‒ 50 mV では不活化状態であり,開口し得な 細胞膜どうしをリベットの ように結合している膜貫通 蛋白質。6 量体のチャネル 構造をもち,イオンなどが 通過する。このチャネルは 細胞内 Ca2+ や H+ の増加に より閉じる。 ほぼ同時に興奮させる(0.03 秒)。 心筋細胞間にはギャップ結合があり,細胞膜がきわめて接近しているため電気抵抗 が小さい(電気シナプス ☞ Q22) 。また,コネクソンチャネルにより K+ の移動が容 易である。病的な状態ではコネクソンが閉じ,伝導速度は低下する。 IK IK ACh い。☞ Q11 プルキンエ線維 洞房結節の神経支配 洞房結節は副交感神経(迷走神経)の支配を受けており,迷走神経の興奮は心拍数 弁 腱索 ムスカリン受容体刺激によ り,電流(IK ACh)が増大す る。 + + 白を介して K チャネルが活性化される。K がより多く流出し,膜電位は過分極し, 第 4 相の勾配はゆるくなり,心拍数は減少する(徐脈)。房室結節は抑制され,房 室伝導時間が延長する。 カテコールアミンは,Gs 蛋白を活性化し I f を増加させ,第 4 相の勾配を急峻にさ せる。また,K+ チャネルの不活性化を促進し I K を減少させる。 P 心電図 Q S 200 msec 刺激伝導系の電気的特性 静止膜電位 (mV) 活動電位持続時間 (msec) Vmax (V/sec) 伝導速度 (m/sec) 洞房結節 -40 〜 -60 100 〜 300 1 0.02 房室結節 -60 〜 -70 200 〜 300 1 0.05 〜 0.1 プルキンエ線維 -90 〜 -95 300 〜 500 500 2〜4 心室筋 -80 〜 -90 200 〜 400 200 0.5 〜 1 + 房,房室結節にある。アセチルコリンがムスカリン M2 受容体に結合すると,Gi 蛋 R 心室筋 心室中隔 を減少させる。交感神経の興奮(迷走神経の抑制)は心拍数を増加させる。 副交感神経(アセチルコリン)によって活性化される K チャネルは,洞房結節,心 プルキンエ線維 乳頭筋 アセチルコリン感受性 K チャネル 抗不整脈薬 ある種の抗不整脈薬は,静 止膜電位を浅くし,脱分極 の 立 ち 上 が り を 遅 く さ せ, 伝導を遅くさせる。 6 7 8 9 10 14 ヒス束 ヒス束に始まる束状の太い 線維。心室中隔を下行しな が ら 右 脚 と 左 脚 に 分 か れ, 心室の内膜下を走る。 5 13 房室結節 L型 電 流− 電 圧 曲 線 で み る と, + Ca2 チャネルの L 型,T 型 の違い(閾値,ピーク)は明 らかである。 ICa L 4 12 0 mV T型 3 11 洞房結節 左脚 + 洞房結節には内向き整流 K チャネルが少な コネクソン 右脚 が活性化され,第 3 相を形づくる。 プルキンエ線維の興奮伝導速度は,心筋の興奮伝導速度より速く,左右の心室筋を 300 pA ICa T + やかである。その後,遅延整流 K チャネル カエルの心臓を静脈洞−心 房間,心房−心室間で結紮 すると,静脈洞,心房,心 室がそれぞれ固有の調律で 興奮・収縮する。 -50 歩調取り電位 制〜阻止され,交感神経刺激で速くなる。房室結節の不応期は心房より長く,あ る頻度以上の興奮は心室に伝導されない。 4 -50 mV + 脱分極する。Na チャネルが少なく,かつ活 3 房室結節の興奮伝導速度はやや遅い。房室結節の興奮伝導は迷走神経刺激により抑 スタニウスの結紮 0 mV と L 型 Ca チャネル(ジヒドロピリジン感受性 Ca チャネル )が順次開口し,Ca2 が流入し 2 停止すれば,下位の組織が補充的に発火しペースメーカーの役を果たす。 心房中隔の右心房側にある。 田原(たわら)結節とも呼ば れる。 2 循環 であるほど,③閾膜電位が浅いほど,遅くなり,心拍数は減少する。 1 心臓の活動電位の伝播 Q 1 05 Vmax:脱分極の立ち上がりの最大速度 202 コレステロール 女性ホルモンと性周期 Q 1 79 側鎖切断酵素 卵管 ◉ 性腺刺激ホルモンは卵胞を成長させ,排卵を引き起こす。 ◉ ◉ FSH ◉ ⇒◉エストロゲン◉⇒◉子宮内膜の増殖 ◉ LH ◉ ⇒◉プロゲステロン◉⇒◉子宮内膜を分泌型へ 1 副腎・精巣ライディッヒ細胞・卵巣莢膜細胞 プレグネノロン 17-ヒドロキシプレグネノロン プロゲステロン 17-ヒドロキシプロゲステロン 2 デヒドロエピアンドロステロン(DHEA) アンドロステンジオン テストステロン FSH 子宮 芳香化酵素 性周期 卵巣 子宮内膜の示す周期的変化を月経周期(概ね 28 日)といい,月経の最初の日を第 エストリオール(E3) さい 殖期)。約 2 週間で卵胞は破裂し,排卵が起こる。 破裂した卵胞の出血巣は吸収され,黄体が形成される(卵巣:黄体期)。黄体細胞 には LH 受容体が発現し,主にプロゲステロン(エストロゲンも)を産生する。プ 排卵時,卵管の先端部(卵 管采)が卵巣を取り囲むた め,卵子は腹腔内に落ちず に卵管内に取り込まれる。 着床するための準備が整えられる(子宮内膜:分泌期) 。 受精しなかった場合には,黄体は退縮し白体となる。プロゲステロン分泌がなくな り,らせん動脈の収縮により子宮内膜は壊 死・脱落し,月経となる。受精した場 合には,胎盤がホルモン産生を開始するまで,黄体はホルモンを産生し続ける。 分泌期は 14 日と一定であり,月経周期の変動は増殖期の長さによる。 HO HO ロゲステロンにより子宮腺は分泌液を出し,子宮内膜は浮腫状になり,受精卵が し O 月経血にはフィブリン溶解 酵素が含まれており,通常, 凝血塊はない。 胎盤 エストロゲン(女性ホルモ ン)の種類 活性の強い順にエストラジ ,エストロン オ ー ル(E2) ,エストリオール(E3) (E1) がある。数字は水酸基(OH) の数を表している。エスト ラジオールの生物活性はエ ストロンの 10 倍である。 エストラジオール(E2) 5 OH 6 HO 卵巣顆粒膜細胞 7 エストロゲン ➡ 二次性徴の発現,排卵の LH サージ 生合成:コレステロールを原料に,プレグネノロン,テストステロンを経て合成さ れる。副腎皮質や精巣のアンドロゲン合成経路と一部共通であるが,テストステ ほうこう ロンをエストロゲンに変換する芳香化酵素(アロマターゼ)は卵巣のみに存在する。 生理作用:①卵胞の発育促進。②子宮内膜の増殖,子宮血流の増加,頚管粘液の分 泌促進,オキシトシン感受性の亢進。③二次性徴の発現,乳腺(乳管)の発達,皮 下脂肪の蓄積。 オールに変化し,グルクロン酸抱合を受け,尿中に排泄される。 FSH 頚管粘液 排卵 卵胞期 卵巣周期 黄体期 卵巣ホルモン プロゲステロン エストラジオール 子宮頚管の分泌液の量と粘 稠度は劇的に変化する。分 泌量は排卵直前に最大とな り,粘稠度が低下する。排 卵後はプロゲステロンの作 用により粘稠度が増し,頚 管の入口をふさぐようにな る。 性腺刺激ホルモン。具体的 には FSH と LH をさす。 ゴナドトロピン放出ホルモン gonadotropin releasing hormone ; GnRH は 10 個の luteinizing hormonereleasing hormone。GnRH の別名。 アミノ酸からなるペプチドで,視床下部から分泌され,下垂体門脈を通って下垂 体前葉に達する。血中半減期が 2 〜 3 分と短く,パルス状に分泌され,その分泌 頻度で FSH と LH の分泌を調節している。 GnRH 下垂体のゴナドトロピン分泌細胞は GnRH に応じて,卵胞刺激ホルモン follicle 抑制 基礎体温 stimulating hormone ; FSH(分子量 35,000,血中半減期 3 時間)と黄体形成ホル モン luteinizing hormone ; LH(分子量 29,000,血中半減期 30 分)を分泌している。 FSH は卵胞の発育を促し,LH とともに卵胞を成熟させ,エストロゲン分泌を促進 子宮体部 FSH LH らせん動脈 を増加,④オキシトシン感受性の低下,⑤乳腺(腺房)の発達。 分泌調節 LH-RH 高温相 低温相 ちょう 生理作用:①基礎体温の上昇,②子宮内膜を分泌型に変える,③頚管粘液の粘稠度 ゴナドトロピン する。卵胞の顆粒膜細胞では,FSH により活性化された芳香化酵素が,テストス 子宮腺 きょう テロン(LH が作用して莢膜細胞で産生される)をエストロゲンに変換する。一方, 子宮内膜 子宮頚管 腟 エストロゲン プロゲステロン 顆粒膜細胞 莢膜細胞 エストロゲンは顆粒膜細胞の FSH 受容体を増加させる。インヒビンは顆粒膜細胞 から分泌され,下垂体の FSH 分泌を抑制する。 GnRH の分泌は,通常はエストロゲンとプロゲステロンによる負のフィードバック により制御されている。しかし,高濃度のエストロゲンが長時間作用すると正の 月経周期 月経期 1 2 4 増殖期 6 8 10 分泌期 12 14 16 18 20 22 成熟卵胞 24 26 28 日 9 10 11 フィードバックに切り替わり,GnRH サージを生じ,LH サージが引き起こされる。 ひ LH サージによりプロゲステロンが増加し,卵胞壁が融解・菲薄化し,排卵となる。 13 内分泌 ゴナドトロピン エストロゲンと同様に,プレグネノロンを経て合成される。肝臓でプレグナンジ LH 8 12 プロゲステロン ➡ 受精卵の着床,妊娠の維持 LH サージ 3 4 芳香化酵素 OH 原始卵胞が成長し成熟卵胞になると,顆粒膜細胞がエストロゲンを分泌する(卵 巣:卵胞期) 。エストロゲンにより子宮内膜は増殖し,厚みを増す(子宮内膜:増 エストロン (E1) OH 卵管采 1 日目として数える。 え 203 LH 14
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