研究紀要25号 - 広島県立黒瀬高等学校

研究紀要
群
翔
第25号
平成26年3月
広島県立黒瀬高等学校
目
はじめに
次
校長
田中
清裕
第1章
研究報告の部
平成 25 年度高等学校生徒指導集中対策指定校 調査書 生徒指導部
海外姉妹校提携
教頭
江藤 愉
第2章
研究授業の部
国語科学習指導案
現代文
国語総合(現代文)
地理歴史,公民科学習指導案
数学科学習指導案
理科学習指導案
保健体育科学習指導案
芸術科学習指導案
大元
峠
美和
千代
国語総合(古典)
増田
健次
政治・経済
浅藤
直幸
地理B
栢木
一成
数学Ⅱ
笹方 慎一
数学Ⅰ
仲元
洋平
数学Ⅱ
石井
千恵
数学Ⅱ
森安
茂大
化学基礎
小西
大輔
物理基礎
山中
真悟
生物Ⅰ
濱生
創
体育
大林
千代
体育
熊倉 伸正
体育
郷力 礼三
音楽Ⅱ
橋田 賢治
外国語科学習指導案
基礎英語
伊藤
仁
英語Ⅱ
神笠
薫子
リーディング
寺下
美穂
英語Ⅱ
行
辰夫
家庭科学習指導案
家庭総合
光橋 昌子
福祉科学習指導案
コミュニケーション技術
池上 千華
授業研究のまとめ
あとがき
生活支援後術
黒瀬
香帆里
生活支援技術(医療的ケア)
武智
朋子
生活支援技術
渡邊
大記
教務部
は
じ
め
に
本校では学校全体で組織的に授業改善に取り組むために共通の授業研究のテーマを
設けてきました。平成22年度は「分かる授業の創造」を,平成23年度は「考えさせ
る授業」,平成24年度は生徒自らが自律的に「考える授業の創造」をテーマに各教科
で取組んでまいりました。
平成25年度は基礎・基本に立ち返って,授業研究のテーマを「基礎・基本の定着に
向けた意欲の喚起」をテーマとしました。
まず各教科において黒瀬高校にとって基礎・基本とはなになのかを共通に認識し合い,
シラバスを含めて授業づくりをしていく必要があります。今年度はそのスタートの年に
なりました。
また,生徒に力を付けるため基礎・基本だからとドリル学習を繰り返すだけでは,学
ぶものに意欲が生まれてきません。反復練習は大切ですが,そこに意欲づけの工夫が必
要です。また授業規律を保つためには,後追いの注意指導ではなく,生徒一人一人に授
業に対していかに意欲を持たせ,いかに学びに向かわせるかということが重要になりま
す。いわば積極的な生徒指導の一つと捉えることもできます。導入時の興味づけや,ス
モールステップでの積み重ねによる授業展開の中で自己肯定感ややる気を高めること,
ICTを活用した授業で視覚的に分かり易くすることやグループワークを取り入れて
学びあう授業実践などいろいろな工夫が考えられます。
今年度は指導案をコンパクトに 1 枚にまとめて,学校へ行こう週間には,保護者・地
域・中学校関係者にも公開するようにしました。
授業づくりに向けて本校の取り組みを,皆様にご高覧いただき,ご指導を賜りたいと
思います。
平成26年3月
校長 田中
清裕
海外姉妹校提携
(1) はじめに
平成 25 年 11 月 18 日(木)本校田中清裕校長と英語科
神笠薫子教諭がスウェーデンを訪問し,黒瀬高等学校と
アルマスジムナシエ(アルマス高校)は姉妹校提携の同意書
を交わしました。
続いて平成 26 年 2 月 24 日(月)エニコ・ミハイ校長と
海外交流担当のラース・グンナー教諭が黒瀬高校を訪問しました。
我々はこの海外交流が有意義なものになるよう願っています。
(2) 海外交流の始まり
ご存知のように広島県は平成 23 年 3 月にすべての県立高等学校が海外の高校と姉妹校提携をして,
グローバル感覚を持った人材の育成の方針を打ち出しました。しかし,今まで海外との交流の経験のな
い本校にとって,姉妹校を見つけることはなかなか困難なことでした。
平成 25 年,いくつかの可能性を探りながら相手高校を探してい
たところ,本校の福祉科と実習で関係のある社会福祉法人あと会が
スウェーデンのボロースという町で職員の派遣研修を行っている
と聞き,ぜひスウェーデンの担当者を紹介してほしいとお願いをし
ました。紹介していただいたボロース市役所の福祉担当者のマリ
ア・ビョークマンさんからボロース市内のアルマス高校を推薦して
いただきました。その後メールで苦労しながら手さぐりで,エニ
コ・ミハイ校長や海外交流担当のラース・グンナー教諭とコンタクトを取り,何度もやり取りの末,平
成 25 年 11 月 17 日(日)~11 月 21 日(木)の日程でスウェーデン・ボロース市を訪問することが実現
しました。
(3) 心のこもった暖かい歓迎
スウェーデンに行く方法は少し複雑です。直行便はありませんので,今回は関空からドイツのフラン
クフルトへ飛び,スウェーデンのイェーテボリ行きの飛行機に乗り換えるというルートをとりました。
平成 25 年 11 月 17 日(日)夕方,ボロースから約 30 分のところにあるスウェーデン第二の都市イェ
ーテボリの空港に到着した田中校長と神笠教諭の二人は,ラース先生と生徒フランとエリカの暖かい歓
迎を受けました。そして翌 18 日(月)学校の施設を見学した後,図書館で姉妹校提携のセレモニーが
行われました。といっても,日本とは違ってリラックスした雰囲気で,生徒たちが図書館に自由に集ま
ってくるという感じです。突然ボロースの市長が現われたり,ラース先生が作った黒瀬高校との姉妹校
提携のラップミュージックを歌ったりと,とても楽しいものでした。本校からは熊野筆と,友好の印の
書を贈りました。その他授業見学や施設見学を行い,あまりの設備の充実ぶりに驚きました。しかし,
本校生徒たちが作って1人1人のメッセージを書いて渡した折鶴が大人気で,多くの生徒が関心を示し
てくれました。
福祉の進んだ国スウェーデンでの3日間はあっという間に終わり,心のこもった暖かいもてなしに感
謝しつつ,日本へ帰ってきました。
(4) 日本風の歓迎式
本校からの訪問を受けて,翌 26 年2月 24 日(月)に,エニコ校長先生とラース教諭が本校を訪問さ
れました。新幹線で広島駅に到着した二人は,黒瀬高校へと
向かい校門で,生徒会の生徒の出迎えを受け,東広島市長か
らの記念品の贈呈や新聞の取材のあと,本校の新しい体育館
での歓迎会に出席されました。
歓迎式典では,本校校長やエニコ校長の挨拶のほかに,本
校の和太鼓部の演奏やラース先生による姉妹校連携の歌や
国際ボランティアの講演,生徒たちのよる質問コーナー,サ
ッカー部員とのリフティング対決など盛りだくさんで,とて
も楽しい歓迎会でした。最後には各学年の生徒全員と記念撮影をして交流を深めました。
式の後は,書道部・茶華道部・サッカー部との交流にも臨まれ,忙しい一日を一緒に過されました。
2月 25 日(火)は,お昼まで英語の授業や福祉の
授業を見学をし,生徒たちと交流しました。短い
訪問はあっという間に終わり,名残を惜しんで,
たくさんの生徒たちが教室の窓からお別れの挨拶を
しました。
午後からは広島国際大学の見学,老人福祉施設
「でじま・くにくさ」の見学をして来年度からの
生徒派遣研修の計画を一緒に練りました。
2月 26 日(水)は,お二人は最後の1日を平和公園と宮島を観光
をして過ごしてから,新幹線で広島を出発しました。
(5) これからの黒瀬高校とアルマス高校との国際交流
本校が姉妹校提携したアルマス高校は,本校以外に多くの
姉妹校を持っています。アフリカのザンビアに生徒を連れて行き,
飢餓に苦しむ子どもたちの援助をするボランティアを行うなど,
非常に実践的な活動を行っています。単なる交流でいいなどいう
考えはありません。幸い,社会福祉法人あと会くにくさが福祉実習の
研修を受け入れを了承して下さったので,文化面での交流を主に
本校で,福祉実習の面は主にあと会で,その他見学研修等は広島国際大学等
で行うといった案を計画しています。
(6)おわりに
昔から,世界中の人々を移民として柔軟に受け入れ
てきたスウェーデンと島国の日本とでは考え方に大
きな違いがあると思います。
しかし,それぞれの文化を尊重しつつ,同じ人間と
してコミュニケーションを続けることで必ず共通点
を見つけ,お互いを理解することが出来ると確信して
います。一人でも多くの黒瀬高校の生徒がその役割の
一端を担ってほしいと思っています。