子育てかわら版 第 12 号

二中PTA通信
−平成 20 年 2 月 21 日−
子育てかわら版
編集・発行
第 12 号
二中PTA
会長
久住 智治
子ども達により添って 心と耳をかたむけよう 今を大切に!
小金井市教育委員会・PTA 連合会共催
「小金井教育フォーラム・
教育懇談会」
2 月 2 日(土)東京農工大学にて「小金井教育
フォーラム・教育懇談会」が開かれましたので、
報告します。(会長 久住 智治)
∼ 第1部「教育フォーラム」から ∼
コミュニケーション能力
向上の取り組み
第四小学校と前原小学校から国語を中心と
した学習研究発表がありました。取り組み内容
は異なったものの、子ども達のコミュニケーシ
ョン能力が高まることで、子ども同士の関係や
学習効果が高まるといった報告がありました。
私たちは、意識せずに、日本語で話をしてい
ますが、意外と「自分の考えや感じたことを他
人に正確に伝える。
」
「他人の話している内容を
正確に聞き取る。
」と言った能力は意識して学
習しないと身につかないことを改めて認識し
ました。
中学生は自分から
進んで学習する力が不足(?)
南中学校の研究発表は生徒の意識調査から
主体的な学習習慣の形成を目指すというもの
でした。子どもたちのアンケート調査では、
子どもたちの家庭で
の学習環境は良好で
あることが明らかに
なっていました。
一方、子ども自身が
自主的に学習してい
こうとする意欲に欠
けているとするデー
ターが示されました。
「主体的な学習習慣」が身に付くことは、
「生きる意欲が向上する」ことにつながる
ものだといった指摘もありました。これか
ら大人になっていく子どもたちに必要なこ
とは、自分で学習していく力を家庭でもつ
けさせていくような子育ての必要性を感じ
ました。
∼ 第 2 部 「教 育 懇 談 会 」か ら ∼
子どもに向き合って、
親子の関係を見つめ
直してみる
第二部は、聖進学院学院長の守矢俊一氏
の講演がありました。守矢氏は緑小・緑中・
小金井北校の卒業生で、現在も小金井に在
住している2児のお父さんでもあります。
聖進学院は、高校留年・中退で転校を考
えている生徒や中学校で不登校・学業不振
などの理由から高校進学で悩んでいる生徒
を積極的に受け入れ、高校卒業まで導くサ
ポート校です。現在までに 3500 名以上の生
徒を卒業まで導いているそうです。
守矢氏からは、これまでの子ども達との
取り組みを通して、家庭での親子の関係に
ついてお話がありました。
子どものことがわからない?
‐気づかないふりをしていませんか‐
まず、
「千と千尋の神隠し」の冒頭シーン
が映し出され「これを見てどう感じます
か?」との質問がありました。千尋が花束
を抱え、車の後ろで寝そべっている、何と
なく見ていた一場面ですが、守矢氏からは
1)引越しの車の段ボールであれば、とても
大切なものが入っているはず。
2)土足で大切なものの入っている箱の上に
足を投げ出している。
3)お菓子も食べかけのまま散らばっている。
こうした状況では子どもを叱るのが親であ
る、日常の生活の中でも子どもの様子を見つめ
れば様々なことが見えてくるはず。子どもと向
き合って、子どもの良いことも悪いこともしっ
かりと親が認識して、そのつど係わっていくこ
とが子どもの親(大人)への信頼の確立
に必要だとの話がありました。
踊っている「大人」たち
「ほめて育てる子育てがいい」
「叱って育てる
子育てがいい」等、現在様々な子育て論が花盛
りです。しかし子育てにマニュアルはないので、
本の拾い読みをして子どもに接すると、親自身
も疲れるし、子どもも不安になる。子どもにす
れば、昨日までほめられてきたのに、今日から
突然叱られるのでは、親が信じられなくなって
しまうでしょう。
「親が自分の子育てにもっと自信を持って、
子どもとの接し方が揺れないようにしてほし
い。それには、親が無理せず自然体で、しかも
一貫性のある態度で子育てをすればいい」との
アドバイスがありました。
一番偉いの…誰だっけ?
子供は見ている!誰が偉い家の中!
家庭で「王様」
「王女様」になってしまった
子どもは、気持ちは安定しないし様々な社会性
を身につけられない。守矢氏は、家庭では親が
一番偉くていいんだと言います。子どもは親を
見ていて「俺も(私も)大人になりたい」と成
長するのであり、だからもっと親が自信を持っ
て子育てしよう、と。
最後に、もう一度「千と千尋の神隠し」の映
画の内容に触れ、映画の中で千尋は「きつい、
汚い、危険」の3Kの仕事をすることで大きく
成長していく、子どもが社会人として生きてい
くためには、こうした仕事をたくさんさせてい
く必要がある、とも話してくださいました。
とても良いお話だったので、かわら版でお伝
えすることにしましたが、なかなか講演内容を
正確にお伝えするのは難しいものですね。
そこで、守矢氏の著書を紹介します。
興味のある方は読んでみてください。
○「中退なんか怖くない」 ゴマ書房
○「サポート校の奇跡∼もう一つの高校
が作るドラマ」 学事出版
続・迷ってももう迷わない
東京都 スク ール カウン セラ ー二 中担当 の先 生
ダブルバインドから心地よい束縛へ
子育てに迷わないためには接し方に自信
を持つことだと思います。そのためにでき
ることは、1)古典に触れること、2)親同士、
親と学校間での共通理解を持つこと、そし
て、3)家庭内での教育方針を明確にするこ
とです。
老若男女・古今東西、変わらない絶対的な
価値はあります。人を思いやる、挨拶をき
ちんとする、規則正しい生活をすることな
ど、歴史の中で育まれた大切な道徳心や生
き方はあるはずです。昔は大人対子どもの
間で教育がなされてきましたが、昨今では
夫婦間、保護者と学校が対立することもあ
り、子どもに迷いを生じさせる一因になっ
ています。日本社会では共同体の恥の意識
や助け合いが個人の道徳や精神面を支えて
きました。大人同士の連携が子どもに対し
て重みのある指導へとつなが
るでしょう。
このようなタテとヨコの
つながりの中から得た価
値観を元に、家庭でのエッ
センスをプラスした教育方
針で子どもに接することが安定
した人間形成には欠かせないと思います。
価値観が多様化・相対化することによっ
て差別や偏見のない社会が生まれたのは大
変好ましいことですが、一方で道徳心まで
相対化させ個人の判断に任せてしまうと
「人を殺したっていいじゃないか」
「援助交
際してもいいじゃないか」という論理も生
まれてきます。そこには公共心が欠けてい
るようです。ルール無きボクシングはただ
のケンカなように、法律や校則などの社会
規範があるからこそ秩序が保たれ、その範
囲内で自由を享受できます。
子ども達の健康と秩序を守り、のび
のび育てるための共通の規範、心地
よい束縛を育てたいものです。
そのために、カウンセラーとして、
家庭と学校を橋渡しする役目ができ
たら幸いです。