PDF - 山口県小学校体育連盟

No.14
萩・阿武支部
研究主題(陸上運動:ハードル走)
自分の課題に合った練習方法を選び、友達とかかわり合いながらハード
リングの技能を高め、60mハードル走の競争を楽しむ子どもを育てる
山口県萩市立椿東小学校
1
桧
谷
卓
志
主題設定の理由
陸上運動のハードル走における「楽しさ」とは、適切なフォームやインターバル走を身に付けるこ
とによって、自己の記録の更新を目指したり、友達と競い合ったりして、より速く走り越せるように
なることであると考える。しかしながら、速さだけに重点を置いた個人競争となると運動能力の高い
子どもばかりが意欲的に取り組み、あまり運動が得意でない子どもの意欲が低下する可能性がある。
したがって、どの子でもハードル走に「もっと楽しく」取り組めるようにするためには、「速さ」だ
けでなく「リズム」や「走り越す技能」に重点を置き、一人ひとりが理想のハードリングに向けての
課題をもって、それを解決するために練習方法を選んだり、友達とかかわり合ったりしながらハード
リングの技能を高めていく学習過程を仕組んでいく必要があると考え、このテーマを設定した。
○「自分の課題に合った練習方法を選ぶ」ために
子どもたちが自分の課題解決に向けて意欲的に練習に取り組むためには、今の自己の能力を客観的
に観察し、明確な課題をもって練習方法を選択する必要がある。
そこで、子どもたちが自分や友達のフォームを客観的に捉える場を設け、友達と関心をもって観察
し合い、修正点を見付けたり、相互にアドバイスしたりできるようにする。その上で、課題に応じた
練習の場を工夫できる環境を整え、子どもたちが練習方法を工夫しながら取り組めるようにしたい。
○「友達とかかわり合いながらハードリングの技能を高める」ために
個人競技であるハードル走で、友達とかかわり合いながらハードリングの技能を高めるためには、
友達と互いにフォームを見合い、気付いたことを基に教え合う必然性がなければいけない。
そこで、練習前と練習後のグループ内の記録の伸び率で競う場を設定し、一人ひとりの技能の向上
がチームの勝利につながるようにすることで、グループ内の友達の姿に関心をもち、お互いに技能を
高め合いながらハードル走に取り組み、記録の更新を喜び合えるような学習にしていきたい。
○「60mハードル走の競争を楽しむ子どもを育てる」ために
60mハードル走の競争を楽しむためには、子どもが自信をもって競技に臨む姿勢が必要である。
そこで、単元の前半では3歩でリズミカルに走り越せるインターバルを見付けて、同じインターバ
ルの仲間と共に個人とグループの記録の更新を目指し(達成型)、単元の後半では7mのインターバ
ルをリズミカルに走り越せる歩数を見付けて記録会に臨む(競争型)ように単元を構成する。前半で
正しいハードリングの技能を高めて自己記録を伸ばし、その自信をもって友達との競争につなげるこ
とで、競技としてのハードル走も楽しめるようにしていきたい。
2
児童の実態
本学級の児童は、
「体育の授業が楽しい」と答える児童が8割以上おり、体育の学習で様々な運動・
スポーツに親しむことに対して全般的には肯定的である。具体的な動きのポイントや練習方法を伝え
ることで、自分の能力の向上や記録の更新を目指して意欲的に取り組むこともできる。しかしながら、
運動の種類によっては消極的になってしまう児童がおり、意欲的にも能力的にも2極化していると感
じられる場面もある。
ハードル走については、昨年度、陸上競技大会に初めての参加ということもあり、ハードル走の記
録を短縮することを目的とし、友達と競争しながら練習に取り組んだ。ハードルを走り越えるときの
動きのポイントやインターバルの走り方を確認しながら練習に取り組んだが、タイムのみに視点を置
くと運動能力の差が顕著になり、次第に意欲が低下する児童が増えていった。また、スピードばかり
に意識が向いてフォームやリズムが乱れたり、ハードルに当たることを恐れて高く跳び越えてしまっ
たりして、思うような記録の伸びを実感することができない児童も見受けられた。そこで、今年度は、
ハードル走に対する意識を知るために、アンケートを行った。その結果、ハードル走を好む児童は8
割以上で、好まない児童は2割を切っており、両者ともハードル走で記録を更新することやハードリ
ングの技術を向上させることを望み、友達と学び合いながら練習したいと願っていることが分かった。
個人で能力の向上を目指して運動に取り組む姿勢には個人差があるため、全員の意欲を持続させる
ことは難しい。しかしながら、本学級の児童は友達と教え合いながらハードル走の記録更新を目指す
ことを望んでいるため、学び合いが自然と活性化するような学習を展開することで、全員がハードル
走を楽しみ、意欲的に取り組むことができるのではないかと考えた。
3
研究の視点
どの児童でも、楽しくハードル走に親しみ、意欲的に取り組めるようにするために、次のような視
点で研究を行う。
(1) 単元構成の工夫
達成型から競争型へ移行することで、競技としてのハードル走も楽しめるのではないか。
(2) グループでの目標設定と学び合い
個人だけでなく、グループで達成目標(60m走と60mハードル走とのタイム差を得点化し
て平均値で競う)を決めて取り組めば、どの児童でも主体的に動き、子ども同士の学び合いも深
まるのではないか。
(3) 児童主体によるハードル走の楽しさの追求
児童が望むハードル走の楽しさを追求しながら取り組めば、学び合いの活性化や児童の意欲の
持続性が期待でき、個人の技能も高まっていくのではないか。
4 単元について
(1)単元名 「 60mハードル走
(2)目標
~リズムにのって
走り越そう~ 」
○ ハードル走に進んで取り組み、仲間と協力して互いに技能を高め合えるようにする。
○ ハードリングにおける自分の課題に気付き、課題に応じた練習方法を選択できるようにする。
○ ハードルを最後までリズミカルに走り越す技能を身に付けることができるようにする。
(3)
時間
1
2
3
4
5
(本時)
6
7
8
単元計画
全8時間
ねらい・学習活動
オリエンテーション
(学習のねらい、準備や学習の進め方を知る)
○ハードル走を楽しむための視点を見付ける。
・60m走の記録測定と60mハードル走の
記録を測定する。
・自己目標タイムを設定する。
・アンケート結果から、ハードル走の楽しさ
を共通理解する。
○ハードルを速く走り越すためのコツを見付ける。
・ミニハードルリレーを通して、より速く走
り越すコツを見付ける。(同じリズムで走
り越すこと、できるだけ低く跳ぶこと)
○自分に合ったインターバルを見付ける。
・3歩のリズムで走り越せるインターバルを
見付ける。
・インターバル別にグループ決定する。
○ミニハードルとハードルとの違いを体験さ
せて、第3・4ハードルからスピードやリズ
ムが崩れることに気付かせる。
○自分の課題をもとに、仲間と見合いながらハ
ードリングの練習をする。
・グループの友達とフォームを見合い、3歩
のリズムで走り越すコツを見付けながら
練習に取り組む。
↓
・自己記録に挑戦する。
↓
・個人とグループで記録の整理とふり返りを
行う。
↓
・各チームの結果を発表し、成果を認め合う。
○支援方法 ◆評価の観点
○全員がハードル走に対して「楽しさ」をもて
るように、他者との速さの比較ではなく、自
己目標タイム(60m走の記録)との差を縮
めることを目標にする。
◆自己の目標達成に向けて意欲的にハードル
走に取り組もうとしている。【関・意・態】
(学習カード)
○全員がハードル走を速くするためのコツを体
感できるように、ミニハードルリレーを行う。
◆二つのコツに気付き、練習に取り入れてい
る。
【思・判】
(観察)
○仲間と教え合い技能を高め合う必要性をも
たせるために、グループ間の競争を設定す
る。(60m走とのタイム差を得点化し、グ
ループ全員の平均点で競う)
○仲間同士で見合う場面で、動きのポイントに
ついての教え合いがしやすいように、ハード
リングの動きを視覚的に示した学習資料を
活用する。また、見取るポイントをグループ
別練習の前に確認する。
○練習場面でグループが自主的に学習を進め
られるように、必要な教具を選択できる環境
を整備する。
◆自分の課題に応じた場を工夫して練習して
いる。
【思・判】
(観察・学習カード)
◆記録向上を目指し、友達と協力して互いに適
切なアドバイスを伝えたり、聞こうとしたり
している。
【思・判】
(観察)
◆決めた足で踏み切ってハードルを走り越す
ことができる。
【技】
(観察)
◆ハードル上で上体を前傾させることができ
る。
【技】
(観察)
○7mのインターバルをリズムよく走り越す ○自分に合った歩数を見付けられるように、3
歩数を見付ける。
~5歩で試し、
「リズムよく」
「速く」の観点
・7mのインターバルでの自分の歩数を見付
で決めるようにする。その際、4歩は踏み切
ける。
り足が交互になることを伝える。
○自分の課題を知り、練習の場を選択しなが ○更なる記録の向上を目指して取り組めるよ
ら、自己記録の更新を目指す。
う、課題別にコースを設定し、同じ課題の友
・同じ課題の友達とフォームを見合い、さら
達と見合いながら練習できるようにする。
に記録を伸ばすために練習に取り組む。
◆自己の記録を更新するために、進んで60m
↓
ハードル走に取り組んでいる。
・記録に挑戦する。
【関・意・態】
(観察)
↓
◆3~5歩のリズムで最後までハードルをリ
・個人の記録の整理とふり返りを行う。
ズミカルに走り越せる。
【技】
(観察)
60mハードル走大会
○記録測定がスムーズにできるように、スター
・各自で本番に向けて最後の練習を行う。
ターや計時など役割を分担して取り組むよ
↓
うにする。
・自己記録に挑戦する。
◆最後まで意欲的にハードル走に取り組み、こ
↓
れまでの学びを実感している。
・記録の整理と単元全体のふり返りを行う。 【関・意・態】
【思・判】 (学習カード)
(4)
①
本時案(5/8)
ねらい
仲間と互いにアドバイスしながら、正しいハードリングのフォームを身に付け、
3歩のリズムで最後までリズミカルに走り越すことができるようにする。
②
準備
ハードル、ミニハードル、ケンステップ、足当て板、ストップウォッチ、ラダー、
ハードル走学習資料、デジタルビデオカメラ、段ボール箱、ゴム紐
③
学習過程
学習活動・学習内容
1
子どもの意識の流れ
基礎感覚・技能を高める ・ハードル走につながるよう
準備運動を行う。(5)
・ラダー走
○指導上の留意点◆評価の観点
○基礎感覚・技能を高めるための運
に、一つ一つの運動を大事に
動を、主運動につなげようと意識
しよう。
して取り組めているか確認する。
・連続またぎ越し
・もっと速いリズムで跳び越せ
○すべての運動を効率よく行えるよ
・ミニハードル走
るように、テンポを上げて取
うに、30秒間でローテーション
・一歩ハードル
り組んでみよう。
する。
2
課題に合った練習方法を工夫して、3歩のリズムで最後までリズミカルに走り越そう
本時の学習課題を確認す ・リズミカルに走り越すため ○課題となっている動きに集中して
る。
(5)
に、今日は振り上げ足を意識
観察できるように、課題に対する
して練習しよう。
動きの視点を決めてから取り組む
・跳び越すときの姿勢は低くで
よう指示をする。
きているかな。友達に確認し
てもらおう。
3
グループで練習に取り組 ・Aさんは、ハードルを高く跳
む。
(20)
・1台目までの助走、踏み
切り場所
○効果的な成果を得られるように、
んでスピードが落ちるから、
課題に応じた教具を適切に使えて
踏み切りと着地の位置をよ
いるかを確認し、必要に応じて助
く観察しよう。
言をする。
・Bさんの振り上げ足はまっす
○教え合いが全体に広がるように、
・上体の前傾
ぐ伸びていて、足の裏がよく
動きへのアドバイスが的確にでき
・全体の動きのつながり
見えているね。
ているグループを価値付ける。
・振り上げ足、抜き足
・リズミカルに走り越すコツが
少しずつ分かってきたよ。
4
記録に挑戦する。(10)
・グループごとに記録測定
・最後までリズムとスピー
ドを保ったハードリング
◆自分の課題に応じた場を工夫して
練習している。
【思・判】
・自己記録をもっと伸ばしたい
○記録測定がスムーズにできるよう
な。まだできていないところ
に、スターターや計時など役割を
があるかもしれないから、友
分担して取り組むよう指示する。
達に聞いてみよう。
・みんなのアドバイスのおかげ
◆最後まで3歩のリズムでハードル
を跳び越すことができる。 【技】
で自己記録が更新できたよ。
5
記録の整理と本時のふり ・みんなでがんばって記録を伸
返りをする。(5)
・グループ対抗戦の結果発表
○仲間と成果を共有し、共感的に認
ばすことができたね。記録会
め合えるよう、個人の記録の変化
に向けてもっとがんばろう。
とグループ得点の変化に注目して
ふり返りを行う。
5
研究の実際と考察
(1) 子どもが主体的に学び合うための目標設定とグループ編成の工夫
本単元は、全体を通して、子どもが主体的に学び合う姿を想定して実施した。タイムの速い者が
認められるような活動では、足の速さに自信のない子どもの意欲を持続させることは難しい。そこ
で、60m走と60mハードル走の記録を計測し、ハードルがあることでどれだけタイムが落ちて
いるかを認識させた上で、60m走と60mハードル走のタイム差をできるだけ小さくすることを
目標とした。タイム差の縮まりを得点化することで、個人の成果が分かりやすくなり、足の速さに
自信のない子どもでも高得点を出すことができるため、本学級の児童の意欲の持続につながった。
また、単元開始前に行ったアンケートでは「記録の更新を目指した
い」
「仲間と学び合いたい」という意見が多かったことを児童に伝え、
グループを作って仲間と学び合いながら記録の更新を目指すこともハ
ードル走の楽しさであると共通理解した。その上で、3歩のリズムで
気持ちよく走れるインターバルを児童に確認させ、それぞれのインタ
ーバルでグループを作った。毎回の授業では、①「基礎感覚・技能を
高めるための運動」
、②「グループごとに意識する課題を決めて行う練
習」
、③「記録への挑戦」という3段階の構成で活動した。授業の最後
にはグループの記録(グループ全員の得点の平均)をグラフに表し、
その変容を認め合うようにした。
自分のタイム差が縮まることで、グループの得点が上がる。グループで課題を意識して練習に取
り組むことで自分の記録が伸びる。そうやって、本学級の児童は自分たちが共通理解したハードル
走の楽しさを実感することができた。さらに、授業の導入で課題を設定し、その時間に目指す動き
や観察する時の視点を明確にしたことで、子どもたちは仲間と課題解決のために意見を出し合った
り、教師に助言を求めたりしながら場づくりを行い、グループ練習の中での学び合いも活性化した。
例えば、
「ハードルを低く走り越す」という課題では、踏み切り
と着地の位置を意識するためにケンステップを置き、ハードル
の上でゴム紐を張って前傾姿勢をとるよう促し、観察役の児童
からは「もっと遠くから踏み切って」や「姿勢を低くして」と
いった言葉かけがあった。そのような仲間の支援により、動き
を意識しながら何度も何度も挑戦する児童の姿が多く見られた。
(2) 達成型から競争型への移行
競争になると速さのみに意識が向いてしまい、せっかく身に付けたフォームが崩れてしまいがち
である。そこで、本単元は、グループで学び合い3歩のリズムで気持ちよくハードルを走り越す感
覚を養う前半部(達成型)と、7mのインターバルでリズムよく走り越せる歩数を見付けて個人の
記録更新を目指す後半部(競争型)とに分けて構成した。競争になってもリズムやフォームを崩さ
ずに、個人の記録更新を目指したり、友達と競い合ったりすることを楽しめる姿を目指した。
単元前半部に7mのインターバルで取り組んだ児童は、前半部で身に付けたフォームを崩すこと
なく記録更新に向けての練習に取り組むことができた。6m50cmのインターバルで取り組んだ
児童は、3歩のリズムのままで7mに歩幅を合わせることができ、競争になってもフォームが崩れ
ることはなかった。6mと5m50cmのインターバルで取り組んだ児童は、長くなったインター
バルに戸惑っていたが、3歩に合わせて歩幅を上手く調
整したり、4歩や5歩でもフォームが崩れないよう調整
したりして、記録更新に向けて取り組むことができた。
最終的には、32人中21人が7mのインターバルでも
3歩のリズムで走り越すことができ、残りの11人も変
更した歩数で最後までリズムよく走り越すことができた。
6
成果と今後の課題
(1) 個人競技をグループで取り組ませることの意義
ハードル走は個人競技であり、個人が目標をもって意欲的に取り組むことで記録の伸びや競技
としての楽しさを感じることができる。しかし、その意欲には個人差があり、特に運動が得意で
はない子どもは意欲を持続させることが難しい。何をどう変えていけばいいのかが分からなかっ
たり、その楽しさを味わう前に挫折してしまったりするなど、個人で取り組むことには限界があ
る。グループで取り組ませたとしても、個人競技であるために自分の記録や技能の向上が主にな
ってしまい、学び合いが活性化しない可能性もある。本単元では、個人の成果がグループの成果
に反映されるように学習を展開した。そのことにより、児童がお互いを観察し合い、学び合う必
然性が生まれた。それがグループでの学び合いや記録への挑戦を活発に行うことができた要因で
あると考える。子どもたち同士で学び合う必然性が生まれるように教師が意識して単元を構成し
たり、学び合いの意義を子ども一人ひとりが意識できるよう働きかけたりすることが大切である。
(2) 3歩のリズムからのハードル走
インターバルが変わって歩数を調整する際、児童から「リズムが悪い」や「ハードル手前でリ
ズムが崩れる」など、リズムを意識した言葉が一番多く聞かれた。3歩のリズムで気持ちよく走
り越す感覚を前半部で身に付けたことで、その感覚に近付けようという意識が働いたのだと考え
る。さらに、フォームの崩れもなかったことから、ハードル走で最も速い3歩のリズムを体感さ
せることが、競争になっても速さのみに固執せず、リズムやフォームを意識したハードリングに
つながることがわかった。
(3) 基礎感覚・技能を養う運動
単元が進むにつれてグループ練習や記録への挑戦は活発になるのに反して、基礎感覚・技能を
養う運動はただの準備運動と捉える児童が多くなり、ハードル走の技能向上のために必要な運動
と意識して、意欲的に行う児童は少なくなっていった。取り組んだ運動への違和感ややりづらさ、
ハードル走の技能との結び付きが不明確だったことなどが原因であると考える。基礎感覚・技能
を養う運動については、内容を精選し、やり方を十分吟味した上で行い、その運動の意味を明確
に児童に示すべきであった。
(4) 用具の準備と練習方法の選択
十分な数の用具を準備し、練習の場をグループごとに作れるようにしたが、グループによって
は設定した課題とは関係のない用具を出してしまって準備に余計な時間を要したり、課題とは関
係のない練習まで取り入れたりしてしまうことがあった。用具がたくさんあればあるだけ使いた
いと思うのが子どもの自然な発想である。自由に場を設定できる楽しさは、その反面、目的と異
なる選択をしてしまう可能性があるということを十分に考慮して、用具を選ぶ際の視点を明確に
したり、選べる数を限定したりするなどの工夫を行うことが必要であった。