相対性理論・電磁気学 II (15年度) 期末レポート問題

 相対性理論・電磁気学 II (15 年度) 期末レポート問題
(レポート提出: 1 月 6 日の授業時)
1. 相対性理論を考える前に、古典物理学であるニュートン力学を考えよう。ニュートン力学で
成立する「ガリレイ変換」および「ガリレイ・ニュートンの相対性原理」とはどの様なものか、そ
れぞれ説明しなさい。 2. 相対性理論における「ローレンツ収縮」とはどの様な事か述べなさい。また、具体的に、速
さ u で運動する物体は静止していた時に比べ (進行方向に) どれだけ収縮するか求めなさい。単に
結果を書くのではなく、そうなる理由を説明しなさい。説明には、講義で述べた思考実験(“横倒
しの時計”)を用いても良いし、ローレンツ変換の式を用いても良い。
3. 地上に静止した慣性系 Σ から、これに対して u の速度で直線(x 軸)上を運動する別の慣性
系 Σ0 へのローレンツ変換は、双曲線関数を用いると (
ct0
x0
)
(
=
cosh θ
− sinh θ
− sinh θ
cosh θ
)(
ct
x
)
と書ける。ただし、ラピディティー θ は tanh θ = uc (c: 光速度)で与えられる。これに関する以
下の小問に答えなさい。 (1) 速度 u が光速度に比べて十分に小さい (| uc | ¿ 1) 時、即ち “古典論の極限” (形式的には c → ∞
の極限)では、上記ローレンツ変換はガリレイ変換に帰着する事を説明しなさい。
(2) ローレンツ逆変換(Σ0 から Σ への変換)の式を導出しなさい。
(3) 慣性系 Σ からみて x 軸の方向に光速度 c で運動している粒子の事象は x = ct を満たす。上記
ローレンツ変換の式を用いて、Σ0 から見た時の、この粒子の速度を求めなさい。
(4) 世界間隔の 2 乗は、上記ローレンツ変換の下で不変である事を示しなさい。
4. 地上に静止した慣性系 Σ と、これに対して v1 の速度で x 軸上を運動する慣性系 Σ0 、および
Σ0 に対して v2 の速度で x 軸上を運動する慣性系 Σ00 の存在を想定する。Σ から見た Σ00 の速度を
v とする。速度の合成則に関する以下の小問に答えなさい。
(1) 古典物理学における、v を v1 , v2 を用いて表す関係式(速度の合成則)を書きなさい(これに
ついては結果だけ書けばよい)。
(2) 相対性理論における速度の合成則(v を v1 , v2 (および光速度 c) を用いて表す関係式)を書
きなさい。また、その導出の過程(“地道な方法”、“双曲線関数を用いる方法” のいずれでも良
い)を簡単に説明しなさい。
(3) 相対性理論における速度の合成則によれば、0 < v1 < c, 0 < v2 < c の時 0 < v < c (c: 光速
度)であることを示しなさい。 5. 講義で解説した下図 (Figure 1) の時空ダイアグラムについて考えてみよう。以下の小問に答
えなさい。
(1) 慣性系 Σ から見た事象を表す x 軸、ct 軸からなる直交座標系に対して、慣性系 Σ0 (Σ に対
し x 軸方向に速度 u で運動)から見た事象を表す x0 軸、ct0 軸からなる座標系は斜交座標系で
ある。x0 軸の x 軸 からの傾きの角度、および ct0 軸の ct 軸からの傾きの角度を u, c (c: 光速
度) を用いて表しなさい。 (2) Figure 1 の x0 軸上の目盛 1 の点 P の、直交座標系からみた時刻 tP を求めなさい (ヒント: 原
点 O と点 P は、Σ0 から見ると同時に、 しかし距離 1 だけ離れた 2 点で起きた二つの事象を表
すが、これらの事象は Σ から見ると、もはや同時ではない。)
(3) 直交座標系と斜交座標系では 1 目盛の長さが違う。斜交座標系における1目盛の長さを直交座
標系から見た時の長さ (つまり、直交座標系から見た線分 OP の長さ) を求めなさい。
(ヒント:
(1)、(2) の結果を用いて求めることが出来る。)
Figure 1: