乳製品と喘息

IDF栄養ホームページ/http://www.idfdairynutrition.org//ファクトシートより
乳製品と喘息
Dairy Australia の文献を仮訳
喘息とは?
喘息とは、気道に炎症を起し、気道が狭くなったときに呼吸が困難になる状態をいい
ます。喘息は、息がぜいぜいする、息切れ、動悸、胸の痛み、特に早朝および夕方の
咳込のような発作を引き起こします。
オーストラリアでは、200万人以上のヒトが喘息を患っています。小学生では、喘
息は女児よりも男児のほうに多く見られます。就学前の幼児および高校生では男女差
がありません。高校生よりも年齢の進んだ集団では女性に多く見られます。喘息を理
解すれば喘息の予防に役立つとともに、より充実した生活を送ることができます。
喘息の原因は?
喘息の原因は全く知られていませんが、喘息の発作や喘息の兆候のきっかけとなるあ
る種の「引き金」があります。喘息の主な引き金は、家ダニ、花粉、カビの胞子、動
物の毛または毛皮、たばこの煙のようなアレルゲン、ウイルス感染、気候変動です。
運動も喘息の引き金になることがありますが、適切な投薬や準備運動により通常は管
理できます。
食べ物は喘息の一般的な引き金ではありませんが、少数のヒトにとっては、食品アレ
ルギーまたは化学物質不耐症から食べ物が喘息の発作の引き金になることもあります。
喘息患者のわずか2.5%が食べ物や飲み物の影響を受けるにすぎません。世間では
一般に信じられているかもしれませんが、ミルクが喘息の引き金になることは滅多に
ありません。
喘息の引き金を回避する方法は?
掛かり付けの医師に相談すると、喘息の引き金となる物質を見つけるお手伝いをして
くれます。患者自身の喘息を引き起こす特有の物質を避けることができるかもしれま
せん。医師に喘息を回避する方法を相談してください。
喘息の主な引き金は、家ダニ、花粉、カビの胞子、動物
の毛または毛皮、たばこの煙のようなアレルゲン、ウイ
ルス感染および気候変動です。
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食事と喘息
バランスの取れた食事は喘息を患うすべての患者に推奨されています。パン、シリア
ル、果物および野菜、赤身肉または肉代替食品、飲用乳、チーズおよびヨーグルトの
ような乳製品など多彩な食べ物を食事にとりいれることです。このような食事をすれ
ば、健康と体調維持に必要な栄養素、すなわち、たんぱく質、炭水化物、脂肪、ビタ
ミン類、ミネラル類の摂取が確保できます。
乳製品と喘息
しばしば乳製品が喘息の一般的な引き金になると示唆されてきました。しかし、この
ような俗説を支持する科学的な根拠がほとんどありません。逆に乳製品が子供の喘息
を予防する機能があることを示唆する研究論文があります。就学前の児童3000人
以上を対象とした研究では、乳製品を毎日食べた児童は、乳製品を毎日食べなかった
児童よりも喘息の症状が少ないことが分かりました。同様に、成人において食べ物の
摂取と喘息の関係を調査した研究では、牛乳の飲用が喘息のリスク低下と関係があり
ました。これらの知見は、牛乳を毎日3度以上飲用した児童は牛乳の飲用がもっとも
少ない児童に比べて2.5倍も喘息の発作が少なかったという先行の研究を支持する
ものです。
乳製品と粘液
同様に、乳製品、特に飲用乳が粘液(目やになど)の生産に関与するという俗説があ
ります。牛乳を飲むと、一時的に口の周りや喉に膜がつきますが、これがよく粘液と
間違われます。この感覚は牛乳の自然なクリーム様の組織と単に関連づけたにすぎず、
喘息症状の引き金になることはありません。同様の粘度をもった非牛乳飲料も同様の
感覚を引き起こします。
良質な栄養を含む乳製品
乳製品は、カルシウムからリンおよびたんぱく質まで骨を形成するために重要な栄養
源です。これらの栄養素すべてが、成長する幼児や10代の子供にとって特に重要で
す。オーストラリアの食事において乳製品はカルシウムの主な供給源です。
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乳製品に起因する特定のアレルギーまたは不耐症と医師が診断したのでなければ、食
事に乳製品を除去する理由や制限する理由が全くありません。残念ながら乳製品と喘
息を取り巻く俗説により、多くのヒトが不必要に乳製品を忌避、制限しています。そ
の結果、食べ物の選択肢が少なくなり、食べる楽しみを奪い、栄養的にバランスを欠
く食事へと繋がります。
さらに、子供の食事から乳製品を省くと骨が萎縮し骨折のリスクが増えます。ミルク
を避けるヒトでは、たんぱく質、カルシウム、リボフラビン、ナイアシンの摂取量が
減ることで栄養状態が低下します。
女性では、幼児期や10代にミルクの摂取量が低いと成人してから骨が弱くなり、骨
折のリスクが高まります。
したがって、良好な健康を維持するのに最善の方法は、多様で栄養価の高いバランス
のとれた食事を心がけ、体力と健康を維持することです。喘息を有効に管理するには
医師と共につくる喘息の実行計画を始めることです。毎日乳製品-牛乳、チーズまた
はヨーグルト-を3回食べると、カルシウムをはじめ様々な栄養素の一日所要量を確
実に満たすことになります。
乳製品の1回分は、牛乳250ml(コップ1杯)、ヨーグルト200g(1皿)ま
たはチーズ40g(2スライス)に相当します。
編者注:仮訳の全体は会員頁をご参照ください。仮訳の正確性、完全性、有用性等については
いかなる保証をするものではありません。参考資料として扱い、内容に疑義が生じた場合は英
文の原文をご確認ください。