21世紀の夢の科学技術を 専門家にアンケート 自分の病気に対する理解

見落としがちだけど役立ちそうなちょっと気になるニュースや、話題の本をピック・アップ
自分の病気に対する理解度が
治療成績に影響
21世紀の夢の科学技術を
専門家にアンケート
科学技術庁科学技術政策研究所は、21世紀に科学技術
がどのような進展を見せるか、その予測を約4600人の
専門家にアンケート(うち回答は約1200人)。「21世紀
の科学技術の展望」として、昨年12月に発表しました。
回答を分類すると、「遺伝子技術の発展」や「脳科学の
発展」「医療の変革」「食糧問題」「エネルギー供給」など
9テーマ、46項目。“体内に常駐するマイクロ機器によ
って健康状態をモニターできるようになる”などの希望
に満ちた意見が大半を占めましたが、一方で“遺伝子の
多様性が薄まり、感染症が死亡原因の1位になる”といっ
た人類の危機を心配する意見も見られました。
動物の行動は、
原始的な感覚である
嗅覚によって
支配されている !?
国立がんセンター研究所精神腫瘍学研究部では、抗がん剤
による治療を88年∼91年にかけて受けていた進行性の乳が
ん患者214人(平均年齢54歳)に、自分の病気の状態をどの
程度理解しているかをアンケート。その後の経過を8年間、
観察しました。
それぞれの理解度の患者グループを、50%生存期間で比
較したところ、「理解している」人 (190人) は28.3ヵ月とい
う結果に。一方、「理解していない」人 (24人) は16.1ヵ月
だったといいます。
この研究は昨年、ヨーロッパの雑誌“Breast Cancer
Research and Treatment”に掲載。研究部長の内富庸平
先生は、結果について、「理解していない人には抑うつ状態
の人が多く、それがコンプライアンスの低下、ひいては治療
成績に関係しているかもしれない」と語っています。
医療に関する主な内容
生体から分離した細胞をもとに、あらゆる機能性細胞を試
験管内で大量に生産する技術が確立する。
遺伝病をはじめ全ての病気が治療可能となり、平均寿命が
大幅に延びるとともに老化の速度を制御できるようになる。
体内に入って検査・治療するマイクロロボットの技術が進
歩し、外科手術にとってかわるようになる。
ロボット技術によって義手、義足が人間の手足もしくはそれ
以上の能力を持つようになる。
脳のメカニズムが解明され、脳へ直接情報を記憶させたり、
忘れさせたりすることができるようになる。
ストレスを解消する匂いもあれば、逆に鼻をつまみたくな
るほどの悪臭もあったり…。嗅覚は最も原始的な感覚だと
いわれますが、匂いが人間の身体に及ぼす力はまだはっきり
と解明されていません。そんな匂いや嗅覚の不思議に、科学
ジャーナリストの鬼才、ライアル・ワトソンが果敢に挑んだも
のが本書です。
ちょっと気になるフェロモンの最新研究や、いろいろな動
物の驚くべき嗅覚の働き、古今東西の「匂い」の文化、そして
「第六感」は嗅覚と関係しているかもしれないといった意外な
話など、様々なフレーバーを堪能できること請け合いです。
「匂いの記憶」
ライアル・ワトソン著/
旦 敬介訳
光文社/¥1,929(税別)
「Pallette Vol.22」2001年 1月22日発行 CZ11001A 01
(4130)KK