欧州連合、知的財産権保護のための水際取締りの新規則を発表 7月 18 日、知的財産権の水際での取締りのための新規則がEU官報(Official Journal) に掲載されました(2013 年6月 29 日付けのEU官報 L181/15~34) 。 この新規則(欧州連合及び理事会規則 No 608/2013)は、2014 年1月1日から施行さ れることとなっており、 これに伴って現行の理事会規則 No 1383/2003 は廃止されます。 この新規則の制定の経緯及びその主な内容は、当センター発行の「CIPICジャーナ ル Vol. 212」(32 頁~45 頁)で簡単に紹介したところですが、新規則では、2003 年の 現行規則施行後の新たな状況等を踏まえて次のような点が主に改定されています。 (1)水際取締りの対象となる知的財産権の範囲が拡大されます(現行規則の商標、 著作(隣接)権、特許、意匠、植物品種、地理的表示等に加えて、トレード・ネ ーム、半導体回路配置利用、実用新案、技術的保護措置を迂回する装置等が新た に取締りの対象に追加されます)。 (2)深刻化するインターネット上での模倣品等の販売に対応するための新たな規定 が導入されています(一定の要件の下で、郵便物、宅急便等の小口扱いの貨物に ついて特別の簡易な廃棄手続が導入されます。小口扱い貨物の範囲(定義)は、 個数で3個まで、重量で2KG までとされています)。 (3)知的財産権侵害疑義物品について、裁判所での模倣品等の認定手続を経ないで 滅却できる簡易手続が加盟国に義務化されます(現行規則においてもこの簡易手 続の規定が設けられていますが、その実施は加盟国の任意とされ、フランス等の 一部の加盟国では現在実施されていない模様です) 。 (4)旅行者の手荷物と一緒に持ち込まれる模倣品等は明示的に新規則の範囲から除 外されます(現行規則では、非商業的な貨物であって、免税の範囲内のものであ れば取締りの範囲から除外するとされていますが、新規則では、非商業的貨物で あれば取締りの対象から除外するとされ、数量的な範囲の規定はなくなっていま す)。 (5)保管費用や廃棄費用の扱い(税関の差止めに伴って発生する侵害疑義物品の保 管や廃棄の費用は、現行の規則では、税関は負担しないとされ、その負担は加盟 国の国内法の規定に委ねられていますが、新規則では、これらの費用は差止申立 者が負担し、同申立者は、これらの費用を他の当事者から回収することができる と規定しています)。 新規則の詳細な内容は、8月又は 10 月発行予定の「CIPICジャーナル」に掲載す る予定です。
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