Vol.28

Vol.28
Colin Information Service
脈波バージョン
年内も残り少なになって参りましたが、先生方におかれましてはますますお忙しい日々をお過ごしのことと存じま
す。本年も一年間を通じて一方ならぬお力添えにあずかり、誠にありがとうございました。2007年最後の本号で
はCOPDと加齢性変化の発生に関する論文をご紹介させていただきます。来年も本情報紙をよろしくお願い申
し上げます。
慢性閉塞性肺疾患
(COPD)患者
ニューヨークカーディフ大学 呼吸器内科 Ramsey Sabit博士
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine (AJRCOM,2007;175:1259-1265)
気道閉塞の重症度が異なる臨床的に安定した慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者群75例、健康な喫煙
または元喫煙者 対象群42例で比較検討。
全例に、スパイロメトリー、PWV、AIx、脊椎と股関節の骨密度検査、炎症性メディエータの血液採取。
(骨粗鬆症は、患者群で18例、対象群で2例)
重症度の異なった気道閉塞に伴うCOPD患者の多くに動脈壁硬化の進行が見られた。
最も進行が著しいのは骨粗鬆症を併発する患者であった。
【結果】
COPD患者は心血管の超過リスクの原因となることを示唆。
PWVの平均値は患者群で11.4m/s、対象群8.95m/s(P<0.001)。
股関節に骨粗鬆症のある患者で、PWV13.1m/sで、骨粗鬆症ない患者では11.2m/s(P<0.05)。
Augmentation index (AIx)は患者群30.1%に対し対象群では25.9%(P=0.002)。
AIxは患者群に比べ対象群で低値であった1秒量(FEV ) AIxとFEV の間に逆相関(P<0.001)。
1.0
1.0
動脈壁硬化は全身性合併症
各年代における患者の動脈壁硬化の進行は、1型糖尿病患者に見られる変化と類似しており、
健康人と比べてCOPD患者ではより早期に加齢性の血管変化が発生することを示唆。
PWVに関する他の重要な予測因子 → FEV の予測値に対する実測値の割合(P<0.05)
平均動脈圧(P<0.05)、インターロイキンIL-6 (P<0.05)
1.0
PWVの増大、末梢脈圧、AIxの変化は、動脈壁硬化の進行がCOPD患者の全身性合併症
であると仮説を裏づけるものである。さらに、気道閉塞の重症度と動脈壁硬化の関係、また
骨粗鬆症併発患者ではPWVがより増大するという結果も裏づけとなる。
【結論】 ①COPDの全身性合併症は早発性の加齢作用を意味することが示唆。
②軽度の気道閉塞患者でも、対象群と比べて動脈壁硬化が進行している。
③動脈壁硬化が疾患過程の初期に発生して肺機能の低下とともに進行することを示唆。
Sabit博士らは「被験者における動脈壁硬化の進行度(PWVとAIx)と気道閉塞の重症度と
の関係により、COPD患者における冠動脈性心疾患と脳血管障害の超過リスクが説明され
るかもしれない。
超過リスクは糖尿病、喫煙、運動不足、高コレステロール血症、高血圧などの交絡因子を
調整して求められるものである。
動脈壁硬化の進行は、健康な母集団における心血管と脳血管のイベントに関する単独で
の予測因子となる」としている。
カスタマーサポート通信-vol. 28フリーダイヤルでお問い合わせ頂くご質問等をQ&Aにまとめてご案内致します。
Q:初めて検査をされる方へ何か注意することはありますか。
A:初めて検査を受けられる方は、緊張しやすいため血圧が高くなったり、力が入ったりして脈波に筋電の
影響が出たりして、正しく測定されないことが予測されます。
従いまして、検査を受ける前に検査の説明をして緊張をやわらげます。
また、測定中に話をしたり、身体を動かしたりしてしまいますと、きちんと測定できないことがありますの
で、測定の前に説明を行ってください。声かけの例を示します。
検査を受ける方への声かけ
例
①「これから、動脈硬化の検査を行います」
②「四ヶ所同時に血圧を測定します。
腕に比べると、足首の方が締まりますが、驚かないように」
③「測定中は、お話しをしたり身体を動かしたり
しないようにしてください」
④「測定は2分程度で、2回測定します」
★ECG・PCGの安定を確認してから、
測定を開始してください。
機関紙『Arterial Stiffness』 WEB版に、バックナンバー追加
ABI、PWVといった動脈硬化検査指標の最新知見
から、検査機器の日常臨床使用例まで、動脈硬化に関
する総合的な情報提供を目的とした臨床血圧脈波研究
会機関紙『Arterial Stiffness』の最新バックナンバー
(No.11)がアップされました。
本号では、2006年国際高血圧学会サテライトシンポ
ジウムのダイジェストレポートやご好評頂いております
『私のやり方:PWV、ABIの診療応用』など、読み応え
のある多彩な内容をご紹介させて頂いております。
ご興味を持たれました先生方におかれましては、オム
ロンコーリンホームページより、ご覧頂きますようお願
い致します。
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